人材育成とはそもそも何か?
人材育成とは、企業の経営戦略に適した人材を育てることです。単に仕事をする訓練や学習をするのではなく、自ら企業の目標達成に向けた行動を取るための育成を行います。主体的に動ける人材を増やせば、企業全体の成長を促すことが可能になるため、人材育成は企業の業績向上に欠かせません。
人材育成の種類
人材育成の種類は、育成する対象によってそれぞれ異なります。育成対象としては、新入社員、中堅社員、管理職などの分類が可能です。対象だけでなく外部環境の変化によっても人材育成の目的や方法は変化します。
人材育成の重要性
企業経営に必要な資源としては、人材の他にも設備や資金などがあります。しかし、企業がもつ資源のなかでも最も重要なのは、人的資源だといわれています。人が設備や資金といったほかの経営資源を動かす原動力となるため、すべての鍵を握る人材育成は企業にとって特に重要です。
人材育成の目的とは
ここでは、企業が人材育成をする目的とは何か、あらためて確認しましょう。
優秀な人材の確保
在籍する優秀な人材が外部へ流出すれば、自社にとって大きな痛手となります。人材の流出を防ぐには、社員にとってよりよい環境を提供することが大切です。社員が成長しやすい環境を整え、意欲やモチベーションの向上につなげることが、早期退職の防止に役立ちます。
企業の生産性向上
日本では全体として労働人口が減少しており、新しい人材の採用も簡単ではありません。この状況で自社の生産性を向上させるには、人材育成を行い、社員それぞれの生産性を上げること必要です。個々のスキルが高まれば、企業全体の生産性も向上し、結果としての業績アップにつながります。
社員のキャリア開発
ビジネスのグローバル化が進んでおり、海外へのアウトソーシングも広がっています。自社のビジネスを拡大するためには、環境の変化に柔軟に対応できる人材の育成が重要です。社員のキャリア開発は、社員それぞれにとって自己実現やキャリアアップの機会と捉えられるため、仕事に対するモチベーションを高めることにも役立ちます。
人材育成のポイント
人材育成を行うには、さまざまポイントを意識することが大切です。ここでは、人材育成のポイントについて解説します。
スキルマップを作成する
スキルマップとは、それぞれの社員のスキルを並べて一覧表にしたものです。スキルマップを作成してスキルを明確にすれば、人材育成も効率的に進められます。日本国内でも、スキルマップを活用する企業が増えています。
育成方法を決める
代表的な人材育成の方法としては、外部講師による集合研修、内部講師による集合研修、職場内研修、自己啓発、eラーニングの5つがあります。それぞれ異なる特徴があるため、メリットやデメリットを踏まえたうえで自社に適した方法を選びましょう。
全社で人材育成に取り組む
人材育成は企業全体にとって重要なものであるため、全社で取り組む姿勢が大切です。それぞれの社員に人材育成の重要性をきちんと伝え、社員の意欲を高める必要があります。
人材育成の方法、それぞれのメリット・デメリット
ここでは、人材育成の方法について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
外部講師による集合研修
社外から講師を招き、複数人の社員を集めて集団で研修を行います。一般的なスキルを身につけるために開催するケースが多いです。それぞれの分野に関するエキスパートから指導を受けられるので、社員のスキルをしっかり高められます。また、一度にたくさんの社員を育成できることもメリットです。ただし、社外から講師を招くには費用もかかる点に注意が必要です。
社員が研修を受けている最中は業務が進まないというデメリットもあります。
内部講師による集合研修
社員のなかで指導者に適した人材を講師として抜擢し、他の社員を指導します。実務をもとに身につけた知識やスキルを伝えられるため、実際に役立つ研修を実施しやすいです。そのため、専門的な側面から人材育成を行いたい場合に適しています。
内部講師による集合研修で課題となるのは、講師を務める人材選びです。内部講師を育成するためには、時間もかかります。外部講師を招く場合と同様、研修中は業務が進まない点も意識しておきましょう。
職場内研修
実際に業務に取り組みながら、先輩社員や上司が教育する方法です。「OJT」と表現される場合もあります。実務を通してスキルや知識を身につけるため、即戦力としての人材を育成しやすいところが大きなメリットです。
ただし、指導を担当する先輩社員や上司のスキルが不足していたり、指導方法に問題があったりすると、想定していた通りの結果に結びつかない可能性もあります。職場内研修を行う場合は、あらかじめ指導者に対する教育に取り組むことも必要です。
自己啓発
社員自身が目標や学習内容を決め、自発的に教育を受けることを自己啓発とよびます。企業側は社員が自己啓発を行うために必要な環境を整え、支援する必要があります。資格取得のための講座を受講させたり、キャリアアップに必要なプログラムを用意したりすることが一般的です。
自己啓発を取り入れれば、社員は自分にとって都合のいい時間を有効活用して学習に取り組めます。ただし、強制力が弱いので、社員によって成果がばらついてしまう恐れもあります。
eラーニング
インターネットを活用し、研修を受けたり学習を進めたりする方法です。時間や場所を問わずいつでもどこでも取り組めるため、社員それぞれが自分のペースで取り組めます。確認テストも実施できるので、研修や学習の成果を定着させやすいといわれています。導入や運営にかかる費用も比較的低めです。
ただし、インターネット環境がない場所では、eラーニングは行えません。また、社員それぞれが取り組むので、モチベーションの維持が難しいです。
人材育成を効率的に行うための施策とは?
人材育成を効率的に行うには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、人材育成を効率的に行うための施策について解説します。
目標管理制度を導入する
人材育成をはじめる前に、個人やグループごとの明確な目標を設定しましょう。目標がないと、社員は人材育成に取り組むための意欲を持ちにくくなります。目標があればゴールに向かって行動しやすくなるので、社員の成長や能力開発を促しやすくなります。全員がしっかりと目標を意識できるような目標管理制度を導入しましょう。
タレントマネジメントを行う
タレントマネジメントとは、社員のスキルや経験などのデータを一元管理することで、効率的な人材育成につなげる手法です。適材適所の人材配置により各社員に適切な機会を与えることを目指します。ただし、いきなり全員を配置転換できるわけではないので、適切な指導をしながら調整する必要があります。
評価制度の見直しをする
人材育成の効果を高めるには、それぞれの人材に対する評価制度を見直すことも大切です。具体的には、個人の能力や実績に基づき、平等に評価できる制度を構築する必要があります。評価制度がしっかり整えば社員のモチベーションも高まり、成長に対する意欲も向上します。結果として、効率的に人材育成が行える可能性が高いです。
企業の成功事例を紹介
さまざまな企業が人材育成に取り組んでいます。ここでは、企業の人材育成の成功事例を紹介します。
マルハニチロ株式会社の成功事例
マルハニチロ株式会社は、缶詰や冷凍食品の加工や製品化を行う大手食品会社です。人材育成においては、採用人数を絞ったうえでそれぞれの社員をじっくり育てることを大切にしています。特徴的なのは、組織全体として職場内研修に関与している点です。
それぞれの対象者に「OJTリーダー」がつきますが、OJTリーダーの役割はあくまでも職場内研修をコントロールする立場です。組織全体で指導することにより、負担が一部の先輩社員や上司に偏らなくなりました。さまざまな方向から指導できるようになったことで教育の質が向上し、新入社員の離職率が低下しました。
トヨタ自動車株式会社の成功事例
トヨタ自動車株式会社は、日本国内だけでなく、世界でも知られる自動車メーカーです。社員の能力を活かす経営手法をとっており、それぞれの社員のスキル開発に力を入れています。職場内研修を重視し、上司の最も重要な役割として部下の育成を掲げている点が大きな特徴です。
上司は課題を解決するための対策や手法を示すだけでなく、そこにいたるまでのプロセスも伝えることが求められています。しっかり向き合うことで部下の強みと弱みを正しく把握できるため、より適切な教育を行える体制ができています。
ヤマト運輸株式会社の成功事例
ヤマト運輸株式会社は、日本の物流を支える運輸会社です。一般的には管理職以上で行われる場合が多いジョブローテーションを新入社員の育成に活用しています。たとえば、大卒で入社した事務職の社員は、2年かけて社内の主要な業務のすべてを体験します。自社の業務の全体像を見せ、社員のやる気を引き出すことが狙いです。
その結果、30代で経営幹部や支店長に抜擢される社員も登場しています。
まとめ
自社のビジネスを成長させるには、人材育成が必要不可欠です。適切に人材育成を行えば、社員のやる気を引き出すことにもつながります。さまざまな手法があるため、自社に適した方法で優秀な人材を育てていきましょう。
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