こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症によって、新たなワークスタイルとして浸透したのがリモートワークです。しかし、リモートワークでは生産性が下がってしまうとの声も聞かれます。
この記事では、リモートワークの問題点、そして生産性を向上させる対策について詳しく解説します。
リモートワークの現状や傾向
リモートワークの生産性を高める前にやるべきこととして、現状を正確に把握しておく必要があります。ここからは、リモートワークの現状について解説します。
リモートワークの実施率は世界8カ国中最下位
リモートワークとは、会社に通勤して勤務するのではなく、自宅と会社をインターネットでつないで在宅勤務するワークスタイルです。特にコロナ禍において急速に普及し、ニューノーマルな働き方として定着しようとしていました。
日本ではテレワークとも呼ばれており、多くの企業がテレワーク導入を進めています。通勤時間が大幅に削減されることやワークライフバランスが向上するといったメリットが挙げられ、日本だけではなく、全世界で取り入れられたワークスタイルと言えます。
しかし、野村総合研究所が日本や中国、アメリカなど世界8カ国でテレワークの実施率を調査したところ、日本のリモートワーク実施率は8カ国中最下位という結果でした。リモートワークが、完全に浸透しているとは言いにくい状況です。
「生産性が低くなった」という声は世界最多
リモートワークでは、出勤せずに自宅で働けますので、効率的な時間の使い方ができそうに感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、日本では、テレワークで生産性が下がるという声が多いのが現状です。
アドビ社が実施した「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」によると、アメリカの回答者のうち77%は、生産性は同等か今まで以上に上がったと回答したのに対し、日本では約43%の回答者が生産性は下がったと回答しています。
日本国内において、リモートワークによって生産性向上を感じている方は半分以下といったところです。
メンバーシップ型雇用が影響している
アメリカと比較して、なぜ日本ではリモートワークで生産性が落ちたという声が多いのでしょうか。これには、マネジメント方法の違いが挙げられます。日本のマネジメント方法はメンバーシップ型雇用と言われ、長期雇用前提で、年齢や経験に応じて賃金が上昇する仕組みです。
メンバーシップ型の雇用は、入社時には仕事が決まっておらず、まずは配属された場所で頑張って働くことが目標となります。仕事の数値目標が曖昧なことが多く、頑張っている姿を上司などが評価して、与えられる仕事や役職が上がるシステムです。
一方、アメリカなどのジョブ型雇用では、企業の求める仕事に合った人材かどうかで採用が決まります。仕事の成果がわかりやすいので、上司の評価よりも仕事の成果が重要です。
リモートワークでは、仕事の成果で評価しやすいジョブ型の方が向いており、メンバーシップ型だと上司のマネジメントが成立しにくいので、生産性が落ちたと思われやすい点が影響しています。
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リモートワークにおける問題点とは
ここからは、「リモートワークを取り入れると生産性が上がらない」と言われる理由について詳しく解説します。
リモートワークできる環境が整っていない
リモートワークを実施する条件として挙げられるのが、自宅などの環境を整える必要がある点です。しかし、自宅でオフィスと同等の環境を整えるのは難しい場合も多いでしょう。
社用パソコンの持ち出しができない企業では、従業員自身のパソコンで作業する必要がありますが、自宅のパソコンではスペックが劣る場合があります。
また、自宅の回線環境によっては、会議中に回線が落ちるなどの不具合が起こる可能性も見逃せません。
デジタル化が進んでおらず、紙の利用が多い企業では、リモートワーク時に重要な書類を閲覧できないという問題が考えられるでしょう。
自宅でもオフィスと変わりない仕事ができる環境整備が必要です。
コミュニケーションが取りにくい
リモートワークはオフィスに来ることなく仕事ができるワークスタイルなので、上司や同僚と対面する機会が極端に減ってしまいます。オンライン上のやり取りだけになると、部下や上司の動向や感情がつかみづらくなってしまうでしょう。
メールなどの文章のやり取りと、会話によるコミュニケーションを比較すると、微妙な表情やニュアンスなどから、会話の方が意思疎通がしやすいと言えます。メールだけのやり取りだと誤解も生じてしまい、生産性が大幅に低下する要因となってしまうでしょう。
コミュニケーション不足により、情報の共有化が取りにくくなるのも大きな問題点です。
仕事とプライベートの区分けがしにくい
自宅でのリモートワークは、仕事とプライベートの区別がつきにくくなるケースが見られます。上司の監視などがないため、ダラダラと仕事してしまい、生産性が落ちてしまうかもしれません。
また、仕事とプライベートの境目が曖昧になって、いつも仕事している感覚になりやすく、ストレスの原因になることもあるでしょう。仕事とプライベートを分けにくい点も問題点の一つです。
プロセスが見えにくい
日本においてはメンバーシップ型の雇用スタイルが多いため、上司の判断や評価、従業員同士のコミュニケーションが重視されます。リモートワークでは、上司も部下の仕事ぶりが判断しにくく、進捗状況がつかみにくいことが問題点として挙げられるでしょう。
リモートワークで生産性を上げる方法
ここからはリモートワークの注意点を踏まえ、生産性を上げる方法について詳しく解説します。
対面以上にコミュニケーションの場を増やす
対面だと、意識していなくても自然と仕事ぶりを確認でき、コミュニケーションが図られています。リモートワークの場合はオンライン上でしかつながれませんので、意識してコミュニケーションを増やしていく必要があります。
オンライン上でも朝礼や終礼を行い、進捗状況などを確認する場を積極的に設けましょう。
評価制度を見直す
日本の企業における評価制度は、メンバーシップ型雇用を基礎として作られている場合が多いのが現状です。
上司の評価が重要となる従来の評価方法は、リモートワーク下では問題点もあるでしょう。リモートワークで、上司の目がないと感じると、従業員のモチベーションが低下し生産性が落ちてしまうかもしれません。
リモートワークに適した評価制度への見直しが必須になると言えるでしょう。
リモートワークをフォローするツールの導入
リモートワークをサポートするITツールを導入することで、リモート上での業務の効率化が進み、従業員もスムーズに仕事を進められます。フォローツールとして、タスク管理が共有できるツールや、チャットツールなどが挙げられるでしょう。
リモートワークに役立つツールは、多くの企業がサービスを提供しています。うまく活用してリモートワークにおける生産性を高めましょう。
業務の進捗状況をメンバーで共有する
対面以上に業務の進捗状況をお互いに共有しましょう。前述した朝礼や終礼の実施や、ITツールによるタスク管理の共有化の活用によって、対面以上の成果をもたらします。
業務の進捗が具体的に共有できると、生産性が一気に向上する要因にもなります。お互いの共有化を意識して、リモートワークに取り組みましょう。
まとめ
対策次第では、リモートワークでも生産性を上げることは十分に可能です。しかし、リモートワークが増えると、人事管理面も今まで以上に大変になってしまうことが想定されます。
タレントパレットなどの人事管理システムを使ってデータを分析し、適切な人材配置ができるようにする取り組みも必須と言えるでしょう。
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