ピグマリオン効果の実験例と活用事例を徹底解説。人材育成に役立てる方法とは


ピグマリオン効果の実験例と活用事例を徹底解説。人材育成に役立てる方法とは

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

人材育成においても、ピグマリオン効果は注目されています。しかし、その効果を疑問視する人は少なくありません。実際、提唱者のローゼンタールが行った実験結果に対しても賛否両論があります。

しかし、ピグマリオン効果には、ローゼンタールが行った実験以外の結果があり、企業としても改善実例がある点も事実です。そのため、実例をふまえたうえで、ピグマリオン効果を業務上に組み込むかどうかを判断することも検討してみましょう。

本記事では、ピグマリオン効果の実験例と人材育成におけるピグマリオン効果の具体例や活用方法について解説します。

ピグマリオン効果の心理学実験例



ピグマリオン効果の心理学的な実験例は、ネズミを用いたものと人間を対象に行ったものの2種類があります。それぞれの実験の概要と結果について、詳しくみていきましょう。

ネズミを使ったもの

教師役の人物が生徒に向けてネズミを使った迷路実験を行うことを伝え、それと同時にネズミには訓練された個体とそうでない個体がいることを伝えました。実際には、ネズミに個体差はない状態です。

この2種類のネズミがいるという先入観を持った生徒が実際に迷路実験を行ったところ、訓練されていないと伝えていたネズミよりも訓練されていると伝えたネズミの方がいい成績を残しました。実験で使用したネズミは、個体差がないにもかかわらず、実験結果に差が出たピグマリオン効果の典型例です。

人間を使ったもの

人間を使ったものは、ピグマ基本効果の対象者であるローゼンタールが行った実験です。小学校の全生徒に行った普通の学力テストをIQテストと名付け、今後成績が伸びるかをわかるテストであると事前に教師に通達しました。

このテストを用いて、後日無作為に20%の生徒を選び「これらの生徒は後に成績優秀者になる可能性が高い」として教師に伝えます。その後しばらくして、成績の推移を調査したところ、無作為に抽出した20%の生徒、成績優秀者になる可能性が高いと伝えた生徒の成績が他の生徒の成績よりも伸びが良かったという実験結果となりました。

再現性や質の部分で疑問が投げかけられるものの、ピグマリオン効果の代表的な実験例でもあります。今後より信頼性の高い実験例が生まれる可能性にも期待できるでしょう。

また、ピグマリオン効果が認められたのは数十年前であるものの、ビジネスにおいても役立つことが証明されています。しかし、有効に活用するためにはピグマリオン効果がどういったものなのか、どのような使い方をすればいいのかを把握しなければなりません。ピグマリオン効果について詳しく知りたい方はこちらの記事を参照しましょう。

「ピグマリオン効果」については、こちらの記事をご確認ください。

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人材育成におけるピグマリオン効果の具体例や活用方法



人材育成において、ピグマリオン効果を活用した成功例はいくつか存在しています。明確に得られた成果が異なる事例が多く、ピグマリオン効果の汎用性の高さが伺えるといえるでしょう。それぞれどのような活用方法で結果を得られたのかを解説します。

目的のための必要な作業を与える

ピグマリオン効果を成功させるためには、現場で上司が細かく指示を出すよりも、部下にある程度裁量を与えることが重要です。一例として、具体的な指示を出すとミスをするリスクは低減できるものの、部下の成長を妨げてしまう可能性があります。

成長を促す場合、必要最低限の指示を出すだけに留めて、細かなアクションなどに関しては部下の裁量に任せましょう。また、期待しているというメッセージを送りながら、相手を見守ったり、定期的に面談したりすることが重要です。

押し付けではない期待を伝える

期待とプレッシャーは似て非なるものであり、ピグマリオン効果においてプレッシャーをかけるのはデメリットでしかありません。あくまでも期待は本人の自主性を促すものです。

たとえば、「できなかったら声をかけて」という不安混じりの言葉をかけるよりも「あなただから大丈夫、頑張って」と声をかけると期待感を高められるでしょう。

ただし、人によって言葉の受け取り方は異なるため、事前に個別面談などを通じてどのようにアプローチすればいいのかを把握しておかなければなりません。伝える相手によって対応を変える必要があることを覚えておきましょう。

目的を必ず伝える

必要な作業を与える際には次の項目を意識しましょう。

・部下に業務を通しての成長期待しているという旨のメッセージを伝える
・なぜその業務が必要なのか、なぜその部下を指名したのかを明確に伝える

業務には難易度があります。仮に非常に優しい業務を与えた結果、自分には効果がないと勘違いして自信を失ってしまう部下がいる場合もあるといえるでしょう。

そのため、不必要にモチベーションを下げたり、押し付けがましく感じたりされないようにする必要があります。

過度な褒めを控えモチベーションを管理する

ピグマリオン効果において、達成した課題や目標を褒めるという行為は重要です。一方で、過度に褒めすぎてしまった場合、部下がその状況に満足することで成長が止まってしまうリスクがあります。

そのため、基本的には部下を褒めることをベースに置きつつ、積極的なコミュニケーションを取りに行ったり、モチベーション維持できるようなサポートに回ったりする必要があるでしょう。

期待の伝え方を一人一に合わせる

コミュニケーションの取り方は人それぞれであり、部下に応じて最適なコミュニケーションの方法を変える必要があります。

ピグマリオン効果も同様です。部下に期待するパフォーマンスに合わせて接し方を変える必要があります。場合によっては、ピグマリオン効果ではない接し方の方が能力を引き出せるケースもあるでしょう。

また、どのような場合にも同じような対応方法ばかりしていれば部下が不信感を抱いてしまう可能性も否定できません。そのため、マネジメントを行う場合は、期待の伝え方その人に応じた伝達方法を意識するようにしましょう。

セルフコントロール

ピグマリオン効果は、部下を成長させるためだけに使われるものではありません。自分自身のモチベーションを保つために活用すれば、セルフコントロールも可能となります。

モチベーションの維持・向上は部下だけではなく、その部下の成長を促す上司や管理職にも必要な要素です。たとえば、自分自身に細かく課題を提示し、ひとつずつクリアしていくことで自分自身のモチベーション維持に活用できます。

セルフコントロールでは、期待していることを伝えてくれる人はいません。しかし、ひとつひとつの課題に対して「これをクリアすることで新たに自分も成長できる」という意識を持つことができれば、より高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。

目標設定から目標達成までを評価する

部下を評価する時によくある評価エラーは、結果だけを見て評価をしてしまう事例です。結果も重要ではあるものの、ピグマリオン効果においては目標設定から達成までの過程を評価する意識を持つようにしましょう。

結果だけ褒めるスタンスの場合、部下は「過程を評価されることはない」と受け取る可能性があります。人材育成の観点でピグマリオン効果を活用する場合、過程も含めた具体的な評価は必須だといえるでしょう。

まとめ

ピグマリオン効果は、いくつかの実験例と人材育成において、効果があると判断されています。実験結果に関しては賛否両論あるものの、人材育成の現場において成果を出していることを考えると、有効な手段の1つといえるでしょう。

また、上司は部下の持つ課題をしっかりと理解した上で、コミュニケーションや業務を通じて成長できるようなフォローをしていく必要があります。部下に無理やりやらされているという印象を持たせず、成果に結び付けば部下の成長だけではなく企業全体の成長につながる可能性もあるでしょう。

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