合計特殊出生率とは?出生率との違いや計算方法をわかりやすく解説


合計特殊出生率とは?出生率との違いや計算方法をわかりやすく解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

合計特殊出生率とは、人口に対する出生数の割合を示す指標の一つです。人口減少が進む日本において、企業が将来的に必要な労働力を確保していくためには、出生率に関する正しい理解が欠かせません。

本記事では、合計特殊出生率と出生率の違いや計算方法、少子化の背景や要因について詳しく説明します。

合計特殊出生率を改善した企業の事例もご紹介しますので、戦略的な人事施策の構築にお役立てください。

合計特殊出生率とは?



出生率とは、人口1,000人に対する出生数の割合です。しかしこの「人口」には、子どもや高齢者も含まれています。

15〜49歳までの女性に限定して算出した出生率を合計特殊出生率といい、「コーホート合計特殊出生率」と「期間合計特殊出生率」の2種類が存在します。それぞれの定義を詳しく見ていきましょう。

コーホート合計特殊出生率

コーホート合計特殊出生率とは、ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ(コーホート)の女性の各年齢(15〜49歳)の出生率を過去から積み上げたものです。

期間合計特殊出生率

期間合計特殊出生率とは、ある期間(1年間)の出生状況に着目したもので、その年における各年齢(15〜49歳)の女性の出生率を合計したものです。

前述のコーホート合計特殊出生率は、1人の女性が49歳に達しないと正確な数値を算出できないため、一般的には期間合計特殊出生率が使用されています。

合計特殊出生率の計算方法

合計特殊出生率の計算には、各年齢の女性人口と出生数が必要です。

年齢ごとの出生数を女性人口で割り、その数値を全て(15〜49歳まで)足すと合計特殊出生率が算出できます。

日本の合計特殊出生率と低下している原因

この章では、日本の合計特殊出生率の最新情報と、合計特殊出生率が低下している原因について説明します。

2022年の合計特殊出生率

厚生労働省が発表した2022年の人口動態統計(概数)によると、合計特殊出生率は1.26(前年は1.30)で、2005年と並んで過去最低となりました。




厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」より引用

合計特殊出生率が低下している原因

合計特殊出生率が低下している原因は、主に以下の3つです。

①経済的要因
②女性の社会進出の機会増加
③ライフスタイルの多様化

経済的要因

経済の不安定さや高い教育費用、低賃金や不安定な雇用状況を理由に、結婚や出産をしない若者が増加しています。中には経済面での不安から、子どもを複数持つことを諦める夫婦もいるようです。

下の表にて男女年齢別の未婚率が示されていますが、男女ともに緩やかに上昇しています。

[表参照:年齢(5歳階級)別未婚率の推移]


女性の社会進出の機会増加

総務省「労働力調査」によると、2022年の女性の労働力人口は 3,096万人です。 前年に比べて16万人増加しています(前年比 0.5%増)。

また、下の図から、結婚や出産をする20〜40代は、7〜8割前後の女性が就労していることがわかります。

ライフスタイルの多様化

仕事や趣味などが充実しているという理由で、結婚・出産を望まない人もいます。

家事代行など、生活をサポートするサービスが数多くあることも結婚を必要としない理由になるでしょう。

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少子化が経済に与える影響



少子化が進むと、経済にさまざまな悪影響を及ぼします。大きく分けると、以下の3つです。

労働力不足

少子化の影響で、日本では将来的に労働人口が減少すると予測されています。「令和4年版厚生労働白書」によると、20〜64歳の人口は今後20年間で約1,400万人減少する見込みです。労働力の減少は生産性や競争力の低下につながり、経済成長を妨げる要因となります。

また、労働人口が多いことは、多様性の広がりやイノベーションの創出に欠かせません。経験豊富な世代が培ってきた知識や技術に対して、若い世代が新しいアイデアをもたらすとイノベーションが生まれやすくなると言われています。それにより、多くの知恵が生まれる社会を維持し、生産性の向上も期待できるでしょう。

消費の低下

少子化が引き起こす人口減少により、食糧・衣料・住宅などの需要が減り、消費が低下することが予測されます。特に、子ども向けの商品や教育に関連する支出が減少し、企業によっては大きな影響を受けます。

社会保障等の負担増加

出生率の低下により、将来的に高齢者の割合が増え、社会保障制度への負担が増加することが予想されます。年金や医療などの社会保障制度の持続可能性に影響を及ぼす可能性があるでしょう。

少子化時代における企業の働き方改革の事例

企業が少子化時代に対応するために取り組んだ働き方改革の事例をご紹介します。

「朝型勤務」を導入し出生率を大幅に改善

「朝型勤務」を導入後、社内の出生率が大幅に改善した例をご紹介します。

「朝型勤務」とは午前5〜8時までに勤務をスタートする代わりに、午後8時以降の勤務を原則禁止にする取り組みです。朝型勤務の終了時刻までに仕事を終わらせようと、効率を重視した働き方になるため、生産性が向上します。

また独身の社員にとっても終業後のプライベートの時間を充実させられるため、満足度が上昇したとの声もあります。

さらに出産後は女性社員はほぼ全員復職するので、自己都合退職率の低下にもつながりました。

ツールの導入でテレワークを推進

ツールを導入し、勤怠管理やタスクの進捗管理、文書の電子化などを可能にする取り組みを行った企業もあります。

環境が整ったことで、テレワークやサテライトオフィスへの出社など、場所にとらわれない働き方を柔軟に選択できるようになりました。結果として、従業員のワークライフバランスやモチベーションが向上したという結果が出ています。

その他の事例

従業員が仕事とプライベートの両立を図るための効果的な方法は、以下の通りです。

・半休・中抜け制度
・男性育休制度
・フレックス制度
・短時間労働の認可
・認可外保育園補助制度

まとめ

少子化によって労働人口が減少すると、将来的に人材確保が難しくなる可能性があります。
企業は従業員にとって働きやすい環境や制度を整えることで、中長期的な人材の確保を目指すことが求められるでしょう。制度が充実しても実際に利用しにくいと効果がないため、同時に制度を利用しやすい風土づくりも必要となります。

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