モンスター社員と新型うつの違いは?それぞれの対処法を解説


モンスター社員と新型うつの違いは?それぞれの対処法を解説

近年は従来のうつ病とは異なる、「新型うつ」という言葉を耳にする機会が増えています。新型うつの症状は「モンスター社員」の特徴と似ている場合があるため、適切な対応をするためにも見極めなければなりません。本記事では、新型うつの概要や症状、モンスター社員の特徴や対処法を解説します。


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企業を悩ませるモンスター社員とは?

モンスター社員とは協調性が乏しく、周囲や企業に悪影響を与える社員のことです。職場での態度・言動などに大きな問題があり、人間関係を悪化させたり企業に不利益を被らせたりする可能性があります。


モンスター社員は企業として適切に対処しなければ、深刻な問題に発展するリスクがあるため注意が必要です。


新型うつとは?

「新型うつ」という症状が若年層を中心に増加傾向にあるとされています。従来のうつとどのような点で異なるのでしょうか。


従来のうつ病

従来のうつ病は、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減少することにより、無気力で憂うつな状態が続いてしまうことが特徴です。


日本人の約15人に1人が一生のうちにうつ病になるといわれており、責任感が強く真面目な社員に多く発症するイメージが広まっています。


主な症状として、集中力や意欲の低下、イライラ、疲労感、不眠、食欲減退などが挙げられるでしょう。気持ちが落ち込むことで、罪悪感・自責感を伴うケースが多いようです。


※参考:うつ病|厚生労働省


近年耳にする新型うつ

近年、報道などで「新型うつ」という病気を耳にする機会が増えており、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。新型うつは正式な病名ではありませんが、従来のうつ病とは症状が異なります。


新型うつは若い世代に多く、病気として診断しにくいことが現状です。ただし、気分の浮き沈みが激しいという特徴があるため、「現代風な気分障害」ともいわれています。新型うつの症状を訴える社員が増加傾向にあるため、適切な対応が取れるように症状や特徴を理解しておきましょう。


※参考:Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?|厚生労働省


新型うつの症状

新型うつが持つ特有の身体的・精神的な症状を知っておくことは、企業として対策を行ううえで欠かせません。どのような症状があるか見ていきましょう。


新型うつの身体的な症状

新型うつには、一般的に下記のような身体的な症状があるといわれています。


  • 発汗
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • パニック発作
  • 疲労感が強く、身体が重いと感じる
  • 過眠
  • 過食
  • 夕方が低調となる傾向


従来のうつ病は、不眠や食欲不振になる傾向なのに対し、新型うつは1日10時間以上の過眠・過食の症状が見られることが特徴です。また体調に関してもうつ病はいつでも低調ですが、新型うつの場合は限定的に低調になる点が異なる点といえるでしょう。


※参考:Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?|厚生労働省


新型うつの精神的な症状

新型うつの精神的な症状として、一般的には下記のようなものが挙げられます。


  • 多少活発な軽躁状態になる
  • 意欲が減退し抑うつ状態になる
  • 不安が大きく対人恐怖がある
  • 落ち込みやすく、他人からどう思われているか気にしてしまう


少し活発な軽躁状態であるため、本人でも気がつかないことがあるようです。そのため診断だけでは医師も見逃してしまう可能性があります。


※参考:Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?|厚生労働省


新型うつ特有の症状

新型うつは、従来のうつ病とは異なる身体的・精神的な症状がありました。一方で、新型うつ特有の症状も存在します。よく見られる症状は以下の通りです。


  • 好きなことをするときは症状が軽くなる
  • 業務中は低調
  • 20~30代の若年層に多い
  • 全体的に軽症
  • 他罰的な傾向がある


「○○なのは自分のせい」と考える自罰的な従来のうつ病に対し、新型うつは他罰的な傾向があるため、「○○なのは人のせい」と考えてしまう点で異なります。


※参考:Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?|厚生労働省


新型うつの社員に見られる特徴

新型うつの社員に見られる特徴として、勤務中に心身の体調が優れないということが挙げられるでしょう。勤務中は低調にも関わらず、終業後は活動的になることが大きな特徴です。


企業や上司に対して被害者意識を持ちやすいため、攻撃的な態度を取ってしまう傾向にあります。場合によっては、企業に対して訴訟を起こすかもしれません。


また、仕事を休むという行為にあまり抵抗がなく、欠勤・休職を繰り返してしまうケースも多い傾向です。


新型うつの治療方法

新型うつへの治療方法として、リワークプログラムへの参加があります。リワークプログラムとは、精神疾患で休職している人に対して、職場復帰に向けたリハビリテーションを実施するプログラムです。


またカウンセリングや認知行動療法などで、心の自立力をつける治療を行うこともあります。心理療法や薬物治療で回復する社員もいるようです。規則正しい生活を送り、生活リズムを整えて、睡眠と覚醒のバランスを保つことも重要です。


※参考:Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?|厚生労働省

※参考:リワークプログラムとは|一般社団法人日本うつ病リワーク協会


新型うつの社員との接し方

ここでは、社員が新型うつになってしまった場合の接し方のコツを紹介します。適切に対応できるよう、ポイントを押さえておきましょう。


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就業規則に基づいて対応する

新型うつの社員に対して、過度に気を遣うことは避けてください。特例を認めてしまえば、業務に影響を与えるうえに、本人の成長にもつながりません。


あくまで就業規則に基づいた対応に留まり、メンタルヘルスの不調に対する気遣いとは別物として対応しましょう。


たとえば、遅刻・欠勤を繰り返してしまう社員に対しては、遅刻や欠勤を許可するのではなく、他の社員と同様に休職を勧めます。医師の診断書を提出してもらい、就業規則に沿った対応を行うことが大切です。


主治医の判断に従う

新型うつと思われる症状が出ている社員がいる場合は、医師の診断を受けてもらうように勧めてもよいでしょう。医師による診断結果を尊重し、指示に従ってまずは治療を優先させることが大切です。社員が快調したように見えても無理には復帰させず、症状を悪化させないように配慮します。


信頼関係を築く

新型うつの社員との信頼関係の構築も欠かせません。信頼関係を築くには本人の気持ちに傾聴し、理解することが重要です。努力を認め、肯定的な声がけが有効だとされています。


社員のことを思った叱咤激励や説教は、新型うつ状態の社員にとって逆効果となるでしょう。何かを伝える際も、本人にとってのメリットをしっかり説明し、理解してもらうことが不可欠です。


一線を引いて対応する

メンタルヘルスの不調をサポートするのは、大きな負担となってしまいます。優しい人ほど業務だけではなく、精神的にも完璧にサポートしてしまいがちです。心身ともに疲弊してしまうと、業務に支障が出て生産性も低下してしまう可能性があります。


自分が疲弊しすぎないためにも、医師や専門家の力を借り、一線を引きながら対応しましょう。


新型うつ・モンスター社員の違い

新型うつと似た存在として、モンスター社員がいます。適切な対応をするためには、似ているとされる両者を見極めることが大切です。


新型うつは性格の問題?

新型うつは、症状から性格的な甘えやわがままと思われやすいかもしれません。性格的な問題の場合は、就職するよりも前から一貫して、甘えやわがままといった性質を持っていると考えられます。


しかし、新型うつの場合、就職以前は真面目だった人が、就職をきっかけに同様の症状を発症するケースが多い傾向です。そのため、新型うつは性格の問題ではないといえるでしょう。


新型うつ・モンスター社員を見極めよう

新型うつの症状と、モンスター社員の振る舞いは似ています。自社にモンスター社員がいると感じた場合は、まずは「新型うつかもしれない」と疑ってみてください。適切に対応するためには新型うつによる症状なのか、モンスター社員の性格なのかを見極めることが大切です。


モンスター社員の特徴

新型うつかどうか見極めるために、モンスター社員の特徴を理解しましょう。ここでは、モンスター社員の特徴を解説します。


指示・業務命令に従わない

モンスター社員の傾向として、上司の指示に従わず、報連相を怠りがちです。上司に従わないことに関して、自分を正当化します。指示に従わないため大きなミスを犯したり、業務にも支障をきたしたりするケースもあるでしょう。また正当な指示であっても、パワハラを受けたと捉えられる場合もあります。


遅刻・欠勤が多い

仕事への意欲が低いため、遅刻や欠勤、早退などを頻繁にしてしまうことも、モンスター社員の特徴といえるでしょう。また無断欠勤を繰り返してしまうことで、業務に支障をきたす可能性があります。


出勤してもパフォーマンスが悪く、周囲がカバーしなくてはならないため、他の社員の負担が増えてしまい、生産性が低下してしまうでしょう。


自己中心的で協調性がない

モンスター社員は、自己中心的で協調性がなく、周囲のことを思いやらないという傾向があります。業務は複数人で進めるものが多いことから、チームでの連携が取れず全体的な生産性が低下してしまうでしょう。


相手のことを考えた行動が取れないため、対人関係が築きにくく、社内の人間関係が悪化するリスクが考えられます。


他者に対して攻撃的

他者に対する行動や言動が攻撃的なモンスター社員も少なくありません。パワハラやモラハラなど、他の社員に対して高圧的な態度を取りがちです。些細なことを恨み執念深い場合もあるため、執拗に攻撃してくるでしょう。


職場で嫌がらせをしたり、SNSに誹謗中傷を書き込んだりするなど、他の社員が精神的な疾患に罹患してしまうまで追い込むケースもあります。


能力・スキルが足りていない

業務を遂行するうえで必要な能力・スキルが不足しているとわかっていても、なかなか改善しないことも特徴です。向上心がなく、成長に向けた努力を怠る傾向にあります。ミスを繰り返したり、業務へ真剣に取り組まなかったりするため、業務効率やサービスの質が下がり、職場や取引先に迷惑をかけてしまうでしょう。


精神的に不安定

精神が極端に不安定という点も、モンスター社員の特徴です。短気で些細なことにも激昂したり、落ち込んだりするため扱いづらい場合があります。私情を職場に持ち込むなど、業務効率の低下も懸念されるでしょう。周囲がモンスター社員の気分をうかがってしまい、必要な指示・指導をしづらくなるため業務が滞ってしまいます。


家族が介入してくる

モンスター社員の家族が職場での問題に介入してくるケースです。業務の進め方や職場での人間関係などに第三者が口出ししてきます。企業の評価や配置、昇進などに家族が納得せず異を唱えてくることで、争いに発展する恐れがあるため注意しましょう。社員本人と話し合って解決に導くための努力が必要です。


モンスター社員が企業に与えるデメリット

ここでは、モンスター社員が企業に与えるデメリットを紹介します。どのようなデメリットがあるかを理解し、必要な対策を講じましょう。


生産性が低下する

モンスター社員は仕事に対する意欲が低く、パフォーマンスが悪い傾向があります。加えて、モンスター社員は自身だけでなく、周囲のモチベーションも下げてしまうでしょう。モンスター社員の仕事を他の社員がカバーしなければならず、全体的な生産性が下がり、企業の業績が悪化するリスクもあります。


離職率が上昇する

モンスター社員は周囲に大きなストレスを与えがちです。嫌がらせを受けたり、気分で行動が左右されたりすることで、他の社員が疲弊してしまいます。職場環境の悪化が原因で、離職を考える社員が増えることに注意が必要です。人間関係のトラブルは離職の大きな要因となります。


ネガティブな投稿が拡散される

モンスター社員によって、自社への誹謗中傷をSNSや口コミに投稿される危険性があります。近年はインターネットが普及したことで、誰でも自由に投稿できます。モンスター社員による事実とは異なる書き込みが拡散されてしまうと、多くの人の目に留まり大きな影響力を持ってしまう可能性があるため、注意が必要です。


訴訟を起こされるリスクがある

モンスター社員であっても解雇は容易ではありません。安易に解雇すると、納得していないモンスター社員から訴訟を起こされるリスクがあります。訴訟を起こされると、企業の社会的イメージ低下につながってしまうでしょう。


しかし、慎重になり過ぎると、他の社員から安全配慮義務を怠ったとして、損害賠償を請求される可能性があるため、迅速かつ適切な対応が求められます。


モンスター社員への対処方法

放置することも安易な処分もできないモンスター社員に対して、どのような対処が必要なのでしょうか。ここでは、モンスター社員への対処方法を紹介します。


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注意・指導する

まずは問題行動に対して注意し、指導を行うことが大切です。対話によって問題の解決を目指しましょう。1対1での話し合いは信頼関係を築きやすいため、定期的な面談がおすすめです。モンスター社員に対して期待する行動・態度を具体的に伝えることで、目標が明確になるため、モチベーションの向上が狙えます。


異動・配置転換する

担当業務が向いていないようなら、異動・配置転換を検討しましょう。ただしモンスター社員が納得したうえで異動・配置転換することが重要です。適所適材のため、社員の能力・スキルなどを把握しておき、適した場所に異動させましょう。異動先でも問題行動を起こす可能性があるため、経過観察を怠らないことにも注意が必要です。


懲戒処分を行う

指導を繰り返しても問題が改善しないのであれば、懲戒処分を検討してください。問題行動の程度に対して、「戒告」「減給」「出勤停止」「懲戒解雇」などのなかから、妥当と考えられる懲戒処分を行いましょう。軽い処分から段階的に重くしていくことが大切です。不用意に実施すると訴訟を起こされるため、安易には決めないようにしましょう。


モンスター社員は辞めさせられる?

モンスター社員が在籍していることで、企業が不利益を被るケースも少なくありません。企業や他の社員を守るため、モンスター社員を辞めさせられるのかについて解説します。


まずは退職勧奨を行う

日本において、社員を解雇することは容易ではありません。懲戒処分をしても問題行動が改善しないなら、退職勧奨を行いましょう。退職勧奨とは、モンスター社員から同意を得て退職してもらうことです。あくまで勧奨のため、退職を強要しないよう注意しましょう。


解決しないなら解雇する

モンスター社員が退職勧奨を受け入れない場合、退職してもらうためには解雇しか手段がありません。ただし、解雇は企業にとってリスクが大きいため、慎重に行いましょう。これまで企業が十分に問題の改善に向けて取り組み、機会を提供してきたことを証明する必要があります。解雇の実施に向けた準備を事前に行っておくことが重要です。


モンスター社員の対処におけるポイント

先述した通り、モンスター社員の問題解決に向けてしてきた対応は、すべて記録に残しておいてください。解雇や訴訟の際に、これまでの取り組みを根拠や証拠として提出できます。あわせて、モンスター社員に最適な対応が取れるように、企業体制の調整を進めることが大切です。企業や他の社員が被害にあわないためにも、対策を講じておきましょう。


社員がモンスター化しやすい企業の特徴

ここでは、社員がモンスター化しやすい企業の特徴を解説します。特徴を知り、新たなモンスター社員を誕生させないように努めましょう。


不適切な人事配置・評価制度

スキルや実績を活かせず、向いていない部署に配置されると大きな不満につながります。また、仕事に対する成果がきちんと評価されなければ、仕事に対する意欲が低下するでしょう。仕事量に対して給与が少ない場合も、モチベーションが低下してしまいます。


蓄積したストレスを発散するために、モンスター社員化してしまいやすい傾向にあることから、適切な人員配置や評価が不可欠です。


職場環境が整っていない

長時間労働が多かったり、業務が多すぎたりなど、職場環境が整っていない場合も社員が不満を感じやすく、モンスター化しやすいとされています。


業務負担が大きいと身体的・精神的な健康が損なわれるうえに、上司からも適切な指導を受けられません。業務に関する基礎知識が学べず、過労によるメンタルヘルスの不調が原因となるケースもあるため、職場環境の整備に努めましょう。


モンスター社員を減らす対策

モンスター社員を減らすためには、いくつかの対策を講じる必要があります。具体的な対策を解説します。


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採用基準を見直す

まずはモンスター社員化する人材を採用しないよう、採用基準を見直すことが大切です。


  • 質問に対して曖昧に回答しないか
  • 前職の悪口を言っていないか
  • 求める回答が返ってくるか
  • 自分の価値観だけで物事を判断していないか
  • 自慢話が多くないか
  • 連絡・提出が遅くないか


上記のような基準を考慮しておくと、後々モンスター化する恐れのある社員を採用せずに済みます。


就業規則・評価制度を整える

就業規則に罰則・解雇に関する条件を明記しておきましょう。モンスター社員は自分の都合のいいように物事を解釈する傾向にあるため、不明瞭な部分はなくしておくと安心です。研修時に就業規則研修を行うことで、確実に確認する機会を設けることも欠かせません。


また、評価基準はわかりやすく明確にしておきましょう。評価が結果として表れる制度があると、ストレスが蓄積されにくくなります。


相談窓口を設置する

職場の悩みを相談できる窓口を設置することも、対策として有効です。職場における人間関係やメンタルヘルスに関する相談は、人によっては周囲に相談しにくい場合もあります。


未来のモンスター社員がいる場合、相談窓口を設けることで早期発見につなげられるかもしれません。早めに対処すれば事態が悪化する前に対処できるため、気軽に相談できる環境を整えましょう。


まとめ

新型うつは20~30代の若い世代に多く見られる症状で、単なる甘えやわがままとは異なります。モンスター社員と似ているところもあり、適切な対応をするためには、違いを見極めることが大切です。それぞれの社員のあらゆる人材データを把握し、適切に対処することは、新型うつやモンスター社員の予防・問題解決に役立ちます。


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