こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
リモートワーク(テレワーク)は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、働き方改革などを理由に多くの企業で導入が広がってきました。
この記事では、リモートワークを導入する際、必要なステップについて解説します。導入に当たっての、具体的なビジョンが浮かばない方は、ぜひ参考にしてください。
リモートワークとは
リモートワークとは、情報通信技術(ICT)を利用して、自宅やサテライトオフィスなど、いつものオフィスから離れた場所で働く方法のことです。
リモートワークには、自宅で働く在宅勤務や、サテライトオフィスやコワーキングスペースで行う業務がまず挙げられるでしょう。また、電車や飛行機といった移動中に行うモバイルワークに加え、休暇先でのワーケーションもテレワークの一つです。
リモートワークを導入した企業例については、下記の記事をご覧ください。
「リモートワーク企業」については、こちらの記事をご確認ください。
リモートワークが必要とされている背景
日本におけるリモートワークの導入は、90年代に始まりましたが、普及は伸び悩んでいました。しかし、近年はリモートワークが再び注目を集めているようです。その背景には何があるかを解説していきます。
感染症や災害の影響
リモートワークが増加している背景の一つは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響です。これによって、ビジネスの現場はさまざまな変化が求められました。
特に大きな変化は、緊急事態宣言下において、オフィス通勤に代わる手段として、リモートワークが注目されたことでしょう。
リモートワークができる環境を整えれば、オフィスに行く必要がなくなるだけでなく、さまざまな業務をオンラインで行うきっかけにもなります。
また、台風や豪雨・豪雪、地震など、さまざまな自然災害への対応という視点でも、リモートワークは注目を集めているようです。自然災害が発生すると、公共交通機関や道路にも影響が及び、帰宅困難者が出る恐れもあります。
リモートワークに対応済みであれば、事前に自宅勤務に切り替えられ、通勤できない日が続いても、業務を続行できます。
人材不足
少子高齢化や労働人口の減少などの影響によって、どの業界でも慢性的な人手不足に陥っています。能力や経験はあっても、職場への通勤が難しいため、別の仕事に就かざるを得ない人も少なくありません。
リモートワークを利用できる環境が整っていれば、そうした人材を雇用し、能力を発揮してもらえるでしょう。リモートワークでも可能な業務を割り当て、その分の人材をほかの業務に回せば、人材不足の解消につながります。
働き方の多様性が求められている
働き方改革や女性の社会進出推進など、ビジネスにおいて多様な働き方への対応は必須とも言えるでしょう。自宅やサテライトオフィスでも仕事ができるリモートワークは、働き方の多様性を広げる上でも注目を集めているようです。
育児や介護をしながら仕事を続けやすい、ワークライフバランスの向上を実現しやすいなどの観点でも、リモートワークという選択肢は欠かせないものとなっています。
リモートワーク導入のメリット
ここでは、お金や労力をかけてでも、リモートワークを導入するメリットについて解説していきます。
離職率の低下
リモートワークの導入は、離職率低下への寄与も考えられるでしょう。オフィス通勤ができなければ仕事ができない場合、体調不良や家族の都合があっても、社員は必ず職場に行かなければなりません。
一方リモートワークであれば、社員は状況に合わせて仕事のやり方を選べ、心身の負担を軽減できる可能性があります。育児や介護の必要性が増したとしても、柔軟な働き方に対応してくれる会社であれば、離職率低下につながるでしょう。
人材の確保
リモートワークを用意していれば、優れた人材を確保できる可能性が高くなります。例えば、通勤が難しい人でも、リモートワークで能力や経験を活かせれば、会社にとってメリットの大きい仕事をしてくれるかもしれません。
また、リモートワークのみの仕事であればオフィス勤務が不要です。たとえ外国に住んでいても、現地で仕事をするだけなら、ビザを取得する必要がないため、人材確保の幅が広がります。
コスト削減の実現
リモートワークの導入が進めば、オフィス勤務をする人が減り、通勤費用の支給額を減らすことができます。また、オフィスで過ごす人数や時間が減れば、電気代や水道代、各種設備・備品の費用といったランニングコストも減るでしょう。
IT化による業務効率の向上
リモートワークを導入するためには、ある程度のIT化やシステムによる自動化などが求められます。業務方法に変更が生じるため、マニュアルの後進や、関係社員への説明は必要になりますが、導入後は業務の効率化が期待できるでしょう。
今まで手作業でやっていた入力作業や共有作業、連絡などが自動化・効率化されることで、従業員は本来の業務に集中して取り組めます。
もちろん、リモートワークの導入=業務効率化と言えるほど単純ではありません。しかし、自社のニーズを見極め、効率化を進められるポイントを見極めて業務を改善できれば、手間と費用以上のメリットが実感できるでしょう。
ワークライフバランスの向上
少子高齢化社会では、親の介護をしなければならない人も増えています。また、共働きも当たり前のため、育児への対応も会社には求められるでしょう。加えて、過労につながる働かせ方をしていないかどうかという目も厳しくなっています。
リモートワークの導入によって、働き方が柔軟になるのはもちろん、ITやシステムの導入で業務の効率化も期待できます。業務効率化による残業時間の減少は、従業員の満足度向上のみならず、会社のコスト削減にもつながるでしょう。
リモートワークを利用して、こうした取り組みを上手に進めていくことができれば、さまざまな面でよい影響が期待できるでしょう。
リモートワークを利用した際の生産性の課題やメリットについては、下記の記事で詳しく扱っています。
「リモートワーク生産性」については、こちらの記事をご確認ください。
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リモートワークの導入ステップ
ここからは、リモートワークを導入するための必要な準備について、ステップごとに解説していきます。
STEP.1:導入目的の明確化
まずは、リモートワークを導入する目的を明確にします。
「何となくあった方がいいと思うから」「導入している会社が増えているから」など、目的が曖昧なまま導入すると、必要なルール作りができません。業務効率改善の効果も薄れてしまうでしょう。
リモートワークの導入目的を明確にすることで、リモート化する業務の決定もスムーズに行えます。業務効率の改善効果が薄い業務を除外する作業も、迅速に行えるでしょう。
STEP.2:現状把握と導入範囲の検討
目的を明確化した後は、リモートワークを導入する範囲を具体的に絞っていきましょう。部署ごとにリモートワークを導入すべきか、それともプロジェクト単位で導入した方がいいかなど、自社の業務に合わせて検討する必要があります。
適切な導入範囲を見極めるためには、それぞれの部署・プロジェクトで行われている業務について、作業フローも含めての現状把握が欠かせません。現場の声も集めた上で、リモートワークの導入範囲を決定していきいましょう。
STEP.3:導入後のシミュレーション
リモートワークを実際に導入した場合、どのような変化や影響があるかをシミュレーションしておきましょう。そうすることで、新たに必要となるサポートや、導入が必要なシステムなどが見えてきます。
シミュレーションをする際、関係する従業員に必要な指導や教育もピックアップしていきましょう。例えば、ネットを使用した業務が増えるため、ネットリテラシーやセキュリティ意識の向上に関する指導・教育・講習会などが必要になるかもしれません。
STEP.4:導入チームを作る
リモートワーク導入の工程が固まったら、リモートワーク導入チームを作ります。導入チームでは、対象となる部署への機器の設置や、業務の手順を説明する業務を担当します。
具体的には、必要になる機材リストの作成・共有、予算計画、導入の日程の決定、作業を行っていくといった仕事が必要になります。
この時に、リモートワーク導入チームのリーダーも選出しておきましょう。部署やプロジェクトのリーダーなどと連絡を取り合い、作業がスムーズに進む体制作りに役立つはずです。
STEP.5:制度(ルール)作り
リモートワークを導入すれば、働き方にもさまざまな変化が現れます。勤務スタイルや勤務時間の管理方法、連絡方法や禁止事項などを含めた、リモートワーク専用のマニュアルを作成していきましょう。
加えて、就業規則も見直す必要があります。リモートワーク導入後の勤務スタイルにおいて、会社として取り決めたいルールは、就業規則にも追記していきましょう。
また、リモートワークには特有のストレスや問題があります。どのような行為が職務怠慢に当たるかなども明記しておけば、トラブルも防ぐことができるはずです。
STEP.6:ツールの導入と通信環境の整備
リモートワークに必要な機材をやツールを明確にし、リストアップしていきましょう。導入チームを中心に、現場でのヒアリングも行い、部署ごとに必要な機材もまとめておきます。
注意しておきたいのは、リモートワークにはある程度の安定した通信が必要になることです。特に、Web会議などを行う計画がある場合は、参加する人数も含めて、必要なデータ通信ができる環境を整えることが大切です。
STEP.7:テスト導入と問題点の改善
リモートワークができる通信環境が整った後は、試験的にリモートワークを導入して、テスト運用を始めてみましょう。実際に業務を行っていく中で、シミュレーションの際に出なかった問題や課題が浮き彫りになることもあります。本格運用の前に、そうした点を見つけ、必要であれば修正・改善をしていきましょう。
STEP.8:説明会や講習会の実施
テスト運用にも問題がなく、通常業務がリモートワークに対応できる環境が整った後は、関係する従業員を対象に、説明会や講習会を実施します。導入シミュレーションの際、説明や指導が必要とされた内容に加え、改訂したマニュアルの解説や、就業規則の変更・追加箇所などもしっかり説明しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができるでしょう。
リモートワークを導入する際の注意点
ここでは、リモートワークを導入する際に注意しておきたいポイントをご紹介します。
ITリテラシーの向上が必要
リモートワークで業務を行う際は、必然的にネットを利用する頻度が増えます。社外に出していけない情報を扱ったり、機密性の高い取引内容に関するデジタル資料を閲覧したりすることも多くなるでしょう。これまで以上に、情報漏洩に対する注意が必要です。
そのため、ITリテラシーの向上は必須になります。コンピューターウイルス感染の危険性、秘密性の高い情報を扱う際に注意しなければならないこと、インターネット上でのモラルなど、ITリテラシーに関する教育を社員に徹底する必要があるでしょう。
ITリテラシーの低い社員がリモートワークを行う場合、会社全体にさまざまなリスクがあることに注意しておきましょう。
リモートワークに関するセキュリティについては、以下の記事でも詳しく扱っています。
「リモートワークセキュリティ」については、こちらの記事をご確認ください。
コミュニケーション不足になる可能性
リモートワークで仕事を行う場合、周りに仕事仲間がいない状況になります。相談や連絡がしにくいという点については、注意が必要と言えます。
業務の方法や情報の取り扱いについて、曖昧なまま仕事を進めてしまい、後々トラブルにならないよう、連絡と相談をする習慣を身につけてもらいましょう。
また、仕事についてわからないことが多い新入社員や、自分からコミュニケーションを取るのが苦手な従業員には、特別なケアが必要かもしれません。
わからないことや不安なことがないかを尋ねたり、話したりする機会を積極的に作るか、リモートワーク専用の相談窓口を設置するなどしておくとよいでしょう。
リモートワークの環境に関しては、以下の記事でも詳しく扱っています。
「リモートワーク環境」については、こちらの記事をご確認ください。
在宅勤務特有のストレス
リモートワークをする場合は、在宅勤務特有のストレスにも注意が必要です。
在宅勤務ならリラックスして仕事ができるわけではありません。例えば、育児や介護をしている場合は、仕事に集中しにくいものです。すぐに席を立って対応しなければないけないことが多いため、従業員は業務量以上にストレスがたまりがちになります。
また、同居している家族がいて落ち着いて業務ができるスペースを確保しにくい、プライベートなことが漏れないか気になるなどのストレスがあるかもしれません。個人の状況に配慮し、それぞれにあった提案やサポートを用意できないか、検討してみるのもよいでしょう。
リモートワークで必要になる監視体制については、以下の記事でも詳しく扱っています。
「リモートワーク監視」については、こちらの記事をご確認ください。
リモートワークのメリットを活かす方法
ここからは、時間や費用をかけて導入したリモートワークのメリットを、どうすれば最大限活かすことができるかを解説します。
リモートワークに合った評価制度を作る
リモートワークを利用した働き方では、働き過ぎや監視の目を気にし過ぎる傾向が出るかもしれません。この状態を放置しておくと、従業員のストレスがたまったり、業務効率が落ちたりと、さまざまなデメリットが表れてきます。
リモートワークを導入した後は、リモートワークに合った評価制度を作成・導入していきましょう。評価されるポイント、減点対象についてはっきりさせておけば、従業員は安心してやるべきことに集中できるでしょう。
業務の効率化を進める
リモートワーク導入と同時に、業務のIT化や自動化システムの導入などを進めてみましょう。
例えば、人材把握システムや業務フローを改善するシステムなど、業務効率化に寄与するIT化を進めます。これによって、従業員の雑務が減り、連絡がスムーズになるだけでなく、経営陣も的確な経営判断が下しやすくなります。
リモートワーク専用の相談窓口を設ける
リモートワークでの業務は、特有の悩みやストレスを抱えることがあります。とはいえ、リモート限定の悩みは、オフィス出勤の際は相談しにくいかもしれません。そのような場合、リモートワーク専用の相談窓口が助けになるでしょう。
匿名での相談ができ、窓口に産業医やカウンセラーなど、第三者が就いていれば、従業員も安心して相談できるはずです。大きな問題となる前に解決・解消ができれば、離職率の低下や生産性の向上にもつながり、会社にもメリットがあります。
リモートワーク導入で活用できる補助金・助成金制度
最後に、リモートワークを導入する際に利用できる可能性がある、補助金や助成金をご紹介します。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
最後に、リモートワークを導入する際に利用できる可能性がある、補助金や助成金をご紹介します。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、厚生労働省が募集している、テレワーク導入の際に必要になる端末(パソコンやタブレット、スマートフォンなど)のレンタル・リース費用が助成対象の助成金です。助成される経費は、最大6カ月分・合計77万円までとなっています。
この助成金について詳しくは、以下の厚生労働省のページをご覧ください。
厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などが、自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービスなど)を導入する際に、経費の一部を対象に補助金が支給される制度です。
補助金は、経済産業省が実施しているもので、予算枠が決まっています。予算上限に達した時点で募集が締め切られることや、事業効果の報告を提出する必要があることなどに注意してください。
IT導入補助金については、以下の公式サイトをご覧ください。
「IT導入補助金2023」
テレワーク促進助成金(東京都)
テレワーク促進助成金は、都内の中小企業を対象とした、テレワーク導入の経費を助成する制度です。東京都が実施している独自の助成金制度で、在宅勤務やモバイル勤務ができるよう、機器や端末、ソフトウェアなどにかかる経費の一部を対象とし、助成金が支給されます。
詳しくは、テレワーク促進助成金の公式サイトをご覧ください。
東京しごと財団「テレワーク促進助成金」
まとめ
リモートワークにはさまざまなメリットがあります。導入の際には、目的を見極め、よく準備し、トラブルがないようステップを踏んでいきましょう。リモートワークのメリットを上手に活かせれば、企業全体にも良い影響があるはずです。
タレントパレットでは、オンラインでの退勤管理や、従業員とのコミュニケーションを助ける機能が豊富に用意されています。リモートワーク導入のサポートをお求めなら、タレントパレットへお気軽にご相談ください。
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