こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人材マネジメントはなぜ必要なのだろうか」「実施手順や成功させるためのポイントを知りたい」などのお悩みをお持ちではないでしょうか。
人材マネジメントは、企業の経営目標を達成するために必要な取り組みです。近年の働き方の多様化の影響もあり、今後生き残っていくためには、時代に沿った人材マネジメントが必要とされています。しかし、どのように実行すれば良いのかわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、人材マネジメントの実施手順や成功させるポイントを以下の内容を解説します。人材マネジメントの重要性だけでなく、正しい方法で実行したい方は必読の内容です。効果的に人材マネジメントを実施する方法も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
人材マネジメントとは経営目標達成のために社員を有効活用する仕組み
人材マネジメントとは、企業の経営目標達成のために戦略的に人の配置を行い、社員を有効活用することです。現代社会は、終身雇用制度の崩壊や働き方改革の推進により、多様な働き方を実現する重要性が高まっています。人材マネジメントを行う際も、現代のニーズに沿った対応が必要です。
人材マネジメントと似ている言葉として「労務管理」や「人事管理」がありますが、仕事内容が異なります。
- 人事管理:社員の報酬や異動の管理
- 労務管理:労使関係や労働時間の管理
人事管理と労務管理とは異なり、人材マネジメントを行う際は経営的観点で考える必要があります。人材を企業を成長させるための要素として考えているのが、人材マネジメントの特徴です。
人材マネジメントが必要とされる3つの理由
ここでは、現代社会において、人材マネジメントが必要とされる理由を解説します。
- 少子高齢化
- 求められる人物像の変化
- 働き方改革の影響
これから人材マネジメントを強化していきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
少子高齢化
人材マネジメントが必要な理由として、少子高齢化が挙げられます。現代では少子高齢化の影響で、労働人口が減少傾向にあります。
独立行政法人の労働政策研究・研修機構の調査では、自社の正社員が「大いに不足」「やや不足」と答えた企業は59.7%でした。少子高齢化は今後も加速すると予測されているため、限られたリソースの中で生産性を上げ、利益を出す必要があります。優秀な社員を増やし業務の生産性を上げるために、人材マネジメントに力を入れることが重要です。
参照元:独立行政法人|労働政策研究・研修機構の調査
求められる人物像の変化
求められる人物像の変化も、人材マネジメントが必要と言える理由の一つです。消費者のニーズが多様化していることや、テクノロジーが日々進化を続けていることが背景にあります。急速に社会が変化していく中で、時代の先読みは困難な状況です。現代のような、未来の予測が困難な状況のことを「VUCA」と呼びます。
- Volatility:変動性
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性
VUCAを理解することは、予測しづらい状況のなかでも自社にとって最適な施策を行い、ビジネスを成功に導くために不可欠です。この先を生き残るためには、時代に合わせて求める人物像を変化させていく必要があるでしょう。
従来は、終身雇用を前提として、幅広い知識とスキルを持つ「ゼネラリスト」が求められていました。しかし今後は、その時代にあった高度な専門スキルと知識を持つ「スペシャリスト」も必要です。人材マネジメントを行い、時代の変化に対応できる社員を育成することが重要です。
働き方改革の影響
働き方改革の影響も、人材マネジメントが必要な理由として挙げられます。近年では「ワークライフバランス」を重視する社員が増加傾向にあります。残業時間の少なさや、休日休暇の豊富さを基準に企業を選ぶ求職者が多くなっているのが実情です。
また、在宅ワークや副業などを認める企業も増えています。社員が望む働き方を実現させることで、仕事へのモチベーションアップにつながるでしょう。社員が「どのような働き方をしたいか」を把握し、満足度を高めるためにも、人材マネジメントが必要と言えます。
社員一人ひとりに目を向けて、多様な働き方の実現を提案したいとお考えの方は、「タレントマネジメント」について解説した記事もあわせてご確認ください。
人材マネジメントを構成している6つの要素[1]
ここでは、人材マネジメントを構成している要素を6つ解説します。
- 人材の獲得・採用
- 人材の育成
- 人材の配置・異動
- 人材の評価
- 処遇や福利厚生
- 退職・休職
人材マネジメントを行う前に、確認しておきましょう。
人材の獲得・採用
人材マネジメントを実施する際は、自社に必要な人材の条件を明確にしましょう。明確化した条件をもとに採用計画を立て、必要な人材の確保に努めます。また、企業理念に共感できる人材を集めれば、エンゲージメントも向上するでしょう。自社に適切な人材を採用すると、競争力を伸ばせるため、市場における優位性も高められます。
人材の育成
自社に適した人材を保持するためには、適切な人材の育成方法を実施することが重要です。人材の育成方法の具体例は、以下のとおりです。
- 入社時研修
- OJT
- 専門スキルを高めるセミナー
- 資格取得の勉強会
社員が能力を発揮できるように、指導を行いましょう。組織内で活躍できるようになれば、社員一人ひとりのモチベーションのアップにつながります。中長期的な目線を持ち、現在だけでなく将来的にも活躍できる人材を育成することが重要です。付加価値の高い商品やサービスを提供できる人材を育成できれば、市場における優位性を維持できます。
人材の配置・異動
人材マネジメントを実施する際は、社員のスキルや能力に応じた人員配置や異動を行うことが大切です。社員によって、習得している能力には違いがあります。また、部署や職種によっても異なるでしょう。
そのため、社員が現在習得している能力を踏まえて、適切な人材配置を行う必要があります。適正な人材配置を行えば社員が能力を発揮できるようになり、組織としての生産性を高められます。
人材の評価
明確な基準による評価も、人材を適切にマネジメントする際に必要です。一律の評価基準を定めて、明確な裏付けを持って人材を評価する体制を整えましょう。社員の能力を的確に見極めてから仕事を与えることで、成果を上げる可能性が高まります。人材の評価として、昇進や昇給の要件を提示すれば、社員のモチベーション向上も期待できます。
処遇や福利厚生
寮を用意する、各種手当を与えるなどの、福利厚生を充実させることも大切です。処遇や福利厚生は、社員のやる気をアップさせるために重要な要素です。社員に大きな成果を上げてもらうためにも、働きぶりに見合った評価や賃金など、魅力的な内容を提示しましょう。
処遇には、成果に応じて基本給以外に報酬を与える「インセンティブ」も含まれます。実績や成果が正当に反映される報酬水準が設定されていると、社員が業務に励んでくれるようになるでしょう。
退職・休職
退職者や休職者の管理も、人材マネジメントに大切な要素です。退職あるいは休職をする社員を減らすには、揉め事が起きないような体制を整える必要があります。
例えば、出産・育児などのライフステージの変化に応じて、休暇が柔軟に取れる環境を整えておくことが重要です。社員が必要なタイミングで休めて、スムーズに復帰できる環境のほうが、長く働いてくれる可能性が高まります。労使間あるいは社員同士のトラブルが起きないように、事前に対策しておきましょう。
人材マネジメントを行えば企業を成長に導ける
人材マネジメントを行えば、企業を成長に導けます。社員がより高い成果を上げられるように、体制を整えてから実行しましょう。体制を整えてから実行すれば、組織全体のレベルアップにつながるでしょう。企業の目標達成に対して、適切なアプローチができるようになります。組織全体でレベルアップするためには、組織を構成する社員の能力を引き出すことが大切です。
また、人材マネジメントを実施することで、社員の成長を促せます。研修やセミナーを通して、企業の経営について学ぶ機会が増えるためです。社員を教育することで、企業の目標達成に向けて自主的に行動してくれるようになります。
人材マネジメントを実施し、経営層と社員の相互理解を深めましょう。共通の視点を持った行動ができれば、企業の成績アップにつながります。人材マネジメントを活用して社員の育成を促進したい方は、別記事「人材育成マネジメント」をあわせてご確認ください。
人材マネジメントにおける日本と欧米の違い
ここでは、日本と欧米の人材マネジメントの違いについて解説します。それぞれの特徴を把握しておき、自社で人材マネジメントを行う際の参考にしてください。
日本の人材マネジメントの特徴
日本の人材マネジメントの特徴は、正規雇用と非正規雇用によって報酬に大きな差があることです。企業によっては、労働条件や賃金などに不公平が生じているケースも多くあります。日本では以下のような制度を用いて、人材マネジメントを行っています。
- 新卒の一括採用:毎年同時期に一定数の人員を採用する日本独自の雇用戦略
- 年功序列制度:年齢や勤続年数に応じて、役職や賃金を上昇させる人事制度
- 終身雇用制度:企業が倒産しない限り定年まで雇い続ける制度
日本では処遇や報酬を決定する基準を個人の能力ではなく、勤務年数としている企業が多いのが現状です。また、中途採用よりも新卒採用の人数の方が多い傾向にあります。しかし、時代の変化により今後は、労働の成果に応じて賃金が支払われる、欧米型にシフトする企業が増えていく可能性があります。
欧米の人材マネジメントの特徴
欧米の人材マネジメントの特徴は、労働の成果に応じて賃金が支払われることです。以下のような条件の違いがあっても、労働の成果が同じ人に支払われる賃金は一律です。
- 雇用形態
- 年齢
- 性別
- 学歴
欧米の人材マネジメントの詳しい内容は、以下のとおりです。
- 成果主義と同一賃金同一労働:雇用形態や学歴に関わらずパフォーマンスに対して賃金が支払われる
- 労働市場の流動性:即戦略となるスキルや経験のある人材を外部から雇い入れる
- スペシャリスト・ゼネラリスト:専門職と総合職でキャリア開発の方向性を分ける
欧米型の人材マネジメント方法を採用する場合、高い成果を出せばその分高い収入を与えなければなりません。欧米型は、新卒採用だけでなく中途採用も多いことが特徴です。
人材マネジメントを成功させる5つのポイント
ここでは、人材マネジメントを成功に導くポイントを5つ紹介します。
- 企業ビジョンにあわせる
- 社員に目標を設定させる
- システムの施策の変更を検討する
- 公平に評価する
- 現場と連携する
成功させるポイントを把握して、自社に取り入れましょう。
企業ビジョンにあわせる
人材マネジメントの方向性は、企業の将来像に結びつける必要があります。人材マネジメントのを実施する目的は、自社のビジネスを成功させることです。企業の構想を踏まえた上で、達成するために必要な人材を洗い出します。企業の構想に合った方向性が定まっていれば、人材マネジメントの効果を存分に発揮できるでしょう。
社員に目標を設定させる
社員に目標を設定させることも人材マネジメントの成功させるポイントです。自社の構想を正しく理解させた上で目標を設定すれば、効果的に人材マネジメントを実行できます。例えば「3年以内にリーダーになる」「月の売上を600万円にする」など、具体的な目標を設定させましょう。
自分で立てた目標があれば、社員が能動的に業務にあたることが期待できます。結果として、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。人材マネジメントを成功に導くためには、社員のモチベーションを維持することも重要です。
システムや施策の変更を検討する
人材マネジメントの成功には、活用するシステムや施策の変更を検討する必要があります。人材マネジメントの課題は、自社の状況や時代によって施策が異なることです。同じマネジメント方法を継続していると、いずれ十分な効果が得られなくなるでしょう。常に時代や自社の状況を把握し、人材マネジメントの手法を更新する必要があります。
公平に評価する
人材マネジメントを成功に導くために、社員を公平に評価することが重要です。以下の項目を理由に、評価や報酬を決めるのは避ける必要があります。
- 年齢
- 性別
- 国籍
また、結果や成果だけで評価を下すのも避けた方が良いでしょう。結果を重視しすぎると、社員のモチベーションを下げてしまう可能性があるためです。人材マネジメントの成功のために、結果だけでなく過程も加味した評価制度を構築しましょう。
現場と連携する
実際に成果を出してくれる現場の人材との連携も、人材マネジメントを成功させる鍵です。例えば以下の内容を現場の社員に伝えると、モチベーションが上がりやすくなるでしょう。
- どのような基準で評価を決めるのか
- 報酬はいくらなのか
一方指導者たちには「どのような人材を求めているのか」といった内容を周知すると、スムーズに教育を進められます。現場との連携を行えば、経営目標を達成するための適切な人材配置が実現できるでしょう。
人材マネジメントの手順5ステップ
ここでは、人材マネジメントの手順を5つのステップに沿って解説します。
- 企業の課題を洗い出す
- 課題目標に必要な人材像を明確にする
- 計画を立案する
- 現場に情報を共有する
- 計画を実行して振り返る
企業にとって適切な人材マネジメントを実現させるために、目を通しておきましょう。
企業の課題を洗い出す
人材マネジメントを実施する際は、まず現在抱えている自社の課題を洗い出しましょう。例えば、以下のような課題が考えられます。
- 売上を100億円にしたいが、営業メンバーが足りていない
- 全国に支店を出したいが、店長やマネージャー候補がいない
洗い出した課題をベースに、経営目標を達成するためになにが必要になるのかを考えなければなりません。人材マネジメントの有効な方法を見つけるためには、課題を洗い出すのが先決です。
課題達成に必要な人材像を明確にする
自社で抱える課題を洗い出したら、課題をクリアするために必要な人材を決めましょう。例えば以下のように、課題達成にはどのようにして必要な人材を確保するのかを明確にします。
課題 | 必要な人材を確保する方法 |
---|---|
売上を100億円にしたいが、営業メンバーが足りていない | 営業実績がある人材を積極的に採用する |
全国に支店を出したいが、店長やマネージャー候補がいない | ポテンシャルを持つ人材を教育する |
人材像を統一するために、スキルやマインドなどを具体的にしておくのがポイントです。
計画を立案する
課題達成に向けた人物像を明確にできたら、目標達成のために具体的な時期やプランの内容を計画しましょう。新たな人材が必要になる場合は「採用」を行い、既存の社員のスキルアップで課題が解決できるなら「教育」に重心を置きましょう。採用や教育を行う場合は、予算やスケジュールなども細かく立てるのがポイントです。
現場に情報共有する
計画がまとまったら、現場のマネジメント層や社員に内容を共有しましょう。人材マネジメントは、人事や経営層だけでなく、現場にも理解してもらうことが重要になります。なぜなら、現場の協力があってこそ、実行できる要素が多いためです。詳細が決まり次第、該当部署に情報を共有しておくことで、最適な人材マネジメントが実施できるでしょう。
計画を実行して振り返る
計画の実行後は、都度内容を振り返り、改善を繰り返すのが重要です。例えば、以下の内容の振り返りを行いましょう。
- 採用や教育方法は適切だったか
- スケジュールに滞りはなかったか
- 必要な人物像の定義は正しかったか
計画を振り返り、問題があった場合は改善を行い、次回以降に生かすことが大切です。計画の実行後に振り返ることで、より効果的な人材マネジメントが実現できるでしょう。
人材マネジメントの成功事例2選
ここでは、人材マネジメントを成功させた事例を2つ紹介します。
- 日本ヒューレット・パッカード株式会社の事例
- 楽天株式会社の事例
成功事例を見て、自社に取り入れられる取り組みがないかを確認しておきましょう。
日本ヒューレット・パッカード株式会社の事例
人材マネジメントを活用して、世界共通の人事制度を構築した事例です。日本ヒューレット・パッカード株式会社は、企業理念である「HP Way」を全社員に向けて発信をしています。働き方に関するさまざまな決まりがあり、すべての社員が企業理念に即した働き方を実施しています。
社員に自身のスキルを、最大限に発揮できる環境を与えていることが特徴です。最適な人材配置の実現により、社員自らが「会社にもっと貢献したい」と考えるような仕組みが整えられています。
楽天株式会社の事例
社員を自社にとって適切な人材へ育てるために人材マネジメントを活用した事例です。楽天株式会社では、自社に蓄積されたノウハウを勉強しながら成長できる仕組みが用いられています。成長した人材は、世界各国のグループ企業へ配属され、グループ全体で高いスキルを発揮できるようになっています。
また、成果に達するまでの経過や態度を重視している点も特徴です。仕事の結果だけでなく、成果が出るまでのプロセスにも報酬が支払われる仕組みを採用しています。
人材マネジメントのまとめ
人材マネジメントは、会社の経営目標達成のために戦略的に人の配置を行い、社員の能力を有効活用していく仕組みを指します。現代社会は働き方や価値観が多様化しているため、企業として生き残るためには、人材マネジメントが必要不可欠と言えます。
また、最適な人材マネジメントを実施するためには、人材に関する情報の管理を正しく行うことが重要です。適切な人材マネジメントを行いたいなら、タレントパレットの導入をご検討ください。タレントパレットを活用すれば、あらゆる人材データの一元化・分析が可能になり、組織の力を最大化させられます。
経営目標達成のための最適な人材配置のシミュレーションや、社員のスキルなどをデータで管理できます。より効率的に、最適な人材マネジメントの実行が期待できるため、ぜひ導入を検討してみてください。
人事情報を一元化し社員を見える化する