こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
退職は、転勤や出向などの人事異動をきっかけに起こり得るものです。異動による退職を防ぐためには、日ごろから従業員の状況を把握しておかなければなりません。この記事では、転勤や転職の辞令を出す際に、注意すべきポイントについて解説します。
異動拒否による退職はあり得る?
人事異動が原因で、転職や退職をしてしまう従業員は少なくありません。人事異動の拒否が可能かどうかも含めて、労働基準法や就業規則の基本をおさらいしておきましょう。
原則として異動拒否はできない
雇用主と労働者は雇用契約を結んでおり、就業規則に従人事権や配転命令権の定めがあれば、従業員は異動命令を拒否できません。ただし、異動命令が無効となるケースもあります。
たとえば、業務内容や福利厚生などが雇用条件と異なる場合は、「契約内容と違う」という理由で、従業員は異動命令を拒否できます。また、介護や育児などの理由で、異動による不利益が大きすぎる場合は、異動を拒否する理由として認められることもあります。
人事異動において、異動命令が拒否されるケースやその場合の対応については、以下の記事で詳しく解説しています。
「異動拒否」については、こちらの記事をご確認ください。
異動拒否を機に退職するケース
従業員による異動命令の拒否は原則として認められないため、受け入れ難い人事異動の場合は退職を決断する従業員もいます。たとえば、家族が遠方への転勤・転籍・出向を納得できなかった場合や、異動先でのキャリアアップを望んでいない場合などです。
ただし、こうした人事異動を受け入れられず退職する場合は、自己都合退職となります。自己都合による退職は労働者側にとって不利益が大きいため、本人は理不尽に感じるかもしれません。しかし、人事権を認める形で雇用契約を結んでいる以上、人事異動の拒否をきっかけとした退職であれば、自己都合退職になります。
異動退職の具体例
ここでは、人事異動がきっかけで退職してしまうケースの具体例について解説します。
家族の同意を得られなかった
遠くへの転勤などで引っ越しが必要になったり、単身赴任が必要になったりする場合は、家族の同意を得られないケースがあります。
たとえば、家族に介護者がいる場合は単身赴任が難しくなるでしょう。また、家族の誰かが専門的な治療を必要とし、そうした治療を受けられる病院が限られている場合も、転勤による引っ越しや単身赴任が難しくなります。
加えて、金銭面では単身赴任が可能であっても、ワンオペ育児になってしまう場合は、異動が難しいケースが少なくないでしょう。
異動による不利益が大きい場合は、会社側の配慮が欠けていると判断され、異動拒否の正当な理由になるケースがあります。そのため、異動の対象者には十分なヒアリングを行うことが大切です。
現在の部署でキャリアを積みたかった
従業員が個人的に現在の部署でのキャリアアップを望んでいる場合は、人事異動に難色を示すケースがあります。
また、仕事のクオリティを高めるために勉強をしたり、スキルを磨いたりしている従業員もいるでしょう。しかし、それらがまったく活かされそうにない部署への配属が決まった場合、努力が活かされる職場を求めて退職を選択するかもしれません。
現在の居住地にこだわりがある
地元に強いこだわりがある場合も、遠くへの引っ越しを伴う人事異動を受け入れられないことがあります。たとえば、地元が好きで就職した、現在の居住地に交際相手や婚約者がいるといったケースです。
居住地へのこだわりは個人的な理由が多いため、会社としてはプライベートと仕事のどちらを優先するか選んでもらうしかないでしょう。一定期間が経過した後に地元へ戻る出向であれば、異動命令を受け入れやすいかもしれません。
異動後に転職活動を始める
人事異動を一度は承諾したものの、異動先が合わず、陰でひそかに転職活動を始めるケースもあります。また、以前から会社と合わないと感じている場合も、従業員が人事異動のタイミングで退職してしまうケースがあるようです。
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異動退職を防ぐためのポイント
異動によって退職してしまう従業員を出さないためには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。ここでは、異動退職を防ぐためのポイントについて解説します。
採用時に異動の可能性を確認しておく
就業規則に基づき、新規採用時に異動の可能性を伝えておけば、従業員は心の準備ができるでしょう。反対に、思いもよらない人事異動が原因で、不安や戸惑いが大きくなってしまうことがあります。
異動を伝えるときには、異動の理由や異動命令が出される時期なども伝えておきましょう。事例も交えて従業員・会社双方のメリットを伝えておけば、人事異動に対して前向きな見方をしてもらえるかもしれません。
人材をデータ化して分析する
人事異動を適切に行う際は、人事異動に不満を持たせたり、退職者を出したりしないことが大切です。個人的な勘や印象で人事異動を行うのではなく、本人の業績や得意分野をデータ化・シミュレーションしながら進めることが大切です。現場へのヒアリングや成績以外の成果にも注目し、異動後にどのような影響があるかをしっかり検討しましょう。
異動の根拠を明確に説明する
人事異動に対する否定的な態度や言動は、内示の際に明らかになるかもしれません。異動対象者となった従業員には、なぜ異動になったか、異動先で何を期待されているかを、丁寧に説明しましょう。異動命令がネガティブな理由ではないと理解できれば、安心してもらえるかもしれません。
異動対象者とよく話し合う
異動対象者となった従業員とは、可能な限り話し合う機会を作りましょう。異動命令が拒否できないことは理解していても、会社や上司からどのような評価を受けているかは気になるはずです。
人事異動をきっかけに会社に足して不信感を持ってしまうと、退職につながりやすくなります。人事異動に対して従業員が納得できない場合は、条件や賃金の面で交渉の余地を残しておくと、離職防止に役立つでしょう。
キャリアアップの道筋を示す
人事異動による配置転換をよりポジティブなものにするためには、異動先でのキャリアアップの道筋を示すのがおすすめです。これまでに異動でキャリアアップをした人の実例を挙げ、異動先で前向きに仕事に取り組むためのポイントを具体的に伝えてみましょう。従業員にとって魅力的なキャリアアップになるのであれば、モチベーションアップにもつながります。
異動退職を招きやすいNG例
退職の決め手になるような人事異動は、できれば避けたいものです。ここでは、異動退職を招きやすいNG例をご紹介します。
属人化した状態での異動
業務内容が特定の社員にしかわからない場合は、属人化が進んでしまいがちです。こうした状態で異動が行われると、業務の引き継ぎが上手くいかなくなります。たとえば、会社のマニュアルよりも独自のルールが多かったり、前任者と第三者との関係が深すぎたりする場合です。こういったケースでは、異動してきた人が円滑に仕事を行えないおそれがあります。
偏った人間関係がある
部署内で特定のグループが形成されたり、派閥争いが起きたりすると、異動してきた従業員がストレスを抱えます。裏事情を知らない上司が、目立つ人間ばかりを優遇した場合は、不公平な評価につながるかもしれません。
人事異動を成功させるためには、風通しの良いコミュニケーションを図り、部署内の人間関係を健全な状態にすることが大切です。
評価制度が整備されていない
公正な評価制度が機能しているかどうかも、人事異動の成功を左右します。業績を上げている人よりも目立つ人のほうが高く評価される職場では、従業員の不満が大きくなりやすいでしょう。
直接部門、間接部門を含め、すべての部門で働く従業員が適切に評価されることが、ストレスや不満の少ない人事異動には欠かせません。
まとめ
会社の待遇に満足していなかったり、本人が現在の職場でずっと働きたいと考えていたりすると、人事異動による退職が起こり得ます。ポジティブな人事異動を実現するためには、異動対象者とよく話し合い、可能であれば条件面で柔軟に対応することも必要でしょう。
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