こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
退職した従業員が再雇用された場合、その人は「出戻り社員」と呼ばれます。近年、出戻り社員を歓迎する企業が増えつつあるようです。少し前までは、会社を辞めたら後戻りできないという考え方が一般的だったため、働き方に対する意識が変化している証と言えるでしょう。
今回は、出戻り社員が必要とされている理由や再雇用のメリット・デメリット、出戻り社員を採用する時の注意点、採用方法について解説します。
出戻り社員とは?
出戻り社員とは、何らかの理由で退職したものの、同じ会社に再雇用された従業員を指します。会社を辞めるという選択をした従業員の中には、「育児や介護で退職を余儀なくされたけど、状況が落ち着いたから働けるようになった」「他で働いてみたけど前職が合っていたから戻りたいと思うようになった」と考える人も少なからずい存在します。
このようなニーズに応えた採用は、出戻り採用やカムバック採用と呼ばれているのです。
出戻り社員が必要とされる理由
かつては終身雇用制度が当たり前で、定年退職まで働くことが一般的でした。そのため、転職や退職をネガティブに捉えるケースが非常に多く見られたのです。
しかし最近では、少子高齢化による労働力の減少もあり、慢性的な人手不足に陥っています。また人材の流動化も相まって、人材確保の難易度が高いという現状も出戻り社員が必要とされる理由の1つです。
さらにキャリアも多様化しているので、育児や介護が落ち着いてからリスタートするといったパターンも増えています。様々なキャリアが認められるようになり、元々働いていた企業に戻るという選択肢も前向きに捉えられるようになりました。
出戻り社員を再雇用するメリット
出戻り社員を再雇用することによって、企業側が得られるメリットがあります。それらのメリットは、以下のとおりです。
- 内外の経験が豊富
- 即戦力を期待できる
- 企業の雰囲気になじみやすい
- 採用コストを抑えられる
- 社内メンターとして活躍できる
5つのメリットについて詳しく解説します。
内外の経験が豊富
出戻り社員は、外部での勤務経験がある人が多く、知識や経験が豊富な人材と言えます。自社だけではなく、他の企業で経験したことや身につけた知識・スキルを持っているケースも珍しくありません。退社してから身につけたスキル・技術・知識・ノウハウを活かせば、業績アップに貢献する人材になり得ます。
家庭の都合で退職を余儀なくされた従業員であれば、負い目を感じている可能性もあるでしょう。しかし、そのような心境の中で再雇用してもらえたら感謝の気持ちも強くなり、会社に対して積極的に貢献してくれる可能性もあります。
即戦力を期待できる
出戻り社員は自社での勤務経験があるので、即戦力として期待できる人材です。一般公募で採用された従業員と比較してみると、スキルや知識の合致度は歴然の差でしょう。業界や業種に関する知見があるだけではなく、その企業ならではの仕事の手順やシステムなどを熟知しているのは大きな強みです。
企業の雰囲気になじみやすい
スキルや知識の他、企業風土も出戻り社員は熟知しています。企業風土は言葉で説明するのが難しく、実際に働いてみなければわからないものです。その点も出戻り社員ならではの強みだと言えるでしょう。
採用コストを抑えられる
出戻り社員の採用は、企業と個人の相互理解を得た上で採用活動が進みます。そのため、話の進みが早く、採用の工程が一般採用よりも少なくなるのです。過去に接点があるので、人脈を通じたアプローチも可能となります。
外部サービスにコストをかけずに、採用活動を完了させられるでしょう。また応募する側もスピーディに採用が決まるので、メリットが大きいと言えます。
社内メンターとして活躍できる
転職を経験したけれど、自分自身の甘さを痛感して出戻り社員になるケースもあります。そのような場合、経験を活かして社内メンターとして活躍する可能性が高いです。
他の企業で身につけた知識やノウハウなどを持つ出戻り社員が他の従業員にアドバイスや指導を行えば、一人ひとりのスキルが高まり、チームの業績アップにもつながるでしょう。また仕事の悩み相談を受けたり、キャリアアップのサポートを行ったりできるメンターがいれば、安心して働ける環境形成にもつながります。
出戻り社員を再雇用するデメリット
出戻り社員の再雇用にはメリットだけでなく、以下のデメリットも存在します。
- 現在の業務内容に適応できない
- 既存従業員に不満が生まれる
- 待遇面のバランス調整が必要
続いては、これらのデメリットについて解説します。
現在の業務内容に適応できない
出戻り社員は過去の経験に引っ張られてしまい、現在の業務内容に適応できない可能性があります。かつて在籍していた頃のやり方が変わっていなければ問題ありませんが、そのまま通用しないケースも珍しくないでしょう。退職から出戻りまでの期間が長くなるほど、その可能性が高くなります。
新しいやり方を理解し、適応してくれる従業員であれば大きなトラブルは起こらないでしょう。しかし、過去の成功を引きずって学び直しが難しい出戻り社員の場合、活躍は望めない可能性があります。
既存従業員に不満が生まれる
出戻り社員を採用することで、既存従業員から不満が生まれる可能性も考慮すべきポイントです。これまでの実績や他の企業で得た経験を加味し、それ相応の役職やポジションで採用するケースもあります。
出戻り社員の場合どのような人材かわかっているからありうることですが、既存の従業員からどのように見られるかという点に配慮しなければいけません。現役従業員として努力した人よりも出戻り社員の方が優遇されているように見えてしまうと、モチベーションの低下にもつながってしまいます。
待遇面のバランス調整が必要
出戻り社員だと、どうしても過去の成功で評価しがちですが、適切な評価ができなくなってしまう恐れがあります。既存従業員の不平不満を生まないようにするためにも、待遇面のバランス調整が必要です。
退職後の実績を考慮せずに課すよう評価してしまうといったパターンも考えられるでしょう。そのような事態を回避するため、待遇面はトータルのバランスを考えた上で調整するようにしてください。
出戻り社員の活用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
出戻り社員を再雇用すれば、即戦力を確保できるなどのメリットを企業は得られます。しかし、デメリットもあるので完璧とは言い切れません。そのような状況でも、人材を有効活用するには人事データの統合や分析が必要になります。
人事データの統合や分析を行う時におすすめなのが、タレントマネジメントシステムのタレントパレットです。タレントパレットを活用すれば、より効率的な人材育成や配置の最適化などを実現できます。
時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な経営課題と向き合えます。
・あらゆる人事情報を一元集約
・人材の見える化で埋もれた人材を発掘
・AIシミュレーションで最適配置を実現
・簡単操作で高度な人事分析が可能
⇒タレントパレットの資料を見てみたい
出戻り社員採用時に気をつけること
出戻り社員の採用にはメリットもありますが、気をつけたいポイントもあります。ここでは気をつけたいポイントを、3つ紹介します。
- 再雇用制度を整備する
- 再雇用後の待遇基準を定める
- 過去の実績にとらわれない
それぞれのポイントについて解説します。
再雇用制度を整備する
出戻り社員を採用するなら、再雇用制度の整備は必要不可欠です。再雇用する企業は増えつつありますが、再雇用制度をしっかりと整備している企業は多くありません。そのため、出戻り社員の待遇は基準が明確になっていないのです。
その結果、既存従業員からの不平不満が生まれる原因になっている場合もあります。既存従業員のモチベーション低下にも直結してしまうでしょう。そのような事態を防ぐためにも、再雇用制度の整備は重要です。
再雇用後の待遇基準を定める
出戻り社員を再雇用する場合には、再雇用後にどのような待遇で働いてもらうのかという点も考えておかなければいけません。給与やポジション、昇格などのバランスを取れる仕組みを構築しましょう。
出戻り社員の社歴や出戻りできる期間(退職してから何年まで可能か)、退職の理由(妊活や出産、育児、介護、配偶者の転勤、病気など)、退職後に身につけたスキル、取得した資格などを加味した待遇基準を定めるようにしましょう。
過去の実績にとらわれない
出戻り社員は、過去の役職や給与などにとらわれ、同じ条件を求めてくる場合も考えられます。同じ条件での採用が難しいケースも多いので、トラブルの原因になりやすいです。出戻り社員の反発が既存従業員のモチベーション低下をもたらし、社内の雰囲気が損なわれてしまう可能性も否定できません。
ある程度年数を経てから出戻ってきた場合や年齢を重ねている場合は、適応が難しいケースもあります。そのため、過去の実績だけにとらわれないようにしましょう。
出戻り社員の採用方法
出戻り社員の採用を行いたいなら、どのような採用方法があるかという点も把握しておくのがおすすめです。そこで、出戻り社員の採用方法を2つご紹介します。
アルムナイネットワークを活用する
アルムナイネットワークとは、退職者の同窓会のようなコミュニティです。アルムナイは、卒業生や同窓生といった意味を持つ言葉で、ビジネスシーンにおいては退職者を指します。コストを抑えながら即戦力となる従業員を採用したい場合におすすめの方法です。
アルムナイネットワークでは、退職者と現役の従業員が交流できます。コミュニティが形成されるため、採用のニーズが生まれた時にスピーディに情報を発信できるのです。つながりを持ち続けることにより、再雇用の相談もしやすくなるでしょう。
働き方の多様化に合わせた働き方を整備する
多様化する働き方に対応できるようにすることも重要です。時短勤務や副業可、業務委託などの可能性に柔軟な対応ができるような環境を整えておきましょう。
育児や介護を理由に退職した人は、働く時間や場所がネックになって出戻りできない場合もあります。幅広い勤務条件を提示できれば、出戻りもしやすくなるでしょう。
まとめ
出戻り社員の雇用は、メリットとデメリット、注意点を把握していれば有益な結果をもたらしてくれる可能性が高いです。また再雇用制度を整備しておけば、トラブルも回避しやすくなります。
人材管理がネックだと感じているのであれば、タレントマネジメントシステムのタレントパレットをご活用ください。タレントパレットは、あらゆる人事システムを活用できるため、出戻り社員などの人材管理にも役立ちます。
タレントパレットのHPはこちら