こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
サードプレイスは「第3の場所」といわれるものであり、自宅や職場以外で心地良く過ごせる場所を指します。個人がサードプレイスを持つことで、より豊かな人生を歩め、良い影響を与える部分は多岐にわたるでしょう。
この記事では、サードプレイスの基本的な捉え方や導入方法、具体例などを解説します。
サードプレイスとは
サードプレイスをうまくビジネス領域に活かしていくためには、基本的な意味や必要性を理解しておく必要があります。サードプレイスになる場所も含めて、解説します。
サードプレイスの意味
サードプレイスとは自宅でも職場でもない、居心地の良い「第3の場所」を示す言葉です。サードプレイスの概念は、アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグが1989年に『ザ・グレート・グッド・プレイス(The Great Good Place)』で提唱しました。
人々がそれぞれ独自のサードプレイスを持つことによって、人生において様々な場面で良い効果をもたらすものといわれています。
サードプレイスの必要性
サードプレイスがビジネス領域だけでなく、社会的に必要とされるのは様々な変化が起こる現代において、「自分らしく振る舞える場所」を多くの人が求めているからだといえます。自宅や職場も安らぎや充実感を与えてくれる場所ですが、日頃から身近な場所であるため、自宅や職場で起こった問題や悩んでいることを直接的には解決しづらい部分があります。
そうしたときに、自分独自のサードプレイスを持っておけば、利害関係のない人たちに家庭や職場での悩みを気軽に相談できるでしょう。立場や考え方に関係なく、自分の悩みを相談でき、心からリフレッシュできる場所としてサードプレイスの必要性は高まっているといえます。
サードプレイスとなる場所
サードプレイスは自宅や職場以外であればどこでもよいというものではなく、次の条件を満たしている場所がサードプレイスになり得るとされています。
・誰でも気軽に立ち寄れて、自由で平等な場所 ・活気にあふれ、コミュニケーションを楽しめる場所 ・アクセスが良く、誰にとっても身近で訪れやすい場所 ・新しく訪れた人も、フレンドリーに迎え入れられる場所 ・居心地が良く、リラックスした雰囲気を楽しめる場所 ・ストレスを感じさせない場所 |
上記のように、サードプレイスはその場所に参加するための何らかの制約があるわけではなく、誰もが気軽に立ち寄れる身近な場所です。事前に何か約束をしなくても、顔なじみの人たちがいる場所で、自由な雰囲気で楽しめるところだといえます。
海外の例でいえば、イギリスのパブやフランスのカフェなどがあげられます。
サードプレイスの例
サードプレイスは世界中の至るところに存在していますが、ここでは日本の例について見ていきましょう。日本においてはどのような場所がサードプレイスとして捉えられているのかを紹介します。
【日本】スタバに代表されるカフェ
スターバックスは世界的なカフェチェーン店ですが、同社は1971年に創業した当初から、自宅でも職場でもないサードプレイスの重要性を発信しています。比較的割安な価格で誰もが店内に入ることができ、店舗そのものが居心地の良い場所として存在しているのです。
コーヒーを楽しむだけでなく、人とのつながりを求められる場所であり、リラックスできる雰囲気があります。スターバックスに限らず、他のコーヒー店や街の喫茶店などもサードプレイスに該当します。
【日本】コワーキングスペース
コワーキングスペースは業種や職種に関わらず、様々な人が集える場所として機能しています。コロナ禍によって、自宅や職場以外で仕事ができる環境として注目され、多くの人が利用できる空間となっています。
日本でもコワーキングスペースは様々な場所にあり、訪れる時間帯によってもその場にいる人の顔ぶれは違うものです。フリーランスの方だけでなく、多様な交流を求める人たちに人気の場所だといえるでしょう。
【日本】地域のコミュニティサークル
海外の事例では、パブや食堂などがサードプレイスとしての役割を担うケースが多いですが、日本では地域のコミュニティサークルが一定の役割を果たしているといえるでしょう。各種サークルやボランティア活動などを通じて、人とのつながりを求める方は日本においても多いといえます。
子育て世代のサークルやシニア向けの文化サークルなど多種多様で、それぞれの世代に合ったコミュニティを見つけられるのが特徴としてあげられます。
海外のサードプレイスの例
海外におけるサードプレイスの例としては、先に述べたようにイギリスのパブやフランスのカフェなどが代表的だといえます。また、ドイツの居酒屋やイタリアの食堂なども該当します。
海外においては見知らぬ人との交流を大事にする傾向がありますが、日本においては常連客とのつながりを重視するようなケースも見られるでしょう。サードプレイスの概念は幅広く、本人にとって居心地の良い場所であればどこでもサードプレイスになるともいえます。
例えば、ジムや公園のベンチなどが人によってはサードプレイスとなるでしょう。また、勉強会や読書会、習い事の集まりなどもサードプレイスとしての役割を果たしています。
サードプレイス以外の場所の意味や役割
サードプレイスは利用する本人にとって居心地の良い場所であれば成立するものですが、その前提として「ファーストプレイス」や「セカンドプレイス」についても基本的な部分を把握しておく必要があります。サードプレイスと、どのような役割の違いがあるのかを見ていきましょう。
ファーストプレイス
ファーストプレイス(第1の場所)は「自宅」を指します。睡眠や食事など生活の基本となる部分とプライベートな時間を過ごす場所という意味があります。自宅は安らぎの場所でありますが、常にリラックスできる場所ではありません。
快適な住環境を維持するには相応の努力が必要ですし、家族に対する責任や義務も発生します。
セカンドプレイス
セカンドプレイス(第2の場所)は「職場」を指します。学生の場合であれば、「学校」がセカンドプレイスにあたるでしょう。
経済活動や学習の場所であり、日々多くの人とふれあう場でもあります。そのため、ストレスを抱えてしまいやすい部分があります。
セカンドプレイスは生活を維持するために欠かせない場所ですが、他者との関わりを常に意識しなければならないため、自分らしく振る舞うのが難しくもあります。
あらゆる人事データを統合して分析
サードプレイスは個人が豊かな人生を送るために得る第3の場所という意味ですが、職場で働く従業員にとっても大きな意味を持つ場所であるといえるでしょう。自分なりのリフレッシュできる場所を持つことは、結果として仕事におけるパフォーマンスを高めることにもつながります。
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サードプレイスはなぜ注目されるのか
サードプレイスが注目される理由として、社会情勢の変化があげられます。どのような経緯でサードプレイスが注目されるようになったのかを解説します。
サードプレイスの歴史
サードプレイスという概念が注目されるようになった背景には、まずアメリカにおける社会情勢の変化が関係しています。自動車での移動が一般的になり、自宅と職場を自動車で行き来する日々を送るうちに、人々の生活からだんだんとコミュニティが失われるようになっていきました。
個々のライフスタイルが尊重される一方で、思うようにリフレッシュできる場所が不足しているという問題があったといえます。そのため、自宅や職場以外で人と人とのつながりを求める人が増えていき、サードプレイスが注目されるようになったのです。
アメリカだけでなく、日本や他の国においても元々あった地域のコミュニティが失われるといった現象は見られました。新たな居場所を求める動きは、世界中で広まっているといえるでしょう。
リモートワークの普及
サードプレイスが大きく注目されるようになったのは、新型コロナウイルスの感染による影響で、人々の生活様式が様変わりしたことがあげられます。多くの企業で出勤が停止され、その代わりにリモートワークが急速に普及するきっかけが生まれました。
感染拡大を防ぐために、サードプレイスそのものが閉鎖を余儀なくされるといったケースも見られたといえます。慣れない自粛生活を続けるなかで、人々のストレスは大きくなり、そうしたなかで新たに「サードプレイスオフィス」という概念も生まれました。
自宅でも職場でもない場所をオフィスとし、リモートワークに取り組む試みです。職場とサードプレイスを組み合わせることによって、業務効率を高めたり、ストレスを軽減させたりすることが期待されています。
企業において、サードプレイスを導入するメリット
企業において、サードプレイスを導入するメリットは多くあります。具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。
人間関係が多様化する
サードプレイスは様々な職種、地域の人々が集う場所であるため、その場所に通うことで豊かな人間関係を築けるというメリットがあります。家庭や職場における人間関係は固定化されやすく安心感はあるものの、変化という点では乏しい部分があります。
一方、サードプレイスは様々な人が訪れるため、日によってその場にいる人は違ってきます。自分とは異なる価値観の人とも交流できるので、これまで気づかなかった視点で物事を捉える力などを養えるでしょう。
リフレッシュ効果が期待できる
サードプレイスは自ら足を運んで、社会的な地位や立場などにとらわれず、自由なやりとりを行える場所です。肩書きや普段の暮らしを知らない人たちが集う場所だからこそ、むやみに遠慮をせずに関わっていけるといえます。
そのため、ありのままの自分として時間を過ごすことができ、心身のリフレッシュにつながるといえるでしょう。
主体的に取り組める
サードプレイスとどのように関わるかは自分次第であり、主体的な取り組みを行えます。逆にいえば、自らの意思で行動しなければ何も得られない場所でもあるため、自然と積極的に行動できるようになるでしょう。
企業におけるサードプレイスオフィスの作り方
企業がサードプレイスオフィスを作るやり方としては、既存のオフィスを改装したり、近くにあるコワーキングスペースを活用したりする方法があげられます。サードプレイスオフィスを作るときのポイントを解説します。
セキュリティ対策を行う
誰もが利用する場所をサードプレイスオフィスとする場合、セキュリティの問題があげられます。不特定多数の人が出入りするような場所では、機密性のある業務は行わないなどのルール作りが必要になるでしょう。
また、従業員が普段から利用するデバイスにもセキュリティ対策が必要です。
勤怠管理を見直す
サードプレイスオフィスで業務を行っている従業員の様子は上司が直接確認しづらい部分があるため、パソコンへのログイン情報を活用した勤怠管理を行ってみると良いでしょう。
同時に、人事評価制度を見直すことも大切です。出勤して働く人とリモートワークで働く人の間に差が生じないように、制度を変えていく必要があります。
コミュニケーションツールを揃える
Web会議システムやチャットツールなどを活用すれば、コミュニケーションを円滑に取りやすくなるので積極的に導入してみましょう。また、データのやりとりがスムーズにいくようにクラウドサービスなどを活用するのも良いといえます。
まとめ
第3の場所と呼ばれるサードプレイスは、より豊かな人生を送るために大事なものとなっています。人によってサードプレイスは様々ですが、気兼ねなく振る舞える場所であるため、心身共にリフレッシュできます。
従業員の健康維持のために、企業としてもサードプレイスの概念を積極的に取り入れてみると良いでしょう。従業員のパフォーマンスを細かく見ていくには、「タレントマネジメントシステム」を活用することが大事です。タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。
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