こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ストレスの多い現代社会において、心の安らぎは非常に重要です。そこで本記事では、ストレスの軽減に効果があるとされる「セルフコンパッション」をお伝えします。
また、セルフコンパッションを高めるための具体的な方法やメリット、導入事例などについても触れますので、メンタルケアにお役立てください。
セルフコンパッションとは?
セルフコンパッション(self-compassion)とは、自己を思いやる、または慈しむという概念です。思いやりや慈しみの心を自分自身に向けることで、自己肯定感に満ちた安定的な状態を得られます。
仕事や日常生活で自分に厳しいことは向上心ある心がけですが、自己統制が過ぎると、ストレス増大や自己肯定感低下をもたらしかねません。適度に自分の心に思いやりを与え、満ち足りた状態にする必要があります。
また自分自身を大切にすることが、他人に対する思いやりの心を育んで共感の幅を広げるでしょう。
ビジネスでセルフコンパッションが注目される背景
ビジネスにおいてセルフコンパッションが注目を集めている背景には、うつやストレス障害など、メンタルの不調を起こしやすい日本人の現状があります。謙遜や自己卑下を美徳とする伝統も、自己肯定感低下の遠因と言えるかもしれません。
職場環境も一因であり、仕事で自己評価を下げる状況が多発すると、自己肯定感が著しく低下する恐れがあります。自己肯定感の低下はストレスとなり、メンタルを損ないかねません。
このような背景から、自分自身の心を思いやり、精神のバランスを回復させることが求められているのです。
セルフコンパッションの3つの要素
自分に対する思いやりには、3つの要素があります。本章では、それぞれの要素を詳しく解説します。
1.自分への優しさ
他人に思いやりを示すのと同様に、自分自身に対しても優しさをもって接することが重要です。過度な自己批判は避け、自己受容と成長を促せば、メンタルヘルスの向上に大きく寄与するでしょう。
自分自身に対する過度な厳しさや不寛容さは、自己評価を下げてストレスを引き起こします。安定した精神状態で仕事をして人間関係を良好に保つために、自分への優しさを心がけてみましょう。
2.共通の人間性
共通の人間性とは、人間なら誰しもが持っている心の傾向を意味します。困難に直面したときに苦しみや悲しみを感じるのは自分だけではなく、誰しもが経験する悩みだと考えることで、孤独な状態で苦しんでいる状態を抜け出せます。
個人的な困難や悩みに直面したとき、その苦しみを自分だけのものだと感じるのは仕方ありません。しかし、現実には多くの人が同様の感覚を持っているはずです。共通の人間性を認識すれば、自分だけが孤立して苦しみを味わっている感覚を軽減できるでしょう。
3.マインドフルネス
マインドフルネスとは、自分の思考や感情・身体の感覚をそのまま受容することを指します。ありのままの事実を受け入れれば、悲観的な自己批判を避けられるでしょう。
苦しみに直面しているときには、主観的な感情がメンタルの回復の妨げになる場合があります。しかし、「早く立ち直らないと」「こんなことでクヨクヨするなんて」などと、否定的な感情を増幅してはいけません。目の前の事実とそれに対する自分の感情とを明確に区別し、自己理解を深めることが大切です。
セルフコンパッションを高める方法
自分自身に対する優しさや思いやりは、自分の心と向き合うことを可能にし、苦しみや悩みに押しつぶされないよう守ってくれます。
それでは、セルフコンパッションを高めるには、どのようなことを心がけ実践していけば良いのでしょうか。本章では、セルフコンパッションを効果的に向上させる方法について、具体的に解説します。
リマインドペーパーの作成
リマインドペーパーとは、セルフコンパッションの考え方を紙に書き出しておくことです。困難に直面し心が乱れたときに、いつでも見返せるようにしておけば、初心を思い出すことができるでしょう。
セルフコンパッションを意識していても、いざ精神的に苦しい状況になると感情的になってしまう場合もあるでしょう。そこでリマインドペーパーを読み返すと、自分への思いやりを思い出す際に効果があります。
マインドフルネスの考え方を身につける
マインドフルネスとは、現在の感情や思考をありのまま受け入れる考え方です。マインドフルネスを身につけて、この瞬間に自分が考えていること・感じていることを客観的に捉える心を養いましょう。
ありのままの自分を見つめることは自己の内面に対する深い理解につながり、感情の波に左右されない余裕を生み出すでしょう。
ジャーナリングで心の中を書き出す
ジャーナリングとはエクスプレッシブ・ライティングとも呼ばれており、心の中を書き出して自己理解を深める手法です。自分の心で感じたことを文章として書き出して感情を整理して、課題を客観視します。
自分の心の中を文章にする際は感じたままを書くことに集中し、気持ちを誤魔化したり取り繕ったりしないことが重要です。言葉として目に見える形にすれば、自分でも気づかなかった願望や感情に気づけるため、自己理解を促します。
慈悲の瞑想で心を癒す
慈悲の瞑想とは、自分自身や他人が苦しみから解放され、幸せになることを願う瞑想です。意識の集中や精神の安定を目指す一般的な瞑想とは異なり、自他に対する慈悲の心を自覚して育てることを目的としています。
静かな環境で深く呼吸を整え、自己や他人が苦しみから解放され安らかな気持ちになれるよう願うのが慈悲の瞑想です。「私が幸せでありますように」「皆の苦しみがなくなりますように」といった願いを心の中で繰り返し念じ、自他への深い思いやりを育てます。
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セルフコンパッションを高めるメリット
セルフコンパッションは、自分自身に対する共感を高めて理解を深めます。自己肯定感を向上させ、メンタルヘルスを維持するためには自分を思いやることが大切です。自分を思いやる心は人間関係を良好にし、精神の安定に寄与するでしょう。
本章では、セルフコンパッションを高めることで得られるメリットと、実践するための具体的な方法を解説します。
心身の健康を維持できる
自己への慈しみを育むことにより、心身の健康を維持できます。自己を深く理解し大切に扱えば、安定した精神状態を得られるでしょう。
精神状態が安定すると、ストレスや不安に悩まされることなく、仕事のパフォーマンスアップも期待できます。精神状態は身体の健康にも深く関連しているため、マインドフルネスやジャーナリングなどで心を癒せば、肉体的にも健康に近づくはずです。
幸福度を高める
幸福度アップも重要なメリットです。自分を大切に扱うことで自己肯定感が高まり、自他の心身状態を悪化させるようなネガティブな考え方をすることが減っていきます。ネガティブな感情に振り回されなくなると、自己に対しての肯定的な見方が習慣化するでしょう。
自己を肯定的に捉えられれば、ありのままの自分を受け入れるようになるでしょう。そのままの自己を受容すれば、成長へのモチベーションアップにつながります。
ストレスが軽減される
自分を慈しむことで、身体的・精神的ストレスの軽減につながる効果も見逃せません。ストレスの原因は人により様々ですが、対処法を理解すれば大幅に軽減できます。自己受容や自己理解を習慣にすれば、自分を苦しめるストレスとの付き合い方が格段にうまくなります。
自分自身への共感と理解を深めれば、ストレスが引き起こすネガティブな感情をクリアできる力も養われるでしょう。
仕事へのモチベーションが向上する
自分への思いやりを育むことは、仕事のモチベーション向上にも関係します。困難な状況に直面した場合でも、苦境を乗り越えることに意識を集中させられるため、意欲的に仕事に取り組めるようになるのです。
自分自身への過度な批判や否定を減らし、自己を肯定できれば、困難に立ち向かい新たな挑戦を始める原動力が生まれます。セルフコンパッションは、仕事のパフォーマンスを向上させ、自己成長の可能性も広げてくれるでしょう。
コミュニケーションが活発になる
セルフコンパッションを高めることにより、コミュニケーションが活発になる点もメリットです。自分の心をコントロールすることにより協調性が芽生え、コミュニケーションの質が上がります。
自己理解と寛容さは、他者理解と共感につながります。結果として他者との関わりも思いやり深いものになり、より活発なコミュニケーションが実現するのです。自己に対する思いやりが他者への思いやりにつながっていく点が、セルフコンパッションの特徴と言えます。
セルフコンパッションを取り入れている企業
セルフコンパッションはストレスを緩和し、生産性や創造性の向上を支えます。多くの世界的企業でも積極的に採用されており、AppleやGoogleなどの有名企業でも行われています。
本章では、AppleとGoogleの取り組みについて詳しく見てみましょう。
Apple
Appleは、従業員の精神的な健康とウェルビーイングを重視する企業です。その一環として同社は従業員たちに瞑想を推奨しており、セルフコンパッションの習慣を養うことを勧めています。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズは、自分自身が瞑想により創造性を高めていた経験から、自社の従業員にも瞑想を奨励していました。
Googleもまた、セルフコンパッションを企業文化の一部として取り入れています。Googleではマインドフルネスの研修を実施しており、従業員が自己に対する理解と思いやりを深めようとしています。
Googleはこのような研修を通じて、従業員の働きやすさと生産性の向上をサポートし、組織全体のパフォーマンスアップにつなげているのです。
リーダーにセルフコンパッションが必要な理由
セルフコンパッションは、自己へ向けた優しさと理解を表しており、自分自身を大切に扱い、過度な自己批判から自由にしてくれます。自己への優しさは、リーダーシップを発揮する際にも重要な要素となり得ます。
本章では、なぜリーダーにセルフコンパッションが求められるのか、その理由と具体的な効果について解説します。
チームが円滑に仕事を進めるため
リーダー自身が自己認識と思いやりを持てば、チームが円滑に仕事を進められるようになります。なぜなら自己を深く理解できるリーダーは、自分の言動がチーム内の他メンバーにどのように影響を及ぼすかを理解できるからです。
自他に対する思いやりを持つリーダーの存在は、チーム内に安心感をもたらし、メンバーが自らの意見や提案を出しやすい環境を作るために多大な影響を与えます。自分自身に対する理解が深まることで他者への理解も深まり、より円滑なコミュニケーションと協力的な環境が整って全体の生産性・満足度アップにつながるでしょう。
フラットな視点で意思決定をするため
リーダーがセルフコンパッションを持つことにより、偏見をなくし中間的な立場で意見を出すことが可能です。自身への思いやりに基づく深い自己理解が、自分の感情や先入観への気づきを促し、意思決定に悪影響を与えることを未然に防いでくれます。
また、セルフコンパッションはリーダー自身を過剰な自己批判や誤った完璧主義から解放してくれるでしょう。その結果、リーダーは他者の視点を理解し、多様な意見を受け入れられるようになります。
リーダーへの信頼性と組織全体の意思決定の質を向上させるために、リーダーのセルフコンパッションが重要となるのです。
まとめ
本記事ではセルフコンパッションの概要やメリット、具体的な実践方法などについて詳しく解説しました。またAppleやGoogleなどの世界的大企業が、セルフコンパッションを企業文化にいかにして取り入れているかについてもお伝えしました。
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