要員管理とは?実施するメリットや実施する際のプロセスを解説!


要員管理とは?実施するメリットや実施する際のプロセスを解説!

プロジェクトを円滑に進めて成果を上げるためには、人員の不足や過剰を防ぎ、必要なスキルを持った人材の見極めが重要です。そのために必要なのが要員管理です。この記事では、要員管理について解説します。ワークライフバランスと要員管理のメリットや実施する際のプロセスなども解説するので、参考にしてください。

要員管理とは?

要員管理とは、要員の能力やスキルを把握したうえで、プロジェクトごとに最適な配置を行う手法です。プロジェクトを円滑に遂行し、成果を上げるために、要員管理が用いられます。また、不適切な人員配置による納期遅れや、人員の不足や過剰による余分なコストの発生を防ぐことも目的です。


さらに、要員それぞれの能力を生かす人員配置や、プロジェクトに必要なスキルの見極めを実現するためにも実施されます。


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要員管理の特徴

適切な要員管理を実施するためには、要員管理の特徴を把握することが大切です。以下は、具体的な要員管理の特徴とそれぞれの詳細です。


要員それぞれのスキルを把握できる

要員管理では、要員それぞれが持つスキルを把握できます。たとえば、プロジェクトが完了した段階で、社員が新たに獲得したスキルや成長したスキルを記録します。要員それぞれのスキルを記録することで、スキルの習得状況を更新しながら内容を把握することが可能です。


常に社員のスキルを把握していると、新たなプロジェクトを発足する際に適切な人材配置が実現でき、円滑なプロジェクトの遂行につながります。


要員の全体的な状況を把握できる

要員管理を進めることで、要員全体の状況が見えやすくなります。要員全体の状況を把握できると、プロジェクトや部署ごとに人材やスキルの状況が分かることが利点です。部署やプロジェクトごとに不足している人材やスキルが分かれば、適切かつスムーズな人材調整が実現可能です。また、採用活動や部署間の異動といった領域でも参考になります。


人員計画との違い

要員管理と似た言葉として、人員計画が挙げられます。人員計画と要員管理は混同されやすいですが、実際には異なる意味を持つ言葉です。まず、人員計画は異動や採用なども含んだ人員の配置計画を指します。具体的には、特定の部署に必要な要員の人数や、スキルを持った要員を配置するポジションなどを決定するための計画を立てます。


一方、要員管理は、計画に留まらず実際に配置された要員の管理も含まれる行為です。そのため、要員ごとの能力や特徴を把握した上で、マネジメントや教育を実施します。


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要員管理のメリット

要員管理のメリットは多岐にわたります。以下は、代表的なメリットとそれぞれの詳細です。


コストを抑えられる

効果的な要員管理を実現できれば、適切な人数で業務を効率的に進められます。また、余分な人員を配置せずに済むことで人件費の削減につながり、コストの抑制になります。さらに、人員不足が発生しにくくなるため、人員を補充するコストや手間を防ぐことが可能です。


人件費は会社の経費のなかでも大きな割合を占めるため、人材の配置を最適化することによって得られるメリットは大きなものです。また、最適な人材配置を継続的に実現できれば、商品開発や新たな事業への投資などにリソースやコストを回しやすくなります。


生産性が向上する

生産性が向上することも、要員管理によって得られるメリットの1つです。要員管理によって社員それぞれが持つスキルや知識を把握できれば、適切な配置や組織づくりを実現しやすくなります。社員それぞれが能力を発揮できる環境になれば、業務効率の改善が期待できます。また、要員同士のバランスや相性を考慮した配置ができれば、社員それぞれのポテンシャルを引き出しやすいです。


従業員満足度が向上する

スキルを生かせる業務や適性に合った配置が与えられると、従業員満足度が向上します。これは、ストレスを感じる場面が減り、会社や業務に対する満足度が上がるためです。また、モチベーションの向上や業務効率の改善など、従業員満足度が向上するとさまざまな利点があります。


モチベーションが向上する

自身の能力を発揮できる場所に配置されると、モチベーションが向上します。社員がレベルアップできたり、業務に対する自信が身についたりする環境を用意できると効果的です。モチベーションを向上させたり、高い状態で維持したりすることで、定着率や生産性の向上といった効果も期待できます。


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効果的な人員配置を実現できる

要員管理には、人材の能力を把握して適切に管理することが含まれます。また、人材の能力の把握や適切な管理は、適材適所の人材配置の実現につながるため重要です。特に、本人が気付いていない長所や能力に管理者側が気付けば、効果的な施策を実現しやすくなります。たとえば、能力を伸ばすような人員配置などです。


プロジェクトの各所に必要なスキルを持った人員を配置できれば、事業計画の円滑な推進や能力不足によるトラブルの防止にもつながります。


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要員管理におけるポイント

要員管理におけるポイントは多岐にわたります。具体的なポイントとそれぞれの詳細は以下の通りです。


社員の理解を得る

要員管理の実施には、社員の理解を得ることが不可欠です。社員の理解がなければ、いくらよい仕組みや環境を用意しても効果を発揮できません。また、要員管理の準備も円滑に進みにくくなります。そのため、計画に関する事項を説明することが重要です。


具体的には、実施する理由や実施に至った背景、要員管理の概要や計画内容などを伝えることが求められます。さらに、全体通知に加えて、対象となる社員には役職者や上長から面談形式で説明することが理想的です。


社員それぞれの能力を把握する

要員管理を効果的にするためには、社員それぞれの能力を把握することが重要です。所有しているスキルや資格をはじめ、積んできた実績や経験なども把握すると、適切な人材配置を実現しやすくなります。具体的には、適性検査の情報や日常の業務におけるスキルの調査、自己申告など、複数の観点から把握を目指しましょう。


また、長所や得意なことに限らず、短所や苦手なことも合わせて把握することが大切です。すべての人材をそれぞれが最も得意な分野に配置できるわけではないため、苦手な分野へ配置する場合も考慮しましょう。


実施する前に配置計画を立てる

要員管理の内容に基づき、人員配置計画を立てて人的資本マネジメントを行います。明確にすべき要素は以下の通りです。


・プロジェクトに必要な人員の数

・求められるスキルや経験

・役割と責任


要員管理の実施には時間やコストがかかるため、適切に準備することが重要です。


効果を分析して課題を把握する

要員管理の効果を分析し、配置計画の課題や不備を把握しましょう。ただし、短期間の実施では要員管理の効果を把握しづらいため、一定のサイクルで定期的に要員管理を実施することが重要です。課題や不備が見つかったら、それぞれの原因を探して対策を考えましょう。


結果を参考に人材を再配置する

要員管理は一度実施して終わりではありません。実施するだけでなく、定期的に効果を見直し、不備がないか確認することが重要です。特に、不具合が起きている場合は人材を再配置して不具合の解消を目指しましょう。また、社員が資格を取得したりスキルを伸ばしたりした場合も、再配置を実施しましょう。


なぜなら、新たに得た資格や伸ばしたスキルを発揮させて有効活用するためです。また、人員の過不足を確認して調整するためにも、人材の再配置は有効です。


要員管理を実施する際のプロセス

要員管理を実施する際のプロセスについて解説します。それぞれのプロセスの詳細は、以下の通りです。


1.人的資本のマネジメント計画を立てる

要員管理を実施する際は、まず人的資本のマネジメント計画を立てます。次に、マネジメントの方針を定めた上で、計画書の作成に移りましょう。具体的な計画を立てると、プロジェクトの遂行中に迷う場面が少なくなります。また、トラブルや問題が発生した際の責任の所在や対処法を明確にしておくと、円滑に対応できます。


情報連携に関するミスを予防できるのも、人的資本のマネジメント計画を立てる利点です。さらに、評価基準を明確にすることも重要です。社員それぞれが目標を持って努力しやすくなり、会社への不安や不信感を拭うことができます。


人的資本のマネジメント計画の記載内容

計画書を作成する際に具体的に記入する項目は、以下の通りです。

記載内容 詳細
要員調達 ・要員の調達先
・要員の調達手段
・調達する時期
・調達にかかるコスト
要員ヒストグラム ・月毎の要員の数
・作業時間を記したグラフ
要員離任計画 ・要員が離任する方法
・要員が離任する時期
表彰・報奨 ・表彰や報奨の基準
・表彰や報奨の運用方法
トレーニング・強化計画 ・要員の能力やスキルの育成計画
・チーム全体の育成
要員役割 ・責任の範囲
・要員ごとの権限や責任範囲の決定
組織図 ・プロジェクトやチーム内の組織図の決定
・報告関係の決定

2.プロジェクトチームを編成する

人的資本のマネジメント計画を参考にして、プロジェクトチームを編成しましょう。プロジェクトの遂行に必要な人数やスキルを持つ要員が不足している場合は、所定の方法で要員を調達して対応します。


なお、社内に適任となる人材がいない場合は、社外からの調達も検討しましょう。必要な要員が揃った際には、プロジェクトチームを編成し、要員それぞれの役割や責任範囲を決めることが大切です。また、業務の報告先や相談先を明確にするために、プロジェクトやチーム内における組織図を決めることも効果的です。


3.プロジェクトチームを育てる

プロジェクトチームを編成できても、初めから充分なパフォーマンスを発揮できないことは珍しくありません。チームワークを発揮させてパフォーマンスを高めるためには、チーム全体を整えて育成する必要があります。


ここからは、チーム育成の手法の1つであるタックマンモデルを例に、チーム形成の流れを5段階に分けて解説します。それぞれの段階の詳細は、以下の通りです。


形成期

チームが発足して間もない時期を形成期と呼びます。プロジェクトのために招集されたメンバーは互いについて知らないことが多いため、メンバー同士のコミュニケーションを促進します。また、メンバー全員にプロジェクトについて知らせ、改めて目標や方針を説明することが大切です。


混乱期

プロジェクトが開始され、実際に業務を遂行する時期は混乱期です。混乱期は、意見や認識の違いから対立が発生しやすい時期でもあります。メンバー同士の対立は、チーム全体の業務効率を悪化させたり、他のメンバーのモチベーションを下げたりする可能性があります。そのため、プロジェクトの進行に影響が出ないよう、バランスを取って対応することが求められます。


統一期

混乱期を乗り越えたプロジェクトチームが突入する時期は統一期です。対立を乗り越えた後の統一期では、チームの結束が固くなる傾向があります。メンバーそれぞれが互いの能力を把握し、円滑に業務を進めることが期待できます。また、チーム全体のパフォーマンスも向上しやすく、業務の効率化や生産性の向上なども実現しやすいです。


機能期

統一期よりもさらにチームの結束が固まる時期は機能期です。互いの能力をより深く理解できているため、円滑な業務遂行やチーム全体での高いパフォーマンスの発揮などが実現します。機能期に至るまでは、リーダーが状況を見極め、必要な場面でフォローに入ることが求められます。そのため、リーダーはメンバーそれぞれの特徴や性格を理解することが大切です。


散会期

散会期とは、プロジェクトが終了し、チームが解散する時期を指します。管理者は、各要員が成し遂げた実績や、プロジェクトを通して向上したスキルなどをまとめます。これらの情報やノウハウは、次回以降の要員管理に生かせる状態にすることが理想的です。


4.プロジェクトチームのマネジメントをする

プロジェクトのチームマネジメントでは、プロジェクトの遂行における課題を見つけて、解決に導くことが大切です。具体的には、メンバーからの報告書やプロジェクトの進捗状況などから問題点を特定します。しかし、業務上の問題とは別に、メンバー同士の衝突や対立が原因で課題が生じる場合も少なくありません。そのような場合は、コンフリクトマネジメントを用いた解決を目指しましょう。


コンフリクトマネジメントとは、組織やチーム内で生じた対立の解決を目指す手法です。コンフリクトマネジメントでは、課題をネガティブなものではなくポジティブなものと捉えて対応します。また、対立しているメンバーそれぞれの問題ではなく、チーム全体の課題として認識することが重要です。


コンフリクトマネジメントとは?

コンフリクトマネジメントの詳細について解説します。対立が生まれる状況は、以下の通りに分類可能です。

種類 詳細
強制 ・上下関係がある人間同士で発生しやすい
・どちらかが相手へ意見を押し付けている状態
妥協 ・同僚や先輩後輩などの関係で発生しやすい
・自分要求や意見を譲歩して妥協している状態
服従 ・相手の意見や要求を受け入れている
・強制とは対になっている状態
回避 ・同職位間の関係で発生しやすい
・双方に問題を解決する意思がない
協調 ・コンフリクトマネジメントにおける理想的な状態
・互いの意見を尊重している状態

組織やチーム内で対立が生じる原因は多岐にわたります。しかし、対立の原因を適切に分析できれば、効果的な対処の実施や防止方法の考案につなげることができます。


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要員管理を実施する方法

要員管理を実施する際は、自社に合った方法を選ぶことが大切です。代表的な方法とそれぞれの詳細は以下の通りです。


Excel

Excelを活用することで、要員管理を実現できます。以下は、Excelで要員管理する際に必要な情報とその詳細です。


・見積工数

・現状の人数と必要な人数の差

・技術や役職などの必要な能力


また、Excelにはフィルター機能が備わっています。フィルター機能を活用すれば、データ量が増えても対応しやすいです。さらに、Excelでガントチャートを作成することも可能です。まず、行にタスクや担当者、列に日付を記入します。そして、進捗状況をセルに色を塗ることでガントチャートを作成できます。


専用ツール

Excelでの管理では、ファイルの共有が難しく、更新者も分かりにくいといった課題があります。効率的な要員管理を実現したい場合は、専用ツールを利用することがおすすめです。専用ツールなら、リアルタイムで内容を確認したり、計画を変更する際の編集もスムーズに行えたりします。


無料のツールもありますが、機能や利便性の面で使い勝手が劣る傾向にあります。多人数で利用する場合や使い勝手の良さを求める場合は、有料のツールの導入を検討しましょう。


まとめ

プロジェクトを円滑に遂行し、高い成果を上げるためには、要員管理が重要な役割を果たします。しかし、社員それぞれの能力や特徴を把握し、適切に活用するには多大な労力がかかります。要員管理にかかる負担を少しでも軽減するためには、要員管理に特化したツールやシステムの導入が欠かせません。


タレントパレットを導入すれば、社員のデータを一元化し、定量的分析の結果から異動を検討することができます。また、リレーションを可視化して社員同士のシナジーを最大化したり、経験や勘に頼らない戦略的育成ローテーションを立案したりすることも可能です。効果的な要員管理を実現したいと考えている場合は、ぜひご相談ください。


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