こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
非正規雇用とは、雇用期間の定めがある雇用契約を締結し、働く形態のことを指します。日本における非正規雇用の労働者の割合は約4割となっており、様々な業界や職種で働いています。
非正規雇用と正規雇用とでは、給与や待遇面、勤務時間などに違いがありますが、どのような働き方を選ぶかは人それぞれでもあります。この記事では、非正規雇用の基本的な捉え方や企業が非正規雇用の労働者を雇うメリット・デメリットなどを解説します。
そもそも非正規雇用の定義とは?
非正規雇用とは、その名の通り正規の雇用契約を結んでいない雇用形態のことを指します。正規の雇用契約は、主に「期間の定めがない労働契約を結ぶこと」「基本的にはフルタイムの勤務が想定されていること」などが特徴です。
非正規雇用は、それ以外の契約方法を用いる雇用形態の総称と考えておいて良いでしょう。代表的なものとしては、アルバイトやパートなどの働き方があげられます。
非正規雇用は何割くらい?
総務省の「労働力調査」(2022)によれば、役員を除いた雇用者のうち、非正規雇用で働く人の割合は36.9%とされています。全体の約4割の労働者が非正規雇用で働いており、そのうち7割近くがパート・アルバイトです。
なお、厚生労働省のデータをもとに全体の推移を見てみると、2010年からは2019年まで連続的に増加していることがわかります。その後、2020年以降は一時的に減少を見せたものの、2022年は再び増加しています。
非正規雇用と正規雇用の主な違い
非正規雇用には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、正規雇用との違いをもとに、詳しく見ていきましょう。
勤務地や勤務時間
正規雇用の場合、勤務地は基本的に企業の方針に従うこととなり、場合によっては地方や海外への転勤が想定されるケースもあります。また、勤務時間についても、雇用者が定めるフルタイムや所定労働時間が基本です。
一方、非正規雇用の場合は転勤がないのが前提となります。勤務時間についても、一日数時間の時短勤務や、1週間のうち数日のみのシフト制といった自由度の高い制度を用いるのが一般的です。
雇用期間
前述のように、正規雇用では「期間の定めのない労働契約」を結ぶこととなります。これは「労働者が自ら離職する」あるいは「企業が倒産してしまう」「著しい規約違反などがある」といった場合を除き、終身的に雇用契約が続くという意味です。
それに対して、非正規雇用では、基本的に雇用期間が年単位や月単位で定められていることが多いです。状況に応じて契約の更新も可能ではあるものの、企業側から更新を拒むことができるのが正規雇用との大きな違いといえるでしょう。
給与形態
給与の仕組みについては、正規雇用では固定給となるのが一般的です。固定給とは、実際の労働時間に関わらず、一定期間の労働についてあらかじめ支払う給与額が固定されているという意味です。
具体的には、1ヶ月単位の月給制や1年単位の年俸制などがあります。また、企業によっては、成果に応じて支給額が上乗せされるインセンティブの仕組みを導入していることもあります。
一方、非正規雇用では、アルバイトやパートで採用される「時給制」に代表されるように、実際の労働時間に基づいて給与計算されるのが一般的です。ただし、後述するように非正規雇用にはさまざまな種類があるので、給与形態にも一定のバリエーションはあります。
福利厚生
福利厚生については、企業の価値観や状況が大きく反映されるポイントもあるため、同じ雇用形態でも細かな実態には違いがあります。そのうえで、一般的に正規雇用では家族手当や住宅手当、資格手当といった「法定外福利厚生」が適用されることが多いです。
一方、非正規雇用の従業員に対しては、正規雇用と比べて限定的に適用されることが多いです。ただし、有給休暇の取得や社会保険の加入については、正規雇用者と同様の条件が適用されます。
非正規雇用の種類
非正規雇用にはいくつかの形態があり、それぞれに異なった特徴を持っています。ここでは、3つのタイプに分けて、それぞれの特徴を見ていきましょう。
契約社員
契約社員と正規雇用者との大きな違いは、「労働契約の期間」にあります。契約社員とは、「期間の定めのある労働契約」に基づいて雇用される人のことであり、一定期間が経過すれば自動的に労働契約が終了することとなります。
期間の上限は原則3年までであり、専門的な知識が求められる業種などでも最大で5年までです。ただし、雇用者と被雇用者の同意があれば、契約を更新することは可能です。
なお、同一の会社で5年以上契約社員として働いた場合、一定の条件を満たしていれば、正規雇用として期間の定めのない契約に切り替えられる可能性があります。
派遣社員
派遣社員とは、派遣元である企業と労働契約を結んでいる従業員のことです。実際に勤務する派遣先とは直接的な雇用契約を結ばないことから、こちらも非正規雇用に分類されています。
派遣社員を同一の派遣先で雇える期間は原則3年までとされていますが、一定の条件を満たしていれば、引き続き雇用できる可能性もあります。派遣社員という雇用形態は、働く側にとっては、「さまざまなところで働ける」「勤務地や勤務時間の希望を叶えやすい」といった点がメリットです。
一方、企業側にとっても、「採用の手間やコストを削減しやすい」「ピンポイントで必要な人材を確保できる」「最終的に正社員として雇い入れることもできる」といったメリットがあります。
パートタイム労働者
パートタイム労働者とは、法律上は「短時間労働者」と表現されており、いわゆるパート・アルバイトと呼ばれる労働者のことです。パートタイムの大きな特徴は「短時間
の勤務が可能」「希望の曜日や時間帯で働ける」といった点にあり、労働者から見れば、自由度の高い雇用形態といえます。
一方、企業側から見ても、「手軽に不足人員を補える」「学生などの若い人材にも応募してもらいやすい」といったメリットがあります。
企業が非正規雇用を活用するメリット
それでは、企業が非正規雇用を活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのポイントについて解説します。
人手不足の解消
非正規雇用のメリットは、「繁忙期の人手不足を解消できる」という点にあります。正規雇用と比べて、雇用期間を柔軟に設定できるため、忙しい時期や年度などに限定して人員を補充することも可能です。
また、正規雇用と比べて採用にかかる工数も少なく済むため、条件が合えばすぐに働いてもらえるのが大きな利点です。
人件費を抑えられる
業種にもよりますが、非正規雇用は正規雇用と比べて、低い給与で雇い入れられるのも特徴です。ボーナスや退職金がない場合も多く、福利厚生にかかる給与以外の支出も抑えられるため、企業としては低コストで労働力を確保できる有効な手段といえます。
育成コストを抑えられる
非正規雇用は、専門性の高い特定の業務を任せたいときなどにも用いられます。たとえば、企業の高度なシステムの構築を行う際に、自社では対応できる人材がおらず、専門的なスキルを持った人材を外部に求める場合などです。
さらに、システムの保守・管理であれば自社の人材で行えるというケースなら、構築のみを外部の人材に任せるというのは十分に有効な選択肢といえるでしょう。この場合、非正規雇用を活用することで、一から自社の人材を育てるよりも遥かに育成コストを抑えられます。
期間の定めのある労働契約であれば、一時的に高い給与を支払ったとしても、それほど大きな損失になることはありません。このように、優秀な即戦力人材を採用できるのも非正規雇用の大きなメリットといえるでしょう。
企業が非正規雇用を行うデメリット
次に、企業が非正規社員を雇用するデメリットについて見ていきましょう。
人材育成が難しい
非正規雇用は雇用期間の定めを設けるため、企業からすれば人材育成が行いにくいのが特徴です。契約の更新・更改によって長く働いてもらうこともできますが、働く側も期間限定での労働を前提としているケースが多いため、長期にわたって活躍する人材としては計算できません。
また、そもそもの雇用形態が非正規であることから、従業員にとってもキャリアアップが望めず、前向きな意欲を保ちにくいという面もあります。
責任のある仕事が任せられない
雇用期間に限りがあることから、責任の重い業務や長期にわたるプロジェクトなどを任せにくいのも非正規雇用の大きなデメリットです。仮に企業が重要な業務を任せようと考えても、従業員からすれば「待遇と責任が釣り合わない」と感じられてしまうため、積極的な態度を引き出すのは難しいといえるでしょう。
人材流出の可能性も
非正規雇用では、従業員も自社に長く勤めることを前提としないのが一般的です。正規雇用のように長期の雇用が保証されているわけではないため、より優れた待遇で迎えてくれる企業があれば、そちらへ移ってしまうと考えるのが自然です。
そのため、どれだけ優れた人材を確保できたとしても、他の企業や業界へ流出させてしまうリスクは避けられません。
非正規雇用が働きやすい制度
具体的な事例は後ほど詳しくご紹介しますが、非正規雇用労働者の労働環境は正規雇用者と比べると決して良いものとはいえず、たびたび社会問題化していました。現在では、非正規雇用の労働環境を改善するために、様々な制度が設けられています。
同一労働同一賃金制度
「同一労働同一賃金制度」とは、「正規雇用者と同一の労働をしている場合は、非正規雇用労働者も同一の報酬を受けるべきである」というルールであり、中小企業には2021年4月から適用されました。主な内容は、給与の仕組みや手当などの待遇を明確化し、業務内容に基づいた給与体系を設けるというものです。
また、給与の仕組みや待遇の内容については、雇用時に労働者へ説明することが義務化されました。これにより、不透明な待遇格差を解消するのが目的です。
雇い止め法理
「雇い止め」とは、契約期間が満了した際に、企業が労働契約の更新をしないことです。有期の契約とはいっても、安易に雇い止めが行われれば、労働者が生活に困ってしまう恐れがあります。
そこで、労働契約法19条(雇い止め法理)では、客観的・合理的な理由のない雇い止めを防止するために様々な規定が設けられています。
5年ルール
5年ルールは「無期転換ルール」とも呼ばれています。その名の通り、同一の企業で通算5年以上勤務した場合、労働者が希望すれば、期間の定めのない労働契約に転換できるという決まりです。
労働者が求める限り、事業主は拒否することができないため、非正規雇用労働者を守る仕組みの1つとして扱われています。
非正規雇用を選ぶ人が増えている
かつては正規雇用との待遇格差などが問題化していたことなどから、非正規雇用を選ぶのは「正社員になれなかったため」という消極的な理由が多かったといえます。しかし、非正規雇用労働者の割合はここ20年で大きく増加しており、なかには積極的な理由で選ばれるケースも増えています。
ここでは、非正規雇用が増加している理由について見ていきましょう。
働く時間を縛りたくない
非正規雇用は勤務時間などの融通が利きやすいことから、仕事の時間を縛られたくない方にとってはメリットのある働き方といえます。特に育児や介護との両立を考えていたり、副業などを検討していたりする方にとっては、正規雇用よりも働きやすいと感じることもあります。
スキマ時間の有効活用
非正規雇用を選ぶ方のなかには、家事などのスキマ時間を有効に利用したいという目的を持つ人もいます。生活費の足しとしてパート・アルバイトで働く専業主婦の方や、学業や自営業の仕事と並行して働きたい方など、非正規雇用が選ばれるのには様々な背景が考えられます。
少子高齢化
高齢者の増加にともない、現在では65歳以上でも意欲的に仕事を求める方が増えていることも、非正規雇用の増加に関係していると考えられます。たとえば、定年退職後の再雇用では、非正規雇用が用いられるケースが多いです。
日本は労働人口の減少が今後も続くことが見込まれており、多くの業界や職種で人手不足が生じているため、企業も多様な人材を受け入れています。非正規雇用の割合は若年層では大きな変化は見られませんが、高齢者層では今後も増加傾向が見込まれると予測されます。
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自社にとって最適な雇用形態を見極めるためには、組織や人材の現状を正確に把握しておかなければなりません。人材が不足しがちな時期や、人員補充が必要な部門、必要な人材像などを明確にすることが、採用活動を成功させる第一歩となるのです。
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非正規雇用が働きやすい環境にするには
非正規雇用を導入するのであれば、デメリットの軽減に力を入れることも大切です。非正規雇用の従業員が働きやすい環境を整えることによって、モチベーションのアップにつなげていけるでしょう。
ここでは、非正規雇用労働者が働きやすい環境を整えるためのポイントを見ていきましょう。
教育制度の見直し
従業員側にとって、非正規雇用は「自身のキャリアアップにつながるかわからない」という点が大きなデメリットになります。正規雇用と比べて手厚い教育を受けられないケースが多いため、キャリア形成には不安を感じてしまうことも多いでしょう。
そのため、非正規雇用労働者に対する教育制度の改善を行えれば、採用市場における競争力を高める近道となります。しっかりと教育システムを整え、優秀な人材については正社員に登用される道をつくることで、非正規雇用の従業員にも帰属意識を持ってもらえるようになるでしょう。
待遇の改善
現在は法律をはじめとする様々な制度の改善により、非正規雇用で働く人の労働環境は着実に向上してきているといえます。しかし、企業ごとに非正規雇用に対する考え方は異なるため、実際には待遇にバラつきが生じているのも確かです。
非正規雇用労働者の採用を進めるのであれば、他の企業や業界全体の水準と比較して、自社の給与や待遇のレベルを客観的に分析することも大切です。
非正規雇用を無期雇用にするには?
企業として非正規雇用を導入する際には、最終的に無期雇用へと切り替える可能性にも目を向けておく必要があります。ここでは、非正規雇用契約者を正規雇用者へと切り替える方法について解説します。
非正規雇用契約者の状況把握
まずは、非正規雇用契約者の状況を正確に把握する必要があります。「社内に通算の労働期間が5年以上になる有期雇用契約者がどのくらいいるのか」「無期転換を申し込める権利はいつ頃生じるのか」を数字の上から確認していきましょう。
また、一度無期雇用に切り替えると、その後は基本的に長期で働いてもらうこととなるため、組織全体の人員の把握も必要となります。現時点で人員はどのくらい不足しているのか、どの部門に人手が必要になるか、将来的な事業展開など、幅広い視点で現状を分析することが大切です。
そのうえで、現在の有期雇用契約者を無期雇用に切り替えた場合にかかるコストも具体的に計算しましょう。「必要人員に対する現状の従業員数」「今後の事業展開」「人件費の変化」などを踏まえながら、無期雇用として切り替えるべきかどうかを慎重に検討することが重要です。
無期雇用の待遇や条件
続いて、無期雇用に切り替えた場合の待遇や労働条件について検討する必要があります。短期的なコストの変化ももちろん重要ですが、将来的にどのような活躍をしてもらうかを踏まえて、中長期的な視点から人事管理を行うことも大切です。
これまで担ってもらった業務や本人のスキルと、企業側が求める役割とのバランスをきちんと整理したうえで、最適な労働条件を考えていきましょう。
助成金の確認
有期雇用契約者のキャリア形成については、「キャリアアップ助成金」の制度を活用するのも1つの方法です。キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して一定の助成を行う制度です。
具体的な内容としては、以下のようなコースが設けられています。
正社員化支援 ・正社員化コース ・障害者正社員化コース 処遇改善支援 ・賃金規定等改訂コース ・賃金規定等共通化コース ・賞与・退職金制度導入コース ・短時間労働者労働時間延長コース |
助成金を活用するためには、実施日の前日までに所定の方式に沿った「キャリアアップ計画」の提出が必要です。また、資本金や常時雇用の労働者数などの条件も設けられているため、あらかじめ厚生労働省などの資料を確認しておくと良いでしょう。
就業規則の見直し
待遇や労働条件について明確になったら、それに基づいて就業規則の見直しも行いましょう。特に、はじめて非正規雇用労働者の切り替えを行う場合は、既存の就業規則に変更しなければならない部分が見つかるケースも多いです。
従業員区分の明確化や賃金・賞与の見直し、評価方法、労務などの様々な面に影響を与える可能性があるので、全体をまとめてチェックしておくと良いでしょう。
非正規雇用労働者への通達
ここまでの準備が済んだら、切り替えを行う非正規雇用労働者本人に通知を行い、基本的な仕組みの説明をします。無期転換ルールの仕組みを伝えるとともに、雇用形態の切り替えで変わる待遇面や業務面のポイントなども丁寧に説明することが大切です。
特に、正規雇用になることで転勤が生じたり、新たな責任が加わったりする場合は、トラブルを避けるためにも早い段階で伝えておく必要があります。
実施と改善
対象者本人から無期転換の申し込みを受けたら、速やかに実行に移しましょう。そのうえで、転換後にはトラブルが生じていないかを確認する必要があります。
特に勤務地の限定がなくなったり、休日出勤が発生したりするなど、それまでとは異なる働き方になる場合は本人の状況を丁寧に把握することが大切です。また、転換後に担当業務が大きく変わる場合や、配置に変更が起こった場合には、人間関係の構築も含めてフォロー体制を整えるのが理想的です。
非正規格差の最高裁まででの判決例
従業員に安心して働き続けてもらうには、労働法に関係する過去の判例についても把握しておく必要があります。ここでは、3つの事案について紹介します。
ハマキョウレックス事件
ハマキョウレックスは静岡県浜松市の物流会社であり、勤務していた契約社員が正規雇用の従業員との間に「不合理な格差」があるとして、是正を求める裁判を起こしました。不合理な格差というのは、例えば会社に対して同じような貢献度の正規雇用・非正規雇用の従業員がいるとして、正規雇用者のみ賞与を支払うといったことをいいます。
この裁判では、6種類の手当について不合理な格差があると訴え、そのうち4種類(通勤手当・無事故手当・休職手当など)が認定されました。残りの2種類の手当については、皆勤手当は審理差し戻しとなり、住宅手当については転勤の有無を理由として不合理性は認められませんでした。
長澤運輸事件
神奈川県横浜市にある運送会社の長澤運輸を相手取り、定年後に継続雇用されていた嘱託社員3名が裁判を起こしました。訴えの内容としては、職務給・住宅手当・家族手当がカットされ、さらに歩合給による調整によって給与が定年前の75%になったと主張しました。
職務内容が同じであるにも関わらず、賃金を減額したのは「不合理な格差」にあたるかどうかが争点となる事案でした。最高裁は、皆勤手当と精勤手当の格差は不合理としながらも、その他の手当や基本給の格差については退職金をすでに受け取っていることや年金の支給が受けられるのを理由として不合理性は否定されました。
日本郵便事件
日本郵便では、正規雇用者には支払われる年末年始勤務手当が、契約社員には支払われていませんでした。また、病気休暇(私傷病等で勤務できない場合に付与)についても、正規雇用者は有給であるのに対して、契約社員の場合は無給とされていました。
年末年始勤務手当と病気休暇について争われた裁判で、最高裁は「不合理な格差」があることを認め、日本郵便に対して支払いを命じる判決を下しました。最高裁によれば、年末年始勤務手当は業務内容やその難易度に関わらず、所定の期間勤務した場合に支給されるものとしています。
また、病気休暇については長期にわたって継続的な勤務が期待されている労働者が私傷病にかかった場合、生活保障を図り、治療に専念させることで継続的な雇用を図るために付与されていると判断しました。
いずれの判例からも、正規雇用と非正規雇用の間で正当な理由なく、賃金や手当、待遇面で差をつけることに合理性がないと裁判所が判断していることがわかります。
まとめ
非正規雇用の労働者は、雇用契約書で定められた期間が満了するまで働く形となります。正規雇用の労働者とは業務内容や人材育成、給与などの面で差がありますが、育児や介護に取り組みながら短時間働きたい人にとってはメリットとなる部分もあります。
様々な業種や職種で非正規雇用の労働者は働いており、多くの企業にとってなくてはならない存在です。できるだけ長く働いてもらうためにも、日頃からしっかりとコミュニケーションを取り、サポートできる体制を整えてみましょう。
そこで活用したいのが、「タレントマネジメントシステム」です。タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。
人材一人ひとりのスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。
あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、個々の従業員の特性に合わせたキャリア支援やフォローなどが行えます。「労務環境を整備したい」「従業員のモチベーションを高めたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。
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