こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人事最高責任者の役職を設置したいが、どのような仕事を割り当てれば良いかわからない」「人事業務でリーダーシップをとれる社員を育成すべきか迷っている」とお悩みの方が、いらっしゃるのではないでしょうか。
少子高齢化による人材獲得の難易度アップなど問題を抱える現代において、事業成長に向けた人事戦略は欠かせません。しかし、人事戦略を経営方針に沿って立てられる人材は非常に希少です。
そんな中、多くの企業が注目し導入社数も増加している役職が、CHROと呼ばれる人事最高責任者です。
本記事では、CHROの役割や必須スキルについて解説します。
CHROを置くことで直面している人材・経営の課題が解決に近づくかもしれません。ぜひ最後まで読んでみてください。
CHRO(人事最高責任者)の役割を解説
CHROとは「経営視点」と「人事視点」を併せ持つ経営幹部です。経営層と現場を繋ぐ橋渡し役として、戦略の浸透や意見の吸い上げまで行う、CEOの右腕的存在です。CHOと呼ばれることもあります。
少子高齢化による人材不足や流動性の高まりがみられる中、人材獲得や定着の難易度は年々上がっています。良い人材を確保して育てる役割が必要となり、CHROが求められ始めました。同時に、変化の激しい現代において、柔軟に対応できる組織づくりが欠かせません。そのため、経営視点と人事視点を兼ね備えた人材が企業成長の鍵を握ります。
従来ある人事部長との差は経営に直接関与するかの違いです。CHROは経営戦略立案から携わります。一方で、人事部長は部門長であり、経営層が決めた方針に沿う立場であることがほとんどです。企業によっては、CHROを取締役人事部長や執行役員人事部長という名称で区別することもあります。
従来の人事マネージャーとの違いを詳しく知りたい方は「人事マネージャー」を合わせてご確認ください。
CHROの5つの役割
CHROは自身も参加する経営会議で決まった戦略をもとに、人員配置や育成まで幅広く推進します。同時に、現場と経営層の橋渡しとして、ビジョンの浸透や不満や意見の吸い上げも実行します。
ここでは、CHROが担う具体的な役割の例を紹介します。
- 人事戦略の策定
- 人事評価制度の整備
- 社員育成
- 企業理念やビジョンの共有
- 企業理念やビジョンの共有
自社を成長させるきっかけになるような役割が含まれていないか、ぜひ確認してみてください。
人事戦略の策定
経営幹部として、人事にたずさわる立場から経営戦略の立案に参加します。例えば、経営戦略に沿ったベストな人材配置を考案したり、不足している人員の採用や育成を調整したりします。
人事の側面から、経営戦略やビジョンの実現を意識することが大切です。また、提案した人事戦略が適切に運用されているかをチェックすることもあります。
人事評価制度の整備
既存の評価制度が経営戦略や企業理念に沿っているかを見直し、必要に応じて再構築する役割です。社員が評価のあり方に不満を感じていては、企業成長や目標実現に向けた協力を得るのは難しいでしょう。企業の成長を促す人事評価を運用するためには、決めて終わりではなく現場の意見を元に問題点の確認や修正も実施します。
定量成果で評価しにくい部署や職種については、モチベーションをどう維持、向上させるかも考える必要があります。
社員育成
企業理念や経営戦略に沿った人材育成の仕組み作りも、CHROの役割の1つです。社員は企業にとって大切な資本であり、優秀な人材の確保が重要視されています。しかし採用コストなどの問題もあり、常に新しい社員を獲得し続けるのは難しいでしょう。
そのため、既存の社員を育成して定着させ、企業成長に繋げることが大切です。適切な育成を実現するには、人事部や各部署に任せきりにするのではなく、CHROを中心に連携を取りながら企業横断で進めていく必要があります。社員の成長を後押しする制度の整備なども同時に行います。
企業理念やビジョンの共有
CHROは社員へ理念やビジョンを浸透させる役割も持ちます。企業理念やビジョンは掲げるだけでは意味がありません。現場社員にまで浸透させ、行動に落とし込むことが大切です。そのため、経営陣からのメッセージを送る場を作る、各部署ごとに小ビジョンを設定するなどして手段やしくみを考えます。
- 勤務時間が長すぎないか
- ハラスメントが起きていないか
- 意見が言い合える環境か
といった、企業理念に反する労働環境になっていないか、常に目を光らせないといけません。異常があれば早期に対処し、より良い企業風土や文化を目指して取り組んでいきます。
現場と経営層の橋渡し
CHROは現場に最も近い経営層です。社員が抱える不満や意見を集め、改善案と共に経営層に伝える立場でもあります。面談などを通して、社員が日頃言いづらい問題点について吐き出しやすい場や、管理職から常に情報収集できるしくみを作ることで、組織の状態を把握します。
重大な問題が明らかになれば、経営陣と現場のあいだに立って調整を進めることもあります。単なるパイプ役で終わらず、現場と経営陣の両方の声を経営に反映させる役割です。
CHROに求められる5つのスキル
経営と人事の両視点が求められるCHROには、人事・労務の専門知識にとどまらない幅広いスキルが必要とされます。どれか1つでも欠けると、業務が止まってしまうこともあります。CHROを採用・育成したり抜てきしたりする基準として、参考にしてみてください。
人事・労務の専門知識
最高人事責任者であるCHROは、人事・労務管理の全責任を担います。単なる人事担当者とは違い、分野を横断した専門知識が欠かせません。例えば、採用や育成、給与・労務管理などはもちろんのこと、労働基準法のような法律の理解も必要です。
特に、法律は時代によって変化します。一度学んで終わりではなく、法令や政府方針の変化を常に確認しながら、学び続ける姿勢が重要です。
経営知識
CHROはCEOの右腕として、経営に携わります。そのため一般の社員は気にすることが少ない、経営的な視点も持てることが望ましいです。
取締役などが参加する経営会議の場でも遅れを取らないよう、業界や競合企業の動向、海外の最新事例など幅広くアンテナを張る必要があります。
正しい人事戦略は経営戦略の理解があってこそです。企業や市場を取り巻く状況を俯瞰し、経営戦略実現のために、適切な人事戦略を導き出すことが求められます。
戦略立案力
CHROは、経営戦略への提言や人事戦略の立案を役割とします。経済や市場の動向を見るマクロ視点と競合や業界の動きを見るミクロ視点の双方を考慮しつつ、自社が行うべき戦略を立案する力が必要です。
短期的に考えるだけでなく、先を見通して中長期的な視点により戦略を立案する力が求められています。戦略立案の際には自社の課題を正しく見立てる必要があるため、課題解決力も身につけた社員であることが望ましいです。
マネジメント力
組織の人事統括を行う立場であるCHROは、全部署のマネジメントを行います。各部署の業務内容や状況を正しく把握し、適切に対処できるような高いマネジメント力が必要です。
経営目標を意識して達成に向けた進行を管理したり、部署の問題点を洗い出して人事的な側面から解決できないかと考えたりして、マネジメントします。
マネジメント力と混同されがちな言葉が、統率力や指導力を意味する「リーダーシップ」です。しかしCHROは、監督者や指導者の立場ではありません。他部署や幹部との連携も取り、総合的に問題解決を目指す能力が必要です。
コミュニケーション力
状況や相手に合わせた「伝える」力も必須スキルの1つです。経営会議では、経営層との意見交換や戦略のプレゼンなど、自身の考えを分かりやすく伝える必要があります。
また、各部署の責任者と情報交換を行ったり、経営指針に沿ったアドバイスを実施したり、社員とのコミュニケーションも多く発生します。経営層と現場社員との橋渡し役であるCHROは、現場社員へ戦略やビジョンを浸透させるように働きかけを行い、同時に率直な意見をもらう柔軟な対話力が欠かせません。
CHROを社内で育成する3つのポイント
CHROを務められる人材は決して多くありません。CHRO相当の能力を持った者を簡単に採用することはできないでしょう。そこで、いつでもCHROに起用できる社員を社内で育成することも視野に入れる必要があります。
経営に関わるような高いスキルを磨いてもらうため、早期育成が重要です。自社で取り入れられる点から、ぜひ実践してみてください。
さまざまな部署で経験を積ませる
人事以外の事業部経験を積むことで、各部署の知見を深め、経営に必要となる多角的な視点を身につけられます。社員は現場の空気感を念頭に置けて、CHROになった際に適切な戦略立案ができるようになるでしょう。
しかし、人事の専門性ももちろん欠かせません。「人事の最高責任者になる」というゴールを見据えた中期的な成長計画をもとに部署を考えましょう。
ソフトスキルを教育する
経営層の一角として、ソフトスキルの育成が必要です。ソフトスキルとは以下のような資質を指します。
- コミュニケーション力
- リーダーシップ
- モチベーションをコントロールする力
- 課題解決力
ソフトスキルに関する社内研修があれば、積極的に参加させましょう。もし、十分な研修制度が整っていない場合は、社外で実施されているセミナーやフォーラムに参加させることでスキルアップを助けられます。
アジャイル思考の訓練を積ませる
アジャイル思考とは、物事に向き合う際、緻密な計画を立ててから動き出すのではなく、少しづつ動きながら修正を繰り返して、ゴールに近づけていく思考法を指します。アジャイル思考では、最初から100点を目指すわけではありません。仮に30点でも失敗の原因を考えて行動を変えることで、結果的に早く100点に近づくという考え方です。
アジャイル思考を身につけるには、PDCAを回すことを意識させましょう。PDCAは、次の4つのステップを繰り返して業務効率や成果を高めていく手法です。
- P(Plan):計画
- D(Do):行動
- C(Check):評価
- A(Action)改善
経営では、早急に課題に対処しなければ行けない場面や予期せぬ事態に出くわすことがあります。正解がない問題への判断を早め、確実にゴールに近づいていくために欠かせないスキルです。
人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須
人事業務をDX化することで、社員データの一元化・人材検索・人事評価・配置検討などの幅広い業務を効率化できるようになります。また、人材育成・最適配置・社員パフォーマンスの最大化など、組織力向上を目的とした一歩先のタレントマネジメントまで実現が可能です。
また、タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員データを集約し人事評価のペーパーレス化や異動シミュレーション、ハイパフォーマー分析など、高度な施策が実施できます。タレントマネジメントを取り入れて、自社のリソースを最大限に活用しましょう。
CHROの役割はタレントパレットにお任せ
CHROは人的資本に関する課題が増える中で欠かせない役職です。ただし、経営視点と人事視点を兼ね備えた人材はまだまだ不足しており、簡単には採用できません。
また、CHROの育成難易度の高さも課題です。経営者スキルを身につけるための準備期間に関する調査では、回答者の40%以上が5年以上必要であると考えていることがわかりました。経営知識と人事知識の双方を身につけるためには、さらに長い期間を要すると推測できます。
参照元:中小企業白書|第2部 経営者の世代交代|第2章:次世代の経営者の活躍|中小企業庁
CHRO候補となる社員を適切に管理・育成するには、情報をデータで整理できるツールを取り入れることをおすすめします。例えばタレントパレットでは、社員のスキルを数値で一元管理し、データをもとにした人事戦略の立案が可能です。ぜひタレントパレットのサービス利用をご検討ください。