おひたし上司とは?部下との良好な関係性を築くための考え方


おひたし上司とは?部下との良好な関係性を築くための考え方

『おひたし上司』とは、SNSを中心に注目を集めている言葉であり、理想の上司の条件として知られています。

今回は、おひたし上司の意味や背景、類似した言葉について詳しく解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


『おひたし上司』という言葉を聞いたことはありますでしょうか?これはとあるSNSの投稿から話題を集めているビジネス用語であり、理想の上司の条件として注目されているのです。


今回は『おひたし』が示す意味や重要性を解説したうえで、部下と良好な関係を築くために必要な考え方をご紹介します。


SNSで共感者続出!『おひたし』が生まれた理由

『おひたし』という言葉が使われ始めたのは、あるSNSの投稿がきっかけとされています。もともとは、基本のビジネスマナーとして重要視される『ほうれんそう』から派生した言葉であり、ホウレンソウが正常に機能しない理由は上司側にもあるのではないかという疑問が背景にあります。


上司の態度や振る舞いから、部下は「何を報告すれば良いかわからない」「怒られてしまいそうでなかなか相談できない」といった不安を感じてしまい、ホウレンソウが行えなくなっているのではないかと感じる人が少なくなかったのです。そうした状況の中で、あるユーザーが部下からのホウレンソウに対して『おひたし』で返すことを心がけていると投稿したところ、多くの共感を集める結果となりました。


『おひたし』の意味を解説

『おひたし』はホウレンソウと同じく、コミュニケーションで意識すべき項目の頭文字をとって並べた用語です。それぞれの頭文字が示す意味について見ていきましょう。


お(怒らない)

「お」は「怒らないこと」を意味しており、特に感情に身を任せて発言してしまうことを指します。部下からの報告や相談に感情的な態度で接してしまえば、必要以上に相手を萎縮させ、ホウレンソウの実行を妨げる原因になってしまいます。


ただし、決して部下にネガティブな意見を伝えてはいけないという意味ではありません。状況によっては、きちんと叱ることも大切です。冷静さを失わず、相手の人となりではなく客観的な事実だけに目を向けて伝えると良いでしょう。


ひ(否定しない)

「ひ」は「否定しない」の頭文字です。しかし、「怒らない」と同じように、部下の意見に対してまったくネガティブな意見を伝えてはいけないという意味ではありません。


頭ごなしには否定せず、まずはじっくりと向き合ってから、上司としての意見を伝えることを意味します。


た(助ける)

「た」は「助ける」の頭文字ですが、過剰な手助けを避け、適切なタイミングでフォローすることを意味します。部下を助けるのは上司が担当すべき役割の1つですが、あまり手出しが過ぎてしまうと、部下の成長を妨げる要因にもなりかねません。


そこで上司には部下の状況を丁寧に観察し、必要に応じて柔軟にフォローできる体制が求められます。


し(指示する)

「し」は「指示する」の頭文字です。部下に対しては、状況に応じて的確な指示を出し、高いパフォーマンスを引き出すのが上司の役割といえます。


しかし、「助ける」と同じように、過剰な指示は部下の自主性を損ねてしまう可能性があります。上司から一方的に指示を出すのではなく、部下のほうから指示を求められるような信頼関係を築くのが理想的といえるでしょう。


部下との関係悪化の原因は?


『おひたし』を心がける目的は、上司や先輩社員と部下の信頼関係を深め、円滑に業務を進められる環境をつくる点にあります。そのためには、関係性が悪化してしまう原因にも目を向け、予防に努めることが大切です。本章では、部下との関係を悪化させる4つの原因について見ていきましょう。


コミュニケーション不足から生じるすれ違い

上司と部下の関係に限りませんが、コミュニケーション不足は人間関係を悪化させる主な原因です。部下と上司では、世代や考え方によるすれ違いが生まれるケースも多いです。


そのため、ジェネレーションギャップによる無用な誤解を生む可能性があります。また、お互いに心理的なすれ違いがあると、適切なホウレンソウができなくなってしまうというケースも考えられます。


スムーズな連携を実現するためには、日頃からコミュニケーションを図り、気の置けない関係性を築いておくことが重要です。


上司からの圧力に部下が反発

上司から見れば、強い意見や価値観の押し付けをしている自覚がなくても、知らないうちに部下にプレッシャーを与えてしまっているケースが多いです。特に業務のやり方やノルマなどについて十分な納得が得られないまま部下に押し付けてしまうと、思いがけない反発を受ける可能性があります。


言葉遣いが生む誤解

意識的にコミュニケーションをとっているつもりでも、なかなか部下との関係が深まらない場合には、普段の言葉遣いに注意してみてもいいでしょう。同じ内容を伝える場合でも、ちょっとした言葉に気をつけるだけで、相手に与える印象が改善する可能性があります。


特に上司の場合、自身が思っている以上に部下へ不安や恐怖心を与えてしまっている可能性も考えられます。対等な間柄の相手には通じる言葉でも、部下や後輩には圧力を与えてしまうケースがあるので、言葉遣いに気を配ると良いでしょう。


不適切な仕事量

それぞれの人柄や相性に問題がなくても、業務環境によって人間関係が悪化してしまうケースもあります。たとえば、「業務量が明らかに多い」「能力や経験に対して明らかにレベルの低い業務を任せている」など、不適切な業務の割り振りも関係性を悪化させる原因となります。


また、上司自身が抱えている業務が多すぎて、細かな配慮ができなくなってしまうといったケースもあるため、自分の業務量を客観的にチェックするのも良いでしょう。


あらゆる人事データを統合して分析

上司と部下の関係性は、当事者の人となりやスキルだけでなく、取り巻く職場環境によっても大きく左右されます。特に、人手不足に陥りやすい現代のビジネス環境では、管理職の負担が大きくなり、部下への配慮にまで気が回らないといった状況もめずらしくありません。


そのため、組織の人間関係を向上させるには管理の効率化を実現することが大切です。タレントマネジメントシステム『タレントパレット』は、あらゆる人事データを一元管理し、活きた情報として最大限に価値をもたらすためのツールです。


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部下に守って欲しい『ほうれんそう』とは?

『おひたし』という概念は、部下からの『ほうれんそう』を機能させるために必要な概念です。改めて基本となるほうれんそうの内容を確認しておきましょう。


ほう(報告)

「ほう」は「報告」の頭文字であり、仕事の進捗状況や業務の成果などを伝えることを指します。上司と部下の関係性においては、正確かつ迅速な報告が業務をスムーズに進めるカギとなり、適切に行われなければ全体の流れが停滞してしまう可能性があります。


れん(連絡)

「れん」は「連絡」の頭文字であり、業務に関連する情報を関係者に共有することを指します。報告は上司と部下などの上下関係を前提としたやりとりであるのに対し、連絡は他部署や同僚、取引先なども対象とする点が特徴です。


そう(相談)

「そう」は「相談」の頭文字であり、物事の意思決定において上司や関係者の意見を求める行為を指します。特に未経験のトラブルが発生したり、重要な機会に直面したりしたときには、単独の従業員が自分で物事を判断することはおすすめできません。


そのような場合には上司やチームメンバーと情報を共有し、話し合いによって最適な方向性を見つけるべきでしょう。


その他にもあるビジネスマナー用語

『おひたし』や『ほうれんそう』のように、ビジネスマナーに関連する用語には様々なものがあります。よく使われている代表的な用語を4つご紹介します。


こまつな

『こまつな』は「困ったら(こま)」「使える人に(つ)」「投げる(な)」の頭文字を並べた言葉です。関係者それぞれに異なる得意分野があることを前提にした考え方であり、「困ったときには専門家や得意な人に任せたほうが良い」という基本ルールを示します。


また、トラブル発生時には自分が得意なことを請け負い、お互いが助け合うという意味も含まれています。


きくな

『きくな』は「気にせず休む(き)」「苦しいときは言う(く)」「なるべく無理しない(な)」の頭文字をとった言葉です。苦しい状況を我慢するあまり、誰にも相談できないまま離職してしまう新入社員の傾向から生まれた考え方です。


ストレスや疲れが蓄積してしまったときには、遠慮をせずに休みをとったり、誰かに相談したりしながら、無理をしないように注意することの重要性を示しています。


ちんげんさい

『ちんげんさい』は「沈黙する(ちん)」「限界まで言わない(げん)」「最後まで我慢する(さい)」の頭文字からなる言葉であり、「してはいけないこと」をまとめています。困ったことがあっても、沈黙したり限界まで我慢してしまうと、周囲の助けは得られません。


そのままの状態が続けば、調子を崩したり離職に至ったりするリスクもあります。そのため、相談することの大切さを踏まえて『ちんげんさい』が重視されるようになっています。


かくれんぼう

『ほうれんそう』が広く使われるようになったことから、より実用的な用語として『かくれんぼう』を用いるケースも増えています。この言葉は、「確認(かく)」「連絡(れん)」「報告(ぼう」の頭文字であり、相談ではなく、新たに確認という言葉が使われているのが特徴です。


相談と確認の大きな違いは、部下の主体性にあります。相談の場合、部下は上司に対して事実を伝えるのみであり、実際に答えを考えるのは上司の役目となります。


それに対して、確認は部下があらかじめ提案や考えを用意しておき、そのうえで上司にチェックしてもらうという意味が強いです。そのため、部下の自発性や判断力を育成するという観点から、『ほうれんそう』ではなく『かくれんぼう』を推奨するケースも増えています。


部下とのコミュニケーションで気をつけること


部下との適切な信頼関係を築くためには、日常的なコミュニケーションにおいてもいくつか心がけておきたい点があります。そこで主な3つの注意点を解説します。


人前で叱責しない

人材育成を行ううえでは、部下を叱らなければならないこともあります。そのときには人前で叱るのではなく、必ず一対一の場面を設けましょう。


人前では部下のプライドが傷つけられ、人の目も気になってしまいます。また、人前で恥をかきたくないという思いから、問題やミスがあっても報告しなくなってしまう事態にも陥りかねません。


そのため、部下を厳しく指導しなければならないときには、一対一でじっくりと話せる時間を作ることが大切です。


上司に非がある場合はきちんと認める

信頼関係を築くには、自分に非があるとわかったときに素直に認める意識が重要です。上司の立場からすれば、どうしても部下の前では完璧でありたいという気持ちが強くなり、     自分の非を認めるのは難しくなりがちです。


しかし、きちんと自分の失敗や弱点を認めるほうが人からの信頼を得やすくなるケースもあります。仕事に対する責任の取り方を学んでもらうためには、部下の前だからこそ誠実な振る舞いを心がけましょう。


明るい雰囲気をキープする

コミュニケーションを充実させるためには、上司のほうから明るく話しかけやすい雰囲気づくりを心がけることも大切です。業務と直接的関係ないことでも、部下の興味に合わせて話題を振ったり、話に耳を傾けてみたりすると効果的です。


日常的なコミュニケーションが円滑に行われていれば、有事の際にはきちんと『ほうれんそう』や『かくれんぼう』が機能するメリットも期待できます。


まとめ

『おひたし』ができる上司は、部下の悩みや本心を上手に引き出し、組織の人間関係を円満に保つことができます。良い人間関係が築かれれば、重要な場面ではきちんと『ほうれんそう』や『かくれんぼう』が機能し、大事な情報を見逃すリスクが少なくなるでしょう。


また、何よりも組織全体のパフォーマンスや生産性が向上します。そのためには、管理職の育成と適切なマネジメントが欠かせません。


実力のある管理職を育てるとともに人事データなどを効率的に管理すれば、しなやかで力強い組織づくりが可能となるのです。そこで重要なカギを握るのが、「タレントマネジメントシステム」です。


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