こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
心理的安全性は、2012年にグーグル社が発表したことで注目を集めるようになりました。グーグル社は、業務のパフォーマンスを高めるためには、心理的安全性が重要だと発表したのです。それ以降、心理的安全性は生産性を高める方法として注目されています。
しかし心理的安全性に関して、あまりご存じでない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、心理的安全性の概要やメリット、引き出す方法などについて解説します。
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、自然体の自分を隠すことなくオープンにできるような環境を指し、第三者の批判を過度に恐れたり、羞恥心を覚えたりすることがない状態です。職場が心理的安全性のある環境だった場合、働きやすいと感じる人が多くなります。
まずは、心理的安全性について基本的な部分を解説していきましょう。心理的安全性の提唱者であるエイミーエドモンドソン氏がどのような人物だったのかもあわせてご紹介します。
心理的安全性=安心して意見を言える環境
心理的安全性とは、ビジネス心理学用語の1つであり、「psychological safety」を日本語に訳した言葉になります。心理的安全性は、第三者からの批判を恐れる状況や、羞恥心を覚えるような状態ではないことを指す言葉です。自然体の自分を包み隠さずさらけ出し、オープンにできる環境になります。なかなか心の内側までオープンにできる人はいませんが、心理的安全性のある環境だとさらけ出せるようになるでしょう。
また、穏やかな雰囲気の環境と表現することもできます。穏やかな雰囲気というのは、自分自身が感じたこと・思ったことを素直に言えるような状態です。安心感や共感性がなければ、自分をさらけ出すことは難しいでしょう。
心理的安全性の提唱者:エイミーエドモンドソン氏
心理的安全性の提唱者であるエイミーエドモンドソン氏は、ハーバード大学において組織行動学を研究する人物です。彼は心理的安全性について、「対人関係でリスクのある行動をとったとしても、このチームは安全というメンバー内に共有された考え方」と定義しています。
心理的安全性があるとなにがいい?
心理的安全性があると離職率が低くなったり、他のチームメンバーが出した多様なアイデアを効果的に活用できたりします。また収益性の向上にもつながるので、企業側にとっては大きいメリットがあると言えるでしょう。
心理的安全性を高めたいならば、ある程度長期的なスパンで見ることが重要です。長期的に取り組めば、徐々に社内の状況が変わっていきます。グーグル社の統計でも、そのメリットは明らかになっているのです。
グーグル社の統計で多くのメリットが証明された
心理的安全性のメリットは、グーグル社の統計によって証明されました。グーグル社は離職率が低く、他の従業員が出したアイデアをうまく利用できるような環境を整えています。
その結果、収益性も高くなりマネージャーから評価される機会も従来の2倍に増えました。評価してもらいやすくなれば、仕事に対するモチベーションもアップするでしょう。
つまり、心理的安全性は企業と従業員の双方にメリットがあると言えます。大手企業であるグーグル社の統計でもメリットが証明されていることから、取り入れる価値は大いにあるでしょう。ただし、急激な変化は難しいので、長期的視点で変革させることがポイントです。
心理的安全性があるメリット3選
心理的安全性があると、パフォーマンスの向上や離職率の低下といった効果が期待できます。また成功体験を得られるので、仕事に対するモチベーションも高められるでしょう。
続いては、心理的安全性による主なメリットを3つ解説します。
チーム内でのパフォーマンスが向上し業績があがる
心理的安全性がある環境だと、メンバーはフロー状態になります。フロー状態とは、その人が行っていることに対して夢中になっていること、のめり込んでいることを指す言葉です。精神的に集中している状態とも言えるでしょう。
フロー状態になると、エンドルフィンやドーパミンなどの神経伝達物質が多く分泌され、幸福感が高まります。その結果、ストレスの軽減につながるとされているのです。チームのメンバーが幸福度の高い状態になると、安心して仕事に取り組めるようになります。
仕事において時には緊張感も大事でしょう。しかし緊張した状態が続いて委縮してしまうと、本来の能力を発揮できません。この点からも、心理的安全性は重要だと言えます。
コミュニケーションが増え離職率が減る
心理的安全性のある環境だと、従業員同士のコミュニケーションも活発になります。不安感を覚えて発言を控えるようになってしまうと、円滑なコミュニケーションが取れず業務に支障をきたしてしまう可能性も高いでしょう。一方、コミュニケーションがうまくできていれば失敗なども共有しやすくなり、早い段階で対応できるようになります。
意見した時に受け入れてもらえるという安心感があると、独創的なアイデアやこれまでの考え方を覆すような発想も生まれやすいです。結果的に、現状を良くするにはどうすべきかといった意見も出やすくなります。そのため、業務のイノベーションも起こりやすいです。
新人や未経験者も成功体験を得ることができる
心理的安全性を感じられる環境だと、新人や未経験の従業員でも成功体験を得やすくなります。ネガティブな感情を持ちにくく、自ずとそれぞれのパフォーマンスが向上するためです。
入社して間もない時期から成功体験を得られれば、仕事へのやりがいを感じやすくなります。モチベーションも維持でき、離職率も低くなるでしょう。
また意見を言うことで、怒られたり批判されたりすることもありません。チームが活性化していく様子を間近で見ると、エンゲージメントも高まります。
パフォーマンスの向上は、業績アップにも直結する要素です。新人からベテランまで同じ方向を向いて努力できるようになれば、さらに業績を伸ばせるようになるでしょう。企業自体の底力も向上できるため、企業側にとっても大きなメリットになります。
心理的安全性の作り方だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
心理的安全性がある環境かどうかを把握することは容易ではありません。従業員にアンケートを実施するなどして確認する必要があります。しかし、アンケートの作成や集計には手間がかかるので、なかなか取りかかれないケースもあるでしょう。
そのような悩みを解決するためにおすすめなのが、タレントパレットです。タレントパレットは、アンケートや人事評価、人事データ分析などの多彩なタレントマネジメント機能が備わっています。心理的安全性のある職場づくりはもちろん、人事や経営における様々な課題解決にお役立てください。
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心理的安全性を引き出す方法4選
心理的安全性を引き出すためには、いくつかの方法があります。引き出す方法を把握していれば、職場において心理的安全性を感じられるような環境づくりも実践しやすいでしょう。
そこで、心理的安全性を引き出す4つの方法をピックアップしてご紹介します。
相手を受け入れる姿勢を見せ、理解しようとする
相手を受け入れる姿勢を見せて理解しようとすることは、安心してもらうためにも重要です。受け入れる姿勢を見せる場合には1on1のミーティングを活用すると良いでしょう。定期的に1対1で会話する機会を作ると、仕事のことだけではなく趣味のことや不安に感じている部分も話してくれるようになります。
また、チームメンバーには仕事に対して感謝の気持ちを伝えましょう。仕事の進め方に関しては一部のメンバーだけに伝えるのではなく、全員に伝えるように促すこともポイントです。チームメンバーとして仕事をするという意識が高まり、仕事へのやる気が高くなると考えられます。
話をする時は、話している人の目を見ることも忘れてはいけません。些細なことですが、それだけで寄り添ってもらえるような気持ちになります。相手を受け入れる姿勢を見せることが大切なポイントです。
積極的に関わろうとする姿を見せる
チームのメンバーとして参加している従業員に対して、積極的にかかわろうとする姿を見せることも心理的安全性を引き出す方法の1つです。会話する時はノートパソコンを閉じたり、積極的に質問をしたりしましょう。また、会話をする時には「なるほど、そうなんですね」「もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」といったように相槌を打つと、きちんと話を聞いてくれる人だと認識してもらえます。
また自分自身の考えも伝えて対話するようなコミュニケーションを意識したり、相手の顔を見て話すようにしたりすることも押さえておきたいポイントです。相手の顔を見るだけではなく、体を乗り出すような姿勢にすると、より積極的に話を聞いてくれているような印象を持ってもらえます。
意思の強さや信念をもつ
ミーティングを行う際は、チームの中で対立が起こらないようにする必要があります。否定的な意見が出る場合もありますが、うまくコントロールできれば大きなトラブルには発展しにくいです。
その時に重要なのが、意志の強さや信念を持っていることだと言えるでしょう。強情になると逆効果ですが、自信を持って意見を伝えることができれば不安を取り除けます。不安が取り除かれることで「このチームなら信じられる」という安心感につながり、心理的安全性を感じられるでしょう。
ただし、意見を述べ続けるのではなく、時には弱みを見せることも大切です。そうすることであなたの人間らしさを感じ取ることができ、「自分も同じだ」と思ってもらいやすくなります。
上司部下の間で信頼関係を構築する
上司と部下の間で信頼関係を構築することも、心理的安全性を引き出す方法として効果的です。信頼関係を構築するには、職場以外でのコミュニケーションがおすすめだと言われています。まずは飲み会や食事会を開催することから始めてみましょう。
大人数で会食をするのが苦手な人もいます。そのような従業員に対しては、少人数でランチをするなどのやり方を提案してみると良いでしょう。職場以外の場所で交流すると気持ち的にリラックスできるので、心理的安全性は高まりやすくなります。
従業員同士の距離が近くなり、心理的安全性を感じながら仕事ができるようになるでしょう。働きやすいと感じてもらうことで、離職率の低下も期待できます。
心理的安全性が不足したらメンバーはどうなる?
心理的安全性が不足してしまうと、一体どのような事態に陥ってしまうのでしょうか。そこで心理的安全性が不足した場合に、メンバーはどのような影響を受けるのか解説します。また、生産性を下げる危険な4種類の不安と自己呈示行動についてご紹介しましょう。
生産性を下げる危険な4種類の不安
生産性を下げる可能性がある4種類の不安は、以下のとおりです。
- 無知だと思われる
- 無能だと思われる
- 邪魔していると思われる
- ネガティブだと思われる
無知だと思われることは、質問をした時に「こんな簡単なこともわからないのか」と思われないか不安に感じ、質問できなくなってしまいます。無能だと思われることは、ミスをしてしまった時に「こんなこともできないのか」と言われることを恐れてしまい、隠ぺい体質になるリスクがあるでしょう。
邪魔していると思われることは、ミーティングなどで意見を言おうとしても「邪魔な意見だ」と思われてしまうのではないかという気持ちになります。ネガティブだと思われることは、「いつも否定的な意見ばかり言う」などと思われたくないと感じ、少しでも否定的な意味合いがある言葉を発せなくなってしまうのです。
これらの不安は、すべての従業員の生産性を下げてしまう要因にも影響してしまいます。
自己呈示行動をとる
心理的安全性が不足すると、最終的には自己呈示行動をとるようになります。自己呈示行動とは、自分を良く見せようとする行動です。また、意図せずそのような行動をとってしまう場合もあります。
職場の面談で「今思っていることや仕事をする中で感じていることなどを教えてください」と言われる場合があるでしょう。その時に素直な気持ちを伝えられるのが理想ですが、自分を良く見せたいという気持ちが働くことも少なくありません。しかし、それでは従業員が抱く本当の気持ちが伝わらず、面談の意味がなくなってしまいます。
従業員に自己呈示行動をとらせないためにも、企業側は心理的安全性がある職場環境に整えることが重要です。
心理的安全性=ぬるま湯組織ではない
近年は若手の従業員がミスをした時に「いつも頑張っているから仕方ないな」と大きな器で受け止めるケースも多く見られます。また価値観が多様化しているという理由で見逃したり、無理をさせることができないといった理由で簡単な仕事だけしか与えなかったりする場合もあるでしょう。心理的安全性のある職場をつくりたいという思いから、このような行動が生まれるケースもあります。
心理的安全性のある職場づくりを目指すと、ぬるま湯組織を形成してしまう恐れがあるので注意が必要です。従業員一人ひとりのスキルアップや生産性向上の実現を目指せて、なおかつ居心地の良い職場こそ、心理的安全性のある環境と言えるでしょう。
まとめ
職場の心理的安全性を高めたい場合には、環境を変えることがポイントになります。そのためには、心理的安全性を引き出す方法を把握しておくことが重要です。
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