【新入社員が対象】オンボーディングプログラムとは?
新入社員を対象に実施されるオンボーディングプログラムについて、由来や概念、役割を解説します。
オンボーディングプログラムの由来と概念
オンボーディング(on-boarding)とは、元々「飛行機や船に乗っている」という意味合いで使われていました。乗り込んだばかりの人をサポートするために、機内や船内では適時アナウンスやサービスがなされます。ビジネスの現場では、新入社員への教育やサポートをオンボーディングプログラムと呼びます。
オンボーディングプログラムの役割
オンボーディングプログラムの役割は、新入社員に企業での環境にいち早く慣れてもらい、活躍してもらうことです。オンボーディングプログラムは、新入社員へのメリットはもちろん、企業にとっても取り入れるメリットが十分にあります。新入社員の持ち味が発揮されると、企業の多様性が広がるからです。
オンボーディングプログラムを導入する7つのメリット
オンボーディングプログラムを導入するメリットを解説します。人的資本の定着・活用に、オンボーディングプログラムを役立てましょう。
1.速やかに戦力を得られる
オンボーディングプログラムを導入すると、通年採用で入社した社員を速やかに戦力化できます。従来の新卒者向けの育成方法には、座学のように大勢を対象とした研修も見られます。しかし、少人数を必要な時期に採用する通年採用において、新卒者向けの育成方法がマッチしないケースも少なくありません。
オンボーディングプログラムでは、通年採用・新卒採用を問わず人間関係や社風などを含む多くの要素を速やかに学べます。
2.教育格差をなくす
職場環境や先輩社員による教育格差をなくすことも、オンボーディングプログラムのメリットです。新卒時の一斉研修のみでは、配属後の状況によって社員の理解度にバラつきが出る恐れがあります。部門ごとのオンボーディングプログラムが用意されていれば、部門ごとに必要な知識やスキルが異なっても新入社員の育成が可能です。
3.離職率が低下する
離職率の低下も、オンボーディングプログラムを導入するメリットです。新入社員には、入社して1年未満で辞めてしまう人もいます。しかし、すぐに離職されては、貴重な人的資本を活用できません。
オンボーディングプログラムを通じて組織に必要とされるようになれば、組織に貢献する気持ちが芽生えます。現在の職場で前向きに働こうとする結果、新入社員の離職率が低下します。
4.業務効率化や生産性向上が見込める
効率よく戦力を増やし社員のモチベーションを高めると、業務効率化や生産性向上につながります。
また、教育体制を整えるためにマニュアルを作ると、育成期間を短縮できます。マニュアルを作ると、先輩社員による指導が均一化されるだけではなく、新入社員がマニュアルを見て疑問を自己解決する機会を増やすことも可能です。育成期間の短縮、業務に専念する時間の増加など、効率化に役立てましょう。
5.組織風土が改善する
オンボーディングプログラムでは、新入社員に企業のビジョンや価値観を伝えられます。先輩社員にとっても、あらためて企業のビジョンや価値観を振り返る機会になるでしょう。
6.社員のエンゲージメントが高まる
オンボーディングプログラムは、新入社員のエンゲージメントを高めます。適切なフォローを受けると、自分が必要な存在であると実感できます。新入社員のエンゲージメントを高めて、上述したような離職率の低下や業務効率化、生産性向上などにつなげましょう。
7.コストを減らせる
オンボーディングプログラムが成功すると、人的資本の流出を防げるため、採用活動にかけるコストを減らせます。また、早期に離職する新入社員が減れば、育成コストの削減も可能です。
オンボーディングプログラムの導入手順
オンボーディングプログラムの導入手順を解説します。完成したオンボーディングプログラムは、実践を通じて適時改善しましょう。
1.目標を決める
どのような社員になってほしいかをイメージして、新入社員に学んでほしいスキルや知識を挙げます。目指す社員のペルソナが具体的になるほど、オンボーディングプログラムの内容を決めやすくなります。
2.原案を作成する
目標をかなえるために、新入社員の育成における課題を洗い出して原案を作成します。スキルや知識を身につける手段を示した原案を作成し、社内で協議しましょう。オンボーディングプログラムを終了する目安など、スケジュールに関する部分もすり合わせが必要です。
3.オンボーディングプログラムを完成させる
現場の意見を踏まえ、現実的なプランでない場合は原案を修正します。現場で実現できなければ、オンボーディングプログラムが形骸化するかもしれません。なお、オンボーディングプログラムを実践して改善点が見つかれば、その都度修正が必要です。
オンボーディングプログラムの注意点とコツ
オンボーディングプログラムの注意点とコツを解説します。オンボーディングプログラムを円滑に導入するためには、事前準備が大切です。
1.社員を受け入れる準備をする
人事と新入社員は、入社前にコミュニケーションを取っておきましょう。企業と新入社員との信頼関係が構築されていなければ、育成効果が落ちてしまうためです。また、新入社員を迎え入れる環境を事前に整えておくと、新入社員は安心してオンボーディングプログラムを受け入れられます。
準備のコツ
先輩社員に育成方針や役割を共有しておき、スムーズに新入社員を迎えられるように職場環境を整えておきましょう。具体的には、新入社員が使う座席や備品・パソコンやメールアドレスなどが必要です。また、入社前研修で先輩社員や仕事内容などを紹介しておくと、新入社員の心理的ハードルを軽減できます。
2.職場の雰囲気や人間関係を整える
人事は、職場の雰囲気や人間関係が整うようにサポートしましょう。雰囲気が悪い職場には、オンボーディングプログラムを行う余裕がない恐れがあります。また、人間関係に問題のある職場では、新入社員は質問する相手を見つけられないかもしれません。
職場の雰囲気や人間関係を整えるコツ
メンター制度は、職場の雰囲気や人間関係を整えるために有効です。メンターは仕事上の悩みだけではなく、職場の人間関係など幅広い内容について新入社員の相談に乗ります。また、歓迎会や社内ランチ会などの親睦を深めるイベントが、新入社員が職場に溶け込めるきっかけになるケースもあります。
3.教育制度・サポートを充実させる
新入社員が学ぶ内容は多岐にわたるため、教育制度・サポートを充実させて効率よく学べる仕組みを作りましょう。疑問点や不安の解消など、新入社員をサポートするための仕組みも必要です。
教育制度・サポートを充実させるコツ
上述した入社前研修やメンター制度も、教育制度の一種です。他にも、各種マニュアルの準備や各種研修、OFF-JTやOJTなども教育制度に挙げられます。サポートするための仕組みには、質問窓口の設置が挙げられます。
指導レベルや内容が同等になるように、トレーナーや教育担当者にも研修が必要です。例えば、OFF-JTやOJTで伝える内容が異なると、新入社員の混乱を招きます。
4.短期間でPDCAを回す
小さな成功体験を積み重ねると、効率良い新入社員の育成が可能です。オンボーディングプログラムの目的に合わせ、小刻みに目標を設定しましょう。いきなり大きな目標を掲げても、新入社員が負担を感じたり、目標を見失ってモチベーションを失ったりする恐れがあります。
短期間でPDCAを回すコツ
短期間でPDCAを回すならば、本人の自己評価のみでは不十分です。人事やマネージャーがフィードバックを出し、効率よく育成のPDCAを回しましょう。特に、入社後の3か月に受けたオンボーディングプログラムは、以降の離職率や成長に大きく影響することが知られています。
5.認識をすり合わせる
新入社員と企業とで、認識をすり合わせておきましょう。ビジョンや価値観、期待されている役割などの認識がずれていると、新入社員のエンゲージメントが低下し、生産性の減少や離職などにつながります。また、新入社員への過大な期待は禁物です。
認識をすり合わせるコツ
インターン制度を取り入れると、企業について入社前に新入社員に知ってもらえます。また、新入社員のスキルや特性が分かれば、配属の際に参考にできるためミスマッチを避けやすくなります。認識にズレがないことを確認しながら、オンボーディングプログラムを進めましょう。
オンボーディングプログラムに成功した企業の事例
オンボーディングプログラムの事例を紹介します。オンボーディングプログラムを導入する際に役立ててください。
IT業界の事例
IT業界の某企業には、中途入社者を対象にしたオンボーディングプログラムがあります。同社のオンボーディングプログラムはグループ形式で実施され、配属後もしばらく続行されます。
プログラムの目的は、業務で使うツールのセットアップや入社手続き・商品やサービスへの理解・技術面の理解などです。オンボーディングプログラムで培った新入社員や先輩社員との関係性は、以降の業務によい影響を与えています。
通信業界の事例
通信業界大手の某企業は、社員専用の相談窓口を設置しました。相談窓口を設置した目的は、トラブルや疑問の早期解決です。相談窓口では、誰に聞いてよいか分からない悩みでも尋ねられます。相談窓口の導入により新入社員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下につながりました。
まとめ
オンボーディングプログラムは、新入社員にスムーズに企業に馴染んでもらうためのプログラムです。オンボーディングプログラムにより、新入社員のパフォーマンスを発揮させましょう。オンボーディングプログラムには、育成度合いの見える化がおすすめです。
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