異動辞令とは?種類や辞令書の書き方、従業員への内示や発令での注意点を解説


異動辞令とは?種類や辞令書の書き方、従業員への内示や発令での注意点を解説

原則、異動辞令には従業員に拒否権はありません。しかし、従業員の状況を考えながら柔軟に対応することで、最終的には会社のメリットになるでしょう。

この記事では、人事異動の種類や辞令書の書き方、注意点などを解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
原則、異動辞令には従業員に拒否権はありません。しかし、従業員の状況を考えながら柔軟に対応することで、最終的には会社のメリットになるでしょう。

この記事では、人事異動の種類や辞令書の書き方、注意点などを解説します。

異動辞令とは

「辞令」は、企業の人事異動の命令そのものや、命令を通知する書類のことです。いわば、企業や雇用主から従業員への命令文書であり、従業員に辞令を渡す行為を「交付」と呼びます。

「内示」や「発令」との違い

辞令や発令と混同しやすい言葉に、「内示」や「発令」があります。

「内示」とは、辞令が交付(=公に発表)される前に異動対象者の直属の上司、または本人に異動の内容を伝えることです。その内容は、基本的に他言無用が求められます。

「発令」とは、決定した事例を正式に発表することです。発令されれば、対象者以外にも異動が周知されます。

異動辞令が出されるタイミング

人事異動の辞令が出されるタイミングについて、特に決まりはありません。時期としては、新入社員研修が終わった時、人事異動が行われる4月や7月、10月、昇進試験や昇格試験の結果が出る時期に多く見られます。辞令は忙しくなる時期を避けて交付されるため、決算期や4月の期首、繁忙期は避けられることが多いです。

なお、異動についての全体解説は、以下の記事をご覧ください。
「異動」については、こちらの記事をご確認ください。

異動辞令の種類


人事異動には、さまざまな種類があります。ここでは、どのような人事異動があるかを解説します。

転勤

転勤とは、企業内か企業グループ内の配置転換のことです。働く場所が変わる場合は居住地が変わることもあるため、従業員にとって負担にならない配慮が求められます。また、転勤の辞令には、原則として根拠が必要です。

出向・転籍

「出向」とは、現在在籍している企業の子会社・グループ会社などの関連会社へ従業員を異動させることです。現在の会社に籍を置いたまま、出向先の企業で働くことを在籍出向といいます。

「転籍」とは、会社の籍を出向先の企業に移し、新たに雇用契約を結ぶことです。出向の場合、一定期間が経過すると元の会社へ戻りますが、転籍になった場合は元の会社に戻るケースはほとんどありません。

採用

採用も人事異動の一つで、学校を卒業した新社会人や、第二新卒者を対象とする採用などを「新規採用」といいます。採用には試験や面接などの採用コストがかかるため、部署の欠員を補充する場合は、採用ではなく企業内での異動が多いでしょう。

配置転換

配置転換とはポピュラーな人事異動の一つで、勤務地や職種、職務内容などを変更することです。出向や転籍、昇格なども、配置転換に含まれます。配置転換が定期的に行われることで、人材の育成や組織の活性化、不正の防止などが期待できるでしょう。

昇格・降格

昇格は、企業内で定められている職能資格(=従業員の能力レベル)の向上が認められた時に「格(等級)」が上がることです。係長から課長になることや、課長から部長になることは、昇格ではなく昇進といいます。

降格と人事の一環、または懲戒処分として、等級や地位・役職・立場を引き下げられることです。降格は減給を伴うこともありますが、必ず減給されるわけではありません。

昇給・減給

「昇給」とは賃金が上がることで、「降給」とは賃金が下がることです。昇給には、自動昇給や考課昇給、定期昇給や臨時昇給、普通昇給や特別昇給など、さまざまな制度があります。日本の企業では仕事の質ではなく、決められた時期に昇給を実施する定期昇給制度が一般的です。

降給は懲戒や降格、人事評価制度に基づく決定などがきっかけになります。従業員の生活にも影響を及ぼすため、確かな根拠を示す必要があるでしょう。

復職

復職とは、病気やケガなどで一定期間仕事を休んだ従業員が職場に復帰することです。復職が適切かどうかを判断するには医学的な裏付けも必要となるため、主治医と面談し、従業員の健康状態を見極める必要があります。また、以前と同じ業務が行えるか、制限が必要になるかなども慎重に検討しなければなりません。

退職

退職は、法的には雇用契約の終了を意味します。退職には自己都合や会社都合、定年退職などがあり、従業員が退職理由によって受ける影響もさまざまです。退職後、トラブルに発展することもあるため、会社としてはなるべく円満退社に持っていくほうがよいでしょう。

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異動辞令の流れ

異動辞令を発令・交付する際の基本的な流れについて、3つのステップに分けて解説します。

Step.1 内示

異動辞令の第一段階では、対象となる従業員に内示を出します。正式な事例を交付する前に、従業員本人や直属の上司など、一部の限られた人にのみ辞令内容を伝えます。

転勤や転籍、出向などで勤務地や居住地が変わる場合は相当の準備期間が必要になるため、3ヵ月前には内示を出しておきましょう。また、家族の事情も踏まえて、転勤や転籍が難しくないかを確認することも必要です。

Step.2 辞令書の作成

従業員から辞令内容の合意が得られたなら、辞令書を作成します。一般的に辞令書を作成するタイミングは、辞令発令をする1ヵ月〜10日前です。辞令書には受令者や発令者、発令日などをはっきり記載する必要があります。

Step.3 交付発令

辞令書の作成が終われば、正式な発表である交付発令を行います。経営者や人事責任者、上司などから対象の従業員に正式な事例文書が交付されれば、異動辞令の手続きは完了です。

異動辞令書の書き方と注意点



異動辞令書を作成する際は、どのような点に注意が必要なのでしょうか。ここでは、主な異動辞令の内容について解説します。

異動辞令の内容

異動辞令には、以下の事項を明確に記載します。

・発令日=辞令が発令される日
・受令者=辞令を受ける人
・発令者=辞令を発令する人
・辞令内容=配置転換や異動の内容

辞令書はシンプルに記すのが一般的です。一般的な辞令書は以下のようになります。


一定の効力や拘束力を持つため、作成するのがベター

異動を命じる際に、転勤や転籍、出向といった辞令書を必ず発行しなければならないという法的根拠はありません。しかし、辞令書は発令者・受令者・日時・内容をはっきり確認できるものです。双方に合意があったことが示されることで、一定の効力や拘束力を持つものになる可能性があります。

採用の場合は、労働基準法に基づき書面が必要になることに注意しましょう。また、企業と従業員が交わす労働契約においては、辞令が一定の効力を発揮します。そのため、社内で交付された辞令に対して、原則として従業員に拒否や変更を求める権限はありません。

異動を拒否する従業員がいた場合にどのような対処ができるかは、以下の記事をご覧ください。
「異動拒否」については、こちらの記事をご確認ください。

辞令には柔軟性を含ませる

異動辞令に対して従業員に拒否権はないものの、従業員の労働環境を大きく変えてしまうこともあります。思わぬ辞令が出ると、従業員が不満を抱えることもあるでしょう。トラブルを避けるためにも、異動の目的や理由を丁寧に説明したり、手当や給与を見直したりと、ある程度柔軟に対応しましょう。

異動に関連する従業員のストレスへの対処に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
「異動ストレス」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

異動辞令は、異動の命令書にあたります。基本的に人事異動が従業員に拒否されることはありませんが、従業員の状況や意向を聞いて柔軟に対応すれば、最終的には会社のメリットになるでしょう。

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