採用担当者を辞めたい理由とは?現場から「辞めたい」の解消方法も解説


採用担当者を辞めたい理由とは?現場から「辞めたい」の解消方法も解説

採用担当者は、企業の成長を支える重要な存在です。しかし、優秀な人材を確保しなければならない重圧や日々の激務などで、採用担当者を辞めたいと考える人は少なくありません。本記事では、採用担当者が辞めたくなる理由を企業の状況に触れつつ解説します。採用担当者に求められるスキルや、業務負担を軽減して働きがいを高める方法も述べるため、参考にしてください。


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採用担当者が辞めたい理由

採用担当者が直面するさまざまな課題や負担から、辞めたいと考えてしまう主な理由を解説します。


採用業務が激務で休めないから

終わりの見えない業務負担が続くうちに、心身ともに疲弊し、採用担当者として限界を感じてしまう人は少なくありません。書類選考や面接調整、内定者フォローなど、採用業務だけでも数多くのタスクを抱えており、それぞれの業務を応募者全員分こなす必要があります。しかも、通常の人事業務と並行して採用活動を担当するケースが一般的です。


特に新卒採用に加えて通年採用を導入する企業の場合は、業務の繁忙期が年間を通して続く傾向が見られます。業務が立て込めば休暇を取得する余裕もなく、常に気が休まらない状態が続いてしまうでしょう。


求職者からの応募がないから

採用担当者の大きな悩みが、企業が期待する数の応募を集められないことです。特に中小企業やベンチャー企業では、知名度や認知度の低さを理由に、応募獲得に苦戦するケースが目立ちます。近年は、SNSを活用したソーシャルリクルーティングや、社員からの紹介によるリファラル採用など、採用手法が多様化しました。


しかし、自社の特性や求める人材像に合った採用方法を選択できていなければ、十分な応募を確保できないでしょう。また、応募数が少ないだけではなく、求める人材像とマッチしない応募も、採用担当者にとってストレスとなりがちです。このような状況が続くなかで、採用目標を達成できないと、社内からの圧力が次第に強まり、心理的な辛さから採用担当者は辞職を考えるようになります。


面接辞退や内定辞退が続くから

面接や内定の辞退が相次ぐと、採用目標を達成できない状況が採用担当者個人の問題として指摘される結果、厳しい評価を受けるケースが少なくありません。しかし、面接辞退や内定辞退の本質的な原因は、企業の待遇や将来性など、組織全体にかかわる課題にあります。


近年は、多くの人が複数の企業に同時に応募しており、企業としての魅力が競合他社と比べて低ければ、辞退者が発生しても不思議ではありません。本来は企業全体で取り組むべき課題の責任を採用担当者のみに負わせることは、採用担当者に辞めたいと考えさせる大きな要因となっています。


求職者と会社の板挟みが辛いから

企業と求職者の間に立つ調整役としての重圧も、採用担当者に負担を感じさせます。企業と求職者の間には、大きな価値観の違いが存在するためです。企業側は人件費を抑えつつも、特定のスキルや経験を持ち、かつ社風に合う人材を求めています。一方で求職者は、充実した待遇や、自身のキャリアプランを実現できる環境を重視する傾向です。相反する要望の調整を繰り返すことによる採用担当者の心理的負担は大きく、結果として職務継続への意欲を失う人は少なくありません。


採用ミスマッチや早期離職が起きるから

採用ミスマッチや早期離職も、採用担当者が辞めたいと感じる理由といえます。ミスマッチや早期退職の背景には、企業と入社した人材との間で、業務内容や企業文化に対する認識の差が存在するためです。入社後まもなく退職してしまうケースも発生しており、欠員補充のための採用コストは企業にとって大きな負担となります。


また、コスト面の問題に加え、現場からの「選考時の見極めは適切だったのか」という厳しい指摘に、頭を抱える採用担当者も少なくありません。本来は企業全体で取り組むべき採用ミスマッチや早期離職の問題が、採用担当者個人の責任として追及されると、嫌気が差して辞めたくなる人も出てきます。


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採用担当者の業務は多忙で煩雑

採用業務は求人から内定まで多岐にわたります。繁忙期には休みも取れないほど多忙です。ここでは、採用担当者の現状を解説します。


一般的な採用業務フロー

採用業務は、計画立案から入社後のフォローまで、複数の重要なステップで構成されています。採用業務の一般的なフローは以下のとおりです。


1.採用計画の策定

2.採用予算の確認・申請

3.採用スケジュールの設計

4.募集活動の実施

5.選考プロセスの運営と内定者の決定

6.内定手続きの実施

7.内定者フォロー


採用計画で決定される内容は、採用人数の目標設定や求める人材要件の明確化、採用方法の選定などです。続けて、採用関連費用の見積もりと予算承認を経て、具体的な採用スケジュールが設計されます。応募者に対しては、書類選考や適性検査、面接などの選考を実施し、内定者の決定後には内定条件の調整や入社までのフォローも必要です。


採用業務の繁忙期とは

採用業務の繁忙期は、新卒採用と中途採用で異なります。新卒採用においては、1月から5月が繁忙期です。特に3月は企業説明会や就職関係のイベントが集中し、準備のために1月から業務量が増加し始めます。採用活動が本格化する4月から5月にかけては、書類選考や適性テスト、面接などの選考プロセスが重なり、採用担当者は業務に追われがちになるでしょう。


一方、中途採用では、4月の入社を目指す多くの転職希望者の動きに合わせて、1月~2月頃から採用担当者は活動を始めます。繁忙期は3月から4月で、特に年度末の3月は、中途採用の選考が佳境を迎えると同時に、新卒採用の業務も並行して進めなくてはいけません。つまり、採用担当者にとって3月は業務負荷が高まる時期といえるでしょう。


採用以外の業務の掛け持ちをするケースも

採用担当者の多くは、採用業務以外の人事関連タスクも掛け持ちしています。給与計算や人事評価などの定期的な業務に加えて「人事総務部」として配属されている場合は、総務業務全般までをカバーすることも珍しくありません。


採用活動自体が負担の大きい業務であるにもかかわらず、複数の役割を全うせざるを得ない状況は、担当者の業務負担を著しく増大させます。


採用担当者が「辞めたい」と思うほど辛い悩み

ここでは、採用目標に対して感じるプレッシャーや膨大な業務量などに触れつつ、採用担当者特有の悩みについて解説します。


採用目標の達成への重圧が苦しい

採用目標の達成への重圧は、他の部署では感じにくい採用担当者特有の悩みといえます。重圧が生じる理由は、企業の事業計画や各部署の業務遂行に対し、採用活動が直接的な影響を与えるためです。


欠員の補充であれば現場の人手不足解消が急務となり、事業拡大のための増員であれば成長戦略の実現にかかわります。また、単に人数を確保するだけではなく、求められる能力や経験のある人材を、限られた予算と期間のなかで採用するよう要求されるでしょう。加えて、人材の入社後のパフォーマンスまでもが採用担当者の評価対象です。


採用数という数値的な目標の達成と、質を担保したうえでの人材確保という二重の課題を抱える採用担当者は、辞めたいと感じるほどの重圧にさらされます。


業務量が多すぎて終わらない

採用担当者の業務量の多さは前述のとおりです。それだけでなく、書類選考から面接調整、内定者フォローまで、採用過程での業務は応募者の人生に深く影響するため、慎重な対応が求められます。


面接調整においては、会場の確保や面接官との日程調整、応募者の希望時間の考慮など、複数の要素を同時に管理する必要があるでしょう。その結果、自身の業務を計画通りに進められないことも少なくありません。働き方改革による残業時間の制限があるなかで、業務を完遂するために、自宅での作業を余儀なくされる採用担当者もいるでしょう。質と量の両面を求められる状況は、採用担当者の心身に大きな影響を及ぼします。


合格者がなかなか出ない

面接で合格者がなかなか決まらない状況も採用担当者のストレスとなります。一次面接で高い評価を得た求職者が二次面接以降で不合格となるケースは、採用担当者に強いもどかしさをもたらします。


採用担当者は候補者の資質や可能性を見極めながら選考を進めますが、最終的な採用判断は幹部や経営者に委ねられており、自身の判断が覆されるケースは少なくありません。適性があると確信して最終面接まで進めた候補者が不採用となった場合、採用担当者は自身のセンスや判断基準を否定されたような感覚に陥ります。


内定辞退者への対策が難しい

内定辞退への対応の難しさも採用担当者の悩みの種です。内定承諾に法的拘束力がないことは周知の事実であり、特に新卒採用では内定辞退者が増加傾向にあります。同様に、中途採用についても内定辞退は問題視されがちです。


書類選考から複数回の面接、条件交渉を経て内定承諾を得るまでに、採用担当者は膨大な時間と労力を費やしています。内定辞退はそれまでの努力が水の泡になることを意味し、採用担当者の心身に大きなダメージを与えるでしょう。


特に新卒採用では、内定承諾から入社まで1年以上の期間があり、長期間にわたって内定者との関係性維持に神経を使い続けなければなりません。内定辞退のリスクと常に向き合い続けるストレスは、採用担当者を悩ませる要因となります。


同じ業務の繰り返しが多い

採用担当者の業務内容も、辛さを感じさせるでしょう。業務量こそ膨大ですが、採用担当者の仕事は定型的な作業の繰り返しが中心です。特に、採用職種がある程度絞られていれば、新たな驚きや学びを得る機会は自ずと少なくなるでしょう。


日々の業務に追われ、新しい課題に挑戦したり、専門性を高めたりする機会が限られているなかで、キャリアの停滞感に悩む採用担当者もいます。


採用担当者が辞めたいと感じる原因

ここでは、採用業務における根本的な課題や組織的な問題点を深掘りして、採用担当者が辞めたいと感じる原因を解説します。


採用業務のフローができていない

効率的な業務フローや明確な体制が確立されていなければ、採用担当者は負担を感じやすくなります。たとえば、面接日程の調整や候補者情報の管理など、重要な業務を手作業で行っている職場では、データ入力やメールのやり取りに多くの時間が費やされるでしょう。


しかも、採用担当者は応募者や社内関係者の個人情報を扱う立場にあります。自身の誤りが採用プロセス全体に影響を及ぼすと考えると、単純作業であっても決して気を抜けません。非効率な業務フローのなかで確実性を要求する環境は、多くの採用担当者に強いストレスを与えます。


必要な人材の定義ができていない

必要な人材の定義が曖昧な状態のままでの採用活動も、採用担当者に大きな負担がかかります。具体的な採用要件や求める人物像が明確に定められていなければ、採用担当者は候補者が自社に適合するかどうかの判断に苦慮するためです。しかも、採用のミスマッチによる早期離職が発生しやすいうえに、責任を問われるのは多くの場合採用担当者となります。


求職者へのアプローチ方法も定めにくく、応募者が少ない、自社が期待する応募者が集まらないといった状況にもなりかねません。本来、自社が必要とする人材の定義は、経営戦略に基づいて経営陣が行うべきです。経営陣の責任が適切に果たされない状況は、採用担当者の意欲を著しく低下させる要因となります。


自社の特徴や強みを把握できていない

自社の特徴や強みを正確に把握できていない状況での採用活動も、望ましくありません。採用媒体や手法の選定が適切になされなければ、他社と差別化された魅力的な求人情報の発信が難しくなるためです。


結果として、企業の独自性が伝わらない没個性的な募集要項となり、求職者からの応募が集まりにくい状況を招いてしまいます。自社の価値提案や強みの明確化も、本来は経営陣や人事部の役割です。責任が転嫁されることで、採用担当者は大きな心理的負担を抱えます。


採用担当者に向いていない

職務に対する適性を持ち合わせていない人が採用業務を担当している状況は、担当者自身に過度のストレスをかけ、辞めたい気持ちを高めさせます。採用担当者の役割は、企業の「顔」として求職者とのコミュニケーションや調整業務を担い、企業の価値観や魅力を適切に伝えることです。


スキルが不足している採用担当者は、業務の遂行に支障をきたします。特に、価値観や先入観による偏った見方は、公平な人材の見極めを困難にし、企業にとっても採用担当者本人にとっても望ましくない結果を招きがちです。


採用担当者に必要なスキル

効率的な採用活動を実現するためには、必要なスキルがあります。重要度の高いスキルセットを解説します。


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社内調整スキル

さまざまなシーンで必要となる社内調整スキルは、採用担当者の重要なスキルです。現場に必要な人材の要件を的確に把握し、面接官の選定や日程調整を円滑に進めるためには、日常的に関係者とコミュニケーションを図らなければなりません。スケジュール管理にかかわる能力も重要です。


また、採用担当者には、経営陣や幹部とやり取りする機会も頻繁に発生します。実務的なやり取りに加え、事業計画に基づいた採用戦略の策定や、求める人材像の明確化といった議論にも加わる機会があるでしょう。


マーケティングスキル

マーケティングの手法を採用活動に活用することを、「採用マーケティング」と呼びます。労働人口が減少傾向にある近年において、戦略的な採用マーケティングは、採用担当者に求められる重要なスキルです。


採用活動は、マーケティング活動と多くの共通点を持っています。求める人材像の明確化、自社の強みの発信、自社の魅力の抽出・母集団形成などは、マーケティングの基本的な考え方が直接的に応用できる分野です。


STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)を用いた戦略立案や、応募検討から入社までをカスタマージャーニーとして捉える取り組みは、効果的な採用施策の設計に役立つでしょう。


営業スキル・クロージングスキル

採用担当者には、営業職と同様のスキルセットも求められます。応募者との信頼関係構築は、採用活動の基盤です。応募者と打ち解け、ニーズや関心事を引き出したうえで自社の魅力を効果的に伝えられると、志望度を向上させられます。


また、応募者の入社意欲を高め、最終的な入社決定に導くためには、クロージングスキルが重視されるでしょう。なお、採用過程における取り組みは、採用担当者だけではなく、面接官との連携も重要です。双方が補完し合いながら、応募者の期待に応えられる体制を構築しましょう。


オペレーションスキル

採用活動には、面接の日程調整や事務連絡など、数多くのオペレーション業務が発生します。オペレーション業務にはスピードアップや効率化が求められますが、あくまでも定められたルールに従って正確に遂行することが前提です。


経験の浅い採用担当者は、基本的なオペレーションスキルを確実に身につけたうえで、少しずつ業務設計にも挑戦して、段階的なスキルアップを目指しましょう。


なお、標準化が可能なオペレーション業務は、外部委託による効率化が可能です。ただし、委託を成功させるためには、採用活動全体を捉え、適切な業務の切り分けと管理体制を構築する必要があります。


採用担当者の「辞めたい」を解消する方法

ここでは、業務効率化やシステム導入など、採用担当者の負担を軽減するための具体的な方法を解説します。


採用プロセスを見直す

採用業務は、例年どおりの方法を踏襲する傾向が見られます。しかし、労働市場の変化や企業の状況に応じて、採用計画やプロセスは柔軟に見直すべきです。不要な選考ステップはないか、採用担当者の負担を軽減できる部分はないかといった視点で、現状の採用計画やプロセスを分析すると、効率化の余地が表れるケースもあります。


内部リソースだけでの改善に限界があれば、コンサルティング企業やタレントマネジメントシステムの導入も検討しましょう。


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採用管理システムやタレントマネジメントシステムを導入する

応募者の個人情報や書類の管理は、採用業務において負担となっています。大量の情報を正確に処理しながら、タイムリーな対応も求められるため、多くの採用担当者が業務負担に苦慮していることが現状です。


採用管理システムやタレントマネジメントシステムを導入すると、応募者の情報のデータベース化や面接日程の自動調整が可能となり、業務の大幅な効率化を実現できます。特に、応募者とのコミュニケーションを一元管理できるシステムを導入すると、連絡漏れや情報の取り扱いミスといったヒューマンエラーのリスクを大きく減らせるでしょう。


部署と連携して採用活動する

採用担当者が単独で進める採用活動には限界があります。特に、入社後のミスマッチを防ぐためには、実際の職場となる部署との密接な連携が効果的です。たとえば、就職活動イベントや面接選考に各部署の責任者や社員が参加すると、実情に基づく採用活動を展開でき、応募者にとっても企業や部署の雰囲気を知るチャンスとなります。


部署との連携を重視して進める採用活動は、RJP(Realistic Job Preview)理論に基づく取り組みといえるでしょう。RJP理論とは、採用活動において、求職者に対して企業のよい部分と悪い部分の両方を開示することです。包括的な情報を応募者に提供すると、入社後のギャップを最小限に抑えられるでしょう。


なお、各部署の責任者や社員にとっても、採用活動への参加は応募者との対話を通じて自社の魅力を再認識したり、採用活動への理解を深めたりするよい機会となります。


アウトソーシングを活用する

採用業務における業務負担を軽減するためには、アウトソーシングの活用が効果的です。書類の整理や日程調整、応募者との連絡業務など、定型的な作業を外部委託すると、採用担当者は面接や採用戦略の立案といったコア業務に注力できます。


近年では、採用業務全般を一括して請け負うサービスも登場しており、企業のニーズに応じた柔軟な活用が可能です。アウトソーシングによって業務負担が軽減されれば、採用担当者に精神的な余裕が生まれます。結果的に、採用活動の課題分析や新たな採用手法の開発など、より戦略的な取り組みに注力できるようになるでしょう。


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まとめ

膨大な業務量と多岐にわたる役割を担う採用担当者のなかには、辞めたいと感じる人が少なくありません。状況を改善するためには、採用プロセスを見直し、各部署との連携を重視した採用活動を検討しましょう。また、採用管理システムやタレントマネジメントシステムによる自動化も、採用担当者の負担軽減に役立ちます。


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