ヒヤリハットがネタ切れに!実践的な対処法を解説


ヒヤリハットがネタ切れに!実践的な対処法を解説

ヒヤリハットの報告は毎日続けていると、ネタ切れになってしまうこともあります。そこでヒヤリハットがネタ切れした際の正しい対策方法やネタ切れに困らない日々の業務姿勢、従業員へ再教育するための方法について紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

従業員へ報告を義務付けているヒヤリハットについて、最近報告する頻度や報告内容の数が少なくなってきていると感じている方も少なくないのではないでしょうか。その原因として、報告する内容のネタ切れが隠れているかもしれません。今回はヒヤリハットのネタ切れが起こっても困らない実践的な対処方法として、ヒヤリハットがネタ切れした際の正しい対策方法や、ネタ切れに困らない日々の業務姿勢、従業員へ再教育するための方法について紹介します。

ヒヤリハットがネタ切れ!どうしている?

「ヒヤリハット」とは、一歩間違えれば大事故につながったかもしれない「ヒヤリ」とした出来事や、「ハット」気づいた事柄を指す用語です。日々の業務で気づいたことを社内共有することで、大事故を未然に防ぐことができるよう力を入れている会社も多いです。

しかし、ヒヤリハットが毎日報告されているといつかはネタ切れになってしまいます。そのような場合、従業員はどのように対応しているのかについて紹介します。

一つのことをニュアンスを変えて提出

まずはじめに悪い例を紹介します。段々と思いつかなくなってくるヒヤリハット報告について、一つの事例をニュアンスを変えて提出する方法です。

例えば、社内の廊下や執務室を通行する際につまずくことで発生する事故が予見される場合、つまずく原因となりえる事象を複数個分けて提出します。執務室で机の引き出しが開きっぱなしになっていることや、立ち上がった際にイスが通路に出ていることを別事象として提出する方法です。

毎回同じものを提出

毎回同じ内容のヒヤリハット事例を提出する方法もあります。この方法は、現場がヒヤリハット報告に対して消極的なスタンスである場合に散見されます。

ヒヤリハットの報告が義務づけられているが、現場では注意して日々の業務を見直さない上に、管理職もヒヤリハットの内容を精査したり事故を予防するための活動に役立てようとしたりする意識が不足していると、改善活動につながらない形骸化したヒヤリハット報告が続いてしまいます。

ヒヤリハットがネタ切れした場合の正しい対策方法を解説


それでは、ヒヤリハット事例がネタ切れした場合に、どのような対策を練るべきなのでしょうか。日々の業務を今一度振り返っても、気づくことができるポイントがわからない方も少なくありません。

そこで正しい対策方法を身につけることで、日々の業務への向き合い方や気づきを得るポイントが増える可能性があります。正しい対策方法として、以下の3つを紹介します。

  • マニュアルや安全チェックシートを活用する
  • 周辺設備をアイディアに記載する
  • 従業員同士の話し合いでアイディアを出す


1:マニュアルや安全チェックシートを活用する

作業環境において、業務マニュアルや使用機器の安全点検項目は異なりますが、着眼点はどの作業環境においても共通しています。例えば、作業用機材を使用する前のチェック項目や職場環境における安全確保のためのチェック項目などを洗い出し、洗い出した結果にしたがって、点検を実施します。

点検した結果、使用機器や職場環境が洗い出した安全基準に合致しているか判断し、改善が必要な場合においてヒヤリハット報告を提出するといったプロセスをたどると、頭で考えるだけでは見つからなかった問題点を客観的に把握できるようになります。

2:周辺設備をアイディアに記載する

日々業務を遂行するために、多種多様な周辺設備を活用しています。しかし、周辺設備にまつわる危険性について、日々意識できているでしょうか。

日々意識せず使い続けると、周辺設備が急に故障して事故に直結してしまいかねません。そのため、ヒヤリハットの題材探しの際に改めて周辺設備に関する項目をアイディアに記載しておくことをおすすめします。周辺機器に点検項目が設定されていない、使用方法が記載されたマニュアルが付帯されていないなど、事前の準備不足から発展するトラブル防止も立派なヒヤリハット活動です。

3:従業員同士の話し合いでアイディアを出す

「三人寄れば文殊の知恵」という諺がありますが、従業員一人では見つけられない点や気づけない点は多々あります。そこで従業員が抱えているヒヤリハット事例を定期的に共有する場を設けて、ヒヤリハットを正しく発見する方法がおすすめです。

従業員同士で意見を出し合う環境を整えることで、一人では認識できていなかった職場の問題点を洗い出す機会が設定でき、問題解決に向けて主体的な活動をする場として活用できるため、組織力の醸成にもつながります。

ヒヤリハットを提出する理由

改めてヒヤリハットを提出する理由について振り返りましょう。従業員が日々の業務に忙殺されていると、ヒヤリハットを提出する理由を忘れてしまったりヒヤリハットを見つけて改善しようとする意識が薄れてしまったりする場合があります。従業員へヒヤリハット報告を再度徹底してもらうためにも、以下の2点について理解しておく必要があります。

  • ヒヤリハットは大きなトラブルを未然に回避する目的があること
  • ハインリッヒの法則からわかるヒヤリハットの重要性について


大きなトラブルを未然に回避する

ヒヤリハットを提出する理由は、ヒヤリハット報告と報告に伴う改善活動が大きなトラブルを未然に回避するために必要な行動であるからです。一歩間違えれば大きなトラブルに発展する可能性のあった「ヒヤリ」とした出来事や「ハット」気づいた内容は、組織が出くわす可能性のあったトラブルにつながる要因を特定し、対策する機会を与えてくれます。

しかし、ヒヤリハットを発見する意識や機会が減少すると、組織が抱えるリスクは増大し、せっかくの成長の機会が阻害されてしまう可能性があります。そのため、ヒヤリハットは組織運営におけるリスクマネジメントの観点から重要な活動といえます。

ハインリッヒの法則からわかるヒヤリハットの重要性

「ハインリッヒの法則」とは、アメリカの損害保険会社に勤めていたハインリッヒが5,000件以上の事故の調査を経て提唱した労働災害における経験則を指した用語です。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、その背後にはさらに300件の異常が存在するとされており、300件の異常こそがヒヤリハットに該当します。事故に発展しなかったので一安心で終わらせてしまうと、再発防止に対する組織の意識が希薄になってしまい未来の大きなトラブルにつながる危険性があるので、従業員教育の際には意識してヒヤリハットの重要性を説く必要があります。

特にヒヤリハットの報告を導入して、ある程度の期間が経った組織においてはヒヤリハットの言葉だけが一人歩きしてしまい、活動自体が形骸化してしまっていることが少なくありません。そこで再度従業員全体に意識づけを行う際には、具体的な例として共有すると従業員の理解度も深まります。

ヒヤリハット対策だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

ヒヤリハットの対策を行うために従業員の認識を揃えたり、担当者や管理者が情報を適切に共有・管理した上で活用することが求められます。

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ヒヤリハットのネタ切れに困らない業務姿勢を解説

それでは、従業員から自発的にヒヤリハット報告をさせるためには、日頃の業務姿勢をどのようにして従業員へ定着させる必要があるのでしょうか。以下の2点に注目した意識づけの方法を紹介します。

  • 業務の目的を確認させる
  • 「誰のためか」を意識させる


業務の目的を確認させる

ヒヤリハットを見つけるためには、自身が携わっている業務の目的を理解できていなければ、周囲の変化や些細な異常に注意を払えません。そこで「なぜこのような業務をする必要があるのか」といった自問自答することで、業務の目的が従業員の中で明確化され、「こうした方が良いのではないか」といった自発的な考えや「この状況はまずいのではないか」といった気づきを得られるサイクルに移行できるのです。

特に新入社員であれば、業務内容の理解や手順の把握に意識が向きがちになります。日々業務の習得に追われている状況だと、事故に対する意識も希薄になるため、一度時間を設けて業務目的の意識づけやヒヤリハットの重要性を教育する機会も必要です。

ある程度経験を積んだ従業員になると、業務に対する慣れから業務自体を単純な作業として認識してしまうことで、ヒヤリハットに遭遇する機会も増えてきます。業務の目的はわかってはいるけれど、意識が薄れている時期だと感じる場面があれば、一度面談の時間をとり、軌道修正する機会を設けることをおすすめします。

「誰のため」を意識させる

日々の業務を遂行していく中でヒヤリハットを報告していると、ふとした瞬間にヒヤリハット活動を誰のために行っているのかわからなくなる従業員も少なくありません。「会社から報告を義務付けられたから報告しなければならない」といった意識だと、「同じ内容を別のニュアンスで報告する」ケースや「同じ内容を繰り返し報告する」といった悪循環に陥ってしまいます。

ここで重要なポイントは、ヒヤリハット活動は組織がトラブルに遭遇する機会を減らすことが自身が落ち着いて業務出来る環境づくりに関係しており、また組織の成長につながっていることを意識づけることです。

自身が落ち着いた環境で業務に従事できているのは、周囲の従業員が意識してヒヤリハット活動を実施してくれた結果、大きなトラブルに遭遇しないからです。また組織としてトラブルを未然に防ぐノウハウを蓄積でき、成長できているからこそ不自由なく自身の業務に集中できていることを従業員一人一人が認識することが重要です。

ヒヤリハットのネタ切れに困らない工夫について


ヒヤリハットのネタ切れに困らないための業務姿勢に付け加えて、その他の工夫について以下の2つを紹介します。

  • ヒヤリハット報告書の作成。提出の負担を減らす
  • ヒヤリハット報告を処分や査定に影響しないと明文化する


ヒヤリハットのネタ切れに合わせて、報告書作成の負担や処分・査定に影響するリスクがあると、積極的にヒヤリハットを見つける意識は醸成されません。そのため、会社として対応できる工夫についても押さえておきましょう。

ヒヤリハット報告書の作成・提出の負担を減らす

ヒヤリハットの報告が振るわない一つの原因として、従業員が報告書の作成や提出を負担に感じている場合があります。そのため、以下の内容を工夫することを考えてみてください。

  • 報告書式の簡略化
  • 報告手段の多様化


ヒヤリハット報告に関して、詳細に文書で記載させると従業員の負担は増加します。そのため、報告書の形式をチェックリストに変更すると負担が軽減されます。

また、出社しなければ報告書を作成できないなどフォーマットへのアクセス手段が限定されるだけでも従業員の負担は増加します。簡易的なメールやメッセージでも報告可能にしておくだけで、ヒヤリハット報告のハードルは下がります。

ヒヤリハット報告 を処分や査定に影響しないと明文化する

ヒヤリハット報告で従業員自身のミスを報告する場合があります。しかし、自身のミスを上司や人事に報告することは避けたいと思う人もいるでしょう。

人事的な処分や査定に影響を与える運用が行われている場合、ヒヤリハットの報告は果たして正しく正確に行われるのでしょうか。人事にマイナスの影響を与えると、ヒヤリハット報告が行われないリスクがあります。

このような状況では、本来組織として取れるはずであった未来のトラブルに対する対策や知見を得る機会を失い、組織の成長の機会が阻害されます。そのため、事前に処分や査定に影響を与えないと従業員と合意・明文化しておけば、活発な意見発信につながり、組織の成長の後押しに役立ちます。

まとめ

今回はヒヤリハットがネタ切れした場合の対処方法や正しい運用方法について紹介しました。組織のリスクマネジメントや成長を考えた際に、軽微な異常を検知できるようなプロセス設計や従業員への意識づけの方法など、取りうる行動や工夫は積極的に打ち出していくことが重要です。

タレントパレットでは、社内にあるあらゆる人事システムを活用できます。システム活用に合わせて、組織間のコミュニケーションを定量的に分析してデータを蓄積するので、ヒヤリハットの発生を未然に防止できる体制を構築できるでしょう。

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