アクティブラーニングとは
アクティブラーニングとは、受講者が能動的に考えながら学習する姿勢をサポートする教育法です。指導者から受講者に一方的に情報を与えるような、講義形式が中心の教育法とは異なります。
アクティブラーニングではディスカッションやディベート、グループワークなどを通してさまざまな能力の育成を図ります。企業がアクティブラーニングを取り入れると単に知識を得るだけではなく、認知力の向上や倫理観の醸成も期待できる点が魅力です。課題解決に必要な能力を総合的に向上させられるでしょう。
課題解決に主体的に取り組める上に創造力が豊かな人材を養うための教育法として、企業からも注目されています。
アクティブラーニングが注目される背景
アクティブラーニングが注目される背景には、時代の変化やニーズに応じた人材育成が求められていることが上げられます。現在は、急速なグローバル化の影響によって企業で働く人材が多様化したため、各社員が協調性を発揮して課題を解決する能力が求められるようになりました。
また、変化の激しい社会環境のなかで企業が成長するためには、主体性を発揮して自己成長をできる社員が必要です。アクティブラーニングは、課題の発見と解決に向けて主体的かつ協同的な学習を体現する学習法です。現在の社会環境に適合できる人材を育成する方法として、適した学習法といえるでしょう。
企業がアクティブラーニングを導入するメリット
企業がアクティブラーニングを導入するメリットは次の5つです。
・問題解決力を磨ける
・主体性が身に付く
・コミュニケーション力を育める
・リーダーシップ力が養われる
・発想力や創造力が培われる
それぞれについて解説します。
問題解決力を磨ける
企業研修にアクティブラーニングを導入すると、課題解決の方法を受講者自身で考え、答えを導き出す機会が増えます。講師から一方的に知識を与えられたり、すぐに正解へと誘導されたりするのではなく、自分なりに答えを出すプロセスを体験できる点が魅力です。正解へと辿り着くプロセスを経て、論理的な仮説や検証をできるようになり問題解決力が磨かれます。
主体性が身に付く
アクティブラーニングでは受講者同士で協力しながら、課題の解決策を考える状況を作れるため、受講生の主体性が身に付きます。講師はサポートに徹するため、受講者は主体性を持って研修に取り組まなければ学習が進みません。
ビジネスでは、不足の事態に対して自分であればどのように対応すべきかを問われるケースも多く見られます。アクティブラーニングで主体性を育むと、ビジネスで発生した課題に対して、自分で解決策を考えられるようになります。
コミュニケーション力を育める
複数名のチームで学習を進める点もアクティブラーニングの魅力です。チームで課題の解決策を導き出すためには、受講者同士の意思疎通が欠かせません。そのため課題解決に向かう過程で、自然とコミュニケーション能力を育めます。
アクティブラーニングの受講生は、次のような対人スキルが身に付くでしょう。
・話を聞く力
・意見を伝える力
・意見をまとめる力
以上のスキルはビジネスをする上では欠かせない能力です。
リーダーシップ力が養われる
アクティブラーニングの学習は受講者が中心となって進めるため、リーダーシップ力が養われます。受講生は、各自で自分の所属するグループの課題解決に向けた行動を取ります。その際、受講生に求められることは、自分がなすべきことや責任の果たし方を考えることです。
自分が成すべきことを明確にして、責任を果たす姿はチームを牽引するリーダーに求められる重要な素養といえるでしょう。アクティブラーニングに基づいた学習プロセスは、現代社会に求められるリーダーシップの養成に役立ちます。
発想力や創造力が培われる
アクティブラーニングの受講生が試行錯誤をしたり、グループで議論を重ねたりする過程は発想力や創造力を高めるトレーニングになります。
アクティブラーニングで扱うテーマは、正解のない課題が多い点も特徴です。正解のないテーマについて受講者同士が議論を重ねると、誰もが自由に自分の価値観や考えを発表しやすくなります。その結果、各受講生は自分が持っていない価値観や考え方に触れる機会を得られるでしょう。
従来の常識や手法に囚われずに議論を展開できる機会を設けることで、イノベーションの下地作りにつながります。
アクティブラーニングの種類
アクティブラーニングの種類には、ジグソー法やThink-Pair-Share、KP法があります。それぞれについて詳しく解説します。
ジグソー法
ジグソー法は、次の流れで進めます。
1.均等にグループ分けした受講者に異なる課題を与える
2.次にグループを一旦解散して、同じ課題の担当者たちを集める
3.集められた各課題の担当者は専門グループを結成して、課題の解決方法について話し合う
4.専門グループ内で課題の解決法について整理できたら、再度もとのグループに分かれる
5.もとのグループに分れた受講者は、専門グループ内で話し合ったことについて他のメンバーに教える
ジグソー法は各課題の解決策を導き出したうえで、他のメンバーにそれを分かりやすく伝えることで、自身の理解を深められるメリットがあります。
Think-Pair-Share
Think-Pair-Shareでは、まずは受講生自身が課題の解決策に考えたうえで、隣の人にも考えを聞きます。隣人同士が互いの意見を交換しながら、課題解決に取り組む学習法です。
課題に対する意見を自らが考え、それについて話し合うことで、表現力や理解力が深まります。自他の意見を比較しながら、よりよいアイディアを作り上げていくプロセスを体験できる点も魅力です。
KP法
「KP法」のKは「紙芝居」、Pは「プレゼンテーション」の頭文字です。KP法では、プレゼンテーションの担当者が発表の前に紙に学習のテーマをまとめておきます。次に、プレゼンテーションの進行に合わせて黒板やホワイトボードに、テーマについてまとめた紙を貼り付けながら説明をします。
KP法を実践すると、発信者が一方的にメッセージを伝える展開がなくなり、聞き手の思考を深め、議論のきっかけを作りやすくなる点がメリットです。
アクティブラーニングを研修に導入する際の注意点
アクティブラーニングを研修に導入する際は、研修の設計を明確にして積極的な姿勢を受講生に徹底させることが重要です。さらにファシリテーション能力がある人材を講師に選ぶと、効果的な研修になるでしょう。
研修の設計を明確にする
研修の設計とは目的や対象、ゴールのことを指します。これらを明確にしなければ、アクティブラーニングを導入しても効果的な研修を実施できない可能性があります。
アクティブラーニングは、研修を進めるための学習法の1つに過ぎない点もポイントです。アクティブラーニングが研修の目的や対象に適しているのかを見極め、ゴールを達成が可能であるかを判断する必要があります。研修に適していない場合は、他の方法を実践することも1つの手段です。
研修に対する積極的な姿勢を受講生に徹底させる
研修で取り上げられる課題に対して、受講生が積極的な姿勢で臨むことが大切です。アクティブラーニングで受講生がとるべき積極的な姿勢とは次のとおりです。
・予習をきちんと行い、議論に備える
・主体的に知識を得ようとする
・考えの異なる人と議論しようとする
アクティブラーニングは受講生が主体性を発揮してはじめて学習が進みます。そのため、受講生が積極的に課題に取り組める工夫をすることが大切です。
ファシリテーション能力がある人材を講師に選ぶ
高いファシリテーション能力がある人材をアクティブラーニングの講師に任命すると、受講者に気づきを与えながら、ゴールへ誘導しやすくなります。
高いファシリテーション能力とは受講者同士の交流を生み出したり、意見を引き出したりする能力です。全体でディベートをする際などは、ファシリテーターが適切な質問や声掛けを行い、場を盛り上げられると効果的な研修を実現できます。
まとめ
企業がアクティブラーニングを取り入れると、社員の課題解決能力を高めたり、創造力を育成できたりします。アクティブラーニングの実施方法には、ジグソー法やThink-Pair-Share、KP法などがあるため、研修の内容に適した方法を選択するとよいでしょう。
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