こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「研修を実施したけれど効果がイマイチ」「研修効果測定のためのアンケートを作成する方法は?」このような悩みを抱えていないでしょうか。
効率良く教育を行うくには、研修後にアンケートを実施して受講した感想を聞いたり、評価をもらったりして効果を測定するのがおすすめです。
そこで本記事では、アンケートの作成ポイントや必要な項目について解説します。
アンケートを実施・分析すれば、研修の理解度や効果を上げるだけでなく、社員が主体的に参加できるようになります。社員や自社の成長につながりますので、ぜひ最後までお読みください。
研修アンケートが必要な3つの理由
研修実施後に行うアンケートは、単に感想を聞くために実施するのではありません。アンケートが必要な理由を確認していきましょう。
実施効果の測定のため
研修効果を最大限に上げるには、結果への効果測定が欠かせません。受講者の満足度や、受講後の業務に活かせるかどうかを確認する必要があるためです。
研修効果は理解度テスト等でも把握できますが、テストの難易度などにも左右されるため、必ずしも正しく測定できません。
アンケートなら受講者の率直な意見が聞けるため、より正確に効果を測定できるでしょう。
改善点を把握し次回に活かすため
アンケートは、研修の問題点や改善点を洗い出して次回に活かすために役立ちます。受講者の意見をもとに内容の是非を分析すれば、次回の研修内容をよりブラッシュアップできるからです。
時間配分やわかりやすさ、改善点の有無などを聞くのがポイントです。また、研修に対する希望を探ることもできるので、今後の企画の参考にもなるでしょう。
研修計画について知りたい方は、別記事「研修計画」をあわせてご確認ください。
研修の効果や評価を共有するため
アンケート結果を分析することで、研修の効果や評価を共有できるようになります。人材育成には複数の研修が欠かせず、長期のフォローアップが求められるため、情報共有は欠かせません。
上層部や担当者が情報を共有することで、長期的な育成計画の修正や改善も行えます。研修の効果を最大化し、効率良く人材育成を行うためにも、アンケートの実施は必須と言えるでしょう。
研修アンケートに必要な3つの項目
研修アンケートに必要な項目は、大きく3つに分けられます。詳しく確認していきましょう。
基礎データ
基礎データは、受講者の基本的な情報を集計する項目です。具体的な項目は以下の通りです。
- 性別
- 年代
- 役職
- 勤続年数
- 業務内容
- 氏名
- メールアドレス など
研修の内容やアンケートの目的によって、集計する項目を調整しましょう。
氏名やメールアドレスなど個人を特定できるデータを収集すると、不満や率直な意見を回収しにくくなります。できるだけ無記名式にし、個人の特定ができない形で実施しましょう。
研修内容の評価
研修内容の是非を集計する項目で、アンケートのメインとなる部分です。アンケートの目的に沿って、できるだけ細かく作成するのがポイントです。
例えば、以下のような設問が考えられます。
- 研修の時間は適切か
- 内容がわかりやすかったか(講師や資料の質、難易度など)
- 業務で活かせるか
- 課題や目標を解決・達成できたか
五段階評価など選択式で回答できるようにし、不満な場合は理由を記述式で問うと、具体的な改善点が見つかりやすくなります。
今後の展開
研修の改善点や今後の受講希望などを、記述式で広く意見をくみ取る項目です。研修の感想や気づいたこと、感じたことなどを、自由に記載してもらいましょう。
具体的には、以下のような設問を用意します。
- 感想
- 今後受講したい研修や学びたい・興味があること
- 受講した研修に対する意見や改善点
今後受講したい研修を答えてもらうと、次回以降の企画に役立ちます。前回のアンケートの結果、改善や新たに採用したことがある場合は、それらの評価も収集しましょう。
研修アンケートの質問例
研修アンケートの質問例と、それぞれの目的や狙いは次の通りです。
アンケートの質問例 | 質問の目的・ねらい |
---|---|
研修参加前に悩んでいたことや課題は何ですか | 社員の悩みや課題を洗い出す。 |
受講時間や期間は適切でしたか | 研修のボリュームが合っていたかを確認する。ニーズに合っていなかった場合は適切な実施期間も収集する。 |
講義や講師の説明、資料はわかりやすかったですか | 講師の質や資料のわかりやすさを確認する。不適切な部分は具体的に指摘してもらう。 |
受講して得られたことは何ですか | 研修内容を振り返らせ、得られた成果を具現化させる項目。自分の言葉で記述させることで、成果を得られたかを再認識させる。 |
研修で得られたことをどのように業務に活かしますか | 今後の実務への活用方法を認識させる。受講後現場で実践させる、今すぐ活用できることを記載させると効果的。 |
今回の研修にどの程度満足していますか | 研修の全体評価をスコアリングする項目。他の研修と比較しやすくするために、記述式ではなく選択式で答えさせる。 |
今回受講した研修について、ご意見や要望があれば聞かせてください | 研修を受講するにあたっての不満などを次回以降に活かし、受講者にとって最適な受講環境を整えるための設問。受講案内や進行、受講環境などが適切かを検証する。 |
今後受講したい研修やテーマがあれば教えてください | 受講者のニーズを確認し、受講カリキュラムや企画への反映を意識した設問。ニーズや属性に合った研修の開催、企画の参考になる。 |
研修アンケートのテンプレート例
研修アンケートは、実施の目的や集計方法などを考慮しながら、内容に沿ったものを作成します。
設問のわかりやすさ、記入のしやすさなどに気を配り、必要な項目を追加し、不要な設問は削除していきます。アンケートの見やすさにもこだわり、余白や文字の大きさにも配慮しましょう。
研修後アンケート 該当するものに〇をつけてください。 (1)あなたについて教えてください。 1、性別 男・女・回答なし 2、年代 20代・30代・40代・50代・60代 3、所属 ( ) (2)研修全般について 1、今回の研修を受講した感想をお聞かせください。 ①非常に有意義だった ➁有意義だった ③普通 ④あまり良くなかった ④悪かった
2、研修で学んだことは、今後の業務に活用できそうですか?またその理由も書いてください。 ①非常にそう思う ➁ややそう思う ③どちらでもない ④あまりそう思わない ⑤そう思わない (理由: ) 3、研修時間(期間)は適当でしたか? ①適当 ➁長すぎた ③短すぎた ※➁、③を回答した場合、適切と思われる時間(期間)を教えてください。( ) 4、今回の研修で役に立った講義、役に立たなかった講義を教えてください(※複数回答可)。 役に立ったと思った講義( ) 役に立たないと思った講義( ) 5、講義内容はわかりやすかったですか? ①非常にわかりやすかった ➁わかりやすかった ③どちらでもない ④わかりづらかった ④非常にわかりづらかった 6、講義の資料はわかりやすかったですか? ①非常にそう思う ➁ややそう思う ③どちらでもない ④あまりそう思わない ⑤そう思わない 7、講師の教え方はわかりやすかったですか? ①非常にそう思う ➁ややそう思う ③どちらでもない ④あまりそう思わない ⑤そう思わない 8、今回の研修で学んだことを、これからどのように活用していきますか。具体的にお書きください。 ( ) 9、同じような研修があれば、また参加してみたいと思いますか? ①参加したい ➁参加したくない ③わからない 10、今後、受講してみたい研修があれば自由に記載してください。 ( ) |
研修アンケートを作成するときの5つの手順
研修アンケートは、受講者の負担にならないような気遣いが必要です。作成するときに気を付けたいことを、ポイントに沿って確認していきましょう。
目的を明確にする
アンケートを作成するときは、実施する目的や得たい情報を明らかにすることが大切です。目的が明確でなければ、アンケートの内容を精査できず、回答者の負担になったり無駄になったりする可能性があるためです。
例えば「研修の理解度を把握したい」「満足度を調査したい」など、調査したい内容によって設問が変わります。事前に目的やねらいをまとめておけば、必要な項目がわかり、スムーズに作成できるでしょう。
答えやすさを重視する
回答者の負担をできるだけ軽くし、気軽に答えてもらうためにも、できるだけ簡単な様式にするよう心がけましょう。特に記述式は心理的な負担も大きく、時間がかかったり回答してもらえなかったりする可能性があるためです。
五段階評価や選択肢から選ぶだけのアンケートは、短時間で負担なく答えられるため、受講者の協力が得られやすいのが特徴です。率直な意見を得られるよう、記名式ではなく匿名式で行い、アンケートの長さにも留意すると良いでしょう。
記述式の設問は回答欄を大きく取り、記入しやすいようにしておくことも大切です。
重要な設問を上部に設定する
アンケートで重要な設問は、できるだけ上部に表示させるようにしましょう。上にある設問ほど回答者がきちんと答えてくれる可能性が高く、下になればなるほど集中力が途切れてしまい、正しい結果が得られにくくなるからです。
ただし、記述式の設問は上部ではなく、下部に設置します。最初に記述式の設問を置いてしまうと、面倒だと感じて回答が適当になったり、答えてもらえなかったりする場合があるためです。
理解度テストは別で実施する
研修後のアンケートは、あくまで研修そのものの評価を確認する手段です。受講内容の理解度を確認したい場合は、別途理解度テストを実施しましょう。
「研修内容がわかりやすかったか」という研修の評価を設問とし、テストのような内容を入れないようにします。理解度を確認する設問を入れると、アンケート内容が評定などに関わるのではないかと誤解させ、回答者が気を遣って答える可能性があるからです。
正しい評価が得られなくなるのを防ぐためにも、理解度テストは別の機会に行いましょう。
集計・分析方法を決めておく
アンケートを作成する前に、集計や分析方法を決めておきましょう。紙のアンケートなのか、アンケートフォームでの回答なのか、集計の手間も考慮することが大切です。
また分析方法を事前に決定しておくことで、最適な設問を設定できるようになります。誰がいつまでに集計を行い、結果をどう生かしていくのかも考えておくと効率的です。
オンライン研修の場合は受講者の利便性も考え、アンケートもオンラインで実施するのが望ましいでしょう。
研修効果を高める3つのポイント
研修効果をより高めるために、意識したい3つのポイントを確認していきましょう。
受講前に事前準備をさせる
研修を受ける目的やゴール・期待することを、受講前に再確認させておくと効果的です。目的が明確になることで、受講者がより主体的に受講できるようになります。受講の心構えができ、より内容が理解しやすくなるでしょう。
事前の振り返りや直面している課題、悩みの確認など、受講前に準備期間を設けるのも効果的です。解決すべき問題が明らかになることで、さらに解決策を見出しやすくなるでしょう。
実践形式で行う
研修で得た知識や気づきをすぐに現場で使えるように、ワークなどの実践形式を多く取り入れましょう。具体的な事例紹介やロールプレイングなどを取り入れ、学んだことをすぐに活かせるようなプログラム設計で研修を実施すると効果的です。
受講者同士でディスカッションやワークをさせれば、受講者同士で刺激を与え合い、相乗効果も期待できるでしょう。
研修後のフォローを行う
研修を受けて終わりではなくその後のフォローにも力を入れると、より研修効果を高められます。
具体的には、次のような取り組みを行ってみましょう。
- 研修発表をさせる
- 研修日報を書かせる
- フォロー研修やフォローアップ面談を実施する
- 支援体制や相談の場を作る
フォローの方法やタイミングで、研修の効果が変わります。直接講師に質問できる体制づくりや、受講者同士で相談・報告ができるオンライングループの作成など、受講者が安心して実践できるようなフォローも取り入れてみてください。
個別フォローに役立つ研修日報について知りたい方は、別記事「研修日報」をあわせてご確認ください。また研修について知りたい方は、別記事「研修」をあわせてご確認ください。
研修アンケートのまとめ
研修アンケートは、効果の確認や研修のブラッシュアップのために欠かせません。効果を高めるには、研修前後の準備やフォローアップも重要で、アンケートを実施することで受講者のニーズや希望を確認できます。
効率良く人材育成を進めていくためには、計画的に研修を実施しアンケートで効果の確認を行いましょう。アンケート結果は分析・共有し、改善を重ねて自社や社員の成長に役立つ内容にしていくことで、さらに効果アップが期待できます。
社員1人ひとりの人材育成計画の把握や研修管理は、タレントパレットを活用すると効率的です。育成状況がデータで把握できるだけでなく、配置管理や異動のシミュレーションも行えるため、人材を無駄なく活用できるためです。
人材育成に必要な機能が揃っているため、人事業務もスムーズになります。活用事例も多数あるのでぜひ一度使ってみてください。