こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「無断欠勤が続く社員の解雇を検討している」「解雇をする際の注意点が知りたい」と、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
無断欠勤が続くと、自社の業務に影響を及ぼすため、解雇を検討する場合もあるでしょう。しかし、解雇は簡単に行えるものではありません。対応を間違えると、自社が不利益を被る可能性があります。
そこで本記事では、無断欠勤で解雇をする手順や注意点を解説します。無断欠勤で解雇する前に取るべき対応や、適切な対処法が分かる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
無断欠勤発生から解雇までの対応手順5ステップ
無断欠勤が発生してから解雇に至るまでには、以下の5つのステップを踏む必要があります。
- 社員の安否を確認する
- 理由を確認して指導・教育する
- 適切な処分を行う
- 無断欠勤を繰り返すなら退職勧奨を行う
- 最終手段として解雇を検討する
無断欠勤が頻発しているからという理由で、いきなり解雇はできません。解雇は、あくまでも最終手段です。適切に対応できるように、手順を確認しておきましょう。
社員の安否を確認する
無断欠勤が発生したら、直ちに本人に電話やメール連絡を入れ、安否確認を行います。事故や急病などにより無断欠勤した場合、社員が連絡できる状態でない可能性があります。反対に、寝坊や出勤日を勘違いしていたなどが理由で無断欠勤をしているケースは、すぐに連絡がつく可能性が高いです。
また、本人ではなく家族や友人が事故に遭った、あるいは病気になった場合も考えられます。本人は無事ですが、パニックに陥っていたり対応に追われたりしていて、連絡が取れない可能性があります。時間を置いて、再度連絡してみましょう。
理由を確認して指導・教育する
本人の無事が確認できたら、無断欠勤の理由を尋ねます。本来、無断欠勤は重大な契約違反です。無断欠勤をしたことにより、業務に影響を与える可能性がある旨を伝え、厳しく注意する必要があります。
寝坊や出勤日の勘違いなど、自己管理不足の場合はきちんと注意をして、再発防止に努めるのが望ましいです。一方で、無断欠勤の理由がハラスメントや精神疾患などが理由の場合は、社員のフォローも行いましょう。
ハラスメントや精神疾患は、職場環境が原因のケースがあり、厳しい注意は企業への不信感につながるからです。基本的に無断欠勤は注意すべき事案ですが、理由にあわせて適切に対応する必要があります。
また、無断欠勤を何度も繰り返す場合は、その都度指導・教育を行います。指導・教育を怠ると、無断欠勤を容認していると判断されるため、注意が必要です。ハラスメントや精神疾患が理由の場合は、直属の上司ではなく、人事労務担当者が指導を行った方が良いケースもあります。被害者だけでなく加害者にも話を聞いた上で、指導・教育しましょう。
適切な処分を行う
無断欠勤を繰り返すという理由だけでは、解雇は難しいのが現状です。特に、ハラスメント・精神疾患などは企業に原因がある可能性があるため、慎重な対応が求められます。ただし、明らかに社員に非がある場合は、適切な処分を行うべきです。処分の種類は、以下のとおりです。
- 顛末(てんまつ)書
- 出勤停止
- 減給
顛末(てんまつ)書とは、仕事上のミスやトラブルを社内に報告する文書です。無断欠勤が発生した経緯や、対応などを記入させましょう。顛末(てんまつ)書は、企業側が指導・教育を行った証拠になるため、一定期間保管しておくことがおすすめです。
出勤停止の場合は、期間中の給与を支給する必要はありません。また、法律で期間が定められていないため、企業が設定できます。何度も注意しても改善されないなら、減給も可能です。ただし、減給は就業規則に記載がない場合は、執行できません。
減給できる金額は、法律で定められています。具体的には、月給に対して10分の1以下あるいは平均賃金1日分の半額以下までです。いずれの処分も、就業規則に従う必要があります。処分する際は就業規則を確認し、適切な判断を下しましょう。
無断欠勤を繰り返すなら退職勧奨を行う
減給などの処分をしても改善が見られない場合は、退職勧奨を行います。退職勧奨とは、企業が社員に対して退職を勧めることです。一般的には解雇の前に、退職勧奨を行うのが適切とされています。退職勧奨は企業と社員、双方の合意が必要です。
一方的に企業が執行する解雇とは、意味合いが異なります。退職勧奨の場合は、社員が自発的に会社を辞めるように促します。退職を強制するような言動は、解雇を迫られていると判断されるため、注意しましょう。
最終手段として解雇を検討する
退職勧奨に応じない、連絡が取れないなどの場合は、解雇を検討します。解雇は、原則執行日の30日前までに該当社員に予告を行い、通知書を作成します。口頭ではなく、書面で告知しましょう。なぜなら、口頭だと告知した証拠が残らないため、不当解雇を訴えられた際に、企業側が不利になる可能性があるためです。
解雇通知書はコピーを取るなどして、保管しておきましょう。無断欠勤における解雇の種類は、以下の2つです。
- 懲戒解雇
- 普通解雇
懲戒解雇は、悪質な契約違反や非行などを理由に執行できます。例えば、企業に甚大な損害が発生した、法律違反を犯したなどが該当するでしょう。普通解雇は、労働契約の継続が困難である場合に執行できます。一般的に無断欠勤は、普通解雇として処理するのが妥当です。
無断欠勤が理由で解雇ができない事例3選
無断欠勤が理由で解雇ができない事例は、以下の3つです。
- 事故・急病
- 精神疾患
- 職場でのハラスメント・いじめ
解雇を行った場合、不当な処分として該当社員から訴えられる可能性があります。企業が不利にならないように、適切な対処法を押さえておきましょう。
事故・急病
事故や急病が理由の場合は、本人が出勤や連絡したくてもできなかった可能性があります。後日、社員から報告されたら、まずは体調を気遣いましょう。
長期入院や治療が必要な場合は、休職手続きなども必要です。また、通勤中の事故や急病は、労災に当たる可能性があります。経緯を確認し、労災に該当する場合は、手続きなどを進めなければなりません。
精神疾患
企業は精神疾患を患っている社員を確認次第、速やかに病院に受診させて、診断書を提出してもらいましょう。診断で、休職などが必要と判断された場合は、直ちに手続きを進める必要があります。精神疾患の原因は、長時間労働や休日出勤など、職場環境であるケースも多いです。
適切な対応を取らずに解雇した場合、不当として訴えられる場合があります。精神疾患の場合は、社員のメンタル回復を最優先に考えた対応が必要です。
職場でのハラスメント・いじめ
ハラスメントやいじめなどは、企業側に原因があると考えられるため、解雇はできません。解雇してしまい裁判所に訴えられると、不当と判断され、多額の賠償金を支払う可能性があります。ハラスメント・いじめが無断欠勤の理由なら、社員のメンタルケアが最優先です。
ただし、人間関係のトラブルのため、人事労務担当者は中立な立場で対応する必要があります。被害者だけでなく加害者にも話を聞き、事実に基づいた処分を行いましょう。無断欠勤を未然に防ぐ方法について詳しく知りたい方は、別記事「無断欠勤」をあわせてご確認ください。
無断欠勤で解雇を検討する際の3つの注意点
無断欠勤で解雇を検討する際は、以下の3点に注意が必要です。
- 解雇が認められるのは14日以上の無断欠勤
- 無断欠勤を証明できる物的証拠が必要
- 無断欠勤が理由の解雇でも離職票の発行が必要
無断欠勤で解雇を検討するのは最終手段です。解雇の際は慎重に判断、手続きを進める必要があります。一つずつ解説するので、人事労務担当者はきちんと把握しておきましょう。
解雇が認められるのは14日以上の無断欠勤
解雇が認められる無断欠勤日数は、法律では決められていません。ただし、これまでの裁判事例を基にすると、解雇が認められたのは14日以上の無断欠勤が多いです。しかし、無断欠勤が14日以上続いたからといって、直ちに解雇できるとは限りません。
解雇をするには、通知書を作成して本人に通告しなければならないからです。また、14日以上の無断欠勤でも、解雇が認められなかった事例もあります。他の社員と同等の勤務成績であったり、管理職の方が社員への注意を怠ったりすると、解雇を否定されることがあります。
無断欠勤を証明できる物的証拠が必要
無断欠勤を理由として解雇するなら、勤怠打刻システムや日報など証拠を残す必要があります。証拠不十分だと、社員に訴えられた際に、不利になる可能性があります。実際に証拠が提出できず、解雇が認められなかった事例が存在します。
無断欠勤は、タイムカードや出勤簿で立証可能です。客観的に見ても無断欠勤をしていると分かれば、裁判に発展した場合でも有利になります。
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無断欠勤が理由の解雇でも離職票の発行が必要
無断欠勤で解雇した社員にも、退職後に失業保険を受給する権利があります。自己都合退職と同様に、離職票の発行が必要です。ただし、解雇された方は、一定の条件を満たさないと、失業保険の対象にはなりません。
解雇の場合、原則離職前の2年間で、被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。つまり、在籍期間が1年未満の社員には適用されません。入社月を確認し、解雇する社員が条件に当てはまるか確認しましょう。
無断欠勤による解雇の裁判事例2選
無断欠勤による解雇の裁判事例を、有効・無効の2種類に分けて紹介します。できれば裁判は避けたいと考えている企業も多いでしょう。しかし、社員に訴えられた場合は、対応しなくてはなりません。どのようなケースで解雇が有効あるいは無効になるのか、確認しておきましょう。
解雇が有効と判断された事例
裁判の結果、解雇は有効と認められた事例です。原告側(社員)が業務指示の拒否や会議の欠席などの勤務態度不良により、以下の処分を受けました。
- 譴責(けん責)
- 減給
- び出勤停止
その後、該当社員は無許可で三度早退し、約50日間連続で無断欠勤をしたため、企業は懲戒解雇しました。
本件は、企業側が解雇の前に、譴責や減給などの処分を行っていたのがポイントです。企業は、段階的に適切な処分をしていたのにも関わらず、社員は職務怠慢と無断欠勤を繰り返していました。そのため、解雇が認められたと考えられています。
解雇が無効と判断された事例
企業側は、45日間の出張命令を原告(社員)に出しましたが、正当な理由なく無断欠勤をしました。さらに、後日提出された欠勤届の内容も不十分でした。社員の無断欠勤の期間が約3ヵ月以上になったため、企業は懲戒解雇したという経緯です。
しかし、判決は不当解雇となりました。理由として、社員から提出された内容不十分な欠勤届について、企業が異議を唱えなかったことが挙げられます。そのため、企業の出した出張命令は撤回されたものと判断されています。裁判の結果、社員の欠勤は一部のみに留まると認められました。
さらに、社員が行った労働局への斡旋申立や労働組合との交渉などに、企業が応じなかったことも不当解雇の判断材料になりました。たとえ長期にわたって無断欠勤したとしても、企業側の対応に問題がある場合は、懲戒解雇にならないことがわかります。
まとめ
無断欠勤による解雇は簡単には行えないため、適切な手順を踏む必要があります。特に、ハラスメントや精神疾患などが原因なら、企業側の問題が問われることもあるため、該当社員をフォローしましょう。
正当な手順を踏んでも改善せず、やむを得ず解雇する場合は、無断欠勤の証拠が必要です。しかし、どのように証拠を残せば良いか分からない方もいるでしょう。万が一の事態に備えるなら、タレントパレットで勤怠情報を管理することを検討してみてください。
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