人材マトリクスとは? 分類や活用の仕方について解説


人材マトリクスとは? 分類や活用の仕方について解説

チーム内のメンバーの特徴や傾向、現在置かれている状況などを理解し把握するために、さまざまな企業が利用している「人材マトリクス」。その目的や作成方法、そして人材マップを参考にした指導・教育方法について解説します。

人材マトリクスとは

人材マトリクスとは、「やる気」と「能力」などの2つの軸で構成される4象限マトリクスを用いて人材を分類し、現状の組織内にどのようなメンバーが存在しているのかを把握する手法のことです。やる気=Willと能力=Skillで作成したマトリクスは「Will/Skillマトリクス」とも呼ばれます。
 
たとえば営業チームがあったとして、その中には能力が高い人もいれば低い人も、やる気が十分な人もいればそれほどでもない人もいるはずです。人材マップを使ってこれらの人材を分類してマッピングすれば、どのような人材が多いのか、どんなバランスで分布しているのか、偏りがあるのかないのかを視覚的に捉えて知ることができます。
 
 

人材マトリクスで管理する目的

人材マトリクスを使って人材管理をする目的は次の2点です。
 

人材の最適な配置

人材マトリクスを用いると、組織内にどのような特徴や傾向を有する人材がいるのかがわかります。
その結果、たとえばある部署内に同じような特徴を持つ人材ばかりが偏って配属されていることがわかれば、少しバランスを調整したほうが良いという判断に結び付けることもできます。
本人の希望がわかる他のデータなどとも照らし合わせながら、最適配置を考える際の参考にできるでしょう。

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人材の育成計画

人材マトリクスは人材を育成する際の指標の1つとしても役立ちます。
異なる特徴を持った人材に対して均一化された教育を施しても、効果的な育成とはなりません。個々の特徴や置かれた状況にマッチしたプログラムを与えることで、適正な人材育成を実現できます。
人材マトリクスをベースにすれば、それぞれの人材の特徴に応じた少なくとも4種類の育成計画を立てて、適用が可能になります。
 
 

人材マトリクスの作成方法

人材マトリクスを作成するために使用する2つの軸には、さまざまな項目を当てはめることができます。ただ、実際にビジネスで使われているのは、おおむね「やる気・価値観」軸と「能力・スキル」軸を用いたものでしょう。
 
作成方法は簡単で、たとえば縦軸にやる気、横軸に能力を設定して、それぞれのメンバーがマトリクス内のどこに位置するかを考えてマッピングしていきます。
 
ただし、やる気や能力の高い低いを判断するのはあくまで上司などの人間なので、完全に客観的なデータにはならない点には注意しておきましょう。
特に「やる気」を客観的に見定めるのは難しいものです。アンケートやヒアリングを実施して確認する方法もありますが、実際にやる気はあってもアピールするのが上手ではない人もいます。判断が主観的なものになりすぎないよう複数人で判定して意見を擦り合わせるなど、何らかの工夫が必要です。

 

 

人材マトリクスによる指導方法

人材マトリクスを用いると、人材を4つの象限(ブロック)のどこかにマッピングすることになります。そこで以下、「やる気」と「能力」の2軸で作成した人材マトリクスを例に取り、4つの象限のどこに属するかによって異なる4種類の人材に対する指導方法を見ていきます。
 

能力が高くやる気が高い人材

この中では全体のポテンシャルが最も高く、戦力として頼りになる人材です。ある程度の権限を付与し、重要な仕事や高レベルのミッションを任せられる人材です。教育プログラムもリーダー向けやエースプレーヤー向けなど、さらにタレント性を向上させられるものを適用します。
 

能力が高くやる気が低い人材

能力は高いもののやる気が低い場合、モチベーションを高めるきっかけさえ与えることができれば大きな戦力になることが期待できます。インセンティブを用意する、あえて重要ポジションに就かせてみるなどの方法が功を奏することもあります。教育プログラムはモチベーション向上に結びつくものをメインに適用します。外部研修なども刺激になるかもしれません。
 

能力が低いがやる気が高い人材

やる気は高いのであとは能力を身につければ戦力化できるという、ある意味わかりやすいタイプの人材です。入社後それほど年数が経っていないのであればなおさら、今後に期待できます。教育プログラムはスキルトレーニングなどを中心に行うのが近道です。指導者を付けて実践的な技術を教えるのも有用です。
 

能力が低くやる気も低い人材

この中では最もレベルの低い人材ということになります。育成するためには難易度の低いミッションを与えて細かい指示も出し、ミッションをクリアできたら褒めるなどして成功体験を積み重ねさせていくことが重要でしょう。じっくりと教育を続けながら、まずはモチベーションを上げることを目指すのがセオリーです。教育プログラムは基本スキルの習得や、モチベーションアップをサポートするようなものを適用します。

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人材マトリクスの応用

人材に紐づくあらゆるデータを一元化できていれば、さらにカスタマイズした人材マトリクスを作成することも可能です。
例えば、「人事評価」×「残業時間」でマトリクス図を作成すれば、少ない時間で高い成果を出せている生産性の高いハイパフォーマー社員を抽出することができます。
他にも「スキルレベル」×「役職」や「モチベーション」×「部署」など、社員や組織の課題を割り出すのに人材マトリクスは非常に優れていると言えるでしょう。

人材マトリクスを使用すれば、人材分析の切り口が飛躍的に増大する

まとめ

人材マトリクスを有効に活用すれば、チーム内のメンバーの特徴や置かれている状況を把握して、それぞれの人材に適した指導や教育を施すことができます。
 
また、より詳細な人材情報をデータ化して活用するには、タレントマネジメントシステムと呼ばれるツールを導入する方法もあります。タレントパレットはアンケート機能を用いて社員から情報を収集したり、評価結果データを蓄積することができるため、上記でご紹介したような人材マトリクス(様々な人事情報のかけ合わせ)が可能です。  


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