マインドセットとは?マインドセットの種類や変える方法などを解説


マインドセットとは?マインドセットの種類や変える方法などを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

「結果を出すにはマインドセットが重要」と言われており、企業の人材育成でもマインドセットを活用する動きが見られます。しかし、マインドセットがどのように重要なのか、正しく理解している人は少ないでしょう。

今回は、マインドセットの概要と種類、構築する方法、定着させるための3つのポイントについて解説します。企業研修にマインドセットを活用したいと考えている人事担当者は、ぜひ参考にしてください。

マインドセットの意味

マインドセットとは、考え方の枠組みのことです。英語の「mindset」は好みや習慣を意味しますが、ビジネスにおけるマインドセットは前述の意味で使われます。

マインドセットはその人が成長したり、成果を上げたりするために必要な思考や行動の根幹です。先天的なものではなく、その人がこれまでに経験してきたことや獲得した知識、先入観・信念、両親との関係などの要素で形成されます。そのため、先天的に与えられる要素とは異なり、個人の習慣次第でいくらでも変えることができるのです。

ただし、成果が上がるよう変化する際も、マインドセットの状態が深く関係します。マインドセットを変えるのに苦労する人もいますが、努力次第で変えられるので、あきらめずに取り組んでください。

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マインドセットの種類

心理学において、マインドセットは以下2つに分類されます。

  • 成長型マインドセット
  • 停滞型マインドセット


どちらもマインドセットですが、内容はまったく異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

成長型マインドセット

成長型マインドセットの持ち主は、自主的に努力できる性格と行動力を持つ人物です。グロースマインドセットとも呼ばれ、自分が持つ能力を、今後得る経験や努力で向上できると考えています。

成長型マインドセットになると集中力や忍耐力が向上するため、目標に到達しやすくなるでしょう。人材不足に悩む企業側からすると、成長型マインドセットを持つ人材は非常に重要であり、企業の成長に欠かせません。

企業内に成長型マインドセットを浸透させることができれば、全体が自主的に努力する社風が醸成されるかもしれません。

停滞型マインドセット

停滞型マインドセットとは、経験や努力では自分の能力を向上させることができないと考えている状態のことです。思考が硬直してしまっており、成長型マインドセットとは真逆の状態と言えます。

停滞型マインドセットの人物には、新しい挑戦や学習をせず、失敗しないように過ごすという特徴が見られます。仮に挑戦したとしても、うまくいかなければ言い訳をしたり、不正を働いたりしようとします。

また、人によりますが、自分より能力の低い人間を探すといった、建設的ではないことを行うのも、停滞型マインドセットを持つ人物の特徴です。課題解決を避けるような行動しか取らない傾向があるため、企業の成長を妨げる原因になることもあります。

マインドセットは個人の無意識における思考なので、他人のマインドセットの種類を見分けることは困難です。マインドセットを見分けるためには、脳内の思考を可視化するとよいでしょう。

マインドセットの診断方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事へ。

「マインドセット診断」については、こちらの記事をご確認ください。

ビジネス上のマインドセット



心理学とは別に、ビジネス上にも以下の2つのマインドセットがあると言われています。

  • 個人
  • 組織・企業


具体的なマインドセットの構築方法は後述しますが、それぞれにどのようなものが求められているのか見ていきましょう。

個人

個人のマインドセットは各従業員が持つ思考の傾向であり、成長型・停滞型の両方を持っている場合がほとんどでしょう。従業員の立場によって求められるマインドが異なるのが特徴で、具体的には以下のようになります。

  • 新入社員
  • ビジネスパーソンとしてのマインドセットと、仕事を教わる姿勢に関わるマインドセットが求められる。

  • 若手社員
  • 任された仕事をやり抜くために必要なマインドセットと、知識や経験を重ねて成長する積極性、成果・結果が求められる。

  • 中堅社員
  • 若手社員に求められるものに加えて、周囲に対する働きかけと話を聞く傾聴力が求められる。新人や若手と管理職をつなぐ役割になりがちで、話を聞く・指示を出すの両方が必須。

  • 管理職
    • 仕事を作り出し、最適解を生み出すマインドセットが必要。広い視野で物事を考えて、組織や部下の未来のために動くマインドセットが求められる。


社歴や立場によって、求められるマインドセットは異なります。しかし、積極的に知識と経験を身につけて行動する積極性が求められる点は同じです。

組織・企業

マインドセットは個人だけではなく、組織や企業にも求められます。市場やメインとするターゲットが大きく変われば、それに合わせて組織も変わる必要があるのです。具体的には、以下の項目でマインドセットが求められます。

  • 事業
  • 商品が時代の流れに左右される商品であれば、常にトレンドを追いかけて新しい商材を開発したり、改善したりする必要がある。

  • 理念やビジョン
  • 組織のマインドセットに大きな影響を与える要素。業界の牽引や品質の向上を謳うのであれば、それに応じたマインドセットが必要になる。

  • 企業の歴史
    • たどってきた歴史によって、マインドセットが異なる。歴史が長いとあまり挑戦をしないという風土になり、歴史が浅ければチャレンジするという社風となりやすい。

ビジネスにおける個人のマインドセットを構築する要素

ビジネスにおける個人のマインドセットを構築する要素として、以下のものが挙げられます。

  • 先入観
  • 経験
  • 価値観


ビジネス以前に、生まれてから今までの知識や経験から、ある程度マインドセットができている場合もあるでしょう。それを踏まえた上で、どのようなマインドセットが個人にとってプラスなのか、あるいはマイナスなのかを見ていきます。

先入観

生まれ育った環境や周囲の人間関係、それらに関連する情報で形成されるのが先入観です。マインドセットの中でも特に変えることが難しい要素とされており、人によってマイナスの影響を他者に与えかねません。

例えば、多様性を認められない差別や偏見を生む先入観は、第三者と敵対関係に発展する可能性があります。プラスの先入観もありますが、どちらかと言えばマイナスの影響を与えるマインドセットが多いようです。

経験

どのような経験を積んできたのかによって、マインドセットが大きく異なります。

成功体験を重ねると、自身の考えに肯定感が生まれ、挑戦に対して意欲的な姿勢になるでしょう。反対に失敗の経験が多いと、チャレンジすることに対して抵抗感を覚えてしまい、挑むことができなくなってしまいます。

成功体験が多い方は成長型マインドセットになりやすく、逆に失敗した経験が多いと、硬直型マインドセットに陥りやすくなります。

価値観

個人の行動に影響を与えているのが価値観です。周囲の人間と調和することが重要だと考えている人物は、激しく主張をすることなく、争いを避ける傾向があります。

一方で正直に生きると決めている人物は、どのような環境であっても自分の正直な意見を述べ、賛否が分かれる傾向があります。どちらが正解ということはありませんが、価値観が実際の行動に大きな影響を与えていることは間違いありません。

ビジネスにおける組織・企業のマインドセットを構築する要素

一方、組織・企業のマインドセットは以下の要素で構成されます。

  • 製品・事業の特性
  • 戦略・ビジョン
  • 企業の歴史


個人のマインドセットとよく似ていますが、対象が自分ではなく、顧客や企業全体に向いているという違いがあります。詳しく見ていきましょう。

製品・事業の特性

企業の製品や事業は、組織全体の価値観に影響を与える重要なものです。医療分野の事業を展開している企業では、人の体や健康について考える機会が多いでしょう。IT企業であればスピードや効率が求められるなど、一口に企業と言っても、製品や事業によってマインドセットが異なるのです。

これらは企業の福利厚生や、従業員同士の会話などにも影響するでしょう。企業の風土が製品や事業を作っているとする意見も見られますが、実際は逆なのです。

戦略・ビジョン

企業が目指す方向性を示し、文化を作り出すのに欠かせないのが戦略やビジョンです。ビジョンを共有することによって、幹部だけではなく従業員のマインドセットも変化する可能性があります。

例えば戦略やビジョンが「最高の品質をお届けする」であれば、その品質を担保するための技術習得や勉強に熱心になるでしょう。そのような社風が醸成されることで、独自の企業文化が根付いていくのです。

企業の歴史

企業が歩んできた歴史も、企業や組織のマインドセットに大きな影響を与える要素の一つです。ヒット商品の誕生や不祥事の発生など、すべて含んだ上で企業文化が形成されると言っても過言ではありません。成功や失敗を経験して、自社製品や企業そのものに対する価値観が変わるためです。

当初のプランが大きく変わったということもあるでしょう。これは、経験によってマインドセットが変化した事例と言えます。これらを繰り返すことで、企業のマインドセットが形成されます。

ビジネス上で成長型マインドセットを得るメリット

ビジネスにおいて必要とされるマインドセットは成長型マインドセットです。主な理由は以下の2つです。

  • 前向きに取り組めるようになる
  • ビジネスチャンスの増加を見込める


停滞型マインドセットでは、いずれも得られない成果と言えます。企業がマインドセットの研修を行う目的は、これらのメリットを享受し、企業の成長を促進させることです。

ではなぜ、これらのメリットが必要なのでしょうか。詳しく解説します。

前向きに取り組めるようになる

成長型マインドセットを身につけると、努力することで自分自身が成長できると考えられるようになり、自信を持って仕事に取り組めるようになります。目の前の課題や障害をクリアすることに怖気づくことなく挑戦できるようになると、従来よりも高い目標にチャレンジできるようになるでしょう。

失敗したとしても、そこで諦めずに再度挑戦して成功できるという自信が身につきます。チャレンジ精神のない企業が衰退する一方で、成長型マインドセットを身につけた従業員が増えると、企業の成長をどんどん加速させることができるのです。

ビジネスチャンスの増加を見込める

経験によって成長できるというマインドを持っているため、多くの人と関わる機会が増えます。その結果、積極的にコミュニケーションを取るようになり、ビジネスチャンスが増えるでしょう。

新しい挑戦をするということは、より多くの仕事に取り組むことと同じです。従来の企業内の働き方では得られなかったスキル獲得にもつながり、企業全体で従業員のスキルアップが図れることも成長型マインドセットを得るメリットと言えます。

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成長型マインドセットに変える3つの手順



従業員のほとんどが停滞型マインドセットであったとしても、やり方によっては成長型マインドセットに変えられるかもしれません。成長型マインドセットに変えるためには3つの手順があります。具体的には以下のとおりです。

  1. 目標を明確にし、言語化する
  2. すぐに行動する
  3. 振り返り、軌道修正を行う


上記の手順を進めることで、会社全体を成長型マインドセットに変えることができるかもしれません。ただし、押さえておかなければいけない注意点もあります。どのような点に注意しなければならないのか、詳しく見てみましょう。

①目標を明確にし、言語化する

まずは、停滞型マインドセットを言語化する作業から始めましょう。基本的に、人は成長型マインドセットと停滞型マインドセットの両方を持っていることが多く、不得意分野においては停滞型マインドセットになりがちです。

苦手な部分を言語化する際は、成長型マインドセットに転換したいことを列挙しましょう。目標設定の際に頭に浮かぶ苦手なことをイメージすると、自然と停滞型マインドセットが見えてきます。

②すぐに行動する

言語化した停滞型マインドセットに対してすぐに行動し、解決に向けて動き出すことが重要です。「思い立ったら吉日」ではありませんが、素早く行動すると解決のタイミングを逃さずに済むため、より早く成功に近づけるでしょう。

考えてから行動することも重要です。しかし、難しく考えすぎて体が動かなければ意味がありません。とりあえず動いてみることで、適切な対処法が見えたり、問題を減らしたりできる可能性があります。すぐに行動することを心がけてください。

③振り返り、軌道修正を行う

マインドセットは、案外自分ではわからないものです。周囲の人に自分の問題点を指摘してもらったり、考え方の悪い癖を洗い出したりして、定期的に振り返るようにしましょう。

自分の悪い点をフィードバックしてもらうのは、非常に勇気がいることです。しかし、軌道修正をしながら目標に向かっていくためには、多少耳が痛い意見であっても聞く必要があります。定期的にフィードバックを受けるのも有効です。

部下にフィードバックを行う場合、否定的な声かけはしないようにしましょう。あくまでも、部下の姿勢をサポートする声かけを心がけることが大切です。

部下のマインドセットを高めるような声かけの例を知りたい人は、こちらの記事をお読みください。

「マインドセット例文」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:目標管理制度(MBO)とは|実施するうえで注意したい4つのポイント

成長型マインドセットを定着させる3つのポイント

成長型マインドセットに切り替わっても、安心してはいけません。切り替えたマインドセットを定着させなければならず、これに苦労する人も少なくないからです。

成長型マインドセットを定着させるには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。本記事の最後に、以下の3つのポイントについて解説します。

  • 短期間では定着しないことを理解する
  • 積み重ねる成功体験は小さくてもよい
  • 常に目標を意識する


短期間では定着しないことを理解する

変化したマインドセットは、短期間では自分のものにならないことを覚えておきましょう。特に停滞型マインドセットを持っている場合は、小さな失敗で挫折してしまうケースが多いようです。

また、すぐに成長型マインドセットが定着しないことであきらめてしまい、挫折を感じる人もいます。マインドセットはそう簡単に変わるものでもなければ、すぐに自分のものになるわけでもありません。短期的な目線ではなく、中長期的な目線で考えることが重要です。

積み重ねる成功体験は小さくてもよい

成長型マインドセットを身につけるためには、小さくてもよいので成功体験を積み重ねることが重要です。自己肯定感や自己効力感を高めるためであり、マインドセットが変わっていく際の大切な要素でもあります。

いきなり大きな目標に挑戦すると、失敗して自己肯定感が下がってしまうことがあります。まずは自分でも達成できそうな小さな目標を立てて、スモールステップで成功を積み重ねていくのがおすすめです。無理をして一気に変える必要はありません。

常に目標を意識する

どれだけ小さかったとしても、常に何かしらの目標を意識することが重要です。仮に挫折や失敗をしても、新たな目標を設定し、再度努力することが求められます。普段の業務にこの考え方を取り入れることで、マインドセットの定着が早まるかもしれません。

「ポイントを意識しつつ、部下に成長型マインドセットを定着させたいが、具体的にどのような指導をしたらよいのかわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。そのような場合は、マインドセットを定着させる研修を受講させるのも有効です。

マインドセットの研修内容に関する詳しい記事はこちらをどうぞ。

「マインドセット研修」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:MBOとは?意味やメリット・デメリットについて解説

まとめ

マインドセットは大きく分けて2種類あり、企業は成長型マインドセットを持つ人材を増やそうと研修や人材教育を行っています。停滞型マインドセットを持っている人には難しい話かもしれませんが、時間をかけてゆっくり取り組めば、マインドセットを変えられるでしょう。あくまでも中長期的な目線で、マインドセットを変えていくという考え方と努力が必要です。

企業や上司は、部下が少しでも多くの成功体験を積み上げられるよう、あらゆる面で支援する必要があります。例えば、成長型マインドセットを活かせる部署に人材を配置したり、挑戦できる環境を整えてあげたりすることです。しかし、マインドセットを第三者が判断するのは難しく、すぐに取り組めないという方も少なくないでしょう。

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