ワークライフインテグレーションとは?具体的な取り組みやメリットなどを徹底解説


ワークライフインテグレーションとは?具体的な取り組みやメリットなどを徹底解説

ワークライフインテグレーション(Work-Life Integration)とは、仕事と個人生活を分離せず、互いに補完し合う形でバランスを取る、という考え方です。働き方改革が進められる影響で、日本でも徐々に注目されつつあります。この記事では、ワークライフインテグレーションについて詳しく解説します。メリットやデメリット、具体的な取り組み方にも触れるので、参考にしてください。

ワークライフインテグレーションとは

ワークライフインテグレーション(Work-Life Integration)とは、仕事とプライベートとの間に明確な境界線を引かず、相乗効果的に影響を与え合いながら、より良い人生を築くという考え方です。


ワークライフインテグレーションには決められたスタイルはありません。1人ひとりのライフスタイルや価値観に応じて柔軟に取り入れることが大切です。


ワークライフインテグレーションの考え方

ワークライフインテグレーションは、仕事とプライベートがお互いにプラスの影響を与え合うという考え方に基づく概念です。


この概念によれば、仕事で得たスキルや達成感は個人生活を豊かにし、個人レベルの幸福感や満足度を向上させます。さらに、家庭生活や趣味といった個人レベルの幸福感と満足度が心身の健康を支え、仕事でのパフォーマンスやモチベーションの向上につながっていく、という流れです。ワークライフインテグレーションが循環することで、仕事もプライベートも充実するといえます。


日本でのワークライフインテグレーションの認知度はまだ低い

実際のところ、ワークライフインテグレーションという考え方は、日本ではまだ広く知られていません。


2023年に実施されたアンケートによれば、ワークライフインテグレーションについて「言葉も意味も知っている」と答えた人は6.5%に過ぎず、「言葉だけ知っている」人を含めても認知度は26.0%にとどまっています。


しかし、ワークライフインテグレーションは仕事もプライベートも大切にするための鍵となる考え方です。したがって、働き方改革が進められるなかでますます重要性を増す概念といわれています。その理由については詳しく後述しているので、ぜひ参考にしてください。


※参照:正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(6P)


ワークライフインテグレーションとワークライフバランスの違い

ワークライフインテグレーションは先述のとおり、仕事と個人生活を統合し、互いに補完し合うことを目指しています。


これに対し、ワークライフバランスは、仕事と個人生活を明確に分け、両者の間で均衡を取ることを重視する考え方です。


従来はワークライフバランスが大切だといわれることが多くありました。しかし仕事と個人生活は、生きていくうえで完全に切り離せるものではないため、現在はワークライフインテグレーションの注目度が高まりつつあります。


ワークライフインテグレーションが注目されている背景

近年、ワークライフインテグレーションが注目されている背景には、以下のような世情の変化が挙げられます。


仕事と私生活を切り離すのが難しくなっている

仕事と私生活は、そもそも互いに関連性のあるものです。仕事がうまくいけば私生活も気持ちが良く、仕事で悩みがあれば私生活の楽しみに集中できない、といった経験をしている方も多いでしょう。


加えて新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモートワークやテレワークといった働き方をする人が増えました。プライベートな時間を確保しやすくなった一方、プライベートな時間・空間で仕事をする必要性が生じたため、仕事と私生活との関連はますます深くなったといえます。


仕事に対する価値観の多様化が進んでいる

Z世代を含む若者が個人の多様性を尊重するようになった結果、仕事に対する価値観も多様化しているのが現状です。とりわけ「仕事や昇進が全てではない」とする価値観の台頭は、私生活の質が担保できない仕事を避ける、私生活重視の傾向をもたらしました。


このように、私生活の時間は確保されつつある一方で、仕事と私生活が以前よりも物理的に切り離せなくなったことや価値観の多様化を素地として、ワークライフインテグレーションが注目されているのです。


ワークライフインテグレーションのメリット

ワークライフインテグレーションという考え方には、以下のようなメリットがあります。ワークライフインテグレーションのメリットを解説します。


働きやすい環境が整い、生産性向上につながる

ワークライフインテグレーションの導入により、働きやすい環境が整備されます。各人が、仕事だけでなくプライベートの充実に役立つような自分なりの環境を整備でき、プライベートに割ける時間、体力などのリソースが増えるため、生活が充実するでしょう。


結果として社員の充実感とモチベーションが高まり、仕事の生産性も向上すると考えられています。


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多様な人材の採用が進み、D&Iが促進される

仕事とプライベートの両立を目指すワークライフインテグレーションにより、社員は自分に合った働き方を選びやすくなるでしょう。結果として、育児や介護を抱えた人や熟練者など、多様な人材の採用が進み、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が促進されます。


D&Iは、多様な人材が生かされることによって高い生産性が確保できている状態です。企業としても小さな経費で大きな成果を出す、メリットの多い方法論であるといえます。


社員の自己啓発欲が高まり、勉強に励みやすくなる

仕事を人生の一部と捉えることで、社員の自己啓発意欲が高まり、資格取得や勉強に励むようになるというメリットもあります。以前の価値観では自分自身の本質とは何ら関係のない存在であった仕事が、ワークライフインテグレーションという価値観のもとでは、自分自身を高めるものとして捉えられるためです。さらに、プライベートでの経験を仕事に生かすなど、双方向でのスキル活用が進むでしょう。


ワークライフインテグレーションのデメリット

ワークライフインテグレーションにはデメリットもあります。ワークライフインテグレーションのデメリットをそれぞれ解説します。


マネジメント管理が難しくなる

ワークライフインテグレーションのデメリットとして、マネジメント管理の難しさがあります。特にテレワークやフレックスタイム制、裁量労働制などでは、労務管理や業務進捗管理の難易度が高くなるでしょう。


ワークライフインテグレーションを実現しながらマネジメント管理を充実させるには、1on1ミーティングや労務管理システムの導入が有効です。とりわけ管理システムが行き届いていると社員それぞれの働き方を一元管理できます。


人事評価が難しくなる

社員の働き方が自由になることで、人事評価の難しさが増すこともデメリットの1つです。


従来の働き方では、全員が一定の基準のもと仕事をするため、勤務態度や業務スキルの管理がしやすかったといえます。ワークライフインテグレーションでは個々の働き方に差があり、一定の基準による評価が難しいのが特徴です。


解決策としては、目標設定や評価プロセスの可視化ができる人事評価システムの導入が挙げられます。


制度・仕組みを社員に理解してもらうのが難しい

ワークライフインテグレーションは、まだ日本では新しい概念です。ワークライフインテグレーション実現にともなう新たな制度や仕組みを、社員に理解してもらうのは、すぐには難しい可能性があります。


とりわけワークライフインテグレーションでは社員自身の業務管理能力が求められるため、一部、新しい制度に適応できない社員が出てくることもあるでしょう。ワークライフインテグレーションの効果と目的を社員にしっかり説明することが必要です。


ワークライフインテグレーションの具体的な取り組み方

ワークライフインテグレーションに実際に取り組みたいと考えているなら、次のようなことから実践してみるとよいでしょう。


多様な働き方を導入する

まずは、多様な働き方ができるよう制度を整えましょう。複数の労働時間制度や在宅勤務・サテライトオフィスを導入し、時間や場所の制約を解消することが、主な取り組みとして挙げられます。


また、子どもの送り迎えや介護のために早退が必要な場合でも、モバイルツールを活用して帰宅後に仕事を続けられる環境を整えるのもおすすめです。仕事をする時間や場所に制約がなくなると、子どもを見ながら働く、夜間に自宅で働くなど、働き方の幅が一気に広がるでしょう。


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様々な休暇制度を設ける

社員の仕事とプライベートを充実させるため、特別休暇や結婚休暇など多様な休暇制度を設けるのもおすすめです。休暇があればプライベートでできることの幅が広がり、プライベートの充実によって仕事へのモチベーションを上げられます。


またこのとき、休暇を実際に利用できるか、利用しやすいかどうかも問題です。休暇制度を積極的に活用できるように、環境の整備も併せて行うとよいでしょう。


まとめ

ワークライフインテグレーションは、多様性の時代に企業が生産性を上げ、成果を伸ばしていくために重要な働き方の概念です。ワークライフインテグレーションが充実していることによって、仕事におけるモチベーションを高められますが、同時にマネジメントの難易度は高くなるといえるでしょう。


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