こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
企業研修において注目されているもののひとつに、「マインドセット研修」があります。社員のマインドセットを成長型マインドセットに変える目的で行われるケースがほとんどですが、具体的にどのようなことを実施すればよいのでしょうか。
この記事では、マインドセットの概要と研修の具体的な内容、注意したい3つのポイント、受けるべき人材の特徴について解説します。これからマインドセット研修を行おうと思っている企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
ビジネスにおけるマインドセットの重要性とは
マインドセットとは、生まれてから現在までに経験したことや受けた教育、生まれた時代背景などの要因で形成される考え方のことです。近年、このマインドセットが注目を浴びており、特にビジネスシーンで求められるケースが増えています。
それは、なぜでしょうか。マインドセットの詳細な説明と併せて解説します。
マインドセットの概要
マインドセットは、経験してきたことや教育内容などの後天的な要因で形成される考え方です。行動にも結びついており、企業は積極的に行動できる成長型マインドセットを持つ人材を育てようとしています。
「しなやかなマインドセット」「グロースマインドセット」とも呼ばれる成長型マインドセットは、挑戦や経験、失敗からあらゆることを学ぶという特徴があります。
これと対をなすのが、停滞型マインドセットと呼ばれるものです。努力しても能力は変わらないという考え方で、積極的に挑戦しないという特徴があるようです。
このように、ひと口にマインドセットと言っても、2種類に大別できることを覚えておきましょう。
ビジネスにおいて求められる理由
ビジネスシーンにおいては、2種類のマインドセットのうち、成長型マインドセットが求められます。
変化が激しい昨今において、自主的に学んで考え、それを行動に移す人材は非常に重要です。働き手が減少する中で、企業は成長型マインドセットを持った人材がいなければ、企業の成長が停滞すると考えるでしょう。
そのため、積極的に挑戦し、成功や失敗の中から学びを得て成長していく人材を求めているのです。個人に対してだけではなく、組織全体に求める場合もあります。それが、マインドセット研修の実施につながっているのです。
マインドセット研修を行うことによって従業員に意識が定着し、生産性の向上やモチベーションアップにつながるケースもあります。
「マインドセット」については、こちらの記事をご確認ください。
マインドセット研修の具体的な内容
マインドセットが企業の成長にどのような影響を与えるのか、わかっていただけたと思います。では、具体的にマインドセット研修ではどのようなことをすればよいのでしょうか。方法はいくつかありますが、代表的なものは以下の5つです。
- ビジネスの基礎を学ぶ
- 主体性のあるプロ社員の育成
- 次世代のリーダーや幹部の育成
- 自分はどうしたいかを見つける研修
- アウトプットとPDCAを重視する研修
それぞれどのような内容なのか、詳しく解説します。
ビジネスの基礎を学ぶ
新入社員向けの研修として最適なのが、ビジネスの基礎を学ぶ研修です。学生気分やお客様気分を解消することにも有効であり、これから社会人として活躍するという自覚を持つことができます。
具体的な内容は、基本的なビジネスマナーで問題ありません。ただし座学で終わらせるのではなく、実践を通じて学ばせることで、新入社員の行動の変化が実現するような内容にしましょう。
主体性のあるプロ社員の育成
こちらも新入社員向けの研修内容ですが、社会人としての意識付けを目指すビジネスマナー研修とは異なり、こちらはプロとして成果を上げる姿勢とマインドセットを身につける研修です。
基本的なビジネスマナーではなく、ワークや動画を用いて主体性を引き出すことが目的です。ただし、新入社員の中でもポテンシャルが高く、プロフェッショナルになり得る人材に向けて行う必要があります。成長意欲がない新入社員には効果が薄いため、誰が最適な人材なのか見極めましょう。
次世代のリーダーや幹部の育成
企業における次世代のリーダーや幹部の育成を行う研修も、成長型マインドセットを身につけてもらうために重要と言えます。プレイヤーからリーダーとしてのマインドセットに切り替えつつ、それを身につけてもらうことで、次の時代を担うリーダーや管理職を育てることが目的です。
具体的には、座学での研修と職場での実践を繰り返します。月1回など定期的な研修の場を設け、成長につながっていることを実感できるようにするとよいでしょう。
自分はどうしたいかを見つける研修
上司や企業からの指示・命令を待つのではなく、自分がどうしたいかを見つけるための研修も効果的です。主に中堅社員向けの研修で、日々の業務に忙殺されて新しいことにチャレンジする時間が作れない人が対象になります。
サントリー食品インターナショナル株式会社では、中堅社員を中心とした「心からワクワクするビジョンの発見」を目的とした研修を実施。「やってみなはれ」を合言葉とした、社員一人ひとりが挑戦できる風土が形成されたそうです。
具体的には、同世代の人とともに答えのない課題と向き合い、意見交換を行うといった内容です。これにより共通言語ができ、信頼関係の構築に成功し、人間関係や人に対する興味も大きく変わったそうです。
アウトプットとPDCAを重視する研修
同じ研修でも、社員に教えるだけの研修で終わらせる場合と、アウトプットを重視した研修内容にした場合では、その成果は大きく変わります。株式会社アシックスでは、アウトプットとPDCAを重視した研修を実施しました。目的は、主体性のある新入社員を育成することです。
従来の情報を与えるスタイルの研修ではなく、学んだことをすぐアウトプットすることと、独自に作成したPDCAシートを用いてグループでの毎日の振り返りを実施しました。
その結果、積極的に学ぶ姿勢を身につけた新入社員が増え、仕事に「楽しい」と思えるような要素を取り入れる新入社員も出てきたのです。アシックスの理念でもある「SPIRIT」を体現できる社員が、この研修をきっかけに増加しました。
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マインドセット研修を実施する上で注意したい3つのポイント
マインドセット研修は、ただ漠然と実施するだけでは効果がありません。研修の実施前と実施後は、以下の3つのポイントに注意してください。
- 役職別に実施する
- 実施するタイミングを見誤らない
- 定期的に実施する
それぞれの詳細を解説します。
役職別に実施する
前述のとおり、マインドセット研修は実施する人物の属性によって内容を変えなければなりません。企業では役職別に研修を行うことで、成長型マインドセットを身につけさせやすくなるでしょう。
立場や役職によって、求められるマインドセットは異なります。それぞれに求められるマインドセットは、以下のとおりです。
- 新入社員
- ビジネスパーソンとしてのマインドセット、および仕事を教わる姿勢に関するマインドセット
- 若手社員
- 任された仕事をやり抜くために必要なマインドセット、および知識や経験を重ねて成長する積極性を持つためのマインドセット
- 中堅社員
- 周囲に対して働きかけて、話を聞く傾聴力
上記のように、それぞれの立場によって求められるマインドセットが異なるため、研修の内容が変わるのです。どの役職・立場の人材にマインドセット研修を行うのかを精査し、内容を検討しましょう。
実施するタイミングを見誤らない
マインドセット研修を実施するタイミングも重要です。研修のタイミングがずれてしまうと、せっかく行った研修が効果を発揮しないことがあります。
例えば新入社員であれば、入社してすぐにマインドセット研修を行うのが効果的です。管理職は、昇進・昇格した際に実施すると効果があると言われています。
いずれも、これから頑張ろうという意欲が高いタイミングです。このタイミングを逃さずマインドセット研修を行うことで、より高い効果が期待できるでしょう。
定期的に実施する
研修で身についたマインドセットがそのまま自分のものになるかと言えば、答えはノーです。マインドセットは短期間では身につかず、繰り返し実施することで自分のものになることを覚えておきましょう。
定期的な研修も効果的ですが、中長期的に小さな成功体験を積み重ねていくことも大切です。チャレンジできるものにはどんどんチャレンジし、自ら学ぶ姿勢を身につける必要があります。
マインドセット研修を受けるべき人材
マインドセットは、その人が今まで受けてきた教育や経験などによって異なります。多くの人は、成長型マインドセットと停滞型マインドセットの両方を持っているそうです。
マインドセット研修を受けるべき人材には、特徴があります。その特徴について、代表的なものを4つ挙げて見ていきましょう。
自分の基準で考えない人材
「自分はうまくいったから、他の人もできるだろう」など、自分の基準だけで物事を考えない・判断しない人材は、マインドセット研修を受けるべきです。
組織を引っ張っていく人材には、優秀な成果を上げた人物を据えるのがよいとされています。しかし、この人物が自分の基準だけで判断を出すようでは、抱えた部下のモチベーションの低下を招くおそれがあります。
具体的には「自分はできたから」と他の人の目線で考えていない場合が該当します。自分の基準だけで仕事の内容や難易度を判断せず、部下や第三者の目線に立てる人物には、マインドセット研修がプラスの影響を与えることになるでしょう。
個人の限界を考慮できる人材
先ほど触れた内容と似ていますが、個人の限界を考慮できる人材も、マインドセット研修がさらに大きな躍進につながる人材と言えます。
個人の限界を考慮できるということは、部下を抱えた際に彼らの限界を見極めることができ、業務配分や役割分担を考えられるということです。このような環境下であれば、配置された部下はモチベーションを高めることができ、最大限のパフォーマンスを発揮しようとする良い循環が生まれやすくなります。
いわゆる「適材適所」の判断ができるということですが、この判断ができる人材がマインドセット研修を受けると、さらに高い成果を出せるようになるかもしれません。
考えを言語化できる人材
自分が持つ知識や考えを言語化できる人材がマインドセット研修を受けると、主に人材育成において高い成果を上げる可能性があります。成果を上げてきた人物には、さまざまな成功体験や失敗体験の積み重ねがあるはずです。それらを言語化して部下にわかりやすく伝えられる人材は、彼らの成長に大きく貢献できるでしょう。
感覚だけで成功体験を積み重ねてきた人間が、無駄というわけではありません。しかし、部下からすれば「何となくやったらうまくいった」と語る上司よりも、具体的に教えてくれる上司のほうが、「育ててもらっている」という感覚になるのは明白です。自身の経験を言語化できる人材とその部下のさらなるステップアップのために、マインドセット研修を受けてもらうとよいでしょう。
部下の成果や成長を喜べる人材
部下が成果を上げた時や成長した時に、一緒に喜べる人材が企業や組織にとって重要なのは、言うまでもありません。このような人材も、マインドセット研修を受けることで、さらなるステップアップが期待できます。
逆に、部下の成果や成長に気がつかない、一緒に喜ぼうとしない上司は企業の成長を止める可能性がある危険な存在です。このような考え方を持った上司を変えるのは不可能ではありませんが、時間がかかります。
組織として部下の成果や成長を喜べる人物を育てるためにも、その素質がある人材にマインドセット研修を受けてもらいましょう。
まとめ
マインドセット研修は個人を育てるだけでなく、企業全体を成長させるためにも必要な研修です。マインドセットは一朝一夕で変わるものではありませんが、目的と時期、実施後の動きを見誤らなければ、大きな成果を生み出す可能性があります。
特に重要なのは、マインドセット研修後にどのような成果を出したのか、どんな過程を踏んだのかを評価する仕組みです。これらがなければ、個人はもちろん、企業としての成長も望めません。マインドセット研修を行うことだけに注力するのではなく、その後の動きを観測できるような仕組みを作ることが重要です。
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