適材適所の意味とは？

適材適所で人材を活用するために、まずは基本的な意味について解説します。

個々の能力や性格などに合った環境を与えること

一般的に適材適所とは、それぞれの人の能力や性格などに合わせた環境を与えるという意味があります。例えば実績のある人を出世させて高い地位を与える、専門知識を活かせる職場で働いてもらうといった形で人事を行うのが、適材適所の基本です。

社員それぞれの能力や希望、キャリアプランを考慮したうえで、最適な労働環境を提供することが適材適所のポイントになるでしょう。

適材適所のビジネスにおける意味

適材適所という言葉をビジネスの現場で使用する際には、以下の意味を持つ場合もあります。

会社の人的資本を有効活用すること

ビジネスの現場において、適材適所とは「会社の人的資本」を有効活用するという意味があります。適材適所とは、社員のスキルや現在の能力をしっかりと把握したうえで、成果を出せる・能力を発揮できる部署やプロジェクトへ異動させることと定義可能です。

社員のパフォーマンス向上を促し、会社の人的資本で具体的な成果を出すことが、適材適所の目的になるでしょう。

適材適所による人事が必要とされる背景

適材適所は現在、多くの企業で必要とされている施策です。以下では、適材適所による人事が必要とされている背景について解説します。

人手不足による課題を解決する一手として注目されている

適材適所は、人手不足による課題を解決する施策の1つとして浸透しています。社会の高齢化などによって、労働力となる人材は減少し続けています。慢性的な人手不足になりやすい現代においては、適材適所で社員のパフォーマンスを最大限に発揮できるように支援し、少人数でも事業を回せる環境づくりが注目されているのです。

働き方の多様化が広がっている

働き方改革によって、社員の労働スタイルは多様化しています。短時間勤務、介護・育児を優先した勤務、ワークライフバランスを意識した働き方など、社員ごとに重視するものは変わるのが一般的です。働き方の多様化に合わせて、適材適所で社員がストレスなく働ける状態を作りつつ、能力を最大限に引き出せる環境を提供することも重要視されています。

適材適所による効果・メリット

適材適所を実施することで、企業と社員にはさまざまな効果・メリットを与えられます。

社員のスキルや能力を成果に反映できる

適材適所を的確に実施することで、個々の社員が持つスキルや能力を事業成果に反映しやすくなります。社員がすでに所有しているスキルや過去の経験を活かせる職場に抜擢することで、事業の効率化や生産性向上につながる点がメリットです。

社員にとってもさらに評価される理由になるため、昇給や昇進などにつながる可能性が高まります。このように適材適所は企業と社員にとって、相互にメリットのある方法である点が特徴です。

社員のモチベーション向上につながる

適材適所で社員を別の部署やプロジェクトに異動させることは、「異動先の職場での活躍に期待している」という意味になります。社員への期待を伝えることで、異動先での仕事のモチベーションを高められる点もメリットです。

適材適所では基本的に社員が活躍しやすい職場への異動が実施されるため、本来持っている能力を発揮する機会が増えます。不得意な職場で低い評価を受けるケースは減少し、社員の能力を正しく評価しつつ事業成果につなげられるでしょう。

離職のリスクを低下させる

適材適所で社員に合った環境を提供することで、ストレスや不満を感じにくくなります。結果的に離職や心身の疲労による休職などのリスクを下げられるのも、適材適所を実施するメリットです。社員の離職率が高い場合には、現在働いている職場や仕事内容に不満を抱いている人が多い可能性が懸念されます。適材適所を実施して各社員を活かせる方法を考案し、離職につながる理由を排除するのがポイントです。

適材適所がもたらすデメリットと注意点

適材適所は多くのメリットを持つ一方で、さまざまなデメリット・注意点もあります。

社員の希望を把握したうえで実施する

適材適所による異動先は、人事の判断だけで決めるのはNGです。社員の希望やキャリアプランなどを把握したうえで、それに合わせた環境を提供する必要があります。人事の判断と社員の認識にズレが生じていると、適材適所が逆効果となる可能性も懸念されるため注意が必要です。

社員の潜在能力を活かせなくなる可能性がある

社員によっては、まだ表に出ていない潜在能力を持っているケースもあります。そのため早期に適材適所を実施してしまうと、社員が持つ本来の能力を活かせる環境を提供できない可能性があるのです。特に入社したばかりの若手社員に対しては、潜在能力を意識して慎重に適材適所を実施する必要があります。

適材適所を適切に実践する方法

適材適所の効果を得るには、正しい方法・手順を把握する必要があります。以下では、適材適所の基本的な実践方法について解説します。

正確な人事評価を実施する

適材適所を実施するには、正確な人事評価という基盤が必須です。社員の能力を正確に評価できていないと、適した環境を提案することは難しいでしょう。まずは人事評価の方法を見直し、正確性を高めるのがポイントです。

人事評価の方法は複数のパターンを試し、自社の環境および適材適所に最も適したものを選択します。改善した人事評価の効果は定期的に測定し、実際に正しい評価ができているか確認するのも重要です。

必要な業務や目標を明確に設定する

適材適所を実施する際には、自社の成長に必要な業務や達成すべき目標を明確にすることも大切です。業務・目標の達成に適した人材をピックアップして、適材適所による配置をするのが基本となります。特定の業務・目標達成のプロセスに人材が集中しないように、人数のバランスを取ることも重要です。

社員に適材適所の意味や必要性を伝える

いきなり異動を言い渡された社員は、人事の決断に困惑することも考えられます。事前に適材適所の意味や必要性を伝え、社員の能力を見込んだうえでの異動であることを説明するのがポイントです。まずは社員全体に適材適所の基本と実施の意図を説明する機会を設け、理解を得てから実践するのが理想的な流れになるでしょう。

適材適所を実施する際に役立つ施策・手法

適材適所を実施する際には、以下の施策・手法を実践することでスムーズに計画を進められます。

1on1による面談

1on1とは、上司と部下が1対1で面談をすることを意味します。定期的に話し合いの場を設けて業務に対する意識や悩みなどを確認し、社員の負担軽減や問題の解消につなげる手法です。社員は成長によって得意分野や興味のある業務が変わることもあるため、こまめに1on1による面談をしてより最適な職場を探すことも、適材適所を活かすきっかけになります。

ジョブローテーションで社員に合った業務をみつけ出す

ジョブローテーションとは、期間を決めてさまざまな業務を社員に経験させることを意味します。まずは複数の業務を経験してもらい、その結果や本人の感覚を参考に適材適所を実施することで、最適な環境・業務をみつけやすくなります。

社員の持つスキル、能力を正確に把握する

社員の持つスキル・能力を正確に把握するために、スキルマップを作成したうえ社内で共有し、可視化することも適材適所を活かすための手法となります。スキルマップとは、社員の業務遂行能力をひとまとめにした表を指します。誰がどのようなスキルを持っているか可視化できるため、スムーズに適材適所の判断が可能となるでしょう。

まとめ

適材適所は人手不足の解消や既存社員の能力を活かした事業展開など、さまざまなメリットを生み出す手法です。社員にとっても働きやすい環境で自分の実力を発揮できるため、やりがいのある仕事ができるでしょう。企業側・社員側に多くのメリットがある適材適所の導入は、企業に大きな影響を与えると予想されます。

この機会に適材適所の意味や導入方法を確認し、実際に社員のパフォーマンスを高めるための施策を実行してみてはいかがでしょうか。

適材適所を実施する際には、同時に人事戦略について練り直すことも重要です。タレントパレットの「「科学的」人事戦略e-BOOK」では、戦略的な人材配置の手法や人材を有効活用する具体的なノウハウを紹介しています。適材適所による成果を引き出すための環境づくりにつながるので、ぜひ「科学的」人事戦略e-BOOKを参考に具体的な計画を立ててみてください。


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