モンスター社員を放置する企業の末路は?避けるべき対応や適切な対処方法を解説


モンスター社員を放置する企業の末路は?避けるべき対応や適切な対処方法を解説

モンスター社員への対応は、企業にとって大きな負担です。しかし、こうした社員を放置すると職場環境が悪化し、他の社員のモチベーション低下や離職など、事態がさらに深刻化してしまいかねません。本記事では、モンスター社員を放置し続けた場合に企業がどのような末路を辿るのか、事態を悪化させないための適切な対処法について解説します。


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モンスター社員とは?

まずは、モンスター社員の定義や企業にもたらす影響について解説します。


モンスター社員の定義

モンスター社員とは、職場で問題行動を繰り返し改善しようとしない社員です。協調性が欠けていたり、仕事の遂行に必要な能力が不足していたりと、業務の進行を妨げることから「問題社員」と呼ばれる場合もあります。


問題行動の例としては、遅刻や欠勤を繰り返す、指示に従わない、周囲を威圧するなどが挙げられるでしょう。


モンスター社員が企業に与える影響

モンスター社員が職場にいると、組織全体に悪影響が及んでしまいます。たとえば、モンスター社員のフォローに追われると他の社員の負担が増え、モチベーションが低下してしまうでしょう。また、モンスター社員の攻撃的な行動で職場の雰囲気が悪くなり、周囲のパフォーマンスが低下することも問題です。近年では、多くの企業にとって人材確保が課題となっており、職場環境の悪化による離職が組織崩壊につながる危険性もあります。


モンスター社員に対処しない企業の末路

モンスター社員を放置してしまうと、企業はどのような末路を辿るのでしょうか。ここでは、具体的な悪影響を解説します。


職場やチームのモチベーションが下がる

モンスター社員は自分の都合を優先して行動する傾向があり、周囲の社員にストレスを与えがちです。同じ空間にいることさえ苦痛に感じる社員もいるでしょう。結果として、他の社員の仕事へのモチベーションが低下し、業務の質が落ちてしまいます。やがて個人だけでなく、チーム全体の士気も低下してしまうでしょう。


全体的な生産性が低下する

企業ではチームとして働く場面が多くありますが、モンスター社員がいると業務がスムーズに進まなくなる可能性があります。


たとえば、モンスター社員と周囲とのコミュニケーションに問題があると、業務が遅延したり情報伝達のミスが起こったりすることも少なくありません。その結果、モンスター社員自身だけでなく、企業全体の生産性も低下してしまいます。


他の社員の離職につながる

モンスター社員は職場環境を悪化させる存在です。その影響を受けた他の社員がストレスを感じ、離職を考えるようになるケースも珍しくありません。


特に、モンスター社員による同僚・部下へのパワハラや、上司に対する逆パワハラは深刻な問題です。このような状況が続くと職場の優秀な人材が次々と退職し、人材不足に陥るリスクがあります。


取引先との信頼関係が壊れる

モンスター社員が及ぼす影響は、社内だけにとどまりません。モンスター社員が取引先に対して攻撃的な態度を取ったり、業務の質が悪かったりすると、信頼関係が壊れてしまいます。


結果として、取引の停止や契約の解除につながるケースもあるでしょう。企業の信用や収益にもダメージを与えるリスクがあるため、注意が必要です。


成長の機会が失われる

モンスター社員の影響で、他の社員のモチベーションやパフォーマンスが低下すると、新しい取り組みやアイデアが生まれにくくなります。未知の業務への挑戦や創造的な試みが減少し、成長の機会が失われてしまうでしょう。社員が成長の機会を逃すと人材が育たなくなり、企業の将来的な成長や存続にもかかわります。


モンスター社員自身の末路

モンスター社員の行動は企業だけでなく、自分自身に悪い影響をもたらすことも珍しくありません。ここでは、モンスター社員が辿る末路の例を解説します。


職場で孤立する

モンスター社員は他者への思いやりに欠けていることが多く、周囲から嫌われがちです。その結果、職場で孤立し人間関係の問題が生じます。


孤立感や疎外感を抱えるようになると働きづらくなるうえに、人間関係の悪化が長引くことで、職場での立場がさらに厳しくなるでしょう。


評価が低く昇進できない

モンスター社員は、業務に必要な能力が不足している場合も少なくありません。仮に個人としての能力が高くても、周囲の生産性を下げてしまい、チームで成果を上げられないケースもあります。そのため、昇給や昇格が難しくなり、キャリアが停滞してしまうでしょう。特にチームワークが重視される職場では、協調性のない行動がマイナス評価につながりやすくなります。


働きづらくなり退職する

周囲の社員との人間関係が悪いと、いざ自分が困ったときに誰にもサポートを頼めなくなってしまうでしょう。業績が評価されないことでモチベーションが下がり、業務への意欲を失うケースも考えられます。働きづらさに耐えられなくなった結果、退職を考え始めるケースも珍しくありません。


再就職が難しくなる

モンスター社員の言動が本人に及ぼす影響は現在の職場だけにとどまらず、再就職に悪影響を与える場合もあるため注意が必要です。面接でコミュニケーション能力や協調性の欠如を見抜かれた場合、選考の通過は難しいでしょう。


さらに、近年では前職紹介(リファレンスチェック)が実施されるケースもあります。以前の職場での評価が悪い場合、採用される可能性は減少するでしょう。


モンスター社員の傾向

ここでは、モンスター社員にありがちな行動の傾向や特徴を解説します。


パワハラを繰り返す

立場を利用して攻撃的な態度を取るのは、モンスター社員にありがちな傾向です。乱暴で不適切な行動や発言を繰り返し、職場全体の雰囲気を悪くします。机を叩いたり大声をあげたりして、相手に恐怖心を与える行動を取るケースも少なくありません。


主張を押し通そうとする

周りの意見を聞き入れずに自分の意見が正しいと信じ込み、同意を強制する傾向もあります。特に、自分の能力を過信しているタイプのモンスター社員に多い特徴です。


常軌を逸脱した要求をしたり、待遇や業務内容の特別扱いを求めたりして、職場に負担を与える場合もあるでしょう。


被害妄想が激しい

被害妄想の激しさもモンスター社員によく見られる傾向です。些細なことにも過剰反応し、周囲から不当に扱われていると思い込みます。このような傾向を持つモンスター社員は精神的に不安定で、冷静な対話が難しい場合もあるでしょう。


反抗的な態度を取る

モンスター社員は業務命令や指示に従わず、上司などから注意を受けても改善する姿勢が見られません。自分勝手な行動を繰り返すため、職場の雰囲気が悪くなります。また、チームの生産性が低下してしまい、業務に支障をきたす可能性も考えられるでしょう。


欠勤・遅刻・早退を繰り返す

無断欠勤や遅刻・早退が頻繁に見られる場合もあります。職場で誰かが欠勤や遅刻・早退を繰り返すと、他の社員が代わりに業務を行わなければなりません。


周囲の社員がモンスター社員のフォローに追われると、本来やるべき仕事が後回しになり、業務のスケジュールが妨げられてしまいます。


能力・スキルが不足している

モンスター社員は向上心が乏しいため、業務に必要なスキルを身につけようとせず、業務の質の低下を招くでしょう。業務の質が著しく低い場合は誰かがフォローする必要があり、周囲の社員が次第に疲弊していきます。


逆パワハラをする

一般的なパワハラは上司から部下に対するものですが、一部のモンスター社員は上司に対して逆パワハラを行うことがあります。上司からの叱責がパワハラになる可能性を盾に取って、攻撃的な態度を示したり、指示に従わず暴言を吐いたりするケースも珍しくありません。さらに、複数の社員を巻き込んで集団で特定の上司に圧力をかける場合もあるため、注意が必要です。


やってはいけないモンスター社員への対応

モンスター社員の問題行動に対して、企業が取るべきではない対応について解説します。


問題行動を野放しにする

モンスター社員の問題行動に何も対処せず野放しにしておくと、状況はさらに悪化するでしょう。問題行動への対応は企業にとっても負担になりますが、後回しにせず早めに対応することが重要です。


モンスター社員の問題が自然に解決することはありません。放置せずに必要な手を打ちましょう。


モンスター社員の顔色を窺う

モンスター社員の顔色を窺い、過剰に気を遣う対応は避けてください。攻撃的な態度を取っているモンスター社員に対して、その場を乗り切るために安易な発言をすると、後々問題が生じる場合があります。たとえば、その場しのぎでモンスター社員の理不尽な要望を受け入れてしまうと、後からの撤回が難しくなるでしょう。


感情的に接する

強い口調や攻撃的な態度を取っているモンスター社員に対して、感情的に反応しないよう注意しましょう。勢いに任せて不用意な発言をしてしまうと、相手が企業を攻撃する材料にされてしまう恐れがあります。モンスター社員に対応する際は雰囲気に飲まれず冷静さを保ち、毅然とした対応を心がけることが大切です。


安易に解雇する

モンスター社員の行動に問題があるとしても、解雇するためには法律に基づいた条件を満たす必要があります。安易に解雇すると無効とされる場合があるため、専門家の意見も聞いたうえで慎重に検討しましょう。


労働契約法16条で解雇が規制されているため、条文や公的機関から発信されている情報を参照することが重要です。


※参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省


退職を強要する

社員に自主退職を促す行為を、退職勧奨と呼びます。解雇には企業側のリスクが伴うため、退職勧奨を行う企業も珍しくありません。しかし、モンスター社員が素直に退職する見込みは低く、「退職を迫られた」などと関係を悪化させてしまうリスクもあります。


適切なモンスター社員への対処方法

モンスター社員に対しては、慎重に対応しなければなりません。ここでは、モンスター社員への適切な対処方法を見ていきましょう。


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対話を大切にする

モンスター社員であっても、いきなり退職勧奨や解雇を実施しようとするとハードルが高くなります。まずは対話で解決できるよう、本人と話し合いの場を設けましょう。モンスター社員にも、本人なりの言い分や事情がある可能性もあります。最初から強硬的な手段に出ず、まずは対話を試みることが大切です。


毅然とした態度で接する

直接対話する際はモンスター社員の機嫌を取らず、毅然とした態度で接しましょう。不当な要求には応じない姿勢を明確に見せることが重要です。ただし、企業側が強い態度を取ってしまうと、モンスター社員がさらに頑なになってしまいかねません。あくまでも冷静に、感情に流されずに対処しましょう。


懲戒処分を検討する

対話によって問題行動が改善せず、指導をしても無視されるなら、懲戒処分を検討します。ただし懲戒処分の実施や内容は就業規則に基づき、慎重に決定することが大切です。


過度に重い処分を課すと違法とみなされるリスクがあるため、根拠を明確にして適切な範囲で処分を行いましょう。


退職勧奨を検討する

指導を繰り返してもモンスター社員の問題行動が改善されないなら、退職勧奨を検討することも選択肢の1つとなります。ただし、前述のように退職勧奨にはリスクもあるため、安易に実施するのは避けましょう。また、退職を強要したとモンスター社員に捉えられると、法的トラブルに発展する可能性があるため、慎重に進める必要があります。


被害者に配慮する

モンスター社員のパワハラ行為がある場合、他の社員が被害者となり、うつ病などのメンタル不調に陥ることも少なくありません。企業として被害者へのメンタルケアを行い、事実関係の調査や配置転換など、安全配慮義務を果たしましょう。


犯罪として処理する

モンスター社員の問題行動が犯罪に該当するほど行き過ぎている場合、法的な処置も検討することも選択肢の1つです。他の社員への暴力がある場合は暴行罪や傷害罪、企業の備品や設備を壊している場合は器物損壊罪、過剰な暴言がある場合は脅迫罪や強要罪などが考えられます。


採用の時点で見極める

モンスター社員への対応は企業にとって大きな負担となるため、採用段階で人間性を見極めて入社させないことが理想です。性格検査や面接を活用し、攻撃的な性格や他者を顧みない傾向など、問題行動を起こしそうな兆候がないか慎重に判断しましょう。


モンスター社員対処のポイント

実際にモンスター社員対応を行う際には、適切な対処のポイントを押さえることが重要です。


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問題行動の証拠を取っておく

モンスター社員への対応が訴訟に発展した場合、問題行動を裏付ける証拠の提出が必要となります。万が一のときに処分の正当性を示せるよう、準備しておきましょう。


いつ・どこで・どのような発言や行動があったのか、関係者は誰かなど、具体的な記録や証言を残すことが重要です。


組織的対応を徹底する

モンスター社員への対応は難易度が高く、心理的な負担も大きいため、1人の社員に任せると負担が集中してしまいます。人事部門を中心に複数人で対応するよう体制を構築しましょう。個人に任せるのではなく、チームで対応に当たることが重要です。


直接対応する社員のメンタルに配慮する

モンスター社員は攻撃的な態度を取ることも珍しくありません。対応する社員は直接暴言を吐かれることもあり、大きな精神的負担となります。産業医や産業カウンセラーとの面談など、直接モンスター社員と対応する、社員のメンタルヘルスのサポート体制を整えましょう。


可能な限り懲戒解雇は避ける

前述したように懲戒処分や解雇は企業にとってリスクが高く、特にモンスター社員は徹底的に争う姿勢を見せる場合もあります。


仮に裁判に発展すると、勝敗にかかわらず大きな労力が必要となるため、可能な限り他の手段で解決を図りましょう。


まとめ

モンスター社員を放置すると周囲の社員のモチベーションが下がり、企業全体の生産性が低下してしまいます。また、モンスター社員自身が孤立したり、再就職が難しくなったりといった末路を辿るケースも珍しくありません。企業として毅然とした態度でモンスター社員と対話を試み、解決を図りましょう。


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