こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
効果的な1on1の実現には、一定のコツがあります。やり方によっては意味がなくなってしまうため、注意が必要です。
この記事では、人事の担当者に向けて1on1は本当に意味がないのか、1on1が意味ないと思われる原因、意味あるものにする対策、コツなどを解説します。人事課題の現状を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1on1は意味ない?
「1on1が意味ない」というのは本当なのでしょうか。以下で詳細を解説します。
1on1は正しく行えば意味がある
近年、1on1は効果的な人材育成の方法として、注目を集めています。しかし、取り入れる企業は増えたものの、効果的な方法を知らないまま進めてしまうケースも少なくありません。結果として「1on1は意味がないのでは」というマイナス意見がでてきました。1on1を意味あるものにするには、企業側が正しいやり方で行うことが大切です。
1on1が意味ないと思われる原因
なぜ1on1は意味ないと思われているのでしょうか。主な原因を3つ解説します。
1on1の目的が分からない
1on1の目的が周知されていないと、何のために実施するのか分からずモチベーションがでにくくなります。目的を理解できていないと、単なる時間の浪費と捉えられかねません。1on1をなぜ行うのか、上司と部下の双方で目的を共有することが重要です。1on1を始める前に、実施の目的や期待できる効果、ゴールなどを伝えましょう。
話すことが思いつかない
1on1は実施回数を重ねるにつれ、話す内容が減っていきやすい傾向にあります。話す内容がないと1on1の時間が無駄に感じられ、部下のモチベーション低下につながりかねません。ミーティングで何を話すのか、あらかじめテーマを考えておくと話すことが思いつかなくなる状況を回避できます。上司の傾聴スキルも重要な要素です。
上司が一方的に話してしまう
1on1でのありがちな失敗原因の1つとして、上司ばかりが話してしまうことが挙げられます。1on1は基本的に、部下の話を上司が聞く場という認識が必要です。部下が自身の行動を振り返り、次の行動を決められるよう、雰囲気づくりに心を配る必要があります。上司は部下の考えを引きだせるよう、共感しながら話をしっかり聴くことで部下の気づきをサポートできます。
1on1が失敗する理由
なぜ1on1は失敗してしまうのでしょうか。主な理由を3つ解説します。
現場に1on1を丸投げしてしまう
人事部が1on1の導入を決めるのが一般的ですが、実施方法は現場に丸投げしてしまうケースが多々あります。どのように1on1を実施するのか、現場への研修やレクチャーが不十分だと正しく実施できません。手順が分からないと現場の混乱を招くだけでなく、かえって心理的な負担となり、モチベーションも下がりやすくなります。
上司が1on1に苦手意識を持っている
上司の面談力が低く、1on1への苦手意識がある場合も失敗するおそれがあります。特に上司の認識違いやフィードバック能力の欠如、傾聴力のなさなどは、社内で1on1が浸透しない原因です。そもそも上司に1on1の経験がないと、進め方が分からないでしょう。自身が部下だった頃に1on1を受けた経験がない場合、上司としての対応も困難です。
1on1の振り返りをしない
1on1を実施してそのままだと、効果が十分に発揮されません。1on1で話した内容から課題を決め、次回までに目標達成をサポートすることが重要です。1on1が終わったら、必ず振り返りをし、次につながるよう改善を重ねます。上司側も振り返りをしないと面談で何を話したか忘れてしまい、部下からの信頼を失いかねません。
意味ない1on1によるデメリット
意味ない1on1を続けると、業務にさまざまな弊害があります。主なデメリットを4つ解説します。
時間を無駄にしてしまう
1on1の効果が現れるまでには時間がかかります。意味ない1on1を繰り返すと、効果が現れるまで余計な時間がかかりかねません。結果的に思ったような成果がでなければ、上司と部下、二人分の時間が無駄になってしまいます。時間だけでなく、1on1の実施には多くの人件費も発生しているため、費用対効果のよい施策を練りましょう。
部下との関係が悪くなる
1on1がうまくいかないと、上司と部下の関係に悪影響が生じやすくなります。上司と部下という関係上、上司が強く主張すると部下は反論できないケースも少なくありません。また、意味ない1on1を続けることで、部下が上司のマネジメント能力に不信感を抱き、モチベーション低下やチームの生産性低下などにつながる可能性があります。
1on1が苦痛になる
1on1が意味ないと感じられると、ミーティングそのものに苦痛を感じやすくなります。上司と部下の間柄に信頼関係が築けていないと、部下の行動を後押しできません。意味ない1on1の頻度が高い場合は業務効率の低下を招くほか、離職の原因になるケースもあります。部下の話にしっかりと耳を傾けてコミュニケーションをとることが重要です。
人材育成につながらない
1on1は主に人材育成を目的として行われます。しかし、上司が一方的に部下に話をする、部下の欠点ばかりを指摘するなど、意味ない1on1では部下の成長に役立ちません。人材育成が進まない場合、結果として企業の競争力が低下するおそれがあります。設定した目標が達成できるように、1on1の実施を通して人材育成の成果につなげましょう。
効果的な1on1によるメリット
効果的な1on1を実施できると、企業にとってさまざまなメリットがあります。主なメリットを4つ解説します。
部下との関係が良くなる
意味ある1on1ができれば、上司と部下の相互理解が深まります。1on1では業務内容以外の話題にも触れるため、気軽な話し合いの場となれば双方の関係性向上に効果的です。1on1を通じて定期的なコミュニケーションの場を設け、会話の頻度が上がればお互いに親しみを感じやすくなり、結果として関係性がよくなるでしょう。
人材育成につながる
1on1がうまくいけば人材育成の効果的な手段になります。部下の課題や悩みを聞きだし、共感や対話によって解決策を導くことで、部下の問題解決力が向上する点もメリットです。話題によっては、自分の意思で能動的に業務ができる人材の育成や、長期的なキャリア形成のサポートにもなるでしょう。
マネジメント能力を発揮できる
1on1の成功は、上司の傾聴力や質問力、コーチングスキルなどのマネジメントスキルに左右されます。上司のマネジメント能力が発揮されれば、効果的な1on1が実現するといっても過言ではありません。効果的な1on1ができれば、部下が上司のマネジメント能力の高さを実感できるため、上司への信頼や高い評価につながります。
離職率低下に効果がある
離職の主な原因は上司との人間関係といわれています。1on1が効果を発揮すると、コミュニケーションが活発化し、上司と部下の信頼関係が築けます。
また、上司は部下との距離感が近いため、会社や業務に対して抱く不満・不安などを早い段階で発見することが可能です。部下に合わせた対処ができると、社員がモチベーションを下げた原因を把握しやすくなるため、離職率の低下も期待できます。
1on1を意味あるものにするコツ
1on1を意味あるものにするには、どうすればよいのでしょうか。以下でコツを解説します。
あらかじめ話す内容を決める
対面での緊張した状態のなか、1on1が始まってから話す内容を考えることは困難です。事前にテーマを決めておくと、スムーズに会話を進められます。部下にもあらかじめテーマを伝えておくと、話す内容を準備しておけます。多くの場合で1on1を推進する人事部側がその都度、1on1で話すテーマ例を提示してあげるとよいでしょう。
コーチングを意識する
1on1では基本的にティーチングではなく、コーチングの姿勢が大切です。ティーチングは上司が指示・命令するタイプのマネジメントで「〇〇したほうがよい」という具体的な案を提示します。
コーチングは基本的に1on1で行われるマネジメントです。部下の自主性を尊重しながら、成長を促す点が特徴と言えます。人間関係をしっかり構築したうえで、部下をサポートしましょう。
効果的なタイミングで実施する
一般的に1on1は定例で開催しますが、効果的だと思われるタイミングで行うこともおすすめです。部下が「上司と話したい」と考えるタイミングを上司側が見計らい、部下とコミュニケーションをとりましょう。効果的なタイミングについて上司側が気づくには、普段から部下の様子を観察することが必要です。
ガイドラインを準備する
1on1では部下の状況に合わせて、上司が臨機応変に対応する必要があるため、ガイドラインがあると便利です。手順どおり画一的に対応する「マニュアル」ではなく、行動として望ましい形を提示する「ガイドライン」の活用をおすすめします。たとえば、1on1での基本的な考え方や、実施前に準備すべきことなどを、ガイドラインに盛り込むとよいでしょう。
1on1研修をする
1on1に関する研修を実施することで、1on1への理解が深まります。上司・部下では必要となる研修内容が異なるため、それぞれ別メニューでの実施がおすすめです。たとえば、上司向けの研修では自社でなぜ1on1が必要なのか、ティーチングとコーチングの違い、振り返りのやり方などのテーマがよいでしょう。
まとめ
意味ない1on1の実施は、企業にマイナスの効果をもたらします。今回解説したコツを踏まえながら正しく1on1を実施できれば、部下との信頼関係の構築やマネジメント能力の発揮、離職率の防止など、プラスの効果が期待できるでしょう。
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