こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
メンタルモデルとは、認知心理学で使われている言葉で、現実世界に対する認識や解釈がどのようになっているかを示す認知モデルを指します。思考の前提となるものだと言えるでしょう。
本記事では、メンタルモデルの基本となる部分や類似する言葉、ビジネスやUI/UXデザインで活用できるメンタルモデル、メンタルモデルの課題、メンタルモデルについて理解を深める方法について解説します。
メンタルモデルとは?
メンタルモデルとは、現実に対する認識や解釈に関する認知モデルです。
例を挙げると、ジャングルで生まれ育った人が野生動物に追い掛け回される経験があった場合、動物=恐怖の対象というメンタルモデルが形成される可能性が高いです。ビジネスで例えれば、同じ事業を行っていても「ビジネスは競争」だと考える従業員もいれば、「顧客を喜ばせることがビジネス」だと考える従業員もいるでしょう。
それぞれのスタンスが違えば、メンタルモデルも異なります。円滑な業務を行うには、従業員のメンタルモデルを考慮しなければいけない場合も出てくるのです。
メンタルモデルは個人の思考を形成する
メンタルモデルは、過去の経験から形成されます。そこから、思考や行動、体験へとつながっていくのです。例えば、犬が嫌いでついつい避けてしまう人は、過去に犬にかまれてしまった経験がある可能性が高いと考えられます。
メンタルモデルと向き合うには、メンタルモデルは意識するものではなく知るものだと理解しておくことがポイントです。意識して変えられるものではありませんが、メンタルモデルについて理解すれば、可能性を広げられるでしょう。
具体的には、自己成長につなげられる、マネジメントに活かせる、広告や営業戦略に活かせるといったメリットが生まれます。
メンタルモデルと類似する言葉
メンタルモデルについてより深く理解するためには、類似する言葉についても把握しておく必要があります。そこで、パラダイム・マインドセット・ヒューリスティックの意味とメンタルモデルとの違いについてみていきましょう。
1.パラダイム
パラダイムは、特定の時代や分野で支配的な規範となる物事の見え方や捉え方を指します。時代の変化の中で、革命的かつ非連続的な変化を起こすのがパラダイムシフトです。幅広い分野で使われている言葉ですが、科学分野では天動説や地動説などの意味で使われる場合もあります。
パラダイムの語源は英語の“paradigm”であり、ある時代の考え方を根本的に変える概念という意味で使われます。
2.マインドセット
マインドセットとは、過去の経験や教育、先入観などで形成された考え方や価値観を意味します。マインドセットとメンタルモデルには大きな違いはありませんが、メンタルモデルは後天的な経験をベースにしているのに対して、マインドセットは生まれ持った気質など先天的な要素も含まれていることが相違点です。
ビジネスシーンでも、マインドセットの有無によって仕事の成果は変わってきます。新人社員に対して社会人として仕事を教わるためのマインドセット、管理職・リーダーに対して仕事を生み出し、最適解を出せるようなマインドセットを身につけてもらえるように会社側でサポートしていくことが望ましいでしょう。
3.ヒューリスティック
ヒューリスティックは、行動経済学で使われている用語です。複雑な問題を目の当たりにした時に、自分でも解けそうな問題に置き換えて意思決定するプロセスを指します。経験則を元にしながら思考のショートカットを行うヒューリスティックは、メンタルモデルに内包されている概念だと言えるでしょう。
消費の現場にもヒューリスティックは存在しています。同じ値段で販売されていたとしても、元々の値段が高くて値引きされた商品の方が消費者から選ばれやすくなるでしょう。口コミサイトの影響も大きいと言えます。
ビジネスで活用できるメンタルモデル
メンタルモデルは、ビジネスにおいても活用できます。続いては、具体的にどのような場面で活用できるのかみていきましょう。
営業や広告による販売戦略
ターゲットとなるユーザーが持つメンタルモデルを分析すると、営業や広告による販売戦略をより効率的に行えるようになります。なぜならメンタルモデルを理解できれば、売上アップにつながる戦略も考えやすくなるためです。また、プレゼンテーションなどの機会でも聞き手のメンタルモデルに合わせて伝え方を選べるようになります。
顧客やターゲットによってメンタルモデルは異なるので、理解しているかどうかが重要なポイントです。売上などで悩んでいる場合は、メンタルモデルに関する理解を深め、再度取り組んでみましょう。
製品やサービスの開発
製品やサービスの開発にも、メンタルモデルは役立ちます。自分とは違うメンタルモデルで行動するユーザーの立場になって考えられるため、自分だけでは思いつかないような企画が生まれるかもしれません。
また、既存のユーザーに合わせた製品やサービスを開発するだけではなく、新たなユーザーの開拓にもつながります。つまり、ターゲット層拡大の戦略も描けるようになると言えるでしょう。メンタルモデルに合わせた製品やサービスを設計できれば、顧客満足度も向上しやすくなります。
社内の人材育成
従業員のメンタルモデルを把握していれば、社内の人材育成も効率的に行えます。なぜならメンタルモデルを理解していれば、意識や行動を変えるきっかけを作りやすくなるからです。きっかけが作れれば、マネジメントもしやすくなります。
従業員が苦手意識を持つ業務がある場合は、それぞれのメンタルモデルに合わせた手法で行うと克服してもらいやすくなるでしょう。苦手を克服できれば、業務効率も高まります。
また任せてもらえる仕事が増えればモチベーションアップにつながり、企業側にとってもメリットが大きな結果をもたらすでしょう。
自分自身の成長
メンタルモデルを理解すれば、自分の苦手分野を客観的に見られるようになります。客観視できるようになれば、補うためにはどうすればいいのかといった改善策を考えられるようになるでしょう。苦手なことをつい避けてしまいがちで、改善策を見つけるのは難しいと感じる人が多いですが、ちょっとした工夫で変えられます。
考え方や行動の土台となる部分に注目すると、意図的に新たなチャレンジにつなげやすくなるでしょう。何かスタートしたいことがある時は、自分のメンタルモデルと向き合ってみましょう。
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メンタルモデルの活用もビジネスにおいて役立ちます。しかし、円滑なビジネスを行うには、それだけではなく人事データの分析も必要です。人事データの分析を行う際は、必要な機能が搭載されたシステムを活用してみましょう。
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UI/UXデザインで活用できるメンタルモデル
UI/UXデザインにおいても、メンタルモデルを意識するメリットは大きいです。普遍的なメンタルモデルに合っていれば、過去に同じような体験をしたユーザーが直感的に操作できるようになります。ここでは、Webサイトやメッセージアプリにおける具体的な活用事例をみていきましょう。
Webサイトでの活用
Webサイトに対するユーザーのメンタルモデルには、以下のものが挙げられます。
- サイト上部のロゴマークや家のマークをクリックすればトップページに戻れる
- 下線が引かれて青色など色付き文字になっている部分は、どこかのページへのリンク
- 虫メガネマークはサイト内検索ができる
以上のメンタルモデルは多くの人に知られているため、このようにするだけでは得策と言えません。しかし、これらのメンタルモデルを無視してしまうとUI面で劣ってしまい、離脱率を高める可能性があるでしょう。
ベースとなる部分が同じであれば、多少のアレンジを加えても問題ありません。見やすさや使いやすさを意識するためにも、メンタルモデルを意識してWebサイトをデザインしていきましょう。
メッセージアプリでの活用
メッセージアプリに対する、ユーザーのメンタルモデルには以下のものが挙げられます。
- アプリ下部のテキストボックスがメッセージの入力欄
- 紙飛行機のアイコンがメッセージの送信ボタン
- ふきだしに表示されるメッセージのうち、右側は自分が送信した文章、左側が相手から送られてきた文章
アプリによって多少の違いはありますが、メッセージアプリの形式は以上のモデルが基本です。そういう認識が強いことから、他のアプリと使い勝手が大きく異なると、ユーザーは混乱してしまうでしょう。
その結果、ユーザーが特定のアプリばかり使うといった事態になりかねません。自社のメッセージアプリを使ってもらえるように、メンタルモデルを意識してデザインする必要があります。
メンタルモデルの課題
メンタルモデルは魅力的に感じる方も多いと思いますが、メリットだけではなく知っておくべき課題もあります。そこで、メンタルモデルが持つ課題について解説します。
固定観念が強い
メンタルモデルは、これまでの経験や記憶で構築されています。つまり、生まれてから現在までの世界によって固定概念ができているということです。私たちが生きている現代社会は非常に便利なもので溢れ、それらを活用することが大前提となっています。
ネットがない時代はどうだったのか、車やタクシーがない時代はどのように長距離移動していたのかなどは、なかなか想像できないでしょう。当たり前となっている現状を疑うことが難しく、また疑ったとしても本質的な内容にはなかなかたどり着けません。
世代によってメンタルモデルのズレが生じる
メンタルモデルは、世代が変わるとズレが生じます。特にZ世代と呼ばれる1990年代後半以降に生まれた世代は、物心ついた頃からスマホがある生活が当たり前になっており、デジタルネイティブとも呼ばれています。
一方昭和生まれの人は、幼い頃からインターネットに触れているわけではありません。そのため、Z世代とはメンタルモデルが根本的に違います。このようなズレがサービスや書品の構築において壁になってしまう可能性があるのです。
ターゲットのメンタルモデルを理解する方法
ターゲットのメンタルモデルを理解するには、リサーチの手法を把握しておく必要があります。どのような手法でリサーチするのが効果的なのかみていきましょう。
エスノグラフィ
エスノグラフィは、生活環境で行うリサーチです。フィールドワークによって暮らしに密着し、ありのままの出来事を観察します。商品やサービスが実際に使われている場や行動を、間近で見られる方法です。
また、私生活に入り込んだ調査ができるので本音と建て前を見抜きやすいというメリットもあります。ユーザーインタビューだと緊張してしまったり、格好をつけてしまったりする場合もあるでしょう。しかし、生活環境でリサーチすれば、リラックスできるので本音を引き出しやすくなります。
ユーザーインタビュー
ユーザーインタビューは、商品やサービスのユーザー、想定されるユーザーに対して、質問に答えてもらう方法です。メンタルモデルを知るために行う場合は、行動について質問するのが効果的だと言われています。メンタルモデルを直接聞けなくても、行動に着目すると背景となるメンタルモデルを推定できるでしょう。
商品やサービスについて質問する時は何をしようとしたのか、何をしようとしていないのか、といった点に着目してください。行動に至った動機を聞くのもおすすめです。
カードソーティング
カードソーティングは、オープン・カードソーティングと呼ばれる場合もあります。Webサイトやアプリのパーツを書き出すカードを使い、ユーザーのニーズを探す方法です。
やり方は、まずカードにパーツを書き出し、ユーザーにグループ化してもらいます。そしてグループに名前をつけてもらってください。最後に結果をまとめます。
また、カードソーティングはIA設計にも役立つでしょう。IAは、Webサイトやアプリの内部にある情報を整理し、ユーザーにわかりやすく伝えたり、情報を見つけやすくしたりするための手法です。カードソーティングを行えば、ユーザーが本当に求めている情報を把握でき、適切な配置が可能となります。
まとめ
メンタルモデルは、ビジネスでも活用できます。販売戦略や商品・サービスの開発、社内の人材育成、従業員自身の成長につながるといったメリットがあるので、取り入れる価値は大いにあるでしょう。しかし、固定概念が強いことや世代間でズレが生じることなどのデメリットも忘れてはいけません。
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