企業として高い業績を出すには、社員の意識改革も重要です。ただし、社員の意識改革について、具体的な手法がわからないというケースは少なくありません。この記事では、社員の意識改革の進め方や注意点などを解説します。意識改革のメリット・デメリットや具体例なども取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
意識改革の概要
意識改革とは、組織として目的を実現するための考え方や態度などを変化させることです。目標を達成するためには、行動を変えなければなりません。行動を変えるためには意識を変える必要があり、意識改革は重要です。企業やチームの意識改革に成功すれば、社員1人ひとりの行動も自然に変化していきます。
意識改革と経営者の責任
実際の意識改革の取り組みは社員が推進しますが、責任は経営者が負います。意識改革に取り組み始めてもすぐに結果は出ないため、長い時間をかけて取り組むべきです。新しい考え方が定着するまでは、経営者が積極的に自社のビジョンを社員に共有する必要があります。
意識改革の目的
社員の意識改革は何のために行うのでしょうか。ここでは、意識改革の目的について解説します。
生産性の向上
意識改革は、自社の生産性を高めるために必要です。近年は労働人口が減少しており、限られた人員で業務を進めるには効率を改善しなければなりません。人手不足により業務の効率が低下した場合、経営にも影響を及ぼすでしょう。意識改革により、指示を待つだけでなく自ら行動できる社員が増えれば業務の効率が高まり、生産性も向上させることが可能です。
パフォーマンスの改善
労働人口が減少するなかでは、社員1人ひとりのパフォーマンスの質が特に重要になります。業務に必要な人数を維持できていても、それぞれのパフォーマンスに問題があれば業績は伸ばせません。余計な人件費の発生により、赤字に陥る恐れもあるでしょう。しかし、意識改革によって社員のパフォーマンスが向上すれば、人数や時間が限られていても大きな成果を得やすくなります。
業績の向上
業績の向上は、経営における最大の課題です。売上を伸ばすためには、従来の考え方や手法などを根本的に見直す必要があるケースもあります。その場合に意識改革を行うと、それまでとは異なる視点からより魅力的なアプローチの仕方を見出せる可能性が高いです。利益が増えると、その後の選択肢も多くなります。
管理職の負担軽減
昨今、管理職をはじめとする役職に就きたくないと考える人が増えています。収入に対し、労働内容や責任が見合っていないと感じることが多いからです。実際、管理職は責任のある立場であり、業務の負担も大きくなっています。
しかし、意識改革に取り組めば、管理職以外の社員にも重要な仕事を任せやすくなるでしょう。その結果、管理職の負担を軽減でき、管理職しか対応できない仕事に集中して取り組めるようになります。
活躍の機会の創出
活躍できる機会があるかどうかは、社員の仕事に対するモチベーションに影響を与えます。しかし、自分が取り組む業務がどのように世の中の役に立っているか理解できていない人は少なくありません。目的がわからないままでは、仕事に対するモチベーションの維持は困難です。
そのため、意識改革により自分がどれほど活躍しているか認識できるようにする必要があります。社員の活躍の機会は、企業を将来に向けて発展させるうえでも重要です。
意識改革のメリット
意識改革に取り組むと多くのメリットを得られるため、以下で詳しく解説します。
ライフワークバランスが整う
労働時間や有給取得について意識改革を行うと、ライフワークバランスの改善につながります。近年、社員の仕事に対する向き合い方は変化しており、プライベートを重視する傾向が強まってきました。働きやすい環境が整っていると社員が認識できれば、満足度が高まります。それにより、業務効率の向上も期待できるでしょう。
企業理念が浸透する
組織としてビジネスに取り組むうえでは、企業理念の共有が重要です。企業理念には、企業がビジネスに取り組む目的が示されています。社員が企業理念を把握していない場合、ビジョンも共有できていません。社員の意識がそろっていない状態では、適切にビジネスを進められない可能性が高いです。意識改革により企業理念を浸透させれば、社員がやりがいを感じながら仕事に取り組みやすくなります。
エンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、企業と社員の関係です。企業に対して社員が抱く信頼感や思い入れとも表現できます。エンゲージメントが高い場合、社員は企業のために継続的に貢献しようとする可能性が高いです。意識改革によりエンゲージメントを高められると、優秀な人材の定着率も向上します。
人材確保に役立つ
人材育成における意識改革に成功すると、優秀な人材の確保にもつながります。終身雇用にこだわる人が減り、より活躍できる企業に転職する人も多くなりました。このような状況でも、社員が満足できる人材育成の環境を提供できれば、必要な人材が離職するリスクを軽減できます。人材育成に関する環境の充実度は、求職者にとっても入社を検討するうえで重要なポイントです。
意識改革のデメリット
意識改革に取り組んだ結果、デメリットが生じる可能性もゼロではありません。ここでは、意識改革のデメリットについて解説します。
モチベーション低下のリスク
意識改革の目的は、社員のモチベーションの向上です。しかし、取り組みによっては、かえって社員のモチベーションを低下させる可能性もあります。特に、意識改革を強制的に実施した場合、社員のモチベーションは下がりがちです。意識改革は無理に推進せず、社員が主体的に取り組めるようにする必要があります。
人材流出のリスク
意識改革により、人材が流出するリスクも少なからずあります。たとえ社員に対して主体的な意識改革を促しても、全員が対応できるとは限りません。特に在籍期間が長いベテランの社員は、意識改革を受け入れられない可能性があります。その結果、経験豊富な人材が流出し、業績の悪化を招く事態も想定できるでしょう。
意識改革の進め方
社員の意識改革は、どのように進めればよいのでしょうか。ここでは、意識改革の進め方を具体的に解説します。
課題の洗い出し
意識改革は、課題を洗い出すことから始めましょう。自社の課題を正確に把握しなければ、的外れな取り組みになる恐れがあります。まずは、自社の理想と現実の間にどのようなギャップがあるか確認してください。
たとえば、作業効率を向上させる必要があるなら、自社のどこに問題があるか確認する必要があります。企業によって、勤務時間に問題がある場合もあれば、社員の勤務態度に問題がある場合もあるでしょう。勤務データの集計やアンケートなどを行い、実際の状況を調査することが大切です。
変革内容と行動目標の具体化
課題を明らかにしたら、何をどのように変える必要があるか考えます。また、具体的な目標も設定しましょう。
たとえば、「業務効率を上げる」といった漠然とした目標だけでは、社員のほとんどが具体的な行動を起こせません。そのため、より詳細な目標を設定する必要があります。「会議時間を30分以内にする」や「データの集計は特定の時間に一括して対応する」といった目標が望ましいです。具体的な目標や行動指針については、経営側が責任をもって決定しましょう。
管理職の指示のもと計画を実行
意識改革に向けて具体的に何をすべきか決めたら、管理職が率先して動くべきです。本来、人間は変化を嫌うため、年齢が上がると考え方が特に保守的になります。そのような状況で意識改革を着実に進めるには、管理職が率先して行動することが大切です。組織のトップが行動しない場合、社員は自分たちだけ変化を求められていると感じ、不満を抱く恐れがあります。たとえば、残業を減らしたいなら、管理職が率先して早く退社すべきです。
モニタリングによる計画の修正と改善
意識改革のための行動を始めた後は、期間を区切ってモニタリングしましょう。計画を実行しても、当初の想定と異なる結果になるケースは珍しくありません。その場合は、結果を社内で共有し、修正と改善に取り組む必要があります。
計画を修正するときは社員にアンケートを実施し、実際に得た意見を取り入れることが大切です。なお、回答が漠然としているなら、意識改革が滞っている可能性があります。
意識改革のポイント
意識改革にはさまざまなポイントがあるため、以下で詳しく解説します。
意識改革の目的を共有する
意識改革を進めるうえでは、意識改革に取り組む目的を明らかにして社員と共有する必要があります。目的が曖昧なまま行動しても意識改革は進みません。社員の不満が増える原因にもなります。社員に目的を共有する際は、意識改革により社員にとって具体的にどのようなメリットがあるか示しましょう。
理想と現実のギャップを受け入れる
意識改革の推進においてよくある失敗として、実現できそうにない計画を立ててしまうケースが挙げられます。理想を掲げるだけでなく、現実を踏まえて計画を立てることが大切です。計画がうまくいかないと社員の意欲が低下し、意識改革の推進が困難になる恐れもあります。理想と現実のギャップを確認し、最終的な目標の達成に向けて必要なプロセスを検討しましょう。
負担をかけすぎない
意識改革を進めるには、社員たちの協力が不可欠です。しかし、意識改革のための取り組みにより日常の業務に支障が出る状況では、社員の協力はなかなか得られません。意識改革をスムーズに推進するには社員の意見を取り入れ、無理のない範囲で取り組む必要があります。
行動自体を評価する
意識改革を成功させるには、社員の行動を評価する制度も設けるべきです。指針がないと積極的な行動も期待できないため、具体的な基準を示す必要があります。特に最初のうちは目標の達成度や成果の大きさにかかわらず、行動したという事実を評価することが大切です。また、社員同士で感謝や賞賛をし合える制度を導入する方法もあります。
スモールスタートを意識する
スモールスタートとは、最初は小さな規模で始めることです。いきなり大きな規模で意識改革を始めても、簡単にはうまくいきません。社員が受け入れられず、反発を招く恐れもあります。たとえば、急に残業を禁止した場合、必要な業務に対応しきれず業績が悪化する可能性が高いです。まずは完全就業時間を設定するといった取り組みにより、小さな規模で意識改革を進める必要があります。
意識改革を進めるには外部サービスの利用も有効
意識改革を進めるには、さまざまなポイントを押さえて取り組まなければなりません。そのため、ノウハウがない企業が意識改革に着手しても、失敗する可能性が高いです。自社の意識改革の推進に限界を感じるなら、外部サービスを利用する手もあります。
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意識改革を進める手助けになる外部サービスの選び方
昨今は幅広い外部サービスがあるため、それぞれの特徴をよく理解したうえで選定する必要があります。自社のニーズとサービスの内容が一致しているか、必ず確認しましょう。複数のサービスを比較し、内容や金額に最も納得できるところを選ぶべきです。また、無料相談やヒアリングができる場合は、積極的に利用するとサービスについてより深く理解できます。
まとめ
意識改革は、生産性や業績の向上などを目的として取り組まれています。意識改革に成功すれば、エンゲージメントの向上や優秀な人材確保なども実現可能です。ただし、意識改革を進めるうえでは、幅広い点に対して配慮しなければなりません。
タレントパレットは、人事に必要な機能を幅広く備えているシステムです。あらゆる人材データを一元管理でき、自社が求める視点から分析できます。社員のモチベーションやエンゲージメントなども把握でき、意識の変化もすぐに把握することが可能です。コンサルティングの知見もあるため、ぜひ活用してください。