リーダーシップの種類とは?行動・タイプによる違いや必要なスキルも解説


リーダーシップの種類とは?行動・タイプによる違いや必要なスキルも解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

リーダーシップは、指導者としての能力や統率力を指し、リーダーが組織を引っ張るために欠かせない力です。秀でたリーダーシップを持つ人材の発掘や育成は、組織のさらなる成長につながるでしょう。

本記事では、リーダーシップの種類について行動やタイプごとの違いを解説するとともに、リーダーシップを発揮するために必要なスキルも紹介します。最後まで読むことで、リーダーシップを発揮する人材の効果的な育成につながるので、ぜひ参考にしてください。

リーダーシップの種類を理解する重要性

リーダーシップは、そのリーダーの行動や指導方法のタイプに応じていくつかの種類に分けられます。

会社側がそれぞれのリーダーシップの特徴を理解しておけば、組織やチームの特性に応じて最も適したリーダーを配置できるでしょう。それにより、組織全体のパフォーマンスの向上が期待できます。

リーダー自身も、リーダーシップの種類をしっかりと理解することで、自らの行動や指導スタイルについて深く考え、さらに成長するきっかけになるはずです。

リーダーシップの基礎知識についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。
「リーダーシップ」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:リーダーシップとは?概要や必要なスキル、具体的な高め方も解説

リーダーシップとマネジメントとの違い



リーダーシップとマネジメントは混同されがちですが、それぞれ異なる概念で、いずれも組織運営において重要な役割を果たします。

リーダーシップはチームメンバーに影響を与え、目標達成へと導く能力です。管理職だけに求められる力ではなく、自らを律する必要があるすべてのレベルの従業員に必要とされる資質といえるでしょう。

一方のマネジメントは、組織を維持・管理することを指します。業務計画の作成やプロジェクト管理、人員配置など、チームを効率的に運営する役割があります。通常は管理職が担い、必ずしもすべての従業員が必要になるわけではありません。

リーダーシップとマネジメントの違いに関する詳細な解説は、こちらの記事をご参照ください。
「リーダーシップマネジメント」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:マネジメントとは?定義や役割、必要なスキルを解説

リーダーシップを行動で分けるPM理論

リーダーシップの理論は多数存在しますが、中でも代表的なのがリーダーが取るべき行動に着目した「PM理論」です。社会心理学者の三隅二不二(みすみじゅうじ)氏が1966年に提唱したこの理論では、リーダーの行動を次の2つの機能に分類します。

・P(Performance)=目標達成機能
・M(Maintenance)=集団維持機能

P機能は、チームメンバーと目標を共有しながら的確な指示を出すことなどにより、成果を上げるためのリーダーシップです。M機能は、良好な人間関係やチームワークを維持しながら組織をまとめるために発揮されるリーダーシップを指します。

リーダーの行動状態を踏まえ、PとMの機能のうち強いものを大文字にして分類したのが、次の4種類の型です。

リーダーシップの類型 意味 特徴
PM型 P機能とM機能が

同程度に大きい

目標達成ができる力とチームをまとめる力が共存する、リーダーシップの理想形
Pm型 P機能の方が

M機能より大きい

チームをまとめる力はあるが、目標達成力にやや劣る
pM型 M機能の方が

P機能より大きい

目標達成力はあるが、チームをまとめる力にやや劣る
pm型 P機能もM機能も

同程度に小さい

目標達成ができる力とチームをまとめる力のどちらも弱い

それぞれの特徴を簡単に紹介します。

PM型

PM型は、P機能とM機能の両方が強く発揮されるタイプです。このタイプのリーダーは、目標を明確に示し、それを達成するための具体的な行動を引き出す力を持っています。同時に、集団の一体感を保ち、メンバーのモチベーションを維持する能力も兼ね備えているのが特徴です。

PM型のリーダーは、成果を上げつつ、集団をまとめる力もある理想的なリーダーシップスタイルといえるでしょう。

Pm型

Pm型は、P機能が強いものの、M機能が弱いタイプを指します。Pm型のリーダーは、目標設定やタスクの進行管理など、成果を達成するための行動に特に力を入れる傾向があるのが特徴です。

しかし、集団をまとめる、部下に気を配る、職場環境を整えるなど、人間関係の維持やチームの調和を図ることが課題として指摘できます。成果は上げられる半面、人望がなく、長い目で見るとチームの維持が困難となる可能性があるでしょう。

pM型

P機能が弱く、M機能が強いのが、pM型です。この型のリーダーは、一体感のあるチームづくりや職場環境の整備、部下のモチベーション維持に長けています。コミュニケーションを重視しており、組織は良好な雰囲気が維持されているでしょう。

一方で、P機能が弱いことは目標の設定や達成に対する意識が低いことを意味し、成果は物足りないという状態を招きます。

pm型

pm型は、P機能もM機能も弱いタイプを指します。pm型のリーダーは、目標を達成することも、組織内の人間関係を円滑に保つことも苦手です。組織の発展において目標の達成と集団の調和は共に重要であるため、リーダーシップを発揮できないpm型は、P機能とM機能の両方を高める努力が求められます。

PM理論についてさらに詳しい情報がほしいという方は、こちらの記事をご覧ください。
「リーダーシップpm理論」については、こちらの記事をご確認ください。

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ダニエル・ゴールマン氏が提唱したリーダーシップのタイプ6種類



次に、ベストセラー本「EQ こころの知能指数」(1996年、講談社)で知られるアメリカの心理学者、ダニエル・ゴールマン氏が提唱したリーダーシップの種類を紹介します。ダニエル・ゴールマン氏が提唱したのは、次の6種類です。

・ビジョン型
・コーチ型
・関係重視型
・民主型
・ペースセッター型
・強制型

一つずつ解説します。

ビジョン型リーダーシップ

ビジョン型リーダーシップは、共通の目標を示し、目標達成に向かってチームを動かしていけるタイプです。ゴールを掲げてチームを鼓舞しつつも、達成方法は自主性に任せるスタイルで、6種類のうち最も前向きで理想的なリーダーシップのタイプといえるでしょう。

自主性に任せることで各メンバーの創造性や能力を発揮させ、組織全体としてのレベルアップも図れます。ただ、ビジョンが明確かつ適切に定まっていない場合、チーム内に混乱や疑問が広がる可能性があることには注意が必要です。

コーチ型リーダーシップ

コーチ型リーダーシップは、メンバーの考えや意見を尊重しつつ、スキルや能力を高めるために一緒に働くタイプになります。個々人の潜在能力を引き出し、モチベーションを高める能力に長けているのが特徴です。

しかし、このスタイルの場合、リーダーが一人ひとりのメンバーに接する手間と時間がかかるため、メンバーの数が多いとリーダーの負担が重くなる懸念があります。人材の成長には時間を要することから、短期間で成果が求められる状況では適用が難しい場合もあるでしょう。

関係重視型リーダーシップ

関係重視型リーダーシップは、調整力を活かしてチーム運営に当たるリーダーに見られます。チームメンバーや関係者との円滑な意思疎通を重視し、組織内で良好な人間関係を構築できるでしょう。チームに一体感や信頼感が醸成され、生産性向上に寄与します。

一方で、関係重視型は、人間関係の調和を重んじるあまり、具体的な目標達成に向けてメンバーを牽引する力が不足することもある点が課題です。目標設定と達成に向けた戦略の明確さも同時に重視する必要があるでしょう。

民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、チームメンバーからの意見を積極的に取り入れるのが特徴です。意思決定の際にメンバー全員から意見を求め、それを元にアイデアや戦略を形成します。多様性を活かしつつ独創性のあるアイデアが生まれる可能性があるほか、メンバーのモチベーション向上、組織の活性化にも寄与する点がメリットです。

ただ、様々な意見を取り入れることで意思決定が複雑化し、混乱を招く恐れがある点は否めません。決定が遅くなる可能性もあるため、リーダーの決断力も求められます。

ペースセッター型リーダーシップ

自ら手本を示してメンバーを引っ張るタイプが、ペースセッター型リーダーシップになります。模範を示すだけで、コーチ型のように細かな指導をしなくても成果を上げられる実力者が多いチームで特に効果的です。

ただし、自発的に動けるメンバーが少ないチームでは注意が必要になります。リーダーが目立ちすぎるとメンバーにプレッシャーがかかる懸念もあり、逆にパフォーマンスを低下させる可能性を意識しなければなりません。

強制型リーダーシップ

強制型リーダーシップは、リーダー自ら意思決定を行い、それをチームメンバーに指示し、遂行させるスタイルです。短期間で目標を達成する必要がある場合や緊急事態などには、強制型が効果を発揮しやすいでしょう。

しかし、一方的な指示がチームの雰囲気を悪化させる懸念があります。メンバーからの信頼や協調性を損ねる恐れがあることにも注意が必要です。自発性や意欲を低下させ、長期的には組織の成長を阻む要因にもなる可能性があります。

クルト・レヴィン氏が提唱したリーダーシップのタイプ3種類

ダニエル・ゴールマン氏以前に、3つのリーダーシップタイプを提唱した人物もいました。ここでは、「社会心理学の父」とも呼ばれたドイツ出身の社会心理学者クルト・レヴィン氏(1890-1947年)が分類した次の3つのリーダーシップタイプについて解説します。

・民主型
・放任型
・専制型

民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、集団で討議して方針を決定します。作業の進め方はメンバーに委ねるのが特徴です。リーダーはまとめ役に徹し、メンバーから意見を出してもらい議論することで、チームの団結力強化、生産性向上に寄与します。民主型リーダーシップはクルト・レヴィン氏のリーダーシップスタイルの中でも最も理想的なスタイルといえるでしょう。

ただ、後述する専制型と比較すると、初期段階で生産性が劣る可能性があるのは否定できません。中長期的な視点でメンバーの自主性や創造性を促す効果を期待できるのが大きな利点です。

放任型リーダーシップ

放任型リーダーシップは、名称の通りメンバーの行動に対してリーダーがほとんど関与しないスタイルになります。リーダーが干渉せずメンバーの自主性に任せて能力を発揮してもらうタイプであり、各々が高い実力や行動力がある場合には有効に機能するでしょう。

しかし、放任型リーダーシップにはリスクも伴います。リーダーの指導が少ないため、メンバーがバラバラに動くことです。チームとしての一体感が失われるほか、問題が生じた際の判断や対応が遅れ、事態を悪化させる可能性もあります。

専制型リーダーシップ

リーダーがメンバーの行動をコントロールしてチームに深く関与するタイプが、専制型リーダーシップです。リーダーが全体の状況を一貫して把握し、必要な指示をタイムリーに出すことが可能となるため、目標達成のスピードを速めることが期待できます。

ただ、メンバーが自己判断や創造性を発揮する機会が少なくなるため、個々の自律性や積極性などの成長を期待するのは難しいのがデメリットです。長期的には、モチベーションの低下やチームの創造性の枯渇といった問題を引き起こす可能性もあるでしょう。

ロバート・グリーンリーフ氏が提唱したサーバントリーダーシップ

次に、アメリカのマネジメント研究者ロバート・グリーンリーフ氏(1904-1990)が提唱した「サーバントリーダーシップ」について説明します。サーバントは「召使い」を意味する言葉です。リーダーがメンバーに奉仕しつつ指導するスタイルになります。

サーバントリーダーシップは伝統的な支配型のリーダーシップと異なり、リーダーがメンバーの考えを優先し、メンバーの成長を促すことを重視する手法です。チーム内の信頼関係が深まり、メンバーが自主的に目標達成へと動くことが期待されます。

一方、サーバントリーダーシップのスタイルでは、チーム運営を軌道に乗せるまでに時間がかかることもあります。自ら積極的に動くことが難しいメンバーにとっては、その指導方法が十分に機能しない場合もあるでしょう。

リーダーシップを発揮するために必要なスキル

リーダーシップを発揮するには、これまで説明してきたリーダーシップの種類を理解するとともに、いくつかのスキルを習得することも大切です。ここでは、理想的なリーダーシップを発揮するために重要なスキルを4つ紹介します。

課題を発見する力

リーダーシップを発揮するために必要なスキルの一つ目は、課題を発見する力です。リーダーは漫然と業務を遂行するだけでなく、常に現状を分析し、改善可能な部分や問題点を見つけ出す視点が重要になります。

自分のチームや業務が置かれている状況を的確に理解する力や、発見した課題を分析する力、さらに、メンバーに解決策を指示できるまで一般化・具体化する力も大切です。

目標達成へビジョンを示す力

目標の達成に向けてビジョンを示す力も、リーダーシップを発揮する上で非常に重要なスキルです。チームが目指す未来を明確に示し、メンバーが進むべき方向性を提示する能力といえます。

このスキルに長けたリーダーは、メンバーに対して達成すべき目標だけでなく、その目標を達成することで得られる成果や、なぜ目標達成が必要なのかという理由も明確に示せるでしょう。メンバーは自分たちの努力が何につながるのかを理解し、ゴールに向けて一体感を持って取り組むことが可能となります。

チームを引っ張る実行力

リーダーシップに必要な要素として、チームを引っ張る実行力も重要です。リーダー自身が積極的に行動し、メンバーに模範を示せる能力といえます。

実行力があるリーダーは、ただ言葉で指示や要求を出すだけではありません。メンバーはリーダーの行動を見て、理解しやすくなるだけでなく、自発的に動く効果も期待できます。結果として、中長期的にチーム内の自主性を育む効果もあるでしょう。

メンバーとのコミュニケーション力

メンバーとのコミュニケーション力も、リーダーシップを発揮するために欠かせません。リーダーが効果的にコミュニケーションを図り、メンバーの意見や感情を尊重して業務を進めることで、円滑な信頼関係の構築や意思統一が期待できます。コミュニケーション力には、話す力と聴く力の両方が求められます。
「リーダーシップ研修」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:リーダーシップ論とは?変革の歴史や組織が求めるリーダー像について解説

まとめ

リーダーシップの種類を理解することは、リーダーが自分の適性に合ったスタイルを把握し、その力を最大限に発揮するために重要です。

会社としても、それぞれのリーダーシップの種類を適切に認識することで、効果的なリーダーの育成や、チームやメンバーの特性に合わせたリーダーの配置が可能になるでしょう。結果として、チームの生産性を最大化し、組織の成長を促進します。

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