こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ジョブカードは正規雇用として働いた経験の少ない求職に対して、厚生労働省が発行するものです。これまでの経験や職業訓練の受講状況、取得した資格・免許などが記載されます。
企業側としても求職者のジョブカードがあることで、人材の見極めをスムーズに行いやすくなるでしょう。この記事では、ジョブカードの基本的な知識や助成金の受け取り方などを解説します。
ジョブカードとは?
ジョブカードとは、「職業能力」を証明するために厚生労働省から発行されるものであり、正規雇用者としての経験が少ない求職者を主な対象としています。記載される内容としては、「アルバイト、ボランティアなどの経験」「職業訓練を受けた履歴」「取得している資格や免許」などがあげられます。
ジョブカードは求職者にとって、これまでの経験を振り返るだけでなく、将来のキャリアを考える上でも役立つものだといえるでしょう。
ジョブカードの活用方法
企業にとって、ジョブカードをどのように活用すればよいか基本的な点をまずは押さえておきましょう。主な活用方法としては、次の3つがあげられます。
・採用強化・マッチング向上で活用 ・人材育成・人事評価で活用 ・従業員のモチベーション向上で活用 |
それぞれの点について解説します。
採用強化・マッチング向上で活用
企業がジョブカードを応募書類の1つとして活用すれば、求職者の能力や強みなどを見極めやすくなるため、採用のミスマッチや入社後の人材の定着につなげられます。ただし、注意しておきたい点としてジョブカードはあくまで求職者自身の意思によって提出されるものです。
本人が拒んでいれば、提出を求められないので気をつけておきましょう。
人材育成・人事評価で活用
ジョブカードを活用すれば、人材育成や人事評価の面で役立てられます。入社後のキャリア開発やスキルアップにつなげていけるでしょう。
従業員の研修制度をうまく整えられていない企業であっても、ジョブカードを基にキャリアプランを考えていくことで、何を伸ばしていけばよいかの方向性が見えてきます。
従業員のモチベーション向上で活用
ジョブカードを基にしたキャリア支援を行うことによって、従業員のモチベーションを高められます。今後のキャリアパスを見定めながら、現在の業務や仕事への取り組みなどを客観的に理解できるようになります。
仕事へのやりがいが感じられることで労働意欲が高まり、継続して業務に取り組んでいく気持ちが養われます。
ジョブカードを活用するためのステップ
企業がジョブカードをうまく活用するためには、基本的なステップを理解しておくことが大切です。求職者がジョブカードを作成するステップとしては、以下のとおりです。
1.自分についての理解を深め、情報収集を行う 2.ジョブカードを作成する 3.キャリアコンサルティングを受ける 4.就職や転職活動、職場でのキャリアアップに活用する 5.定期的な振り返りを行う |
求職者はまず、自分が保有しているスキルや能力などの棚卸しを行い、仕事に対する価値観などを整理します。自分自身を見つめ直した上で、必要事項に沿ってジョブカードを作成していきます。
ジョブカードはオンラインでも作成可能なので、いつでも編集が行えて便利です。そして、作成したジョブカードを基にキャリアコンサルティングを受け、今後のキャリアについて相談をします。
作成したジョブカードを基に、履歴書や職務経歴書を自動作成できるので、就職や転職活動に活かすことが可能です。企業としてはこの段階から求職者と関わることになりますが、あらかじめ自分の特性を把握している求職者であれば、スムーズにコミュニケーションを取りやすいでしょう。
ジョブカードは一度作成して終わりではなく、定期的な振り返りが必要なものです。採用後に本人が自分のキャリアを見つめ直す機会に役立てられるでしょう。
実際にジョブカードを活用するには?
企業が労働者から提出されたジョブカードを活用するための具体的な方法について見ていきましょう。
職業能力を評価するのに活用する
ジョブカードは職業能力を客観的に評価するのに役立ちます。職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートを活用すれば、従業員の職業能力を把握できるので、キャリア支援を円滑に行えるでしょう。
企業と従業員が情報を共有することで、継続したキャリア形成を図っていけます。従業員自身は仕事における目標を定めたり、自己評価を行ったりするのに活用できます。
一方、企業側は従業員の仕事への取り組みを記録・評価していけるので、適切な人事評価や人材育成につなげられるでしょう。
雇用型訓練で活用する
雇用型訓練というのは、従業員を対象としてOJTとOFF-JTを組み合わせた実践的な訓練をいいます。ジョブカードがあることで、訓練の目標設定や実施、その評価を円滑に行いやすくなります。
「求職活動支援書」として活用する
企業は高年齢者雇用安定法に基づき、離職が見込まれる高年齢者(45歳以上、70歳未満)が希望するときは、在職している間に再就職活動が行えるように配慮する必要があります。具体的には、職務経歴書を作成するための情報を記した「求職活動支援書」を作成して、本人に交付することが義務付けられています。
ジョブカードの不足している情報を付け加えれば手軽に作成できるため、あらかじめジョブカードを作成してもらっておくメリットはあるといえるでしょう。
人材の特性を見極めるために、あらゆる人事データを統合して分析
優秀な人材にできるだけ長く働いてもらうには、従業員自身が定期的にキャリアを振り返る機会を設けてあげることが大切です。ジョブカードの情報を本人と共有しておくことで、適切なキャリア支援を行えるでしょう。
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ジョブカード制度を利用するメリット
ジョブカードを活用することは、企業にとって様々なメリットをもたらしてくれます。どのようなメリットがあるのかを紹介します。
職業訓練をした人材を採用できる
企業がジョブカード制度を活用するメリットとして、職業訓練を行った人材を採用できる点があげられます。自社のニーズに合った人材確保に役立つでしょう。
応募者の能力を測ることができる
ジョブカードは一般的な履歴書や職務経歴書よりも、細かく項目が設けられています。そのため、求人の際にジョブカードを活用すれば、応募者の情報を詳しく知ることができ、採用のミスマッチを防げるはずです。
キャリア形成支援をすることで人材が定着する
ジョブカードは求職者だけでなく、新卒採用や若手従業員など、経験の浅い従業員に対しても活用できます。ジョブカードを作成し、キャリアコンサルティングを受けてもらうことで、自分のスキルや将来のキャリアについても見直す機会となるでしょう。
助成金を受け取ることができる
ジョブカードを活用した職業訓練を実施し、一定の要件を満たせば助成金を受給できます。そのため、人材採用や人材育成にそれほどコストをかけずに取り組めます。
ジョブカードの制度を利用するデメリット
ジョブカードを活用するメリットは多くある一方で、少なからず気をつけておきたいデメリットも存在します。事前に気をつけておきたい点を紹介します。
準備や運用にコストがかかる
ジョブカードの制度を活用しようとするデメリットは、準備や運用にコストがかかる点です。金銭的なコストというよりは、時間や手間のコストがかかる点があげられます。
準備や運用のために、通常業務に支障が出ないようにすることが大切です。
<h3従業員から反対されることもある>
ジョブカードは従業員のキャリア支援に役立ちますが、制度を活用しようとすれば従業員から反発を受けるケースもあります。ジョブカードは記載する項目が多く、時間や手間がかかるため、業務の忙しい従業員からすれば避けたい部分も出てくるでしょう。
そのため、業務時間内にジョブカードを作成する時間を設け、活用するメリットをしっかりと伝えることが大事です。
ジョブカード制度で受けられる助成金
ジョブカードを活用することで受給できる助成金があります。「特定訓練コース」「特別育成訓練コース」のそれぞれの助成金のポイントを解説します。
特定訓練コース
特定訓練コースの助成額・助成率などは、次のとおりです。
訓練内容 | 賃金助成(1人につき1時間あたり) | 経費助成 | 実施助成(1人につき1時間あたり) |
Off-JT (特定分野認定実習併用職業訓練) | 760円 (380円) | 60% (45%) | - |
Off-JT (認定実習併用職業訓練及び中高年齢者雇用型訓練) | 760円 (380円) | 45% (30%) | - |
OJT (上記の訓練すべて) | - | - | 665円 (380円) |
※カッコは中小企業以外の助成額・助成率
参照:厚生労働省「人材開発支援助成金」
なお、上記の助成額は企業規模によって支給上限額が定められているので注意しましょう。支給上限額をまとめると、以下のとおりです。
企業規模 | 20時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 |
・中小企業事業主 ・事業主団体等 | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
中小企業以外の事業主 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
参照:厚生労働省「人材開発支援助成金」
特別育成訓練コース
特定育成訓練コースの助成額・助成率などは、次のとおりです。
訓練内容 | 賃金助成(1人につき1時間あたり) | 経費助成 | 実施助成(1人につき1時間あたり) |
Off-JT (特定分野認定実習併用職業訓練) | 760円 (475円) | 以下の「支給限度額」の表を参照 | - |
Off-JT (認定実習併用職業訓練及び中高年齢者雇用型訓練) | - | - | 760円 (665円) |
※カッコは中小企業以外の助成額・助成率
参照:厚生労働省「人材開発支援助成金」
なお、上記の助成額は企業規模によって支給上限額が定められているので注意しましょう。支給上限額をまとめると、以下のとおりです。
企業規模 | 20時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 |
・中小企業事業主 ・事業主団体等 | 10万円 (15万円) | 20万円 (30万円) | 30万円 (50万円) |
中小企業以外の事業主 | 7万円 (10万円) | 15万円 (20万円) | 20万円 (30万円) |
※カッコは有期実習型訓練後に正規雇用等に転換された場合
参照:厚生労働省「人材開発支援助成金」
助成金を受け取るまでの流れ
助成金を企業が受け取るまでの流れについてもチェックしておきましょう。手続きのポイントを解説します。
特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練
特定分野認定実習併用職業訓練や認定実習併用職業訓練で助成金を受け取るまでの流れは、次のとおりです。
1.訓練実施計画届の作成、提出(訓練開始の1ヶ月前まで) 2.訓練の実施 3.支給申請書の提出(訓練終了後2ヶ月以内) 4.助成金の受給 |
まず従業員に対して行う訓練計画を作成して、所轄の労働局に提出します。審査を通過したら訓練を実施し、終了後に支給申請書などの必要書類を提出しましょう。
審査に問題がなければ、助成金を受給できます。なお、訓練の実施期間は6ヶ月以上2年以下となっており、OJTとOFF-JTを組み合わせて実施することなどが要件としてあげられています。
中高年齢者雇用型訓練
中高年齢者雇用型訓練も、助成金を受給するまでの流れは基本的に同じです。ただし、受給要件は異なるので注意しましょう。
主な受給要件として、以下の点があげられます。
・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること ・実施期間が3ヶ月以上6ヶ月以下であること ・総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して425時間以上であること ・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること |
有期実習型訓練
有期実習型訓練の場合、助成金を受給するまでの流れは以下のとおりです。
3.訓練の実施 4.支給申請書の提出(訓練終了後2ヶ月以内) 5.助成金の受給 |
有期実習型訓練では、訓練実施や助成金の受給に必要な書類が多いので、提出書類に漏れがないよう事前に労働局のWebサイトなどで必要なものを確認しておきましょう。
まとめ
求職者や従業員自身がジョブカードを作成することは本人だけでなく、企業側にとっても多くのメリットがあります。適切な形で人材育成やキャリア支援を行っていくために、ジョブカードを活用して本人の特性をよく見極めてみましょう。
同時に活用したいのが、「タレントマネジメントシステム」です。タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。
人材一人ひとりのスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。
あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、「人材育成に取り組みたい」「従業員とのコミュニケーションを活発化させたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。