こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
アンラーニングとは、それまで身につけた知識のうち有用でないものを捨てて学び直すことを指します。顧客ニーズの多様化など、企業を取り巻く環境は日々変化しているため、仕事においても従来の知識やスキルだけにとらわれない姿勢をとることが重要です。
本記事では、アンラーニングを導入する意味とメリット・デメリットを詳しく解説します。
アンラーニングとは
アンラーニング(unlearning)とは今まで学んできた知識やスキルのうち、有用でないものを捨て去って、新しく学び直すことを指します。「学習棄却」や「学びほぐし」と言われることもあり、固定観念を拭い去る意味で使われることもあります。
しかし、アンラーニングは不要な知識やスキルを忘れてしまうことを目的としているわけではなく、必要でない部分に割いているリソースを別の部分に充てて、無駄のない学びを行うことが目的といえます。
アンラーニングと経験学習の関係性
アンラーニングは、経験で学びを得ていく「経験学習モデル」と深い関係があります。経験学習モデルとは、アメリカの組織行動学者であるデービット・コルブが提唱した経験・省察・概念化・実践を繰り返しながら学ぶモデルです。
特に経験したことを分析して学びを抽出していく「省察」の部分と、省察した内容を他の場面でも応用できるようにするための「概念化」の部分でアンラーニングは必要だといえます。なぜなら省察や概念化は、従来の発想にとらわれ過ぎてしまうと根本的な解決につながらない場合があるからです。
経験学習モデルにおいてアンラーニングをうまく活用すれば、より高い学習効果が期待できます。
アンラーニングとリスキリングの違いは?
アンラーニングと似たような言葉に、リスキリング(Re-skilling)があります。リスキリングとは「学び直し」という意味であり、新たな知識やスキルを習得することに重点が置かれています。
アンラーニングではどのような知識やスキルが必要かの取捨選択に重きが置かれているので、基本的な意味合いとしては異なります。しかし、双方が矛盾しているわけではなく、アンラーニングによって必要なものを整理すれば、リスキリングを行いやすい状況を生み出しやすくなるでしょう。
アンラーニングが必要な理由とは?
アンラーニングが必要とされる理由は、従来の知識やスキルだけでは急速に変化するビジネス環境に対応しづらくなっているからです。ビジネス環境の変化には、組織全体で取り組む必要があります。
組織としてアンラーニングを上手に取り入れれば、従業員の業務に対するパフォーマンスを高めたり、変化に強い組織づくり行ったりすることができます。また既存の製品・サービスを改善したり、新たな事業を生み出すきっかけをつかめたりするでしょう。
業務の見直しに有効
アンラーニングはこれまでの価値観や考えに縛られずに物事を捉えていくものなので、業務の見直しに有効な方法だといえます。特に売上が伸び悩んでいたり、業務効率が悪い作業などを改善したりする際に有効な手段です。
組織としてアンラーニングに取り組めば、多様な視点から業務の見直しにつなげていけるでしょう。継続的に取り組んでいけば、経営資源の配分の最適化につながり、組織全体の生産性を高めていけるはずです。
人材のマネジメントに活用できる
アンラーニングは人材のマネジメントでも、うまく活用できます。単に上司が自分のやり方を部下に押し付けるだけでは成長を促すのは難しいですが、部下と共に成長していけば組織としての力を高められるでしょう。
固定観念にとらわれず、自ら新しい手法を実践していく姿を部下に見せることによって、人材育成に結び付けられます。人材マネジメントの取り組みの一環として、積極的に取り入れてみましょう。
アンラーニングの4つのやり方
アンラーニングを効果的に実施するには、いくつかのポイントをきちんと押さえておく必要があります。主な手法として、以下の4つの方法が挙げられます。
アンラーニングの4つの方法
・振り返りの時間を設ける ・知識や経験の整理を行う ・意見交換の場を設ける ・アンラーニングの効果を測定する |
振り返りの時間を設ける
アンラーニングでは、従業員個人の経験やスキルなどを振り返る時間を設けることが重要です。自分自身のこれまでの経験やスキルを振り返ることによって、何が必要で不要であるかを整理でき、自らのこだわりや思い込みなどを確認できます。
単に同じやり方で業務を行うのではなく、「なぜ?」と考えることによって、その作業に取り組む意味を探ることができるでしょう。足りない部分があれば、新しい考えにアップデートをしたり、新たな知識やスキルの習得に向けた行動を起こしたりできます。そのため定期的に業務を振り返る時間を設け、日報などをつけて自分と向き合える時間を作りましょう。
知識や経験の整理を行う
アンラーニングはリスキリングとは異なり、必要な知識やスキルの整理に重点が置かれています。そのため、本質的な部分を見極めることが大切です。
いわゆるクリティカルシンキング(自身の考えを客観的に判断する思考法)を行うことが重要であり、使わない知識やスキルを取捨選択することが欠かせません。アンラーニングの効果を高めるために、クリティカルシンキングを実行してみるのも良いでしょう。
意見交換の場を設ける
アンラーニングは個人で振り返りの時間を設けて取り組むものですが、なかなか自分一人では気づかない点も多いです。そのため、研修などを通じて新たな視点を学ぶ機会を設けたり、他者と意見交換を行ったりする場を設けてみたりするのも効果的といえます。
自らの振り返りによって得られた気づきを他の従業員とも共有すれば、アイデアを具体化する手助けにもなります。
アンラーニングの効果を測定する
アンラーニングは一度取り組んだだけでは、目に見えた効果を得ることが難しいでしょう。繰り返し取り組むことで習慣化し、どのような結果が得られたかを効果測定していくのが大事です。
定期的に効果を検証すれば、必要に応じて取り組みを軌道修正できます。具体的には、新たな知識や習熟度を把握したり、労働生産性がどのように向上したかを測定したりすることなどが挙げられます。
アンラーニングだけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
アンラーニングは、これまで身につけた知識や経験、スキルを棚卸して整理する取り組みを指します。人材育成につなげていくには、より広い視点でどのように実施していくかを考えてみましょう。
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』は、人事に必要な機能がオールインワンで備わっており、人材データを一元管理することで組織力を高めるためのものです。アンラーニングをチームで取り組み、効果測定を行う際も役立てられます。
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企業でアンラーニングに取り組むメリット
企業がアンラーニングに取り組むことで、以下のようなメリットを得られます。
アンラーニングに取り組む3つのメリット
・業務効率の向上 ・人材育成の推進 ・収益性の向上 |
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
業務効率の向上
アンラーニングに取り組めば、既存業務の効率化につなげられます。これまでのルールや思い込みを捨て去れば、業務に対して新たな発見や気づきを見つけられるでしょう。
また改めて業務フローを見直せば、より効果的なフローに洗練できます。業務の見直しが、業務の効率化につながる良い循環を生み出せるのです。
人材育成の推進
アンラーニングの取り組みは、企業が自社の人材を育成していくことにも役立ちます。勤続年数が長く、経験豊富な従業員であるほど過去の成功体験が影響してしまい、新たな変化に立ち向かう意欲が低くなりがちです。
そこでアンラーニングを行れば、既存のやり方にとらわれない新たな発想で業務に取り組めます。従業員の知識やスキルのアップデートを促す機会を設れば、自ずと個々の従業員の成長に結び付けていけるでしょう。
収益性の向上
アンラーニングを導入すれば、従業員の知識やスキルをアップデートするだけでなく、組織全体の生産性を高める流れを生み出せます。従業員はこれまでの業務の進め方を見直す流れのなかで、必要なスキルやプロセス、使用するツールをチェックするので、結果として成果に結びつくものが残るでしょう。
繰り返しアンラーニングを実践していけば、業務で生じていたムリ・ムダ・ムラを減らすことができ、より大きな成果を出していけるようになります。また生産性が高まることによって、事業そのものの収益性も向上するはずです。
企業でアンラーニングに取り組むことによるデメリット
企業がアンラーニングに取り組むメリットは多くある一方で、気をつけておきたいデメリットも存在します。そこで、特に注意すべき2つのデメリットを解説します。
モチベーション低下の危険性
アンラーニングを進めていく初期段階においては、従業員は「これまでの自分のやり方を否定された」と感じることがあります。特に経験豊富な従業員ほど、自分のやり方にこだわりや自信を持っているため、そう簡単には新たな方向に舵を切りづらいといった面があるでしょう。
業務に対するモチベーションが低下する恐れがあり、場合によっては離職の原因にもなります。そのため、アンラーニングを導入するときは従業員の考えを否定するものではなく、「今後の経営戦略として必要な取り組み」といった目的を明確に示して理解を得ることが肝心です。
情報収集にコストがかかる
アンラーニングは業種や職種によって、何が必要な知識・スキルであるかをよく見極める必要があります。そのため、様々な情報を集めて判断していく作業が必要になるため、時間や労力がそれなりにかかることを念頭に置いておかなければなりません。
アンラーニングに取り組む際の注意点
アンラーニングに取り組むときは、実施効果を高めるために2つのポイントを意識する必要があります。それぞれのポイントについて解説します。
個人ではなくチームで取り組む
アンラーニングの初期段階では、従業員個人が振り返ることが重要ですが、基本的にはチームで取り組んでいきます。なぜなら個人の思い込みによって、アンラーニングそのものの方向性や判断基準に偏りが生じてしまうと、かえって逆効果となるケースもあるからです。
またすべての知識やスキルを刷新する必要性もないので、個々の意見をベースとしながらチーム全体として何が必要かを取捨選択してみましょう。そして、実際に対応するものについて優先順位を付けることが大切です。
反省と後悔を混同しない
アンラーニングは、これまでの取り組みを振り返るものなので反省は必要ですが、後悔の気持ちを抱く必要はありません。なぜなら、今は効率の悪いやり方であったとしても、以前はそのやり方が必要だったからこそ取り組んでいたからです。
過去の頑張りをむやみに否定せず、前向きな気持ちで今後どのような知識やスキルが必要であるかを精査していきましょう。
まとめ
アンラーニングは今まで身につけてきた知識やスキル、経験などを一度立ち止まって振り返り、見直す取り組みです。既存業務のプロセスやフローなどを改めてチェックすれば、より業務効率を高める取り組みにつなげていけるでしょう。
また、アンラーニングに取り組むことは人材の育成にもつながります。より良い成果を生み出すには、「タレントマネジメントシステム」の活用も大切です。
タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムのことです。各人材のスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。
そして、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行い、人事や経営課題の解決などしっかりとした根拠をもとにした有効な施策を打ち出すのに役立ちます。
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