こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
従業員が休職を申し出る際は、休職届の提出が必要です。提出後、上司や人事部門の審査によって承認されると休職が可能になります。休職届は就業規則に則って、必要事項を必ず記載して従業員に提出してもらいます。
休職中に必要な傷病手当金や労災保険の手続きがあれば、そちらも書類の提出が必要です。休職の延長や復職のタイミングなどについても、従業員と相談をしながら人事が適切に対応をします。
今回は、休職届が必要な理由や提出の流れ、休職中の従業員への対応方法などについて解説しますので、ぜひご覧ください。
休職届が必要な理由
休職届は、労働者(休職する従業員)側と会社側が相互に理解し、納得した上で休職するために大きな役割を果たします。休職の理由によっては、診断書や意見書などの添付書類も必要です。
会社に所属したまま長期間休む従業員がいると、会社は労働力不足に陥る恐れがあります。病気や怪我などで長期間仕事を休む必要がある場合、上司へ納得のいく説明をして承認を得るために休職届の提出は必須です。
休職届の提出に関しては、国で定められた決まりはありません。そのため、就業規則に沿った形式で記入してもらい、他の書類と併せて提出してもらう必要があります。
休職届の提出方法について
休職届に関して覚えておくべきポイントは、以下の3点です。
- 休職届に記載する事項
- 産業医の意見書や休職診断書が必要なら添付する
- 休職届を出してもらうタイミング
この章では、それぞれの項目について解説します。休職に関する手続きを整備する際に、参考にしてください。
休職届の基本的な記載事項
休職届は、主に以下の7つの項目を記載できるよう作成します。
- 提出先の相手の氏名・所属部署・役職
- 従業員の氏名(押印あり)・所属部署・役職
- 休職届の提出日
- 休職期間
- 休職理由
- 休職中の連絡先(電話番号・メールアドレスなど)
- 添付書類(診断書や産業医の意見書など)
- 備考(その他伝達すべき事項があれば記載)
休職届の形式は、A4の横書きが一般的です。箇条書きや表形式にして、コンパクトで書きやすい形でフォーマットを作成するとよいでしょう。
産業医の意見書や休職診断書も添付
休職の可否を決める際は、主治医からの診断書や意見書があると進めやすくなります。それらは、医師が従業員の病状や怪我の様子を診察した上で、どのぐらいの療養期間が必要かを記載した書類だからです。休職は個人の健康上の都合であるため、診断書は診察を受けた従業員が発行手数料を自費で支払います。
診断書は、従業員の病状や怪我の具合を詳しく知るための重要な書類です。休職の可否判断だけでなく、復職後に従業員の健康状態を適宜確認する際にも診断書は欠かせません。
休職時に提出は必須ではありませんが、産業医の意見書は大事な書類です。産業医が当人と面談して得た意見をもとに作成されるため、休職可否の判断材料になります。そのため、診断書と同じく重要な書類といえます。
産業医の意見書や医師の診断書がある場合、添付書類の欄に添付した書類名を記載してもらいます。
休職届を出してもらうタイミング
精神疾患や大きな怪我などで休職が必要な従業員がいる場合、まずは従業員本人と面談して状態を把握します。面談後、かかりつけ医の診断書が出てから、正式に休職届を提出してもらう流れが一般的です。
診断書の発行には費用がかかる上に、ある程度の時間を要する場合もあります。診断書が発行されるまでの間、人事担当者は休職手続きの準備をします。そのため就業規則を確認し、休職に関する一連の流れを知っておく必要があります。
従業員の休職手続きをスムーズに進めるために、休職前後に必要な支援や会社の休職制度について、事前に把握しておきましょう。
休職可否の判断について
休職可否の判断は、基本的に会社側が行います。休職届を提出してもらい、あらためて本人や役職者と面談した上で正式に休職の判断をするのが一般的です。また、医師の診断書をもとに、医学的な根拠を明確にする必要もあります。
会社が休職可否を判断する際と、医師の診断書を判断材料とする際のポイントを以下で解説するので、押さえておきましょう。
会社が可否を判断する
就業規則に則り、本人の健康状態と面談をもとに休職可否を判断します。国で統一された規制はないため、会社側が慎重に判断しなければなりません。主治医の診断書や産業医の意見書があれば、それらも判断材料に加えます。
正式に休職届が受理された後は、休職時の連絡手段を確認する必要があります。その際、傷病手当金や労災保険の手続き等に関する書類があれば、従業員に提出してもらいます。郵送や直接提出など、適切な方法を従業員と話し合うとよいでしょう。
休職前に必要な手続きを一通り終えたら、休職に入るまでの期間は対象従業員のサポートを部署に呼びかけることも大切です。本人と部署の社員が納得して休職できるよう、部署の社員が協力しつつ、業務の引継ぎやフォローができる体制を整えます。
医師の診断書を判断材料とする
疾病や怪我によって長期的な休職が必要な場合、医学的な根拠を示すために担当医師に診断書を発行してもらいます。診断書の発行には時間と費用がかかることを、事前に従業員へ伝えておきましょう。
従業員の病状や怪我の具合によっては、産業医の意見書も判断材料に含めます。診断書に加えて産業医の見解を記した意見書もあれば、双方が休職に対して深く納得できる可能性が高まるからです。
従業員が医師の診断書の提出に応じない場合、正当な病気療養による休職にはならないため無断欠勤として扱われたり、解雇処分の対象になったりします。その点も、事前に従業員へ説明しておきましょう。
休職から解雇になるケースは、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
「休職解雇」については、こちらの記事をご確認ください。
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休職中の給与・社会保険・手当金
休職届を受理して休職に入った後は、対象の従業員への定期的な連絡が必要です。そして、病気や怪我からの回復の兆しが見えたら、その後についてよく相談しながら各種手続きを進めていきます。
ここからは、休職中の給与支払いや社会保険、傷病手当金の 受取手続きについて確認していきましょう。
休職中の給与支払い
ノーワーク・ノーペイの原則(給与は労働の対価であるという考え)に則り、休職中に給与を支払う義務はありません。賞与の支払いも同様です。休職中は従業員が労働の責務から外れているため、給与を支払いを行わない会社もあります。
ただし、企業によっては給与の一部を支払う場合もあるため、確認が必要です。休職中に支払われる給与に関して、就業規則の記載をもとに、従業員にあらかじめ説明をしておきましょう。
休職中は給与が出ませんが、休職手当は条件を満たせば支給されます。下記記事で休職手当について解説しているので、ご覧ください。
「休職手当」については、こちらの記事をご確認ください。
休職中の社会保険
休職中であっても会社に在籍している以上は労働者とみなされるため、休職中でも社会保険料は差し引かれます。休職中の社会保険料の金額は、原則として休職前と変わりません。社会保険の受給資格の喪失もないため、給与支払いの件と併せて従業員への説明が必要です。支払い方法については未払いの給与から差し引くか、定期的に振り込むかを選択してもらいます。
休職中でも支払う社会保険料は、厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料の3つです。いずれも従業員の生活を守るために欠かせないものであるため、休職中でも支払いが発生するのはやむを得ません。
休職中の従業員が社会保険料を支払えない場合は会社に立て替えてもらったり、ボーナスから差し引いたりして徴収します。人事部の中で確認して、社会保険料の支払いについて対策を考えることも大切です。
傷病手当金の受給
休職中の従業員の生活費に充てられることが、傷病手当金の最大のメリットです。休職中の無給状態でも、一定の条件を満たせば傷病手当金を受給できます。支給額は休職前の給与の3分の2程度で、所定の手続きを行うと支給されます。
引用: 全国健康保険協会
上記の図のとおり、傷病手当金の支給対象期間は支給開始日から通算して1年6ヵ月までと定められています。ただし、支給開始日が令和2年7月1日以前の場合は出勤した期間も含まれるので、注意が必要です。
傷病手当金の支給申請では、支給申請書とともに給与支払いの有無に関する事業主の証明が求められます。提出する前に、申請書の記載に不備がないか確認しましょう。
従業員が休職の延長を申し出た場合は、傷病手当金も追加の支給申請が必要です。休職延長に関しては、下記記事で解説しているのでぜひご覧ください。
「休職延長」については、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
休職届は、従業員が病気や怪我で長期間仕事を休む際に提出が必要な書類です。医学的根拠を示して双方が理解して休職するために、医師の診断書や産業医の意見書を添付して提出してもらいます。
休職中は従業員と定期的に連絡を取って、健康状態を確認する必要があります。人事担当者は、休職の延長・退職・復職の意思も従業員によく確認して、サポートや所定の手続きを進めます。休職中は給与の支払いはありませんが、必要に応じて傷病手当金の手続きも進めることが大切です。
お互いに納得した上で休職できるよう、休職届を受理する際は慎重に行いましょう。
タレントパレットのヘルスチェックを活用すれば、従業員の健康状態を把握しやすくなります。産業医や保健師との連携もできるため、日々の健康チェックや休職が必要なった際の面談もスムーズに予約できます。休職制度の導入を検討している企業様は、ぜひお問い合わせください。
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