テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?スキルを磨くメリットや方法を紹介


テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?スキルを磨くメリットや方法を紹介

「テクニカルスキル」とは、業務を遂行する上で必要とされる専門性や技術を意味する言葉です。ビジネスが複雑化・多様化する昨今、経営層やマネジメント層のみならず組織で働くすべての人材において、テクニカルスキルを持つことは強みになります。

本記事では、テクニカルスキルの概要やスキルを磨くメリット、具体的なスキルアップの方法をご紹介します。人材育成や研修を行う際の参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

「テクニカルスキル」とは、業務を遂行する上で必要とされる専門性や技術を意味する言葉です。ビジネスが複雑化・多様化する昨今、経営層やマネジメント層のみならず、組織で働くすべての人材において、テクニカルスキルを持つことは強みになります。本記事では、テクニカルスキルの概要やスキルを磨くメリット、具体的なスキルアップの方法をご紹介します。人材育成や研修を行う際の参考にしてみてください。

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?

テクニカルスキルはもともと、経営層やマネジメント層の必須スキルとされていました。しかし昨今では、様々な職種・役職において活躍できる能力とされ、テクニカルスキルを持つ人材は役職に関わらず、転職やキャリアアップで高い評価を得られるようになりました。

ここでは、テクニカルスキルの具体的な内容やテクニカルスキルが求められる人材について、詳しく解説します。

テクニカルスキルの概要

テクニカルスキルは「業務遂行能力」とも言い換えられ、言葉の通り、業務をスムーズに遂行できる能力を指します。

具体的に求められるスキルは、業務内容や部門によって異なります。以下が各部門別に必要とされるテクニカルスキルの例です。

  • 営業部・・・商品の深い知識・マーケティングスキル・コミュニケーション能力
  • 経理部・・・PCスキル・事務処理能力・資料作成力
  • 企画部・・・データ分析力・市場への理解


このように、スキルの内容に関わらず、業務をスムーズに遂行できるスキルの総称として使われます。

また、配属部門以外で必要とされるスキルも身につけている人材が増えれば、企業全体の活性化にもつながります。

テクニカルスキルが求められる人材とカッツモデル

アメリカの経営学者であるロバート・カッツ氏は、最もテクニカルスキルが必要な層として「ロワーマネジメント層」を挙げています。ロワーマネジメント層とは、役職がついていない監督者のことを指し、建築現場で例えると、現場監督にあたります。また、トップマネジメント層と呼ばれる経営幹部や、ミドルマネジメントと呼ばれる中間管理職にもテクニカルスキルが備わっていることで、より組織全体の生産性を高められるとしています。

テクニカルスキルと他のスキルとの違い

テクニカルスキルと同様に、ビジネスシーンで必要なスキルとして挙げられるのが、「ヒューマンスキル」や「ポータブルスキル」、「コンセプチュアルスキル」、「ノンテクニカルスキル」などです。

ここでは、テクニカルスキルとそれぞれのスキルの違いについてご説明します。

ヒューマンスキルとの違い

ヒューマンスキルとは、円滑な人間関係を構築できる力を指します。

業務における専門的な知識や技術を指すテクニカルスキルに対し、円滑な対人関係を構築できる力をヒューマンスキルと呼びます。

社内外問わず、円滑な人間関係を構築できれば、チームで進める業務がスムーズに遂行でき、取引先とも良好な関係の維持が可能です。マネジメント層がヒューマンスキルを身につけることで、人材育成やチームワークの向上、取引先に対するイメージアップに役立つでしょう。

コンセプチュアルスキルとの違い

コンセプチュアルスキルは、「概念化能力」とも呼ばれるスキルです。

コンセプチュアルスキルを身につけている人は、問題が起こった時に「どのように対応するか」を理論的・創造的に考察し、企業の成長の妨げになっている点を分析した上で解決方法を導くことができます。

テクニカルスキルは業務のスムーズな遂行だけに特化したスキルですが、コンセプチュアルスキルは、不明瞭な事実の中から本質を見極める創造力や思考力が求められるスキルです。

ポータブルスキルとの違い

ポータブルスキルは、「持ち運びができるスキル」を意味し、コミュニケーション能力やプレゼン能力、論理的思考などの汎用性の高いスキルを指します。

ポータブルスキルは無数に存在し、多く持ち合わせていればいるほど、就職や転職に有利に働くとされています。どんな職種・役職にも求められるため、業務を確実に遂行する専門的な知識や技術を意味するテクニカルスキルに比べ、転職や部署異動に役立つでしょう。

ノンテクニカルスキルとの違い

ノンテクニカルスキルは、テクニカルスキルの対義語として使用され、多種多様な業種、現場で必要とされるコミュニケーション能力や分析能力などを指します。

特定の業務にとどまらず、どのような場でも必要とされることから、テクニカルスキルとともに持ち合わせておくと、チームで活躍する人材になるでしょう。ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルなどは、ノンテクニカルスキルに含まれるという考え方もあります。

テクニカルスキルの種類と具体例について

テクニカルスキルには、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 汎用スキル
  • 専門スキル
  • 特化スキル


ここでは、3つのスキルの概要とそれぞれのスキルの具体例を解説します。

汎用スキル

汎用スキルとは、業種や職種を問わずどのようなシーンでもニーズの高いスキルです。

汎用スキルの例として挙げられるのは、以下の通りです。

  • ビジネスマナー
  • 語学力
  • 論理的思考力
  • マネジメント能力
  • ITツール使用スキル
  • 交渉スキル
  • 情報収集スキル


汎用スキルは社会人として求められることが多く、企業に貢献する人材になるために重要な能力と言えます。身につけていることで、多様な分野で活用できるでしょう。

専門スキル

専門スキルとは、それぞれの職種や部署、プロジェクトに必要とされる専門的な知識・技術のことを指します。
専門スキルを身につけるには、担当する分野について深く学ぶ必要があります。

以下では、専門スキルの具体例をいくつかご紹介します。

  • 事務職・・・PCスキル・事務処理能力
  • 営業職・・・商品知識・マーケティング能力・商談スキル
  • エンジニア職・・・プログラミングスキル・システム構築力
  • 介護職・・・医療スキル・介護スキル・保険制度知識


専門スキルを身につけた従業員が多い企業は、特定の人に依存しない職場環境が構築できます。

汎用スキルのように不特定の分野で活用できるスキルではない反面、身につけておくことで替えのきかない人材を目指せるでしょう。また、専門スキルを持つ従業員が多い企業は、特定の人に依存しない職場環境が構築できます。

特化スキル

専門スキルとやや似ているものの、よりプロフェッショナル性が高いスキルを特化スキルと呼びます。

特定の分野の中でもさらに細分化された領域に特化しているスキルで、身につけている人は組織内に少数しかいないことが多いため、貴重な人材として扱われるでしょう。

特化スキルの具体例は以下のとおりです。

  • エンジニア職・・・特定のプログラミング言語を扱える
  • 製造職・・・特殊な精密機器の製造ができる
  • マーケティング職・・・マーケティングツールを用いて解析できる


特化スキルは、専門性が高いため重宝されやすいものの、ほかの業界や職種では活用できないことも多くあります。特化スキルと同時に汎用スキルを習得することで、バランスの良い人材に育つでしょう。

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テクニカルスキルを持つ人材を育成するメリットとは?




テクニカルスキルを身につけた従業員がさらなるスキルアップを図れば、企業にとって様々なメリットがもたらされます。
ここでは、テクニカルスキルを磨くメリットを3つご紹介します。

ノウハウ蓄積による競争力アップと顧客満足度アップ

テクニカルスキルが高い人材は、自社が取り扱っている商品やサービスの知識が豊富で業界にも精通しています。。
多数の競合が存在する中で、豊富な商品知識や業務ノウハウを駆使できれば、競争力がアップするとともに、商品を利用するユーザーの満足度も高められるでしょう。さらに、リピーターの創出や新規顧客の開拓にもつながり、マーケットで生き残れる企業になるはずです。

業務への前向きな取り組み

テクニカルスキルを磨くことで、業務に関する知識・技術が培われ、自分の業務に自信が持てるようになります。

テクニカルスキルを磨く従業員が多いほど、業務に前向きに取り組む人材が多いため、長い目で見て企業の成長につながるでしょう。自身の考えや意見を積極的に述べられるようになったり、必要な行程を考えたりする従業員が増え、社内の雰囲気も活性化されます。

また、意見が評価され、実績につながることで、従業員の満足度も上がり、企業全体の生産性の向上にもつながるでしょう。

新サービスやアイデアによる企業のブランド力の向上

テクニカルスキルが磨かれることで、新しい商品やアイデアが生まれやすくなります。
高いテクニカルスキルを持ち合わせた人材が集まることで、ミーティングやグループディスカッションではより深い知見からの意見やレベルの高いアイデアが出やすくなるでしょう。

また、今までにない商品が生まれ、過去の商品と比較することで見えてくるのが、商品の改善点や問題点です。テクニカルスキルを持つ人材が問題点を洗い出して改善を重ねていけば、ユーザー満足度の高い商品が生まれ、消費者との結びつきがより強固になると言えます。

テクニカルスキルを持つ人材を育成するデメリットとは?

テクニカルスキルを持つ人材の育成には、デメリットも存在します。デメリットを正しく把握した上で、人材育成の計画を立てましょう。
ここでは、テクニカルスキルを磨くデメリットを2つご紹介します。

①避けられないコストや時間が発生

従業員にテクニカルスキルを習得させるには、コストや時間がかかります。

例えば、テクニカルスキルに関するセミナーや講義を開くには、会場の手配や教材作成などの事前準備や告知、指導者の教育が必要です。また、業務時間中に研修を実施する場合、通常業務が滞り、生産性の低下につながる可能性もあるでしょう。

効率的に従業員のテクニカルスキルを向上させるには、費用対効果を考えて研修プログラムを組む必要があります。

②向上させるスキルが偏る可能性

テクニカルスキルのみに着目して向上を目指すと、従業員のスキルが偏る可能性があります。

例えば、事務職の場合、テクニカルスキルにあたるPCスキルや事務処理能力のほかにも、円滑な人間関係を構築するヒューマンスキルが必要です。テクニカルスキルの向上に時間をかけすぎると、ほかのスキルが伸ばせず、結果的に業務遂行に支障が出るケースも考えられるでしょう。

企業力を高めるには、求めるスキルがバランス良く習得できる研修体制が求められます。

テクニカルスキルを磨く方法について

テクニカルスキルを磨くには、いくつかの方法があります。無駄な時間やコストをかけないように、自社に合った方法を選択することが大切です。

ここでは、従業員のテクニカルスキルを磨く3つの具体的な方法をご紹介します。

①集合研修の実施

すでにテクニカルスキルに対する知見があり、ある程度業務に活用できているという従業員に対しては、集合研修を行うのがおすすめです。

研修ではロールプレイング方式を採用することで、より深い知識を学ぶための応用スキルを身につけられます。また、グループディスカッションや実践練習を行うことで、現場に通用する即戦力を育成できるでしょう。

②eラーニングの実施

e-ラーニングとは、様々な分野の学びがパソコンやスマートフォンを使って効率的に学習できる、インターネット上の学習システムを指します。
従業員数が多い企業は、研修受講者が多くなるほど会場の手配が難しくなります。e-ラーニングを導入すれば、従業員がそれぞれの端末から受講できるため、研修準備も講師のリソースも不要になるでしょう。

なお、e-ラーニングは知識中心の研修になるため、テクニカルスキルを持つ人材がいない企業が初歩的なレベルから育成したいというケースにおすすめです。また、新人から役員まで、スキルレベルに応じて受講できるのも魅力の一つです。

③「OJT」と「Off-JT」の実施

日常的に行う業務を通じてスキルを習得させる「OJT」と、社内研修や外部講師の講義などでスキルを習得する「Off-JT」を組み合わせ、テクニカルスキルの習得を目指す方法も存在します。

Off-JTでは、テクニカルスキルに対する知識や技術を学び、概要や全体像を把握してもらいます。その後、習得した知識や技術をOJTにより実践させることで、より効率的にテクニカルスキルの向上が目指せるでしょう。

まとめ




テクニカルスキルは業務を遂行する上で必要とされる専門性や技術を意味し、業務遂行能力とも呼ばれます。マネジメント層をはじめ、従業員全員がテクニカルスキルを身につけることで、企業の活性化・発展につながるでしょう。

ただし、特定のスキルを深掘るには、時間やコストが必要です。自社の特徴に合った方法を実践し、効率的に従業員のスキルアップを目指しましょう。

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