相対評価の定義
人事評価の1つである相対評価の定義・活用場所について、詳しく解説します。
周囲と比較して「どの位置にいるのか」を基準に評価をする方法
相対評価とは、周囲と比較してその人が「どの位置にいるのか」を基準に評価する方法です。評価ランクをSランク5人・Aランク10人・Bランク15人などと事前に決めておき、成績上位者から順にランクを割り当てて実施します。どちらが優れた能力を持っているのか、どちらを重視することで成果を得やすいのかを明確にできる評価方法です。
相対評価は企業や学校で幅広く活用されている
相対評価は学校の成績付け・企業の人事評価・スポーツの選考など、幅広いシーンで活用されています。日本では馴染みのある評価方法であるため、無意識に自然と相対評価を受け入れている人が多いです。ただし、学校の成績付けでは2002年から、各生徒の進捗を評価するため絶対評価も取り入れられました。
企業における相対評価の活用事例
企業では人事評価を実施する際に、相対評価が活用されます。具体的には2つの手法があり、1つは評価基準を明確にしないで組織・チーム内で社員同士を比較して順位をつける方法です。2つ目は組織・チームの成果に対して個々の社員がどれだけ貢献したのかで順位を付け、比較します。
企業が人事評価を行う際に相対評価を活用すると、評価分布のバランスが整うため昇給をコントロールしやすい点が魅力です。人件費が高騰しすぎずに済んだり、社員間の競争意識を強めたりできます。
相対評価を人事に活用するメリット
企業の人事評価において、相対評価を活用するメリットについて詳しく解説します。
相対評価のメリット1. 人事担当者が評価を決めやすい
相対評価は、「AとBのどちらが優れているか」というシンプルな考え方で評価できます。そのため人事担当者が社員を評価する際に優劣を付けやすく、業務負担が軽減される点がメリットです。
はっきりした評価基準を用意する必要がなく、社員間を比べるだけで評価できるため導入に時間もかかりません。順番に上からランクをつければいいため、評価格差もつけやすいです。
相対評価のメリット2. 社員への刺激となる
相対評価を取り入れることで、社員の業務態度への刺激となります。相対評価では、応力が近くでも順位のわずかな差によって成績が変わってしまうため、多くの社員は上司からの指導などを行われずとも、よりよい成績を求めて努力する傾向です。
切磋琢磨して社員同士が競い合うような環境を作れれば、組織としての成長につながる可能性があります。
相対評価のメリット3. コストコントロールがしやすい
相対評価では「良い評価の人材」と「悪い評価の人材」が両方いるため、コスト面のコントロールがしやすいです。たとえば良い評価の人材ばかりだと、昇給やボーナスの査定が全体的に高くなり、経営を圧迫するリスクがあります。相対評価ならば昇給対象の数が定められているため、決まった予算内で人件費が済む点がメリットです。
相対評価の活用におけるデメリット
相対評価を活用することで起きるデメリットについて、詳しく解説します。
相対評価のデメリット1. 評価の低い社員のモチベーションが下がる
相対評価は、必ず低い評価を付けることになる社員が一定数います。低い評価ならば次はモチベーションが高まると考える方もいますが、努力しても低い評価をつけられると、業務に対して苦手意識が出てくる場合が多いです。
低評価を付けられた社員はモチベーションが低下し、さらに仕事での評価を下げる悪循環に陥る恐れがあります。
相対評価のデメリット2. 組織やチームによって個人の評価が異なる
相対評価は組織やチーム内で各社員を比較するため、どこに所属するかで個人の評価は変わります。優秀なメンバーが集まった集団では、他のチームで高く評価される人材が、低評価となる可能性が高いです。また、優秀なチームに異動すると評価が低くなるからと、優秀なチームに異動して優秀な社員から学ぼうと自己成長・競争の意志は発生しづらくなります。
相対評価のデメリット3. 評価の理由を説明できないケースがある
相対評価は「AよりもBが優秀」という分かりやすい図式ですが、理由の説明が難しいケースがあります。
「なぜBの方が優秀なのか」について、相対評価では基準が曖昧なケースも少なくありません。同程度の能力を持つ社員同士でも順位をつける必要があり、少ない違いから大きな評価格差がつく場合もあります。明確に評価の理由を説明できないと、社員が不満を持つ可能性がある点は大きなデメリットです。
相対評価と絶対評価の違い
相対評価以外に、人事評価では「絶対評価」の方法を採用することが多いです。相対評価と絶対評価の違いについて解説します。
絶対評価の定義
絶対評価とは、事前に社員ごとに設定した目標やノルマの達成度を基準に評価する方法です。評価基準は部門・職種などによって作成されており、目標を達成すると他の社員とは関係なく評価されます。
社員1人ひとりに対して評価をするため、個人の能力や努力を認知しやすいです。人事評価を行う人にとっては手間・負担が多いですが、社員にとっては適正な評価を受けられるメリットがあります。
成果主義の普及によって絶対評価の導入ケースも増えている
日本は年功序列をはじめとした相対評価が主流でしたが、成果主義の普及に伴い、近年では絶対評価を取り入れる企業も増えています。周囲との比較ではなく、その社員個人の実力が評価されるため、スキルアップやモチベーションアップのきっかけになる点が魅力です。
絶対評価は、社員ごとに適切な評価をできる一方、コストアップ・評価の偏りが見られるデメリットもあります。
相対評価を人事で上手く活かすポイント
メリット・デメリットもある相対評価を、人事で上手く活かすポイントについて解説します。
相対評価では評価の伝え方を工夫する
相対評価は先に解説した通り、低評価の社員のモチベーションを下げてしまうリスクがあります。評価する際にはただ順位を伝えるのではなく、「〇〇をすると評価が高まる可能性がある」といったアドバイスをプラスすることがおすすめです。評価の伝え方を工夫すると、モチベーションを下げずに社員間の競争意識が高まります。
相対評価と他制度を組み合わせる
相対評価のデメリットを補うために、他の制度を組み合わせることも重要です。たとえば相対評価の結果をそのまま昇給につなげず、社員の等級制度の業績によるインセンティブで決定するなどさまざまな組み合わせ方ができます。完璧な評価制度はないため、複数の評価制度の長短をうまく使い分けることが大切です。
人事評価における相対評価の必要性
昨今、相対評価の割合を減らす企業も増えてきました。そこで人事評価における相対評価の必要性について解説します。
社員に足りない要素を把握できる
相対評価で社員同士を比較すると、劣っている人材に「何が不足しているのか」が分かりやすいです。能力が同程度の社員同士を比べても優劣が付くため、優秀な人間だけでなく能力の近い人間からも学べます。成長につながる具体的なアドバイスができるようになる点が、相対評価の必要性の1つです。
比較されている意識を社員に持たせる
相対評価を人事評価に取り入れることで、比較されていることを社員に意識させられます。社員同士の競争意識が高まるため、お互いに切磋琢磨する関係性になり成長スピードも速められるでしょう。各社員の競争心はオフィスに伝わるため、適度な緊張感を現場に生み出し、仕事への姿勢を正すきっかけになり得ます。
まとめ
相対評価は、周囲と比較してその人が「どの位置にいるのか」を基準に評価する方法です。社員間を比較するため競争力を高められますが、低い評価が続くとモチベーションが下がる恐れもあります。相対評価は絶対評価などと組み合わせると、人事評価でうまく活用できるでしょう。
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