こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
求められる人材の多様化や働き方改革の影響により、スーパーフレックス制度に注目が集まっています。生産性向上をはじめとするいくつかのメリットがある一方で、導入に際して注意すべき課題にも目を向けなければなりません。
本記事では、スーパーフレックス制度を導入する際のメリット・デメリットを紹介し、具体的な導入手順や、よくある質問についても言及します。スーパーフレックス制度の特徴を把握し、効果的な活用につなげてください。
スーパーフレックス制度とは?
スーパーフレックス制度とは、自由な働き方を可能にする、働き方改革のひとつです。従来のフレックス制度のような「コアタイム」を設けず、働く時間を自由に設定できるという特徴を持っています。つまり、就業開始時間と終了時間を自由に設定できるということです。
この制度の導入には、就業規則への「始業・終業自由」の明記と労使協定の締結が求められます。労使協定で決定する内容は、対象者範囲や総労働時間・標準労働時間・フレキシブルタイムなどです。
生産性向上や残業削減を促すだけでなく、優秀な人材確保にもつながるため、働き方改革の一環として注目されています。現代の多様化したライフスタイルに柔軟に対応できる点も、スーパーフレックス制度の特徴です。
スーパーフレックス制度のメリットは3つ
スーパーフレックス制度は、働く時間を柔軟に選択できる働き方です。この制度が広く導入されることで、労働環境が大きく変化することが予想されます。
スーパーフレックス制度が、私たちの働き方にどのような変革をもたらすかを知っておくことは非常に有益です。本章では、スーパーフレックス制度が実現する主なメリットを3つ紹介します。
メリット①生産性の向上
注目すべきメリットのひとつは、生産性の向上です。始業時間や終業時間を柔軟に調整できるため、従業員は自分の体調や仕事の効率を考えて、効率良く業務に取り組めます。
それぞれが自分のスタイルに合わせて働くことも可能です。たとえば、朝型の人は早朝に集中して作業できます。また、通勤ラッシュを避けてゆったりと仕事をしたい人は、お昼前から出勤することも可能です。
自由で柔軟な働き方は、優秀な人材の確保にもつながり、結果として生産性向上が期待できます。
メリット②長時間労働の抑止
大きな利点として、長時間労働の抑止につながることも挙げられます。働く時間を自分で自由に設定できるため、生活スタイルや仕事の進捗状況に応じて、労働時間を柔軟に調整できるからです。
労働時間を自分の状況に応じてコントロールできるため、長時間労働のリスクを軽減できます。遅くまで働いた日の翌日は勤務時間を短くすることもできるため、無駄な残業代も発生しません。従業員のストレスや残業時間を減らせることは、企業にとっても大きな利点です。
メリット③優秀な人材の確保
優秀な人材確保につながることもメリットです。自由な時間に働きたい人が集まるだけでなく、育児や介護などの都合により、通常時間での勤務が難しい人にも活躍の場を提供できます。
優れたスキルや経験を持ちながら、時間の都合がつかずに能力を発揮できないのは惜しいことです。スーパーフレックス制度は、勤務時間の悩みを抱える優秀な人材を適所に配置する有効な施策となり得るでしょう。
個人のライフスタイルに合わせた労働環境を提供することは、優秀な人材確保に直結します。時間にとらわれない働き方を推進することにより、国外や他社から優秀な人材が流入することも期待できるでしょう。
スーパーフレックス制度のデメリットは3つ
スーパーフレックス制度の導入により、ワークライフバランスや生産性向上などのメリットがある一方で、デメリットにも目を向ける必要があります。制度導入のデメリットについてあらかじめ理解しておくことにより、想定外のリスクに不安を感じることはなくなるでしょう。本章では、スーパーフレックス制度のデメリットを3つ紹介します。
デメリット①顧客とのコミュニケーションに支障をきたす
自由な時間に働けることは利点ですが、顧客とのコミュニケーションに支障をきたすというデメリットも考えなくてはなりません。従業員が働く時間を自由に決められるため、顧客の活動時間とずれてしまう可能性があるためです。
いつ連絡しても担当者が不在であるというケースもあるでしょう。頻発すると顧客からの信用を損なうおそれがあります。スケジューリングツールや、情報共有の仕組みを強化するなどして、顧客とのコミュニケーションの問題を防ぐことが大切です。
デメリット②人事担当者の管理能力が問われる
デメリットとして、人事担当者の管理業務が煩雑になり、負担が大きくなるという問題もあります。それぞれの従業員が異なる時間に働くことになり、労働時間の管理が複雑化してしまうことが原因です。
働く時間が自由ということで、従来よりも細かい時間単位での管理が必要になり、長時間労働のチェックもしなくてはなりません。新たな勤怠管理システムの導入も必要です。生活リズムの乱れや生産性の低下など、制度に順応できない従業員もいるかもしれません。
人事の工数増加というデメリットに対処するためには、クラウド勤怠管理システムやその他システムの導入も必要になるでしょう。
デメリット③有給消化率が低下する
従業員が自分のスケジュールに合わせて仕事をするようになると、有給休暇の消化率が低下することが懸念されています。従来は有給休暇を取得していたケースに対して、労働時間の調整で対処できてしまうからです。
自由な時間に働けることは大切ですが、有給休暇も労働者の健康や生産性の維持にとって重要な制度と言えます。スーパーフレックス制度の導入により、有給休暇の取得が減少するデメリットを軽減するために、企業は有給休暇の取得をこれまで以上に促す必要があるでしょう。
スーパーフレックス制度だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
スーパーフレックス制度の導入・管理は、重要な課題です。しかし企業の人事戦略を成功させるためには、あらゆる人事データの統合分析も欠かせません。
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自社にスーパーフレックス制度を導入するための手順
働き方改革の一環として、スーパーフレックス制度の導入を検討する企業は増加していますが、導入のための具体的な手順がわからない、どんな手続きをすればいいのか知りたいという意見も聞かれます。
本章では、スーパーフレックス制度を導入する際の具体的な手順について、労働基準法をもとにわかりやすく解説します。
①就業規則に規定
スーパーフレックス制度を導入する際は、会社の就業規則に制度の内容を明記する必要があります。始業・終業の時刻を労働者が自由に決定できるという内容の文言を、就業規則に明確に記載しなくてはなりません。具体的には、従業員が自分の労働時間を設定できる範囲や、その際に適用される制限などを詳細に規定する必要があります。
従業員の自己決定を尊重する優れた制度であるからこそ、全従業員がシステムを理解し、適切に運用できるようにすることが重要です。就業規則の整備は、スーパーフレックス制度を活用する上での重要な基盤と言えるでしょう。
②労働協定の締結
スーパーフレックス制度の導入には、書面による労使協定の締結が必要です。労使協定とは、事業所の過半数を代表する労働者または労働組合と、事業者とが協議をした上で合意した規定を指します。労使協定は、スーパーフレックス制度の詳細な運用ルールを定めるものです。
労使協定では、制度の対象となる従業員の範囲や清算期間・清算期間中の労働時間・1日の標準労働時間などを定めます。深夜や早朝の時間帯を外す場合なども、労使協定で規定しなくてはなりません。制度が従業員にとって公正なものであるために、具体的に規定することは重要です。
注意:残業が発生する場合は36協定の締結が必要
スーパーフレックス制度は、従業員が始業・終業の時刻を自ら決定できる制度です。しかし、総労働時間を超える労働(残業)が発生する場合、あらかじめ時間外労働協定(通称36協定)を結ぶ必要があります。
36協定とは、法定の労働時間や休日を超えて働くことを、労使間で合意するための協定です。労働基準法第36条に基づいており、合意した内容は行政官庁に届け出る義務があります。また、清算期間が1ヶ月を超える場合は、週平均50時間を超えて働くと残業扱いになるため注意が必要です。
スーパーフレックス制度のよくある質問
スーパーフレックス制度とフレックス制度は、どのように違うのでしょうか。他にも裁量労働制との違いについても気になるところです。
本章では、スーパーフレックス制度に関するよくある質問に対し、具体的かつわかりやすい回答を提示します。職場での働き方を見直すために、この制度に対する具体的な疑問を解消してください。
①フレックス制度との違いは?
通常のフレックス制度との大きな違いは、コアタイムの有無にあります。フレックス制度ではコアタイムが設定されており、その時間帯は必ず仕事をしなければなりません。たとえば、コアタイムが10~15時までであれば、その間は出社して業務を行う必要があります。
一方で、スーパーフレックス制度にはコアタイムがなく、従業員は自分のライフスタイルに合わせて労働時間を自由に設定可能です。育児や介護などにより、早朝から働いたり一時帰宅したりといった柔軟な働き方を選べます。それぞれの働き方に対応した、非常に自由度の高い働き方です。
②裁量労働制とは違うの?
スーパーフレックス制度と裁量労働制は、両者とも労働時間の柔軟性が特徴です。しかし、その適用範囲や働き方に大きな違いがあります。
裁量労働制は、労働者が自分の裁量で仕事を進める制度で、あらかじめ企業と労働者が定めた「みなし労働時間」に基づいて賃金が支払われる制度です。
この制度の特徴として、労働者が自分の裁量で仕事の進め方を決められる点が挙げられます。専門性や創造性の高い業務などで、特に生産性を高めるでしょう。裁量労働制は仕事の進行管理を重視し、スーパーフレックス制度は生活スタイルに応じた柔軟な勤務時間設定を重視しています。
③残業代の計算方法は?
スーパーフレックス制度における残業代は、個別の日ごとではなく、一定の清算期間で計算します。特定の日ではなく、清算期間全体で実労働時間が法定労働時間を超過した場合にのみ、超過部分が時間外労働とみなされ残業代が発生する制度です。
たとえば、1ヶ月(20日)の清算期間で法定労働時間を8時間とすると、期間全体の法定労働時間は160時間です。この1ヶ月で実労働時間が170時間だったとすると、超過した10時間分に対して残業代が支払われます。
また、清算期間全体で実労働時間が法定労働時間を下回ると、その差分が賃金から差し引かれることに注意しましょう。上記の1ヶ月で、実労働時間が150時間なら、10時間分の賃金が差し引かれます。
まとめ
本記事では、スーパーフレックス制度の定義やメリット・デメリットについて紹介し、具体的な導入方法や想定される質問について解説しました。メリット・デメリットをしっかりと理解し、就業規則への規定や労使協定の締結など、具体的な手順を知ることができれば幸いです。
スーパーフレックス制度導入に際しては、各種の人事情報を分析し、人事課題解決のための根拠ある施策を打てるタレントパレットの活用を、ぜひご検討ください。
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