要員計画により事業計画を達成!目的や必要性なども詳しく解説


要員計画により事業計画を達成!目的や必要性なども詳しく解説

要員計画が適切であれば、人材を適正に採用し、適材適所な人員配置などが可能です。要員計画は、事業計画に基づいて策定するため、要員計画が成功すれば事業計画の達成の大きな要因になるでしょう。この記事では、要員計画について、目的や必要性、メリット、手順などを解説します。要員計画に必要なサービスも述べるので、ぜひ参考にしてください。

要員計画について

要員計画の策定については、その基本の理解が重要です。ここでは、要員計画の概要や他の計画との違いを解説します。

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要員計画とは

要員計画は、事業計画に基づいて策定する人事の計画です。人事計画に含まれるケースが多いですが、事業計画の達成の要でもあります。要員計画は、事業計画の達成のために必要な、人材採用や人材育成、人員配置などを戦略的に計画しなければなりません。

「Manpower Planning」や「Human Resources Planning」ともいわれる人事計画であり、これまでの人事戦略の概念を打ち破らなければなりません。日本企業の多くは、新卒一括採用や終身雇用制度が人事戦略の主流でした。しかし、社会はIT技術の進歩やグローバル化により、VUCAと呼ばれる時代です。VUCAでは、これまでの人事戦略は通用しなくなり、要員計画を採用する企業が増加しています

VUCAとは、「ブーカ」と呼ばれVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。目まぐるしく変転するような、予測困難な状況を表しています。要員計画は、事業計画とVUCAに合わせて必要な人材を配置したり、調達したりすることでもあります。

人員計画や採用計画との違い

人員計画は、部署や事業所ごとに検討され、求められる人材や人員数の計画です。要員計画は、事業計画に基づいた計画であるため、人事に関する予算内で人員を計画します。人員計画は部署や事業部などの単位であり、ミクロの視点で検討されることが特徴です。

要員計画は、企業全体で検討される計画であり、マクロの視点で計画を立てなければなりません。また、採用計画は人材採用の計画です。要員計画のなかに、人員計画や採用計画が含まれることが多くあります。これらの計画は、要員計画を細分化した計画と考えると分かりやすくなるでしょう。

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要員計画の必要性

要員計画の必要性は、大きく分けて2つあります。ビジネス環境の変化への対応と労働人口減少への対応です。

ビジネス環境の変化に対応するため

企業をとりまく環境は、IT技術やグローバル化により大きく変化しました。現在も、急速に変化しているといえます。ビジネス環境の変化により、多くの業界や企業が淘汰されました。しかし、新たな業界や業種、企業が生まれています。

一方で、社員の働き方も、働き方改革の影響などにより、多様な働き方が定着しました。前述したように、ビジネス環境はVUCAの時代に突入しています。これまでに、企業が培ってきたノウハウやスキルだけでは、生き残りが難しい時代です。

不安定な環境で、企業が生き抜くためには、差別化が大きな要因となります。人材は、差別化を生み出す大きなポイントです。要員計画により、人材を生かしたビジネスモデルを構築しなければなりません。要員計画で、多様な働き方に対応しなければ、必要な人材確保は難しいでしょう。

労働人口の減少に対応するため

少子高齢化の影響などにより、労働人口は減少傾向です。労働人口とは、「労働可能な能力と労働する意思を持った15歳以上の人」の人口をさします。労働人口は、今後も減少傾向が続くため、企業は優秀な人材確保が困難になるでしょう。労働人口減少の問題に対応するためにも、要員計画が必要になります。

企業は要員計画により、次のような施策も検討しなければなりません。

・自社の人材を育成
・多様な働き方に適応できる労働環境の整備
・アルムナイネットワーク(退職者の再雇用)制度の構築

これらの施策に加えて、ダイバーシティ&インクルージョンを導入し、海外の人材を積極的に採用することも要員計画に含まれます。

要員計画の目的

要員計画を策定するためには、目的を知ることが大事です。ここでは、主な目的を3つ解説します。

採用計画の合理化のため

要員計画は、事業計画を基に策定し、採用計画も要員計画に含まれます。事業計画を基にすることにより、合理的な人材の採用計画が策定できるのです。これまでのような、場当たり的な採用計画では、事業計画の達成の妨げとなるかもしれません。採用計画の成否は、事業計画達成に大きく影響します。

事業計画を達成するためには、どのような人材を何人採用すべきかを検討しなければなりません。事業計画のなかの、資金計画と照らし合わせる視点も重要です。資金計画内の人件費を参考に、合理的な採用計画を立案することも要員計画の目的といえます。

適材適所の人員配置のため

適材適所の人員配置も、要員計画の主な目的です。要員計画によって、どの部署にどのような人材がいるかを把握できます。また、各部署が、どのような人材を何人必要(人員)としているのかも、把握できるでしょう。把握した人材情報と人員情報をマッチングさせれば、適材適所の人員配置が可能です。

要員計画による適材適所の人員配置ができれば、これまでの人員配置のミスマッチが解消します。部署が求めている人材の配置と、人員不足の部署への人事異動による人的リソースの最適な分配も要員計画の目的です。

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現在や将来の人材育成のため

現在だけではなく、将来を見据えた人材育成も要員計画の目的です。要員計画は、事業計画に基づいています。中長期的な事業計画であれば、要員計画も中長期的な視野で策定しなくてはなりません。そうなれば、現在の要員だけでなく、将来の人材育成も要員計画の目的となります。

中長期的な人材育成計画を策定しなければ、事業計画の達成に支障をきたす可能性も大きくなるでしょう。現在の人的リソースを確認し、リーダーや管理職となる人材がどれだけ必要かを割り出します。その人材を育てることが、要員計画に求められています。

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要員計画を策定する2つの方法

要員計画を策定する方法は、トップダウン型とボトムアップ型の2つです。ここでは、それぞれについて解説します。

トップダウン型

トップダウン型は、事業計画に基づいて人件費の予算を算出し、要員計画を策定する方法です。マクロ的算定方式ともいわれています。予算化された人件費をもとに、確保する要員を決定することが一般的です。人件費は、事業計画内の収支計画の数値を引用したり、労働分配率や損益分岐点から算出したりします。

人件費の予算内で、人材の採用を進めるため、予算オーバーのリスクはありません。ただし、予算に固執していては、事業計画に必要な人材を確保できない可能性があります。事業計画の達成に必要な要員と、各部署が求めている人員を確保することが、予算よりも重要であることを認識しておきましょう。人材が確保できなければ、他社との差別化も難しくなるかもしれません。

ボトムアップ型

ボトムアップ型は、部署や事業部などの現場で、必要な人員をヒアリングして、必要な要員を把握する方法です。積み上げ方式やミクロ的算出方式ともいいます。ボトムアップ型は、実際の業務にあわせて必要な人員数を算定できることが特徴です。人員不足により発生する多種多様なリスクを回避できます。

ただし、ヒアリングした人員をすべて確保すれば、人件費の予算を大きくオーバーするかもしれません。事業計画を基にした、人件費の予算も確認してから、計画することが求められます。また、現場は必要最低限の人員を要望するケースが少なく、円滑に業務を遂行するために、余裕のある人員を求める傾向があることを理解しておきましょう。

要員計画のメリット

要員計画を策定することには、多くのメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを4つ紹介します。

社員の管理により人件費を削減できる

要員計画により、人件費を削減できることは大きなメリットです。要員計画を策定する段階では、社員が個々に有する資格や能力、スキル、職種別経験値、職種別習熟度などを把握(管理)します。

社員の状況の把握と管理は、要員計画を策定する際のプラス材料です。社員の管理ができている要員計画により、人員の不足や余剰を発生させません。人員不足にならなければ、円滑に業務が進行し、余剰人員を抱えなければ人件費の削減が可能です。

このような要員計画により、事業計画に適した人件費の管理が可能となります。企業の必要経費のなかで、人件費の比率は低くありません。各部署やプロジェクトの人員配置を見直し整理すれば、さらに人件費の削減ができるかもしれません。

生産性の向上ができる

生産性の向上も、要員計画のメリットです。苦手を克服できていない社員に、その仕事を与えれば生産性は低くなります。逆に、社員が得意とする仕事を与えれば、生産性は高くなるでしょう。要員計画による社員管理により、社員の得手不得手も把握できます。そのうえで、合理的な人員配置をすれば生産性は向上し、企業にとって大きな利益になります。

しかし、社員の得意分野だけの部署や業務だけでは、その社員の能力やスキルを向上できません。社員のスキルアップやキャリアデザインのために、苦手な部署に配置転換する場合は、その旨を的確に伝えましょう。

配置転換の際には、人事部の担当者が、部署や事業所の管理者へ、社員個人の能力や経験値などを伝え理解を得なければなりません。そのうえで、社員同士の相性やバランスも考慮した部署内配置ができれば、部署内の雰囲気や環境もよくなるでしょう。結果として、さらなる生産性の向上だけでなく、品質や仕事の質も向上します。

効果的な人員配置ができる

事業計画の達成に向けて、効果的な人員配置ができることは大きなメリットです。要員計画の重要ポイントは適材適所であり、適正に策定し実行すれば、適材適所の人員配置ができるでしょう。適材適所により、各社員がそれぞれの能力やスキルなどを、存分に発揮できることは、効果的な人員配置といえます。

管理者は、各社員の能力やスキルなどを、人員配置前に把握しておく必要があります。配置後も、社員自身が気付いていない能力や長所があるかもしれません。管理者は、それらにも気付いて、能力や長所を伸ばすように心がけましょう。

これらの能力や長所は、人事部が把握していないケースでもあるため、フィードバックも忘れずに行うことが大事です。管理者と人事部の意思疎通が円滑であれば、人事部による社員の管理が一過性のものでなくなります。また、次の要員計画にも役立つため、人事部と管理者のフィードバックが効果的な人員配置に重要だと認識しなければなりません。

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社員のモチベーションを向上できる

社員のモチベーションの向上は、企業にとって大きなメリットです。適材適所な人員配置は、企業側のメリットだけでなく社員にもメリットがあります。社員は、得意分野の仕事を任せられることにより、モチベーションが上がります。作業効率もよくなるため、短時間で効率よく仕事を進められるでしょう。

人事部は、効率のよい仕事ぶりが、人事評価制度で評価されることを社員に伝えなければなりません。また、昇給や昇格のチャンスにもなることも周知徹底しましょう。これにより、社員は高いモチベーションを維持できるようになります。

社員は、評価されることにより、自身のレベルアップや仕事への自信を持つようになるものです。結果として、社員の成長につながります。人材が育ち、労働生産性が向上すれば、仕事や商品のクオリティが上がるため、顧客満足度も向上するでしょう。

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要員計画を策定する手順

要員計画を策定する際には、手順を理解しておくことが大事です。ここでは、その手順を解説します。

社内の人材の現状を把握する(社員の管理)

要員計画で重要なことは、人事部による社員の管理です。社員の管理は、社内の人材の現状把握から始めます。まずは、社員の基本状況(氏名・年齢・現在の部署・役職)を作成しましょう。

次に、社員の基本情報に加えて、資格や能力、スキル、職務経歴、業務の習熟度などの情報を加えていきます。中途入社の社員であれば、前職での職務経歴も大事な情報です。これらの情報は、ワンオンワンミーティングなどで集めるとよいでしょう。

これらの情報に、部署の管理者からのフィードバック情報を加えます。また、人事評価制度による評価内容も、不可欠な要素です。情報が集まればデータ化して社員の管理を行います。社員の一元管理には、タレントマネジメントシステムなどの人事管理システムが有効です。

必要な要員を調査する

社員の管理ができれば、要員調査を行います。要員調査は、社内ニーズを把握したうえで、必要な人材の要件を洗い出すための手段です。ヒアリングが中心となる作業ですが、トップダウン方式とボトムアップ方式ではヒアリングの内容が異なります。ここでは、それぞれのヒアリング内容の例を紹介します。

トップダウン方式のヒアリング調査

トップダウン方式で要員を算出するためには、事業計画から予算を算出しなければなりません。予算を確定してから、適正な人員数を決定します。そのためには、経営層にヒアリングし、必要人員を割り出す必要があります。そのヒアリング内容の例は次のとおりです。

・事業計画の目標利益や売上高、経費予算の見込み
・事業計画にある事業や経費などの優先順位に変化があるかを確認
・自社をとりまく経営環境や労働市場面の変化を確認
・長期的な事業計画の進捗状況を確認

企業によってヒアリング内容は異なりますが、重要なことは事業計画の進捗状況や優先順位の変化の有無です。これらのヒアリングと事業計画を基に、人件費の予算を算出し、適正な人員数を決定します。

ボトムアップ方式のヒアリング調査

ボトムアップ方式で要員を算出する場合は、各部署や事業所の管理者にヒアリングし必要人員を割り出さなければなりません。管理者へのヒアリング内容の例は、次のようになります。

・業務量と人的リソースの過不足がないか
・事業計画を達成するための人員はあと何名必要か
・不足しているのであれば、いつまでに人員を補充しなければならないか
・求める人員の具体的なスキルや能力、経験値はどうか
・繁盛期と閑散期の業務量の違い
・注力しなければならない業務に対しての進捗状況

各部署や事業所は、人員が多いほど成果を出しやすいため、適正な人員よりも多い人員数を希望するケースが少なくありません。それも勘案しながら、事業計画で算出した人件費の予算と照らし合わせて、要員計画を策定する必要があります。

必要な要員を調整する

ヒアリングにより、必要な要員数が算出できれば、要員を調整する段階です。必要な要員を、どのような方法で補填するかを検討しなければなりません。人材を補填する方法としては、新卒者採用や中途採用、既存社員の能力開発、アウトソーシングなどが挙げられます。

このような方法から、部署や事業所の必要要員ごとに補填方法を決めましょう。事業計画には、短期的な計画もあるため、その場合は、経営計画などに基づいた人事計画を確認しながら策定しなければなりません。短期的な視点に捕らわれないことが重要です。事業計画の達成と中長期的な視点で要員を調整しましょう。

要員計画を策定し運用する

要員数を算出し、要員の調整方法が決まれば、具体的な要員計画を策定する段階です。事業計画の達成が、要員計画に求められています。策定した要員計画が、役員会などで採決されれば、実際に運用を始めなければなりません。また、要員計画を基にして、人員計画や採用計画、人材育成計画などを立てて実行することも重要です。

戦略的な最適配置とは?企業が抱える人材配置の問題を解消する方法

要員計画策定のためのサービス

要員計画を策定するためには、事業計画に対しての知識や知見が欠かせません。要員計画の失敗は、事業計画の未達成の原因にもなります。もし、自社に事業計画や要員計画に深い知見をもつ人材が不足していれば、コンサルティングサービスの活用を検討しましょう。

やみくもに要員計画を策定しても、企業に大きなダメージを与えることになるかもしれません。また、タレントマネジメントシステムを活用すると、コンサルタントサービスに依頼しなくても、自社で要員計画を策定できる可能性が高まります。

まとめ

要員計画は、事業計画を達成するための要のような計画です。ビジネス環境の変化や労働人口減少に対応するためには、人材が必要であり、その人材を確保することも要員計画に求められています。要員計画が成功すれば、企業に多くのメリットがあるため、慎重に策定し成功を収めることが大事です。

要員計画には、社員の一元管理が求められます。タレントパレットは、採用から人材育成、人員配置、離職防止、経営の意思決定支援をワンプラットフォームで実現できます。要員計画の策定を検討している場合は、ぜひご利用ください。

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