帰属意識とエンゲージメントの違いとは?帰属意識を高めるメリットや方法も解説


帰属意識とエンゲージメントの違いとは?帰属意識を高めるメリットや方法も解説

エンゲージメントと帰属意識は、どちらも社員と企業のつながりを表す言葉ですが、その目的や内容に違いがあります。エンゲージメントは、社員が仕事や企業に対して感じるモチベーションや積極的な関わりを示し、仕事の成果やパフォーマンスに直接影響を与えるものです。一方、帰属意識は、社員が企業や組織の一員であることを強く感じ、その組織への愛着や忠誠心を抱く状態を指します。
本記事では、エンゲージメントと帰属意識の違いを明確にし、特に帰属意識を高めることのメリットやその具体的な方法について、企業における実践的な視点から詳しく解説します。

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エンゲージメントと帰属意識との違い

エンゲージメントと帰属意識は、いずれも社員と企業とのつながりを示すものですが、内容と目的には違いがあります。
帰属意識は、社員が「自分がその組織の一員である」という意識で、組織に対する愛着や関心を持つことを指します。社員が企業に深い感情的なつながりを感じる状態であり、特に企業に対して忠誠心を持ち、貢献しようという気持ちが強くなります。
エンゲージメントは、社員が企業やその目標達成に対して積極的に関与しようとする意欲を指し、社員が自発的に努力し、成果を追求する姿勢を促します。その結果、仕事への意欲が高まり、業務の生産性が向上します。

エンゲージメントとは

エンゲージメントとは、社員が企業に対して持つ貢献意欲や、企業の目標達成に向けた積極的な姿勢のことです。エンゲージメントが高い社員は、仕事に対して強い責任感を持ち、業績や生産性が向上しやすくなります。
また、エンゲージメントの高い組織は、離職率の低下や、企業の成長に大きく貢献する可能性が高まります。社員が自発的に組織の成功に貢献しようとする行動が、企業にとって重要な成果をもたらします。

帰属意識とは

一方、帰属意識は、社員が特定の組織や企業の一員であることに対する感覚や意識のことです。帰属意識が高い社員は、組織に対する愛着や忠誠心を持ち、企業に貢献しようという意識が強まります。

帰属意識が高まると、組織内の一体感が生まれ、社員同士の議論や協力が活性化されます。しかし、帰属意識が低下すると、生産性の低下や離職率の増加といったリスクも生じます。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、職場内でのコミュニケーションにおいて、自由に意見を述べられる安心した状態を指します。心理的安全性が低いと、社員は「馬鹿にされる」「否定される」などの不安を抱きやすくなり、意見を隠したり議論を避ける傾向があります。
一方で、心理的安全性が確保されている職場では、社員は自由に意見を出し合い、組織全体の帰属意識やパフォーマンスが向上します。特に管理職がメンバーに対して公平な発言機会を提供し、尊重する姿勢を持つことが、心理的安全性を高めるために重要です。

帰属意識が「気持ち悪い」といわれる理由

帰属意識が「気持ち悪い」と感じる背景には、時代の変化や個人の価値観の尊重が大きく影響しています。近年では、多様性や自己表現を重視する風潮が強まり、企業に対して強い帰属意識を求められることに違和感を持つ人が増えています。
企業が愛社精神を押しつけたり、組織への忠誠心を強要するような姿勢を見せると、社員はこれを「不自然」や「気持ち悪い」と感じ、反発を引き起こす可能性があります。
企業側としては、社員に無理に帰属意識を持たせるのではなく、自然な形で組織とのつながりを感じられる環境作りが求められています。

エンゲージメントや帰属意識を高めるメリット

エンゲージメントや帰属意識を高めるメリットは主に3つあります。以下で詳しく解説します。

社員のモチベーション向上につながる

エンゲージメントや帰属意識が高まると、社員は自分が企業に必要とされていると感じ、企業に対する貢献意欲が自然に生まれます。この認識により、業務への意欲や積極性が増し、結果として企業の業績や生産性にプラスの影響を与えることが期待できます。社員のモチベーションが向上することで、個々のパフォーマンスが向上し、生産性のアップにもつながります。

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定着率の向上につながる

エンゲージメントや帰属意識が高い社員は、企業に対する愛社精神や働きがいを感じ、企業への定着意識が強まります。これにより、離職率が低下し、企業は人材の維持・育成コストを削減できるだけでなく、チームの一体感が向上し、業務のスムーズな進行が促進されます。社員の定着率が高い企業は、組織の成長や競争力強化にもつながるメリットを享受できます。

組織力の向上につながる

エンゲージメントが高い組織では、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、チームワークが強化されます。結果として、個々の社員だけでなく、チーム全体のパフォーマンスが向上し、組織全体の生産性も高まります。
こうした組織力の向上により、企業は競争力を強化し、持続的な成長に貢献することが可能です。

エンゲージメントや帰属意識が低いことによるデメリット

エンゲージメントや帰属意識が低いことによるデメリットも解説します。

業務効率が低下する

帰属意識が低い社員は、社内での問題に対して積極的に関与せず、受け身な姿勢になりがちです。「誰かが解決してくれる」という意識が広がると、社員1人ひとりの責任感や主体性が低下し、業務に対する熱意や意欲も減少します。
その結果、チーム全体や組織の生産性が低下し、業務効率が落ちていきます。エンゲージメントやロイヤルティが低いことは、組織の成果にも悪影響を及ぼすリスクがあります。

離職率が増加する

エンゲージメントや帰属意識が低い社員は、組織への一体感や仕事への意義を感じづらくなります。そのため、社員は「この企業で働き続ける理由がない」と感じやすくなり、転職や離職を検討するケースが増えます。
帰属意識の低下が続くと、組織全体での離職率が高まり、人材の流出が止まらなくなる可能性があります。

既存社員への負担が増加する

離職者が増えることで、残った社員に多くの業務負担が集中します。人員が不足することで、離職者の穴を埋めるための追加業務が生まれ、残った社員に過剰な負担がかかります。また、新しい人材を採用した場合、教育や信頼関係の構築に時間とリソースを割く必要があり、既存社員の負担がさらに増すことになります。
これが続くと、社員全体に「負担が大きい」という認識が広がり、さらなる離職を招く悪循環に陥るリスクが高まります。

エンゲージメントや帰属意識が低くなる原因

エンゲージメントや帰属意識が低くなる主な原因を6つ解説します。

コミュニケーション不足

社内でのコミュニケーションが不足すると、社員は企業や部署への愛着を感じにくくなります。経営陣と現場、上司と部下、部門間でのコミュニケーションが円滑でないと、社員は自分が組織の一員として重要な役割を果たしていると実感できず、帰属意識が低下します。
特にリモートワークの普及により、社内での対面交流の機会が減少し、コミュニケーション不足がより深刻化しています。

終身雇用制度と年功序列の崩壊

かつては終身雇用制度や年功序列によって、長く働けば昇進や昇給が期待できるという見通しがありました。しかし、現代ではこれらの制度が崩壊し、転職が一般化しているため、同じ企業に長期間勤めることへの意識が薄れています。この変化により、社員の企業に対する帰属意識が薄まりやすくなっています。

成果に対する適正な評価がされていない

成果主義が強調される現代では、適正な評価がされない場合、特に成果を出している社員のモチベーションが低下します。努力が評価されず、報酬や昇進に結びつかないと感じた社員は、組織に対する貢献意欲を失い、エンゲージメントが下がる傾向にあります。特に、不公平な評価制度は、社員の士気に悪影響を及ぼします。

企業のビジョンや社員の役割が曖昧

企業が明確なビジョンを掲げていない場合、社員は自分の仕事の意義を見出せなくなり、企業に対する信頼感が低下します。また、社員が自分の役割を理解していないと、仕事への意欲や責任感が薄れ、帰属意識が低下しやすくなります。役割が明確でないことで、仕事に対する積極的な貢献が難しくなるのです。

時間対応型の賃金制度の採用

「働いた時間に応じて賃金を支払う」時間対応型の賃金制度では、効率的に仕事をこなすことよりも、長時間働くことが評価されがちです。この仕組みが、効率よく業務を遂行する社員のモチベーションを下げ、エンゲージメントの低下につながる原因となる場合があります。また、この制度が原因で社員間に対立が生まれることもあり、社内の一体感が損なわれる恐れがあります。

過剰な法令順守

過剰なコンプライアンス対応、いわゆるオーバーコンプライアンスにより、社員が新しい挑戦や提案をしにくい環境が生まれると、企業内でのやりがいが失われます。社員が挑戦的な行動を取れなくなると、エンゲージメントが低下し、企業の成長にも悪影響を与える可能性があります。

エンゲージメントや帰属意識を高める方法

ここからは、エンゲージメントや帰属意識を高める方法を6つ解説します。

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企業理念を明確にする

エンゲージメントを向上させるためには、企業のビジョンや理念を明確にし、社員と共有することが重要です。企業がどのような目標を持ち、どのように成長を目指しているのかを社員に理解させることで、社員は自分の役割が企業の成長に直結していると実感し、モチベーションが向上します。理念に共感することで、社員は企業に対する愛着や責任感を持つようになります。

公平な評価制度の採用

社員のエンゲージメント向上には、正当な評価が不可欠です。不透明で不公平な評価制度は社員のやる気を損ない、結果としてエンゲージメントが低下します。
透明性のある評価制度を導入し、社員1人ひとりの貢献に対する報酬や評価を公平に行うことで、社員は企業への信頼感を持ち、帰属意識も高まります。

多様なワークスタイルの推奨

リモートワークやフレックスタイム制など、社員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を認めることで、ワークライフバランスが改善され、社員の仕事に対する満足感が向上します。結果として、社員は自分のニーズに合った働き方ができるため、企業への愛着が高まり、帰属意識も向上します。

チャットツールや社内SNSの活用

リモートワークの普及に伴い、コミュニケーション不足が課題となるため、チャットツールや社内SNSを導入し、社員間の気軽な交流を促進することが重要です。これにより、社員同士の一体感が強化され、組織全体の帰属意識が向上します。コミュニケーションの円滑化は、業務効率の向上にもつながります。

発言しやすい環境づくり

社員が自由に意見を述べ、互いにサポートし合える環境を整えることも、エンゲージメント向上に役立ちます。発言しやすい雰囲気があれば、社員は「自分はこの会社にとって必要な存在だ」と感じ、組織への貢献意欲が高まります。

1on1ミーティングの実施

定期的な1on1ミーティングを行い、上司と部下が直接対話をすることで、社員の悩みや考えに寄り添い、適切なサポートを行えます。これにより、社員の不満や不安を解消し、エンゲージメントの向上に貢献します。

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まとめ

帰属意識とエンゲージメントは、どちらも企業と社員のつながりを示す指標ですが、目的や効果に違いがあります。帰属意識が高まることで、社員のモチベーション向上や離職率の低下、さらには組織力の向上が期待できます。

企業は、理念の共有や公平な評価制度の導入、発言しやすい環境作りなどを通じて、社員の帰属意識を高める施策を積極的に導入していくことが重要です。組織全体のパフォーマンスを高め、持続的な成長を実現するために、エンゲージメントと帰属意識の両方を意識して取り組みましょう。

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