経営戦略フレームワークとは?分析・策定方法や成功させるポイントを解説


経営戦略フレームワークとは?分析・策定方法や成功させるポイントを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

経営戦略フレームワークは、経営戦略を策定する際に、自社を取り巻く環境を適切に分析するための思考ツールです。

経営戦略は、企業活動の根管となる大切な指針です。しかし、経営戦略を決める際に、どのようなフレームワークを選んでいいのかといった悩みを持つケースもあるのではないでしょうか。

本記事では、効率的かつ客観的な分析に役立つ9つのフレームワークや、分析のポイントなどについてみていきましょう。

経営戦略フレームワークとは?

経営戦略フレームワークとは、経営戦略を策定する際に、情報を分析・整理するための思考の枠組みや思考ツールのことを指します。経営戦略を策定する際には、次のような観点から現状を適切に把握することが必要です。

・自社の強みや弱み
・競合や市場の状況
・政治経済の動向

経営戦略フレームワークは、上手く活用すれば、多様で複雑な情報を効率的に整理することができます。フレームワークには複数の種類があり、それぞれ分析できる観点が異なるといえるでしょう。そのため、内部環境や外部環境の分析など、各社の課題やニーズに適したフレームワークを選択することが重要です。

経営戦略フレームワークは経営戦略の策定に役立つツールや考え方を示したものだといえます。では、 そもそも 経営戦略とはどういったものであり、経営にどのような影響を与えるのでしょうか。詳しく知りたい方はこちらの記事から
「経営戦略」については、こちらの記事をご確認ください。

経営戦略フレームワークを使うメリット

ここでは、経営戦略フレームワークを使う3つのメリットにふれていきます。

効率的に分析できる

経営戦略フレームワークを使う1つ目のメリットは、スピーディかつ効率的に情報を分析できる点です。

例えば、市場の競争優位性を分析するSWOT分析には、「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの指標が用意されています。そのうえで、フレームワークは、何を指標とすべきか、何を比較すべきか、という思考プロセスを省略し、フレームワークの指標に即して情報を整理するところから分析をはじめることが可能です。

変化の激しい昨今のビジネス環境においては、競争優位性を保ち続けるために、時代に即した戦略をスピーディに策定することが重要だといえるでしょう。そのため、効率的な経営戦略策定に役立つフレームワークを使いこなすことは、現代のビジネスパーソンにとって欠かせないスキルとなっています。

自社・市場・顧客など多様な観点で分析できる

経営戦略フレームワークを使う2つ目のメリットは、多様な観点で情報を分析できる点です。経営戦略策定にあたっては、自社の強み・弱み、競合や政治的リスクなど、複数の観点で網羅的に分析することが大切です。

フレームワークには、自社について深く分析できるものや外部環境における脅威を分析できるものなど、多様な種類があります。それらを複数組み合わせて使用することで、多くの情報を漏れなく整理しやすくなるでしょう。

統一された客観的な指標で分析できる

経営戦略フレームワークを使う3つ目のメリットは、統一された客観的な指標で分析できる点です。例えば、自社の課題・強み・外部環境といっても人によって考えるイメージは異なります。しかし、多くの人や部署が協力して経営戦略を策定するためには、関係者全員の共通認識が重要です。

客観的な指標として広く普及しているフレームワークを使用すれば、内部環境や外部環境といった概念について、関係者が同じ認識を持ちやすくなるでしょう。

経営戦略フレームワークを用いる際の注意点 


ここでは、経営戦略フレームワークを使った分析において、気をつけるべき2つのポイントについてふれていきます。特に分析を行う場合は、外部から内部環境を見ていくことで、自社でコントロールできる部分とコントロールできない部分が明確になる点を意識しましょう。

外部環境から内部環境の順番で分析する

1つ目の注意点は、外部環境から内部環境の順番で分析を行うという点です。市場の変化・トレンド・政治経済情勢などの外部環境は自社でコントロールしにくい部分であるため、事前に外部環境を把握しておくと後戻りが少なく効率的に戦略を策定できるでしょう。

また、外部環境分析によって自社のチャンスや脅威が見えやすくなるため、内部環境分析も進めやすくなります。外部環境分析によって見えてきた主要成功要因(KSF)を、自社でどのように実現していくかといったステップで考えていくと、効率的に経営戦略策定が進むでしょう。

フレームワークは手段であることを忘れない

2つ目の注意点は、フレームワークにこだわりすぎないことです。フレームワークにこだわりすぎてしまった場合、本質的なポイントや企業独自の視点・洞察を失ってしまう可能性があります。

フレームワークはあくまでも手段であり、本来の目的は経営理念や自社ビジョンに沿った経営戦略を策定することが大切です。また、どんなに有名なフレームワークでも万能ではないため、状況によって使い分け、組み合わせながら活用することが重要でしょう。

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経営戦略フレームワークの種類


ここからは、9つの経営戦略フレームワークをみていきます。目的に応じて使い分けたり、組み合わせたりして使用することで、効率的かつ網羅的に情報を分析できる点がメリットです。

まずは一般的なフレームワークの概要を一通り理解し、必要なときに使い分けられるようにしておくとよいでしょう。

3C分析

3C分析は、Company(自社)・Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)の3つの観点で情報を整理し、自社を取り巻く業界環境について概要を把握できるフレームワークです。

3C分析では、次の3つの観点で事実を収集することから、客観的情報をもれなく抑えられる点が メリットだといえるでしょう。

・「市場」は市場規模・成長性・顧客のニーズなど
・「競合」は他社のシェア・競合の特徴・参入の脅威など
・「自社」は理念・ビジョン・リソースなど


3C分析で収集した客観的情報は、別のフレームワークを使って情報を精査していくことも可能です。

SWOT分析・クロスSWOT分析

SWOT分析は、Strengths(強み)・Weaknesses(弱み)・Opportunities(機会)Threats(脅威)という4つの観点で情報を整理できるフレームワークです。

クロスSWOT分析とは、SWOT分析で分類した情報同士をかけ合わせて、より踏み込んだ解釈を得る分析手法のことを意味します。

SWOT分析やクロスSWOT分析は、具体的な戦略や方針を策定する際に役立つものです。例えば、「強み」と「機会」をかけ合わせて、新しい事業の発案に役立てる、「弱み」と「脅威」をかけ合わせて、事業撤退の判断に役立てるといった使い方ができるでしょう。

事前に3C分析やPEST分析を使って、さまざまな観点で客観的情報を収集しておくと、スムーズにSWOT分析を進められます。

PEST分析

PEST分析は、Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4つの観点で情報を整理し、自社ビジネスに影響を与える可能性がある外部環境を見いだすフレームワークです。

3C分析では、競合や顧客など自社に近いビジネス環境について情報を収集し、PEST分析は法改正・規制・景気・株価といった、マクロな視点で情報を収集するといった違いがあります。

マクロ環境は自社でコントロールできないものが多いため、自社ビジネスへの影響を知るためには把握しておくべき情報の1つです。また、市場の将来性の予測などに役立つため、新規事業の検討や撤退判断の検討にも必要な情報となるでしょう。

ファイブフォース分析

ファイブフォース(5フォース)分析は、自社を取り巻く環境やこれから競合関係になるであろうとする業界の脅威(フォース)を明らかにするフレームワークです。

5つの脅威とは、競合他社との競争・業界への新規参入企業・代替品の存在・買い手の交渉力・売り手の交渉力を表しています。競合の数・新規参入のハードル・代替品の有無・値引き競争の有無・サプライヤーとの力関係などの情報を整理することが可能です。

ファイブフォース分析は、業界の競争環境を明らかにし、自社の競争優位性を探ることに役立ちます。業績向上に向けた施策を検討する際や事業の多角化などで新規参入先を検討する際に適切に分析できる手法です。

また、SWOT分析とかけ合わせると、より詳細な分析が可能になるため、具体的な戦略や方針に落とし込みやすくなる点がメリットだといえるでしょう

VRIO分析

VRIO分析は、Value(経済的価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣可能性)・Organization(組織)の4つの観点で、自社の商品や経営資源を分析するフレームワークです。
VRIO分析は、自社の商品にはお金を払ってもらうだけの価値や希少性があるか、自社の経営資源は模倣される可能性があるか、資源を活用できる組織力があるかなどの観点から行います。

VRIO分析では、競合他社と比較した自社の強みや弱みを把握できます。マーケットの変化に乗り遅れないように分析を行うことで、自社の強みを発揮し続けることが可能です。

STP分析

STP分析は、Segmentation(市場細分化)・Targeting(市場の選定)・Positioning(立ち位置の明確化)の3つの観点で、自社が狙うべき市場や顧客ニーズを明らかにするフレームワークです。

具体的な分析ステップは、市場を細分化→自社が狙うべき市場を選定→市場における自社の立ち位置を決める、という流れになります。

ターゲットを選定したり、顧客ニーズを把握したりする必要がある新商品開発の際や、既存事業の見直しの際などに役立つといえるでしょう。

4P分析

4P分析はProduct(自社の商品)・Price(価格)・Place(販売場所・提供方法)・Promotion(販促活動)の4つの観点で自社商品を分析し、販売戦略の策定に役立てるフレームワークです。

商品の価値は、商品の品質や価格に加え、広告や購入場所などさまざまな要素が複合的に絡み合って決まります。そのため、4P分析の4つの観点で情報を整理し、それぞれの関連性を確認しながら販売戦略を策定することで、より付加価値の高い商品やサービス提供の実現につながりるといえるでしょう。

4P分析は企業視点の分析フレームワークであるため、顧客視点の4C分析と併用して活用することで、さらに踏み込んだ分析が可能となります。

4C分析

4C分析とは、Customer Value(顧客価値)・Cost(顧客のコスト)・Convenience(顧客の利便性)・Communication(顧客とのコミュニケーション)の4つの観点で自社商品を分析し、販売戦略の策定に役立てるフレームワークです。

4C分析はすべて顧客視点であることが特徴です。4C分析のCostは顧客が商品を手に入れるためにかかる手間も含めたコストを指します。

4C分析を活用して、顧客視点で自社商品の価値を改めて確認し、顧客のニーズにあった商品やサービスを提供できるようになるでしょう。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、開発・事務・原料調達・製造・販売といった、ビジネスの工程ごとに提供される付加価値や課題を分析するフレームワークです。支援部門なども含めたすべてのビジネスの工程における、自社の強みやコストについて把握できます。

バリューチェーン分析における付加価値とは、単なるモノやお金としての価値ではなく、熟練した作業者・品質が均一・納品が早いなど広い意味での価値のことです。

また、バリューチェーン分析で抽出した付加価値についてVRIO分析を行った場合、自社の競争優位性をさらに深掘りして分析することが可能となります。

まとめ

経営戦略を策定する際に、フレームワークを使用することで効率的に情報を整理・分析可能だといえるでしょう。フレームワークを使いこなすには、さまざまな種類と効果を理解することが大切です。

自社の目的に応じて適切なものを選択し、必要に応じて組み合わせながら分析することで、現状を適切に把握できるでしょう。

また、あらかじめ自社の人材データをシステムに集約しておくと、組織の人的資源を分析するVRIO分析なども効率的に進められます。そして、タレントマネジメントシステムのタレントパレットであれば、あらゆる人事データを統合し、システム上で簡単に可視化や分析が可能です。

データにもとづいた経営戦略・人事戦略を策定したいと思っている場合は、 タレント パレットの活用を検討してみましょう。

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