リファラル採用の報酬額の相場|違法にならないためのポイントや注意点を詳しく解説


リファラル採用の報酬額の相場|違法にならないためのポイントや注意点を詳しく解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「リファラル採用の報酬額はいくらが適切かわからない」

「そもそもリファラル採用の報酬制度は違法なの?」

という方は多いのではないでしょうか。


現在コスト削減や優秀な人材の確保に向けて、多くの企業でリファラル採用を実施しており、紹介した人材に対して報酬を渡しています。しかし、リファラル採用は適切に報酬制度を策定して運用しないと、違法になる場合もあるため注意が必要です。


そこで本記事では「リファラル採用の報酬制度」について解説します。


報酬の設定方法や注意点について知ることができますので、ぜひお読みください。


リファラル採用の報酬額の設定方法4選


リファラル採用の報酬額は、企業によって異なります。


株式会社TalentXの調査によると、リファラル採用の報酬額について以下のようになっていることがわかりました。


報酬額 その報酬額に設定している企業の割合
なし 14.3%
1万~9万円 46.9%
10万~29万円 31.3%
30万円以上 6.8%

出典:リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別 統計レポート


上記より、リファラル採用の報酬は1万〜29万円と設定している企業が多いことがわかります。企業によっては、有給休暇の追加やお食事チケットの配布をしているところもあります。


また、「エンジニア職の採用は○○円、営業担当者の場合は○○円」のように、採用する職種に応じて変更している企業も少なくありません。


「紹介した人材が半年間以上勤務したら、紹介者に○○円を支給する」という制度も設けている企業があり、報酬の設定は各企業で自由に決めています。


リファラル採用の報酬額を設定方法4選


ここでは、リファラル採用における報酬額の設定方法を解説します。


  • 現在の採用単価より報酬額を設定する
  • 採用者の能力やスキル、職種に応じて決める
  • 雇用形態に応じて制度を変える
  • 紹介人数に応じて設定する


なお、上記の方法を実施する前に、リファラル採用を実施する目的や課題解決を明確にしましょう。何のためにリファラル採用をやるのかわからないと、採用制度の設定がうまくいかず、社員も協力しにくくなります。


「スキル人材が不足している」「離職率が高い」「応募者が集まらない」など、自社の採用における課題を洗い出し、リファラル採用がなぜ効果的かを考えてから、設定することをおすすめします。


現在の採用単価より報酬額を設定する


採用コストの削減をしたいと考えている方は、現在の一人当たりの採用コストを把握して報酬額を設定しましょう。求人サイトの掲載料や、転職エージェントへの成功報酬などに支払っている経費を調査します。


リファラル採用の相場と現在の採用単価を比較し、経費削減につながると判断した場合は、リファラル採用を実施しましょう。報酬を決める際は、採用単価だけでなく、社員が積極的にリファラル採用に取り組める報酬にすることも意識してください。


ただし、あまり採用コストが下がらないと判断した場合は、コストダウンの目的でのリファラル採用を実施はおすすめできません。


採用者の能力やスキル、職種に応じて決める


専門スキルを持った人材を求めている場合、人材のスキルや経験、職種などで報酬を決定することもひとつの手段としておすすめです


たとえば「自社で人材が不足しているしやすい部門に人材を紹介できたら○○円」「指定のスキルや資格を持っていたら○○円」「特定の業務経験が3年以上あれば○○円」のように設定します。


ただし、細かく設定しすぎると、制度が複雑化して運用に負担がかかるため、注意が必要です。


雇用形態に応じて制度を変える


リファラル採用をしていいのは正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約社員にも活用できます。非正規雇用の場合、採用単価も正社員より安くなるので、リファラル採用の報酬も低めの設定が可能です。


非正規雇用の場合は離職率が高いため、勤務期間や稼働日数に応じて報酬を設定することをおすすめします。「紹介した人が3ヶ月以上勤務すれば○○円」のように、現場のスタッフがすぐ辞めない人を紹介する仕組みづくりを行いましょう。


紹介人数に応じて設定する


積極的に人材を紹介してくれる人が優遇されるよう、採用人数に応じて報酬を増やすこともひとつの手段です。


リファラル採用では社員全員が一人ずつ紹介するよりも、人脈の多く、紹介が得意な社員のみが何人も紹介するケースが多いです


「年間で3人以上紹介したら報酬額を10%アップ」のような報酬制度を作って、社員のモチベーションを上げられるようにしましょう。


なお、上記のように報酬制度を決める際は、課題を明確にし、自社で不足している人材の特徴や人数を把握するのが大切です。必要な人材を把握するには、膨大な人材情報を収集するのが重要ですが、手作業で情報を調査する場合多くの工数がかかるため、なかなか時間を割けられないという方もいるでしょう。


そこで、人材情報の収集・分析をスムーズに実施する方法として、弊社のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


タレントパレットでは人材のスキルや能力、評価などを一元管理でき、その情報をもとに分析や調査を行えます。管理したデータから社員のスキルや能力を抽出して、図表を簡単に作成できるため、大幅な工数軽減が期待できます。


タレントマネジメントシステムによるリファラル採用の報酬制度の最適化を考えている方は、下記でより詳しい情報を知ることができますので、ぜひご覧ください。


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リファラル採用の報酬制度に関わる法律


リファラル採用自体は法律の観点から実施しても問題ありません。ただし、報酬制度の設定方法を間違えると、違法になる可能性があります。なぜなら、人材紹介は厚生労働省の需給調整課が管轄している事業で、事業に取り組む際には国の許可が必要だからです。


人材紹介をして報酬をもらうには、免許を取得することが求められており、申請していない社員が報酬を受け取ると、違法になります。


つまり、自社のリファラル採用が人材紹介事業としてみなされた場合、法律に抵触するおそれがあるのです。


この章では、リファラル採用がどのような法律と関わりがあるかについて、解説します。

  • 職業安定法
  • 労働基準法


それぞれ原文と簡単な解説について紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


職業安定法


職業安定法は労働市場のルールを定めた法律で、主に職業紹介や労働者募集、労働供給について記載されています。


リファラル採用に関係する内容として、以下の項目があります。


  • 第三十条…有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
  • 第四十条…労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。


引用:職業安定法


上記のように、報酬をともなう人材紹介は厚生労働大臣からの認可が必要なため、リファラル採用で社員に報酬を支払うことは、原則として行ってはいけません。


また、職業安定法に基づく指針により、人材を紹介する人が求職者に報酬を渡すという行為も禁止されています。企業が採用者に直接報酬を渡すのは可能ですが、紹介した人が「入社すれば報酬をもらえる」と声をかけるのは禁止行為とされているので、注意が必要です。


労働基準法


労働基準法については、以下のように労働条件の明示について記載されています。


第十五条…使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。


引用:労働基準法


上記のように、労働者を採用するときは、賃金や労働時間などの条件を就業規則や契約書で明記する必要があり、リファラル採用に関する規定を記載していない場合は、違法になるため注意が必要です。


違法でないリファラル採用の報酬制度を作るポイント2選


ここでは、リファラル採用の報酬制度が、職業安定法や労働基準法などの法律に抵触しないための方法を紹介します。


  • 就業規則や賃金規程に記載する
  • 報酬を高額にしない


違法によって企業イメージが低下するのを防止できるよう、以下を読んで必ず実施しましょう。


就業規則や賃金規程に記載する


原則として人材紹介に対して報酬を支払ってはいけないため、違法にならないよう、以下の項目を就業規則や賃金規程に記載しておきましょう。


  • 人材紹介は社員の業務の一部であること
  • 人材紹介業務対して報酬を与えているわけではないこと


人材紹介による報酬ではなく、賃金や給料という形での支給であれば問題ないため、書面で給与制度を明記してリファラル採用を実施してください。


また、社員が10名以上の企業では、就業規則の変更があった場合、社員への周知と行政官庁への届け出が義務化されているので、必ず実施しましょう。


報酬を高額にしない


リファラル採用に関する報酬が高額な場合、人材紹介事業と見なされる可能性があるため、人材紹介会社に支払う報酬よりも低い金額を設定しましょう


リファラル採用はコスト削減が目的の制度であり、基本的に報酬が高額になる可能性は低いです。しかし、ハイキャリア人材や役員クラスの人材を紹介した際に、報酬が高くなる場合があります。


一般的に人材紹介会社に支払う報酬は、採用者の理論年収の30〜40%程度と言われているため、それ以下の金額にすることをおすすめします。


リファラル採用の報酬制度を決める際の3つの注意点


リファラル採用の報酬制度を決める際の注意点として、以下の3点を紹介します。


  • 勘定科目を適切に帳簿する
  • リファラル採用の報酬も課税対象となる
  • 報酬の支払い時期を検討する


法律以外にも注意すべきことがあるので、詳しく把握しておきましょう。


勘定科目を適切に帳簿する


社員がリファラル採用を行っているタイミングによって、報酬の勘定科目が異なるため注意が必要です。


基本的に報酬の勘定科目は、以下のように仕訳を行います。

社員がリファラル採用を行うタイミング 勘定科目
業務時間内 給与手当
業務時間外 支払手数料、または紹介手当

また、社内規定の整備状況や紹介者の業務内容に応じても、勘定科目を変えていく必要があるので、自社の状況に応じて判断しましょう。


リファラル採用の報酬も課税対象となる


リファラル採用で受け取った報酬は社員の所得に換算されるので、所得税や住民税などの課税対象になります。そのため、報酬を含めて税金を計算できるよう、給与台帳の管理を徹底しましょう。


また、企業によっては、社員が受け取った報酬の一部を、紹介者に渡すような報酬制度にしている場合、社員は贈与税を支払う必要があります。会社側は贈与税に直接関わりませんが、社員が贈与税を払い忘れるリスクもあるため、税金について必ず伝えましょう。


報酬の支払い時期を検討する


報酬によって社員の標準報酬月額が増加する可能性があるため、社会保険料や厚生年金に影響することがあります。とくに社会保険料は、4月〜6月に受け取った標準報酬月額の平均で金額が決まる仕組みとなっています。もし4月〜6月でリファラル採用の報酬を渡してしまうと、社会保険料の等級が上がり、増額するおそれがあるので注意が必要です。


社会保険料の支払額が増加して、社員の手取りが減らないように、報酬を受け取るタイミングを考えて制度を作りましょう。


他にリファラル採用で注意すべきことについて詳しく知りたい方は、別記事「リファラル採用トラブル」をあわせてご確認ください。


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リファラル採用の報酬制度は違法にならないように設定しよう


リファラル採用における報酬制度は、紹介された人のスキルや能力、採用人数などに応じて報酬額を設定します。リファラル採用を実施する目的を明確にし、社員が納得できる額を設定しましょう。ただし、雇用安定法や労働基準法に抵触しないよう気を付けてください。


また、リファラル採用では紹介者に求めている能力やスキルを自社の人材情報から洗い出し、自社に必要な人材を採用することが重要です。ただし、「どのように人材情報を収集・分析すればいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。


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