ティール組織を徹底解説!向いている企業やメリット・デメリット、事例も紹介


ティール組織を徹底解説!向いている企業やメリット・デメリット、事例も紹介

上層部が管理することなく従業員が目標に向かって取り組み、進化する組織をティール組織といいます。従来の組織形態とは異なるため、把握できていない方も多いでしょう。本記事では、ティール組織の概要や作り上げるための要素、メリットなどを解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

上層部が部下を細かく管理しなくても、目標に向かって自発的に取り組み進化する組織をティール組織といいます。従来の組織形態とは大きく異なる新しい概念であり、興味はあるけれど把握できていない方も多いでしょう。


組織やチーム体制を改善したい経営者や人事担当者に向けて、本記事ではティール組織の概要や作り上げるための必須要素、メリットなどを解説します。ティール組織を形成して、企業の生産性や従業員の自発性向上を目指す方は、ぜひ参考にしてください。


ティール組織とは?

ティール組織とは上層部が細かくマネジメントしなくても、従業員自身が目標に向かい自発的に進化をする組織です。従来の組織は明確な指示系統が設けられており、上司の指示を仰いで業務にあたるケースが一般的でした。


一方、ティール組織には指示系統がありません。従業員は各々に与えられた役割やルールを自分自身で把握し、意思決定をします。つまりティール組織では上下関係がなく、フラットな関係性を構築する点が大きな特徴です。


テクノロジーが進化し、働き方も大きく変化している現代社会において、トップダウン方式や階層的なコミュニケーションでは柔軟な対応ができません。ティール組織は激動する現代に柔軟に対応できる組織形態といえます。


ティール組織とホラクラシー組織の違い

ティール組織と同じく注目を集める組織形態に「ホラクラシー組織」があります。ホラクラシー組織もティール組織と同様に各従業員が決定権を持ち、上限関係がありません。


両者の大きな違いは、ティール組織が価値観を表す言葉であるのに対し、ホラクラシー組織は手法を意味する点です。


ホラクラシー組織には厳密なルールが設けられており、ビジネスモデルがはっきりしています。「フラットで自律的な組織」を構築するための手法であり、再現性が高い点が特徴です。


一方、ティール組織には具体的なビジネスモデルがありません。組織の状況を踏まえて、概念の一部を試験的に導入してみたい場合に有効的といえるでしょう。


ティール組織の基礎となる5段階のフェーズ

ティール組織を構築するまでには、以下の5段階のフェーズがあります。


・【レッド】衝動型組織

・【アンバー】順応型組織

・【オレンジ】達成型組織

・【グリーン】多元型組織

・【ティール】進化型組織


それぞれのフェーズについて詳しく見ていきましょう。


【レッド】衝動型組織

レッドは「オオカミの群れ」と例えられる原始的な組織形態です。衝動型組織とも呼ばれ、圧倒的な力を持つリーダーが、恐怖心を利用してメンバーを従わせます。メンバーは必ずしも不満を抱いているとは限らず、強い支配に従属することで安心感を得ているケースが多い点が特徴です。


衝動型組織は目先の利益を重視しながら行動します。そのため、中長期的なプランを立てたり、段階的にプロセスを踏んで目標に向かったりはしません。現状をどう乗り越えるかに注力し、短絡的に動く傾向があります。


混乱した社会においてはリーダーの強い支配が役立つこともありますが、特定の個人に依存してしまうため再現性は低いでしょう。


【アンバー】順応型組織

特定の個人による圧倒的な支配が特徴的な衝動型組織とは異なり、厳格なヒエラルキーによって管理される組織をアンバー(順応型組織)といいます。「軍隊」と比喩されており、明確な指示系統が設けられている点が特徴です。


ピラミッド型の組織を構築し、各メンバーにはそれぞれの役割が与えられます。上層部からの命令は絶対であり、基本的に下層部が意見を述べることはありません。明確に役割分担されるため、人数が多くても統率しやすく、長期的な目線を持った組織形態です。


また、ルールに基づいた組織運営により秩序が保たれ、個人に依存することがないため再現性があります。ただし、ヒエラルキーが重要視されるあまり、状況の変化に対して柔軟な対応がしづらい点がデメリットです。


【オレンジ】達成型組織

オレンジ(達成型組織)は、アーバンと同様にピラミッド型のヒエラルキーが存在します。しかし「実力主義」を重視しており、社会の変化や競争にも対応することが可能です。現代の日本において、多くの企業がオレンジの達成型組織を採用しています。


大きな特徴は、成果を出した際に支配側から評価される点です。評価は個別に実施され、成果を挙げたメンバーは昇級や昇進をすることもあります。個々のスキルを発揮できる組織形態でもあり、イノベーションも可能です。


ただし数値管理が徹底されているため、メンバーは生き残りをかけて競争をしなければなりません。その結果、まさしく「機械」と比喩されるように、自分の意思とは関係なく淡々と働きがちで、過重労働やメンタル的なプレッシャーの原因にもなり得ます。


【グリーン】多元型組織

グリーンは「家族」と例えられる組織形態で、多元型組織ともいわれます。レッド・アンバー・オレンジは、組織にスポットを当てて機能しますが、グリーンの場合は個人も重視される点が大きな特徴です。


オレンジと同様に、雇用側と従業員といった一定のヒエラルキーがあるものの、個々の多様性が尊重され、自分らしく表現できます。


リーダーの役割は、メンバーがスキルや個性を存分に発揮できる環境作りです。また、意思決定はボトムアップ方式が採用される点も特徴の一つといえるでしょう。ただし、決定権は上層部にありながら、その権力を再配分する上でのルールが明確ではないため、合意形成に時間がかかる点がデメリットです。


【ティール】進化型組織

家族のように風通しが良い多元型組織をさらに進化させた携帯が、ティール組織(進化型組織)です。権力を持つ存在がいないため、ヒエラルキーが解消された完全にフラットな状態であり、各メンバーが意思決定を行います。


組織は特定の個人が所有するものではなく、関わるメンバー全員のものと捉える点がティール組織のポイントです。また、メンバーは組織の目的やルール、仕組みをしっかりと把握しており、目標を達成するための行動を優先します。各メンバーが自律しているため、状況が変化しても柔軟に対応しやすい組織形態です。


このように、メンバーが一丸となって組織を動かしていく状態から「生命体」といわれることもあります。多様性が重視され、個々の働き方が尊重される現代に適した組織といえるでしょう。


ティール組織を作り上げるために必須の3要素

ティール組織を作り上げるためには、以下の3要素が求められます。


・セルフマネジメント

・ホールネス

・存在(進化)する目的


それぞれの要素について詳しく解説します。


セルフマネジメント

セルフマネジメントとは自主経営を意味する言葉で、上層部や第三者の指示に従うことなく、自分自身で判断した上で行動し、目標達成を目指す方法です。


ティール組織では業務ごとに部門が存在しないため、個々やチームに判断が任されます。しかし、これまで上層部が担当していた意思決定をいきなり個人で担うことは困難です。場合によっては、不適切な判断をする可能性もあるでしょう。


そこで活用されている制度が「助言システム」です。専門家からアドバイスを受けられる制度で、特に重要な決定をする際は専門家だけでなく、決定事項に関連する人の助言を受けなければなりません。


ただし、あくまでも最終的な判断をするのは助言システムを使った本人です。サポートする側の従業員は誤った判断につながらないよう、真摯に向き合ってアドバイスをする必要があります。また、本人は判断に対して責任を負うことになるため、塾考するようになるでしょう。


ホールネス

多様性を尊重し、組織の中でありのままに存在できることを「ホールネス(全体性)」といいます。従来の組織では上層部から評価されることを重視していたため、「組織の期待に応える自分」を演じる従業員が多く見られました。


一方、ホールネスが実現された環境は、心理的安全性が確保された状況です。そのため、周囲への遠慮や恐れがなく、等身大の自分を存分に発揮できます。従業員全員が活発に意見を交わせるようになるため、自ずと自主性も高まるでしょう。


その結果、これまで解決できなかった課題に対する策が見つかったり、新たな事業へのチャレンジ意欲が湧いたりと様々な効果が期待できます。


存在(進化)する目的

ティール組織を円滑に運営するためには、従業員全員が目的を持つ必要があります。


従業員は「組織の存在意義」や「組織における自分の役目」を問い続け、状況に合わせて柔軟に変えていかなければなりません。これは「生命体」と呼ばれるティール組織ならではの特徴であり、代表者が独断で意思決定を行う従来の考え方とは異なります。


激動する現代において、現状を踏まえた上で存在(進化)する目的を問い、必要に応じて軌道修正ができるティール組織は、柔軟性のある形態といえるでしょう。


ティール組織でよくある誤解

ティール組織は、5段階のフェーズの最終形態と表現されることから、ティール組織特有の「型」があると思われがちです。しかしティール組織は「型」ではなく、ヒエラルキーや特定の個人による判断を伴わない、独特な経営方法を実施する組織を意味します。


したがってティール組織に該当していても、運営方法が類似しているわけではありません。また、特定の要素があるからティール組織であると断定ができないため、一見すると別の組織形態に見えることもあるでしょう。


そこで判断材料となるのが、前章でご紹介した3つの要素です。ティール組織を提言したフレデリック・ラルー氏によれば、ティール組織は組織の向上や敢行、文化的なくくりで分けられるものではなく、進化型に意識を向けた組織運営であるとしています。


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ティール組織で得られる3つのメリット

ティール組織を形成すると様々なメリットが得られます。主なメリットとして3つをご紹介します。


メリット1.従業員の生活や思いを尊重できる

従業員の生活や仕事に対する思いを存分に尊重できる点が、ティール組織の大きな特徴です。ワークライフバランスが重視され、働き方が多様になっている昨今、「地元でリモートワークをしたい」「テレワークが自分の生活に合っている」など希望を持つ人が増えています。


こうした個々の希望に配慮し、ライフスタイルに見合った働き方を採用できれば、従業員の満足度が上がります。


また、ティール組織では決定権を従業員全員が持つため、上司が指示を出す必要がありません。様々な場面で各従業員に判断を委ねることは、個々のモチベーション向上につながります。その結果、自信を持って業務にあたれるようになり、さらに自主性が向上するでしょう。


メリット2.環境や時代の変化へ順応できる

想定外の事態が発生した際に、柔軟に対応できる点もティール組織のメリットです。従業員の自律性が高まると、日常的に自分ごととして業務を行うようになります。


その結果、トラブルが生じたとしても上層部の指示を待つことなく、従業員間で意見を出し合って打開策を検討し、速やかに行動を起こすことが可能です。


従来の組織形態であればその都度上司の判断を待つ必要があり、緊急性の高い事象に対応しづらい点がデメリットでした。テクノロジーの進化や働き方改革の浸透など、目まぐるしく変化する現代社会において、対応の遅さは命取りとなります。


一方でティール組織の場合、個々の自律性や速やかな行動により、劇的に変化する現代の波にも順応しやすく、逆境に負けない強固なチームワークが期待できます。


メリット3.計画を実行できる従業員が増えて生産性が上がる

ティール組織には、従来の組織のような指示系統がありません。その分、従業員は自分で判断をしながら計画を実行する必要があります。指示系統がある場合、上司が計画を立てて部下が実行する流れが一般的で、どうしてもスピード感が損なわれる点がデメリットでした。


一方でティール組織は、各従業員の動きが組織全体の目標達成に大きく影響します。したがって、各自が自律性を持って業務にあたり、様々な工夫をしながらゴールへ向かうため、無駄な工数が減る点がメリットです。その結果、計画を実行できる従業員が増え、企業全体の生産性向上にもつながります。


ティール組織を目指す前に知っておきたい3つのデメリット

多くのメリットがあるティール組織ですが、デメリットもあるため把握しておくことが重要です。取り組みを始める前に知っておきたいデメリットとして、3つをご紹介します。


デメリット1.セルフマネジメントできることが前提となる

ティール組織は、個々が意思決定の権利と責任を持つことが前提であり、従業員のセルフマネジメント力が試されます。自律性が低く、セルフマネジメントが苦手な人ばかりが集まっていると、ティール組織は成り立ちません。


各従業員がセルフマネジメントの重要性を理解し、目標に向かって何をすべきかを自分で判断した上で実行に移せなければ、組織全体の生産性低下につながります。


こうしたリスクを回避するためには、従業員のセルフマネジメント力が欠けていると感じた時点で、話し合いを実施することが大切です。従業員同士で意見を出し合いながら、組織の存在意義や組織内での役割を再度確認しましょう。また、自己管理がうまくできない原因も探り、対策を練る必要があります。


デメリット2.より高いリスク管理力が求められる

指示系統が存在しないティール組織では、部下が上司に承認を取る「承認プロセス」もありません。その代わり、従業員間でアイディアや意見を出し合い、業務を遂行する必要があります。


「収益が見込めない」「成功する可能性が低い」プロジェクトでも、従業員が魅力を感じ、全員が納得すれば実施される可能性もあるでしょう。こうした事態を防ぐためには、今一度組織の存在意義を従業員全員で確認し、実施するプロジェクトによってはリスクがあることを理解することが大切です。


ティール組織は、時代の変化にも柔軟に対応できる組織ではありますが、より高い管理力が求められる点を念頭に置く必要があります。


デメリット3.従業員の動向を把握するのが難しい

ティール組織では、各従業員にプロジェクトの進行や進捗管理などを任せるため、管理側が現状を把握しづらいデメリットがあります。個々の状況把握ができていない場合、上層部としてどのようなサポートすべきか判断がつきません。


もし問題が発生しても、周囲が気づかない可能性もあります。速やかな対応ができなければ、手遅れになるケースも考えられるでしょう。


安心して業務を遂行するためには、企業側はもちろん従業員が互いの状況を把握する必要があります。管理ツールを用いて、タイムリーに情報共有ができるように体制を整えましょう。また、少しでも疑問を感じたらすぐに相談できる体制を用意しておくことも重要です。


ティール組織が向いている企業

ティール組織の概要やメリットを踏まえた上で、どのような企業がティール組織に適しているのか気になる方も多いでしょう。主な企業として以下の3つをご紹介します。


従業員たちの信頼関係が強い企業

ティール組織では各従業員が自発的に行動し、全員に意思決定を行う権利があります。もしも、従業員間の信頼関係が築かれていなければ、互いが下した決定を尊重できず、業務が円滑に進みません。また、上層部も従業員との信頼関係が成り立っていなければ、意思決定を委ねられないでしょう。


したがってティール組織を採用するためには、従業員同士や上層部と従業員の間に強固な信頼関係が成り立っていることが重要です。


信頼関係が構築されていない場合は、対話をする時間を増やして心理的安全性の高い職場環境を作りましょう。コミュニケーションが活発になると本音で話せる機会が増え、信頼関係も強くなります。その上で、ティール組織の概念を取り入れることが大切です。


ボトムアップ思考の企業

ティール組織にはヒエラルキーが存在しないため、意思決定も従来のトップダウン方式ではありません。各個人の判断に委ねられており、場合によっては従業員同士の情報共有や意見交換の中から生まれたアイディアや企画をベースに、今までにはない斬新な提案が生まれるケースも多いでしょう。


一方で上層部が逐一口を出していると、従業員が柔軟に考える余地がなく、スキルを存分に発揮できません。したがってティール組織は、現場の意見を尊重した上で上層部が汲み取る「ボトムアップ方式」を採用している企業に向いているといえます。


日常的に従業員の意見を優先している企業であれば、従業員に意思決定の権利と責任があるティール組織に円滑に移行できるでしょう。


経営者に変革の意識がある企業

ティール組織の概念は従来の組織とは大きく異なります。企業にとっては大改革となる可能性もあり、経営者側に変革の意識がなければスムーズに進められません。


ティール組織を取り入れる前に「本当に現状を変えたいのか」を経営者が再確認し、古い体制から脱却する覚悟を持つ必要があります。


また、経営者だけでなく従業員の意識改革も必要です。いざ変革を行うと、想定外のトラブルや課題が発生することもあるでしょう。経営者の覚悟と従業員の理解がなければ、ティール組織という新しい概念を取り入れられず、計画は失敗に終わるでしょう。


そのため、経営者は従業員と対話を重ねて、ティール組織の重要性や目的を丁寧に伝えることが重要です。


ティール組織で変化する人事制度

ティール組織を導入する場合、従来の人事制度を見直す必要があります。どのように変化するのか理解しておくと、いざ導入する際の参考になるでしょう。主に変化する人事制度は以下の通りです。


・マネジメント

・人事評価

・報酬制度


それぞれがどう変わるのか詳しく解説します。


マネジメント

ティール組織にはヒエラルキーが存在しないため、通常の上層部によるマネジメントは実施しません。会議やミーティングの進行役を立てることはありますが、あくまでもリーダーではなく対等な関係です。その代わりに、従業員自身が自己管理をするセルフマネジメントが重要になります。


上層部からの指示を待つ形態に慣れている場合、いきなり従業員に全てのマネジメントを任せてしまえば混乱がおきかねません。そのため、上層部が管理する体制から、セルフマネジメントへと徐々に移行させるケースがおすすめです。


その他、独自の人事評価制度を設けて、マネジメントの代わりに活用する企業も見られます。


人事評価

上下関係がなく誰もがフラットな立場にあるティール組織では、従来の上層部による人事評価は不適切です。代替策として多くの企業が導入している評価制度には、「ノーレイティング」「360度評価」などがあります。


ノーレイティングとは、従業員のランク付けや年度単位の評価をしない、新しい人事評価制度です。過去の業績を評価するのではなく、目標設定とフィードバックをリアルタイムに行い、現状の評価を実施します。


360度評価は、一人の従業員を複数の従業員で評価する制度です。上司だけでなく同僚や部下も評価に参加するため、多面的な意見が得られ、評価される側も納得しやすいです。


このようにティール組織によって変化する人事評価は、従来の画一的な評価よりも従業員のモチベーション向上に期待できます。


報酬制度

報酬制度も、ティール組織の導入によって変わる人事制度の一つです。ティール組織では、業務に関わる全ての決定事項を従業員に委ねられています。ルールや仕事の方法に加えて、報酬も例外ではありません。


報酬の決め方は企業によって様々ですが、自己申告もしくは従業員同士で互いの課題や評価すべき点を話し合う「ピアフィードバック」が採用されるケースが多く見られます。


一般的な企業では、基本給をベースに報酬制度を設けるケースが多いですが、ティール組織では従業員自身が定めることで、報酬を巡って互いに足を引っ張り合うようなことがなくなり、互いに協力して高め合うことが可能です。


失敗しないティール組織を目指すためのポイント

ティール組織を導入するためには、事前の準備や職場を整備することが重要です。失敗しないティール組織を目指すためのポイントを2つご紹介します。


進捗を管理できる体制を整える

ティール組織では、従業員が各々で自分の担当する業務の進捗管理を行います。また、働き方の多様性を重視することから、テレワークを選択する従業員も少なくありません。そのため、互いの進捗状況を把握しづらい点がデメリットです。


こうした課題を解決するためには、場所や時間を選ばず、誰もが進捗管理がしやすい体制を整える必要があります。例えばスケジュールや売上販売状況、プロジェクトの進捗など共有すべき項目を洗い出し、仕組み作りをするとよいでしょう。


各従業員の進捗を可視化できるようになると、必要なときに互いをサポートしやすくなります。


意見交換の場を設ける

定期的に意見交換の場を設けることも、ティール組織を目指す上で大切なポイントです。ティール組織では従業員同士の信頼関係が求められます。また、個々に意思決定の権利を渡すため、上層部と従業員の信頼関係の構築も重要です。


意見交換をしながら、企業全体の目標や各従業員の役割を再認識し、改善点があれば見直す必要があります。セルフマネジメント力が下がっていると感じれば、原因を探り対策を練ることも大切です。


誰もが自分の考えや不安に思っていることを発言しやすいように、上層部が積極的に意見交換の場を用意し、心理的安全性の高い職場作りを目指しましょう。その他、ITツールを活用すると、日常的にコミュニケーションを取りやすくなります。


ティール組織運営の企業事例

近年、多くの企業がティール組織運営を行っています。今回は、ティール組織を目指す上で参考になる4社の事例をご紹介します。


株式会社ビオトープ

株式会社ビオトープは、コンサルティング事業をベースに、企業・個人向けの人材育成にも取り組む企業です。


ティール組織運営の例として、進行するプロジェクトの目的を世間に提示し、共鳴した人を採用対象にする方法を取り入れています。その結果、プロジェクトに参加するメンバーは、入社の段階で企業の考えに共感していることになり、スムーズにプロジェクトを展開することが可能です。


また、働き方が多様化する中で、地理的に離れたメンバー間のミーティングにも注力しており、プロジェクトの目的やメンバー間の関係性を可視化しています。


株式会社ガイアックス

「人と人をつなぐ」をテーマに、Webマーケティングや個人が自律的に活躍する組織作りなどを手がける株式会社ガイアックスでは、自社もフラットでオープンな組織文化を展開しています。


例えば、従業員自身がライフプランを基準に、報酬テーブルを作成する目標管理制度や独立採算制度を設けるなど、各従業員を信頼した運営が特徴的です。


また、各従業員の生き方を尊重し、業務に関する目標とライフワークにズレが生じないように留意しながら、ボトムアップ方式で戦略を立てています。


株式会社ガイアックスはティール組織の運営が成功したことにより、個人主体のプロジェクトやプロジェクトごとのコミュニティーが生まれています。


株式会社ネットプロテクションズ

「NP後払いサービス」を提供する株式会社ネットプロテクションズも、ティール組織に成功した企業の一つです。


ティール組織運営の一つとして、自律・分散・協調を重視した「Natura(ナチュラ)」という人事評価制度を取り入れています。Naturaの目的は従業員同士の育成・成長支援で、360度評価が採用されているのが特徴です。


従業員間の競争意識が排除されることで、心理的安全性が確保され、さらなる成長と価値の発揮に注力できる環境整備が行われています。


また、マネージャー役職の廃止も行われました。マネージャーの代わりに情報や人材、予算の采配権限を有する「カタリスト」という役割を各部署に配置しています。カタリストは固定の従業員が担うのではなく、流動的に交代することが可能です。


株式会社ヤッホーブルーイング

株式会社ヤッホーブルーイングは、クラフトビールの製造販売を手がける企業です。フラットな組織文化が定着しており、新しい動きがあるときは全員が納得するまで議論を重ねるため、従業員全体の一体感があります。


また、部門横断的なプロジェクトを重視している点も特徴です。例えば課題が発生した場合、課題に気づいた従業員が自ら動き始めます。課題改善に向けてスキルを発揮したいと望む別の従業員が手を挙げ参加し、課題が解決すると解散する仕組みです。


このように従業員が様々な課題に自由参加することで、視野が広がり、これまでにない斬新なアイディアの誕生が期待できます。


まとめ

テクノロジーが劇的な進化を続け、多様性が尊重される現代において、組織形態も柔軟に変化していかなければなりません。ティール組織は、こうした状況を乗り越える上で重要な組織形態といえます。


従来のヒエラルキーが存在する組織形態とは大きく異なるため、導入時には注意が必要です。ティール組織を成功させるためには組織の現状を把握し、体制を整えてから取り組みましょう。


「タレントパレット」とは様々な人材データを一元管理・分析して、組織力を上げるためのマネジメントシステムです。人材のスキルや課題だけでなく、組織の現状や課題も可視化でき、ティール組織の運営に役立ちます。


ティール組織を目指している経営者や人事担当者の方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。


タレントパレットのHPはこちら