こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「労務管理士はどういう資格なの?」「社会保険労務士との違いが知りたい」といった疑問を抱えていないでしょうか。
働き改革が進んでいる昨今において、職場環境の整備を担う労務管理は企業に欠かせない存在です。また、働き方改革に伴って労働法規が度々改正されており、専門的な知識やスキルがある人材が重宝されています。
そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 管理労務士について
- 主な仕事内容
- 資格保有のメリット
- 資格の取得方法
労務管理士と社会保険労務士の違いや、取得方法なども網羅できる内容になってるので、ぜひ最後までお読みください。
労務管理士とは?社会保険労務士の違いも解説
労務管理は高い専門性が求められており、知識を習得できる資格が注目を集めています。ここでは、労務管理士について以下の2つのポイントで解説します。
- 労務管理士とは
- 社会保険労務士との違い
労務管理士の資格を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
労務管理士とは
労務管理士とは、労働基準法や職場での労務管理に関する知識が備わっていることを証明する資格です。民間資格のため団体ごとに認定制度が異なり、国家資格のように基準が統一されているわけではありません。認定講座を受講し、試験に合格したら資格の登録手続きが可能です。
労務管理士には1級と2級があり、1級を目指す場合は2級の合格後に資格者研修を受講しなければなりません。一定の成績を修めて昇給審査試験に合格すれば、1級労務管理士と認定されます。
労務管理士として有している専門知識は、主に企業の管理部門において求められています。必ずしも労働法規に精通している社員がいるとは限らないので、一定の知識がある労務管理士は企業内で重宝されるでしょう。
社会保険労務士との違い
労務管理士と社会保険労務士は、いずれも労務管理として活かせる資格ですが、仕事内容や資格の取得方法などが異なります。具体的な相違点は、以下のとおりです。
労務管理士 | 社会保険労務士 | |
資格の種類 | 民間資格 | 国家資格 |
受験方法 | 公開認定講座 通信講座 書類審査 Web資格認定講座 | 社会保険労務士試験 |
受験資格 | 20歳以上が条件 性別・学歴・国籍・職業・実務経験は不問 | 学歴 実務経験 国家試験の合格 上記3つのうち1つを満たしていること |
試験回数 | 随時 | 年1回 |
資格の活かし方 | 企業内活用 | 独立開業・企業内活用 |
独占業務 | 無 | 有 |
労務管理士と社会保険労務士の最大の違いは、独占業務の有無です。独占業務である「1号業務」と「2号業務」は、労務管理士は行えません。1号業務とは手続きを代行する仕事で、例えば各種保険の手続きに関する書類作成などが該当します。2号業務には、帳簿書類の作成などがあります。
このような独占業務を労務管理士が行うと法律違反になるので、それぞれの資格の違いについて覚えておきましょう。
労務管理士が携わる主な8つの仕事内容
労務管理士は、主に社員の労働に関わる業務を行います。ここでは、具体的に8つの仕事内容について紹介します。
- 労働契約の締結
- 労働条件の変更・管理
- 社会保険・労働保険の管理
- 給与・賞与の計算
- 就業規則などの管理
- 社員の健康管理
- 職場環境の改善
- 異動・休職・退職の手続き
労務管理士の仕事内容を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
労働契約の締結
労務管理士は、労働契約書を作成したり新規雇用の社員と締結業務を行ったりします。契約書には以下のような労働条件が記載されており、企業と社員が契約を結んだ証明になります。
- 就業場所
- 就業時間
- 賃金・支払方法・支払日
- 休日・休暇
- 退職
新卒・中途の入社時や契約社員の雇用時など、入社のタイミングに合わせて契約書を作成しなければなりません。積極的に採用を行っている企業の場合は、1年を通して行う業務です。
労働条件の変更・管理
労務管理士は、社員の異動や昇進によって発生する労働条件の変更および管理を行います。社員の労働条件が変わる度に契約書を交わす必要はありませんが、社員にその都度伝えなければなりません。特に減給などの不利益な変更は、本人の同意なく勝手に行うことは禁止されています。
労働条件は社員にとって重要なので、慎重に変更や管理を行わなければなりません。また労働条件の変更によって社員が不利益を被らないように、労働環境を維持する必要があります。
社会保険・労働保険の管理
労務管理士は企業のルールに沿って、社会保険や労働保険の手続きを行います。正社員および、週の所定労働時間や1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上の方は社会保険に加入する義務があり、労務管理士が申請します。社員ごとに保険の加入基準が異なるので、正確に手続きを行わなければなりません。
また、退職時の資格喪失手続きや異動時の住所変更などにも対応します。さまざまなタイミングで各種手続きが発生するため、スピード感を持って正確に取り組むことが求められています。
給与・賞与の計算業務
給与や賞与の計算は、労務管理の中でも重要度が高い仕事です。給与は所定労働時間に加えて、残業時間や深夜労働・休日出勤などによって変動するので、正確に算出しなければなりません。賞与は、個人の成績や就業規則などを踏まえて金額を算出します。
ほかにも、各種保険料や控除額・税金の計算や年末調整に関する業務まで幅広く対応します。小さなミスでも、会社にとって大きな損失を与えてしまう重要な仕事です。
就業規則などの管理
常時10人以上の社員がいる企業は、就業規則を作成する必要があります。労務管理士が労働基準法に則った規定を作り、社員の意見を聞いた上で労働基準監督署に提出します。就業規則は作成したら終わりではなく、社員に周知しなければなりません。
労務管理士は、法改正に合わせて就業規則の変更も行います。育児休業の分割取得や有給休暇の消化など、近年は制度の変更がとても多いです。労務管理士はこのような変化に合わせて就業規則を作成し、管理することが求められています。
社員の健康管理
労務管理士は社員の労働環境を整備するために、健康管理やメンタルヘルスのチェックを行います。健康管理は主に健康診断の実施で、受診の促進や手配を行います。近年はメンタルヘルスへの関心が高まっており、2015年には社員が50人以上いる企業にストレスチェックが義務づけられました。
また、長時間労働に該当する社員は、健康障害を発症するリスクがあるため産業医面談を実施する必要があります。このように社員が長期的に働き続けられるように、労務管理士は心身の健康チェックを行います。
長時間労働者への産業医面談について詳しく知りたい方は、別記事「産業医面談 残業時間」をあわせてご確認ください。
職場環境の改善
社員にとって働きやすい環境を整備することも、労務管理士の重要な仕事の1つです。例えば、長時間労働の抑制やワークライフバランスの促進などがあり、企業全体として取り組む必要があります。特に近年は職場でのハラスメントが深刻な社会問題となっており、コンプライアンスの観点から対策が急務です。
職場環境を改善することで社員のモチベーションを維持し、生産性の向上が可能です。このように労働環境の管理は重要な仕事であり、労務管理士の活躍が期待されています。
異動・休職・退職の手続き
異動や休職・退職の手続きも労務管理士の業務の1つです。社員が異動する場合、社会保険や雇用保険などの住所変更や通勤手当の見直し・各種名簿の更新などを行います。産休や傷病によって休職する場合は、出産一時金や傷病手当金の手続きが必要です。
退職の場合は、社会保険・雇用保険の資格喪失手続きや源泉徴収票の発行・退職金の計算などを行います。このような手続きを行うには、社員に住所変更届や休職届を提出してもらう必要があります。スムーズに行えるように、提出方法を周知することも労務管理士の業務の一環です。
労務管理士の資格を取得する4つのメリット
労務管理士は、企業の労働環境を整備する重要なポジションです。労働法規に関する専門知識に精通することで、貴重な人材となり得るでしょう。ここでは、労務管理士の取得によって生まれるメリットを紹介します。
- 労働法規に詳しくなる
- 資格手当が支給されるケースがあり
- キャリアアップを目指せる
- 転職で有利になる
労務管理士を受験しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
労働法規に詳しくなる
資格取得に向けて、労務管理の基礎や最新の法律について学ぶので、労働法規に詳しくなります。学習した内容は業務の中で活かされるため、労務管理に従事している方は資格を取得して損はないでしょう。
近年は働き方改革などで法律が度々変わっており、常に新しい知識をインプットしなければなりません。仕事をしながら常に最新情報を吸収できるので、結果として労働法規に精通するようになります。
資格手当が支給されるケースがある
企業によって規定が異なりますが、資格を取得することで資格手当が支給される可能性があります。資格手当とは、業務に関わる資格を保有している社員に対して支給される手当を指し、約50%の企業が導入しています。
毎月の給与に加算されたり、合格祝い金として一時的に支給されたりなど、支払い方法は企業によってさまざまです。受験代や教材代などの金銭的負担を抑えられるので、ぜひ勤務先の就業規則を確認してみてください。
キャリアアップを目指せる
労務管理士を取得することで専門的な知識が身に付き、キャリアアップを目指すことが可能です。人事部門や、企業経営などでも労働法規に関する業務が増えており、精通している社員が求められています。知識があれば労務管理に加えて、総務や人事・経営など幅広い業務で活躍できるチャンスがあります。
実務で評価されたら昇格につながる可能性があるので、労務管理士は将来的なキャリアアップの強い味方になるでしょう。
転職で有利になる
労務管理士の資格は、専門知識を有していることを示す重要な証明になるので、転職の際に活かせます。特に未経験から労務管理を目指す場合は、実務経験がないことをほかの材料でアピールしなければなりません。
労務管理士を保有していれば、基礎知識や熱意があることを示せるため良い印象を与えられるでしょう。求人票で労務管理士を必須条件としている企業もあり、取得しておいて損はないと言えます。
労務管理士の試験の難易度は比較的易しめ
労務管理士における合格率のデータは公開されていませんが、民間資格のため難易度はそれほど高くありません。合格基準点は70点以上で、通過すると労務管理士2級の登録手続きが可能です。不合格の場合でも、受講期間内に何度でも再試験を受けられます。
社会保険労務士と比較してみると、難易度に大きな差があります。社会保険労務士の合格率は5~7%で、1科目でも合格基準点に満たない場合は不合格となります。労務管理士の場合は、認定講座で講師から労務管理の基礎や最新の労働法規を学んでから試験に臨む形式です。講座内容をしっかり身に付けていれば、合格する可能性が高くなるでしょう。
労務管理士の資格を取得する4つの方法
労務管理士は20歳以上の方であれば学歴や職業・経験などは一切問われないため、受験しやすい資格といえます。取得方法は主に4つあり、ここでは1つずつ紹介します。
- 公開認定講座を受けて取得する
- 通信講座を受けて取得する
- 書類審査を受けて取得する
- Web資格認定講座を受けて取得する
受験方法について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
公開認定講座を受けて取得する
公開認定講座で実施される認定試験に合格することで、資格を取得できます。全国で定期的に開催しているので、随時日程をチェックしましょう。
公開認定講座では、労務管理の基礎や最新の労働法規を講師から直接学べます。試験合格に向けて丁寧な指導を受けられるので、講師からしっかり学びたいという方は公開認定講座を受講すると良いでしょう。
通信講座を受けて取得する
開催地域や時間的に公開認定講座の受講が難しい場合は、通信講座を受講する方法があります。受講中に労働基準法の習得が一定水準に到達したと判断された時点で、通信形式の到達度テストを受験できます。合格すると認定講座における合格と同等に扱われるので、労務管理士として資格登録が可能です。
通信講座では、2ヶ月間にわたって労務管理の基礎知識を学びますが、自分のペースで進められるメリットがあります。
書類審査を受けて取得する
実務経験がある方は、経歴と課題論文で審査する方法があります。経験重視のため、最低3年以上の実務経験の証明と、労務管理士の資格取得者による推薦が必要です。実務経験を証明するには、経歴書や企業の職務証明を用意しなければなりません。経歴や課題論文をもとに審査を行い、合格すれば資格登録を行えます。
すでに労務管理として従事している方は講座を受講する必要がなく、書類審査のみで資格取得を目指せます。
Web資格認定講座を受けて取得する
Web資格認定講座は公開認定講座よりも受講料が安く、いつでもどこでも勉強が可能です。eラーニングで労働基準法を中心とした基礎内容を学習し、終了後にWeb上で資格認定試験を受験できます。
テストに合格すると知識が一定の基準まで到達したと認められ、公開認定講座の認定試験の合格と同等に評価されるので、労務管理士の登録手続きが可能です。時間や場所を選ばないので、忙しい方でもスキマ時間を活用して受講できます。
労務管理士のまとめ
労務管理士とは、労働基準法や労務管理に関わる知識の保有を証明する資格で、携わる仕事内容は主に以下の8つです。
- 労働契約の締結
- 労働条件の変更・管理
- 社会保険・労働保険の管理
- 給与・賞与の計算業務
- 就業規則などの管理
- 社員の健康管理
- 職場環境の改善
- 異動・休職・退職の手続き
労務管理の仕事は多岐にわたり、すべての業務において専門的な知識と正確さが求められます。最近は労働法規の改正が頻繁に行われているため、仕事が煩雑化してきました。
今まで以上に負担が増加する恐れがあるので、システムツールを利用して業務効率化を図ってみるのはいかがでしょうか。タレントパレットには以下のような機能があり、労務管理の業務負担を大幅に削減できます。
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