目標設定の概要
管理職の目標を設定するために、目標設定について今一度おさらいしましょう。ここでは、目標設定の概要について解説します。
目標設定とは
目標は、目指す目的から外れないようにするための目印の役割があります。目標設定とは、達成したい目的を明確にし、それに向かって行動計画を立てることです。具体的な行動計画を決めることにより、目的達成までの進捗状況を把握できます。
目標は具体化することが重要であり、「何を」「いつ」「どうするのか」などを段階的に設定するようにしましょう。具体化は見える化につながり、目的を達成するためのステップが明確になります。
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目標と目的の違い
目標と目的は、同じ意味で使われるケースも少なくありません。しかし、それぞれの意味は全く異なり、目的とは自分または複数で到達するゴールの意味があります。企業の場合、「将来はグローバル企業に成長したい」や「3年後に株式公開を達成したい」などです。部署やチームであれば、「売上目標を常に達成する部署にしたい」や「企業の成長に貢献する部署とする」などがあります。
目的は、将来的なイメージや最終到着点のイメージです。目標は先に述べたように、目的に到達するための手段であり、ナビゲーションのような機能を持ちます。目標を立てることで、次にすべきことが明確になるため、企業の部署や業務、個人でも、積極的に目標設定するようにしましょう。
目標設定のメリット
目標設定には、企業や個人に関係なく大きなメリットがあります。ここでは、3つのメリットを紹介します。
目標達成に向けての行動が明確になる
目標設定は、目的を達成するための指針やナビゲーションになります。目標設定によって、やるべきことが明確になるため、企業であれば生産性の向上も期待できるでしょう。目標設定は、個人のモチベーションを向上させますが、チームの統率にも役立ちます。
企業であれば、部署やチーム全体の目標を設定することで、所属するメンバーそれぞれがやるべきことをわかるようになるでしょう。また、業務の優先順位も分かりやすくなるので、目標達成への行動も明確化されます。
部署やチーム内の目標が同じとなるので、一体感が生まれ、仲間意識が芽生えることもメリットです。これらのメリットは、企業単位でも同じであり、全社員が同じ目標を共有できれば、大きなイノベーションが生まれるかもしれません。
目標達成により自信を得たり成長できたりする
目標を達成できれば、企業や個人を問わず自信がつきます。ただし、目標を達成するためには、努力や継続力などが不可欠です。なかには、達成が困難な目標も少なくないでしょう。
目標を達成することが自信につながります。目標によっては、資格やスキルが必要となるケースがあるかもしれません。資格やスキルを身に着けて、目標を達成すれば大きな成長となり、大きな自信を得られるでしょう。
難しい目標を達成したときの充足感は、大きな自信につながるでしょう。目標の難易度の高さと達成したときの成長や自信は、比例すると考えられます。
目的達成への進捗状況を確認しやすくなる
目標を設定すれば、目的達成の進捗状況の把握が容易になります。目標は、目的達成のためのステップやチェックポイントでもあり、目標設定することで、進捗状況の可視化が可能です。
企業では、納期の大幅な遅れや人員確保の未達成などのトラブルも回避できます。目標への進捗状況が遅れていれば、サポート体制を構築したり、人員を補強したりする施策を実施できるでしょう。また、業務の進め方を見直すことにより、軌道修正も可能です。
企業を含めた組織では、目標設定により、誰が何をするのかを明確化できるでしょう。どの業務を誰が進めているのかを、部署やチーム内で共有しやすいため、相互協力も可能です。
管理職に目標を設定する理由
管理職の目標設定は、経営陣が設定する場合と管理職自身で設定する場合があります。経営陣からの目標設定は、事業計画や中長期計画からの割り振りである場合が多いでしょう。また、管理職のスキルアップや人材育成に関する目標設定も、経営陣が決めるケースが少なくありません。
管理職自身が、目標設定するケースは主に2つあります。プレイングマネージャーとしての目標設定と、部署やチームに与えられた目標を達成するために、目標を細分化するケースです。ここでは、管理職自身が目標を設定する理由について解説します。
現状や課題が把握できるから
管理職が目標を設定することは、現状や課題を把握できることが大きな理由です。管理職が目標を設定するためには、経営陣が目的を明確にしたり、管理職自身が目的を明確にしたりする必要があります。
事業計画などの達成が目的であれば、達成するための課題を明らかにしましょう。部署やチームの職場改善などが目的の場合は、職場の課題を明らかにしなければなりません。具体的な課題が見当たらない場合は、複数の第三者の人にヒアリングしましょう。また、部下にヒアリングすることで、部署の潜在的な課題が見つかるケースも少なくありません。
部署やチーム内の一体感を作れるから
管理職は部下と共通の目標を設定することで、業務の方向性を同じにできます。そうすることで、部署やチーム内に一体感が生まれやすくなるでしょう。部署やチーム内に、一体感が醸成されるようになることも、管理職が目標を設定する理由です。
また、共通の目標が設定されれば、自然とコミュニケーションを高められる効果もあります。コミュニケーションの活発化は、多様化する働き方や価値観に対して対応できる組織作りにも役立つでしょう。
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目的達成のためのステップが明確になるから
管理職の目標設定ができれば、目的を達成するステップが明確になることも理由の1つです。管理職が達成可能な目標を設定して、部下と共有することで部署やチーム全体のモチベーションが高くなります。
目標達成のための基準やスケジュールを決めることで、コストや時間も把握できるようになるでしょう。そうなれば、目的を達成するためのステップが明確になり、進捗状況管理も容易といえます。
管理職の目標を設定する手順
管理職に目標を設定する際には、手順を踏まえることが大切です。ここでは、目標設定の手順を解説します。
組織の課題を洗い出す
目標設定には目的が必要であり、目的を達成するために、部署やチームの課題を洗い出さなければなりません。もし、具体的な課題が見当たらない場合は、上司や部下にヒアリングしましょう。自分とは異なる視点を入れることで、管理職が気づかなかった課題がわかるケースがあります。
具体的に目標を設定
目的が定まり課題を洗い出して明確化できれば、目標を設定しましょう。目的や課題で、数値化できるものは数値化し、数値化が難しいものは、見える化に努めましょう。数値化できなくても、できる限り見える化や具体化することで、目標設定が容易になります。
目標は、具体的であることが重要です。抽象的な目標は避けて、目的や課題と同じように、数値化できるものは、数値化しましょう。また、達成の基準も明確になり、可視化しやすくなるため、目標の共有や進捗状況の把握も容易です。また、可視化した目標であれば、管理職やその部下のモチベーションも上げやすくなります。
目標達成までのプロセスを立案
目標設定ができたら、達成までの具体的なプロセスを計画しましょう。目標達成までの期間を、細かく分けることがポイントです。目標を細分化すると捉えると、分かりやすくなるかもしれません。短期的な中間目標をいくつか設定することは、モチベーションの維持につながるからです。
たとえば、目標達成のプロセスとして、1週間目に25%の達成を1つ目の中間目標とし、2週間目には50%の達成を2つ目の中間目標に設定します。このようにプロセスを細分化すれば、さらに確認や修正がしやすくなるでしょう。曜日や日にち単位の行動まで細分化できれば、きめ細やかな目標管理が可能です。
プロセスを実行
目標設定ができて、目標達成へのプロセスの計画ができれば実行に移しましょう。プロセスが細分化されていれば、忘れたりモチベーションが下がったりする可能性が低くなります。プロセスが細分化されていなければ、目標を意識しなくなったり、モチベーションの維持も難しかったりするかもしれません。
管理職は、プロセス実行のマネジメントも果たさなければならないため、プロセスを入念に細分化して実行に移すことが大切です。管理職には、部署やチームのモチベーション低下を防ぐことも求められます。部下に対して、プロセスの進捗状況を共有したり、サポートしたりする必要があります。
管理職の目標管理での注意点
管理職は、目標を設定すれば、その目標を管理しなければなりません。管理する目標は、部署やチームの目標と自身の目標と部下の目標などです。これらの目標を管理するには注意点があるため、重要な注意点について解説します。
目標達成だけに固執しない
目標管理は、担当する部署やチームのマネジメントの1つの手段です。目標管理で重要なことは、目標の達成ですが、部下の自主性を育んだり、管理スキルを向上させたりすることも忘れないようにしましょう。
目標達成のみを重視すれば、重要なポイントを見失う恐れがあります。また、目標達成に固執すれば、管理職自身や部下にとって目標がノルマになります。目標がノルマ化されれば、部署やチーム全体のモチベーションに悪い影響を与えるかもしれません。
定期的に見直してPDCAサイクルを回す
管理職が目標管理を行う際には、定期的に管理職自身や部下の進捗状況を確認しなければなりません。部下に対しては、現状を確認しフィードバックを行いましょう。また、管理職自身にフィードバックが必要であれば、上司や経営陣などから意見を聞く姿勢が大切です。
プロセスの進行中は、PDCAサイクルを回すことで、検証と改善ができるでしょう。PDCAサイクルを回すことで、問題点や課題が明確になります。それを放置せずに改善しなければ、目標の達成は難しいでしょう。定期的な見直しによるPDCAサイクルを徹底すれば、目的からのズレも修正可能です。
必要に応じて管理職に研修を行う
管理職の経験が浅かったり、目標管理スキルが低かったりする管理職には研修が必要です。目標設定の方法や計画立案の方法、社員との面談ポイントなどを研修で指導しましょう。
人事担当者が指導できなければ、経営陣が講師を担当することも効果的です。社内に適任者が見当たらない場合は、外部研修や講師を招くことを検討しましょう。管理職の質の向上は、企業利益の向上に直結することを人事部や経営陣が認識しなければなりません。
目標設定には管理職の業務や役割の理解も必要
管理職に目標を設定する場合は、管理職の業務を理解しておかなければなりません。人事や経営陣が、管理職の業務を理解せずに単に目標を設定すれば、思わぬ反発を招く恐れもあります。管理職の業務は、多忙を極めるケースが少なくないからです。ここでは、管理職の一般的な業務を紹介します。
社員の業務管理
管理職の重要な責務に業務管理があり、なかでも社員の業務管理は管理職に不可欠です。管理職のなかには、プレイングマネージャーとして、第一線で業務に従事しながら、部署やチーム内の業務を管理することも少なくありません。これは、社員としての業績を上げながら、部署やチーム全体の業績を上げる責務を兼任するため、労力を要します。
管理職は、業務管理を通して与えられた仕事を自分や部下に割り振り、円滑に仕事が進むように手配しなければなりません。また、与えられた仕事を与えられた期間内に完了させる調整も、管理職の重要な責務です。管理職は、結果を出すために必要な業務をすべて理解しているため、業務管理が行えます。
社員の労務管理
社員の労務管理も、管理職の重要な業務の1つです。労務管理は、社員の労働日数や労働時間を管理することが主な業務であり、ハラスメントの予防やメンタルヘルスの管理なども行います。社員の出退勤を管理したり、残業時間や休日出勤を管理したりすることも、管理職の労務管理の基本業務です。
また、部下が働きやすいと思える労働環境を、維持するための労務管理に注力することも求められます。部下が、不利益を被ることがないようにすることも、労務管理の一環です。人事評価や採用活動なども、管理職の労務管理とする企業も少なくありません。
労務管理の重要性とは?就業規則・労働時間などを管理して業務改善を目指そう
人材育成
部下を育成することも管理職の重要な業務です。部下の業務をサポートしながら、適切に指導することが求められます。新入社員や異動してきた社員などに、業務の手順や技術、知識を教えることも管理職の役割です。
業務の目的を明確に伝え、目的達成のために部下とともに仕事をしながら教育することも管理職の役割といえます。また、部下の悩みの解決にも尽力しなければなりません。企業によっては、管理職の目標設定に人材育成を盛り込むケースもあります。
人材育成とは?人材育成の方法やポイント、成功事例を詳しく紹介
管理職の目標設定のコツ
管理職自身が、部署やチーム目標を設定したり、管理職自身や部下の目標を設定したりする際にはコツを抑えておくと設定しやすくなるでしょう。ここでは、管理職が目標を設定するコツを紹介します。
企業全体の目的と部署やチームの現状の理解を深める
企業の目的について、管理職が管轄している部署やチームの社員に、理解を深めることは重要なコツです。また、企業の目的に対して、管理職が目標設定した内容が適していなければ、企業の利益に結びつかないかもしれません。
現状の部署やチームが達成できる目的でなければ、目標の設定は難しいでしょう。しかし、努力せずに達成できる目標設定には問題があります。これらを理解していれば、実現不可能な目標設定は避けられ、努力しなければ達成できない適正な目標を設定できます。
部署やチームの課題や改善点を把握
目標は、具体的で測定できるものを設定することが効果的です。また、目標達成のためには、細分化したプロセスが重要であることも先に述べました。次に重要なことは、必要なリソースを確保することです。
リソースの確保のためには、プロセスを実行するために、部署やチームの課題や改善点を把握しなければなりません。課題を掘り下げて、明確にすることも効果的です。これにより、リソースの確保だけではなく、目標設定の焦点を明確にできます。部署やチームとして、目指すべき方向性も明確化できるでしょう。
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目標達成の明確化
目標達成の数値や期日を明確にすることも重要なコツです。さまざまな情報を可視化することで、目標達成のための手段や行動を部署やチーム全体で計画できます。管理職だけが、計画するプロセスよりも、全体で考案したプロセスやアクションプラン、手段の方が部下のモチベーションは高まるでしょう。
ただし、部署やチームのモチベーションが高いからといっても、先に述べたように目標達成を重視しすぎることは、逆効果となるかもしれません。管理職自身や部下のモチベーションの維持を重視することが大切です。
管理職の目標管理にはツールの導入を検討
管理職の目標管理では、管理職自身や部下の進捗状況を、的確に把握することが不可欠です。しかし、これまでの方法では情報収集や分析に時間がかかるため、管理職の負担が増大します。
そこで、効率化を図るために、目標管理を簡略化できるツールの導入を検討しましょう。目標管理ツールやタレントマネジメントシステムなどを導入する企業が増えています。自社に適したツールを選ぶことは、管理職の負担軽減につながります。
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まとめ
企業が目標設定することは、大きなメリットがあるからです。なかでも、管理職が目標設定をすれば、現状の課題が把握できたり、部署やチーム内に一体感が生まれたりします。目的達成のステップも明確になるので、達成までの進捗状況の把握もしやすくなるでしょう。
ただし、管理職は担当する部署やチームの目標と自身の目標に加えて、部下の目標も管理しなければなりません。管理職の負担が大きくなるため、目標管理の効率化が不可欠です。タレントパレットは大手企業を始め、多くの企業に導入されているタレントマネジメントシステムです。組織の見える化に役立つシステムなので、ぜひ導入をご検討ください。
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