こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ノンバーバルコミュニケーションは、「非言語コミュニケーション」とも呼ばれており、他者とのやりとりを円滑に進めるうえで重要な役割を担っています。「なんとなく部下との意思疎通がうまくいっていない」「プレゼンで堂々と振る舞えるようになりたい」といった場合には、ノンバーバルコミュニケーションに注目してみると良いでしょう。
今回は、ノンバーバルコミュニケーションの種類や使い方、注意点などについて解説します。
ノンバーバルコミュニケーションの意味とは?
「ノンバーバル」とは、非言語や言語を使わないといった意味の単語です。ノンバーバルコミュニケーションは、言語以外の手段で行われるコミュニケーション方法のことであり、具体的には表情や声のトーン、ちょっとした仕草などが該当します。
言語のみのやりとりと比べて、視覚や嗅覚といった五感を幅広く使うため、より多くの情報量を届けられるのが特徴です。また、ノンバーバルコミュニケーションには、意識的に行われるものだけでなく、無意識的に行われるものも多くあります。
バーバルコミュニケーションとの違い
バーバルコミュニケーションはノンバーバルコミュニケーションの対義語であり、言語を用いたコミュニケーション方法を指します。ノンバーバルコミュニケーションとの併用も可能であり、両者を組み合わせることで、意味がより正確に伝わったり、場の空気を和らげやすくなったりするなどの効果があります。
メラビアンの法則
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンは、コミュニケーションにおける情報伝達の手段について、「7-38-55ルール」と呼ばれる法則を提唱しました。これは、コミュニケーションにおいてやりとりされる全体の情報量を100としたときに、言語情報はわずか7%であり、非言語情報がそれ以外の93%を占めるというものです。
具体的な内訳は、「言語情報が7%」「表情や見た目などの視覚情報が55%」「声のトーンや発話のスピードなどの聴覚情報が38%」とされており、ノンバーバルコミュニケーションが全体の9割以上を占めていることがわかります。このように、メラビアンの研究結果からは、ノンバーバルコミュニケーションが持っている重要性を数字で理解するできます。
ノンバーバルコミュニケーションは3種類
ノンバーバルコミュニケーションには、大きく分けて3種類の要素があります。ここでは、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
視覚的要素
先ほどご紹介したメラビアンの法則でも明らかなように、ノンバーバルコミュニケーションにおいて、特に重要な役割を果たすのが「視覚的要素」です。代表的な視覚的要素には、笑顔や怒った顔、真剣な顔といった表情などがあげられます。
また、体型や容貌、身だしなみといった見た目に関する情報も、視覚的要素にあたります。たとえば、「きちんと整えられた髪型」からは、清潔で真面目そうな印象が受け取れるといった具合です。
それ以外の具体例としては、「インテリアや照明などの色合い」「服装や化粧、アクセサリー」なども視覚的要素の代表格です。
聴覚的要素
「聴覚的要素」とは、声のトーンや大きさ、太さといった聴覚を通じてやりとりされる情報です。同じ言語情報であっても、ハキハキと大きな声で話すのとボソボソと小声で話すのでは、伝わり方に大きな差が生まれます。
また、広義の意味においては、相槌などの近言語と呼ばれるコミュニケーションも聴覚的要素に含まれます。適度な相槌は、きちんと話に耳を傾けているという意思を表示したり、相手への同意を示したりするのに効果的な要素です。
身体感覚的要素
「身体感覚的要素」は、身振りや手振り、姿勢といった身体的な表現を用いた要素であり、ボディランゲージと呼ばれることも多いです。また、握手や抱擁といった接触行動も、代表的な例としてあげられます。
身体感覚的要素は、共通言語を持たない相手ともコミュニケーションを図りやすいという特徴を持っています。一方、それぞれの文化背景によって細かな要素の意味合いは異なるため、正しい認識と理解が必要となる点には注意が必要です。
ノンバーバルコミュニケーションが重要な理由
コミュニケーションにおいて、ノンバーバルコミュニケーションはとても重要な役割を果たします。ここでは、その理由について3つのポイントから解説します。
信頼関係が構築できる
ノンバーバルコミュニケーションが重要とされる理由の1つとして、言語のみのコミュニケーションと比べて、良好な信頼関係を築きやすくなる点があげられます。会話のなかにうまく取り入れることで、相手に安心感を与えたり、話しやすい雰囲気を作り出したりできるのです。
たとえば、相手が話しているときにうなずいて相槌を打ったり、自然な笑顔を見せたりすることで、相手は丁寧に話を聞いてもらえていると感じやすくなります。その結果、本音を話してもらいやすくなったり、こちらの話にも関心を持ってもらえたりするなどの効果が生まれるでしょう。
言語の補填
言語では表せないニュアンスを補い、情報や感情を正確に伝えられるようになるのもノンバーバルコミュニケーションの重要な役割です。たとえば、企業のサービスについて営業をかけるシーンを考えてみましょう。
担当者が明るい表情と声のトーンで語り、ハッキリとした身振り・手振りを用いた場合と、暗い表情や小さな声で接した場合とでは、同じ言葉を用いていても顧客が受ける印象には大きな違いが生まれます。前者のほうがサービスに対する自信を伝えることができ、前向きなイメージを持ってもらいやすくなるのは想像に難くありません。
相手の気持ちや状況を理解できる
コミュニケーションの受け手から見ても、ノンバーバルな情報にはさまざまな重要性があります。相手の表情や声の調子などを通して、言葉のみでやりとりを交わすよりも、より状況や気持ちを深く理解できるようになるのです。
たとえば、職場の上司として、体調を崩してしまっている部下に接するシーンをイメージしてみましょう。この場合、言語情報のみで調子を見抜くのは難しく、気づかないうちに相手に無理をさせてしまう可能性も十分にあります。
しかし、表情や顔色、ふとした瞬間の声のトーンなどにも注目していれば、無理をしている様子を敏感に察知しやすくなるでしょう。
ノンバーバルコミュニケーションの具体例
ノンバーバルコミュニケーションは、本人が意識していなくても自然と表出しているのが特徴です。どのような要素があるのかを意識することで、普段のコミュニケーションにおいて、より効果的に活用できるようになります。
具体例①表情
表情には感情がシンプルに表れやすく、メラビアンの法則でもとりわけ大きな情報伝達能力を持つ要素とされています。たとえ言葉を発していなかったとしても、何気ない表情の変化から気分や反応が伝わることも少なくありません。
特に、「目は口ほどにものを言う」という慣用句があるように、目は非常に大きな役割を担っています。何気ない視線や見開いた目の大きさなどから、相手に対してさまざまな感情を伝えることができるのです。
また、表情はジェスチャーなどのノンバーバルコミュニケーションと比べて、文化や国による意味合いの差異が少ないとされているのも特徴です。
具体例②声
声はときとして、会話の内容そのものよりも大きな情報を含んでいることがあります。人はコミュニケーションにおいて、微妙な声の変化を感じ取れる能力を持っており、声色や声質からさまざまな感情が伝わるとされています。
たとえば、言語情報では楽しかった出来事を伝えていても、暗い声色で表現されれば、相手は「何か気になる点があったのかもしれない」と感じ取ってしまうでしょう。反対に、親しい間柄の相手に対して欠点を指摘するような場面があっても、明るい声色で話していれば、「愛情を持ってからかっているだけ」と受け取ってもらいやすくなります。
このように、声の調子やトーン、話すスピードの緩急などを意識することで、コミュニケーションをより円滑に進められるようになります。
具体例③動作
動作やジェスチャーは、特に自身の言語が通じない相手とコミュニケーションを図る際に有効なノンバーバルコミュニケーションです。また、同じ言語圏の相手とのコミュニケーションにおいても、適度に動作を用いることで情報を正確に伝えたり、詳細な印象を届けたりできるようになります。
また、動作には意識的な振る舞いだけでなく、姿勢も含まれます。ピシッと背筋を伸ばした正しい姿勢からは誠実で真剣な印象が伝わる一方、背中が曲がっていると自信のない印象を与えてしまうでしょう。
具体例④服装など
身だしなみや服装は、印象を大きく左右する大切な要素の1つです。TPOに合った服装を心がけることで、その人物が常識的な感覚を持ち合わせていることがわかるため、第一印象から相手を信用させやすくなります。
また、1960年にアメリカの人類学者E・T・ホールが提唱した「プロクセミクス」も、言語以外で意思を伝達できる手段の1つです。プロクセミクスとは、相手との物理的な距離の取り方を意味する用語です。
対人距離が近ければ親密な関係を意味し、反対に間隔が空いていれば、心理的にも相手との距離が離れていることを意味します。初対面の時点では、不必要に距離を縮めすぎると相手に不快な印象を与えてしまう反面、親しい相手であれば好感を覚えることもあります。
このように、相手に自身の気持ちや心の許容度を伝える役割を持つことから、重要なノンバーバルコミュニケーションの1つとされています。
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ノンバーバルコミュニケーションはどのような場面で必要になる?
日常的なやりとりで何気なく用いられているノンバーバルコミュニケーションですが、ビジネスにおいては特に重要性が高まるシーンがいくつかあります。ここでは、具体的な場面を想定して、ノンバーバルコミュニケーションの活用方法を見ていきましょう。
必要な場面①営業
クライアントとの商談においては、どのようにして相手に安心感を与え、担当者を信頼してもらえるかが重要なカギとなります。良い印象を与えるためには、言語によるコミュニケーションだけでなく、ノンバーバルコミュニケーションを意識することが大切です。
具体的には、「服装や身だしなみを整える」「ハキハキと話す」「会話のテンポや間の取り方を意識する」「適切な距離感を意識する」などの方法があります。また、自社に取引先などを招く際には、「インテリアを工夫する」「ニオイに気を配る」といったポイントも重要となります。
必要な場面②プレゼン
プレゼンテーションでは、企画やアイデアを聴衆にわかりやすく伝え、共感や賛同を得るのが目的です。通常は書面やパワーポイントなどの資料を用意するため、聴衆の視線はそちらに集まることが多いものの、プレゼンテーターの身振り・手振りや声のトーンなども大切な要素となります。
内容に自信を持っているかどうかは、言語以上にノンバーバルコミュニケーションから伝わってしまうため、動作、表情、視線の動かし方などはあらかじめ練習しておくと良いでしょう。
必要な場面③面接
ノンバーバルコミュニケーションは、採用面接においても重要な役割を果たします。面接に臨む応募者は、強い不安や緊張を覚えるため、面接官の表情やその場の空気などを通常よりも敏感に察するようになっています。
それだけに、面接担当者がノンバーバルコミュニケーションにどれだけ気を配れるかどうかが、面接のクオリティを左右してしまうといっても過言ではありません。高圧的な印象を与えないように気を配ることで、話しやすい雰囲気が生まれ、応募者の本音を引き出しやすくなるのです。
具体的には、「柔らかい笑顔を心がける」「姿勢良く話を聞く」「ゆっくりと話す」「適度に相槌を打つ」などのポイントがあげられます。
必要な場面④スピーチ
スピーチは聴衆の視線が登壇者に集まるため、ノンバーバルコミュニケーションの重要性が特に高まるシーンといえます。言語情報では足りない部分を動作や声の抑揚などで補うことで、自身の伝えたい内容を聴衆へ誤解なく届けられ、共感を得やすくなる効果があります。
ノンバーバルコミュニケーションのメリットとデメリット
これまでの内容を通して、ノンバーバルコミュニケーションの重要性について詳しく見てきました。ここでは、実際にコミュニケーションの場で活用するメリットとデメリットをご紹介します。
ノンバーバルコミュニケーションのデメリット
ノンバーバルコミュニケーションは、使い方によって無用な誤解を招いてしまうリスクもあります。1つめは、「言葉と表情の不一致」による誤解です。
たとえば、無理に相手を納得させようと大げさな身振りを用いると、かえって不快な印象を与えてしまったり、言葉の真偽が疑われてしまったりする可能性が高くなります。上手に活用するためには、自分の振る舞いを客観視できる冷静な視点も必要といえるでしょう。
そして、2つめは「文化の違い」による誤解です。これまでにも簡単に触れましたが、特定のジェスチャーには文化圏によって異なる意味合いを持っているものもあるため、認識不足によって相手に誤った印象を与えてしまうリスクがあるのです。
そもそも、ノンバーバルコミュニケーションには、無意識のうちに使ってしまうものも多いため、相手によっては過度な表現にならないように注意する必要があります。
ノンバーバルコミュニケーションのメリット
注意点はいくつかあるものの、ノンバーバルコミュニケーションにはやはりさまざまなメリットがあります。言語情報だけで伝えきれない心の機微や臨場感などをそのまま表現できるため、相手の共感が得やすくなります。
職場や組織においても、相手に関心を持っていることを伝えたり、心配していることをわかってもらったりするためには、何気ない表情や仕草が言葉以上に大きな効果を発揮するでしょう。また、リーダーがノンバーバルコミュニケーションを上手に使えれば、会議の場で意見を引き出しやすくなったり、部下が安心して働きやすくなったりとさまざまな恩恵をもたらします。
ノンバーバル活用の重要な要素
最後に、ノンバーバルコミュニケーションを効果的に活用するための注意点を見ていきましょう。
注意点①相手に合わせ活用する
ノンバーバルコミュニケーションは、場合によってわざとらしい印象を与えてしまうケースもあるため、安易に多用することは避けるべきといえます。相手の理解度やお互いの関係性なども踏まえて、適切な場面で利用していくことが大切です。
注意点②何を伝えたいのか明確にする
コミュニケーションの目的を明確にすることも、ノンバーバルコミュニケーションを活用するうえで重要なポイントとなります。具体的には、伝えたい内容と相手が求めている内容、相手の知識量を明確にするのがコツです。
注意点③文化の違いは意識する
ノンバーバルコミュニケーションは、文化圏や世代によっても受け止め方が異なる可能性があるため、相手の価値観を丁寧に尊重する必要があります。特に初対面の人物と接する際には、事前に相手に関する情報を集めておき、失礼にならないように心がけることが大切です。
まとめ
ノンバーバルコミュニケーションは、他者との関わりを円滑に進め、良好な信頼関係を築くうえで重要な役割を果たします。特に、テレワークの普及によって、画面を通じてコミュニケーションを図る機会も増えていることから、ノンバーバルコミュニケーションの重要性はますます高まっているといえるでしょう。
そのうえで、組織の人材を上手に活用し、良好な関係性を築くのに一役買うのが「タレントマネジメントシステム」と呼ばれる仕組みです。タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して幅広く活用するシステムのことです。
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