ハロー効果がもつリスクとは?基本的な意味や種類、対策について解説


ハロー効果がもつリスクとは?基本的な意味や種類、対策について解説

人事評価を行ううえで、「ハロー効果」という単語を耳にする機会は多いでしょう。元々は心理学から輸入された言語ですが、昨今ビジネスにおいても活用される機会が増えてきました。
本記事では、ハロー効果の意味を解説するとともに、ハロー効果の種類やハロー効果を防止する方法など「ハロー効果」について網羅的に理解できるコンテンツを用意しました。ハロー効果に対して不安をお持ちの担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ハロー効果の意味とは?

そもそも、ハロー効果とはどのような意味を持つ単語なのでしょうか。ここでは、ハロー効果の意味について詳しく解説します。


対象の特徴に引っ張られて根拠のない評価をすること

ハロー効果とは、その人の特徴に引っ張られて根拠なく評価を下してしまう効果のことを指します。心理学者のエドワード・ソーンダイクが1920年に発表した論文で初めて用いられました。先入観などによって見た目や言動で「〇〇のような人」と簡単に判断してしまう非合理的な方法のことです。


例えば、YouTubeで興味関心の高い演者が出現していると、内容が薄いものであったとしても「良いコンテンツだ」と判断してしまうことがあります。これがまさにハロー効果となります。つまり、ハロー効果は直感や経験のせいで先入観を持ってしまう認知バイアスの一種です。


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ハロー効果は2つの種類に分類される

ハロー効果は2つの種類に分類されます。


1. ポジティブ・ハロー効果 

2. ネガティブ・ハロー効果


ここでは、各ハロー効果について詳しく解説します。


種類1. ポジティブ・ハロー効果

ポジティブ・ハロー効果とは、その人の特徴から実際の能力よりも高い評価をすることを指します。「仕事ができそうな見た目」など、その人の印象だけで、実力があると評価してしまう場合、ポジティブハロー効果が発生しています。また、ある能力が高い場合に、全く関係のない別の能力も同様に高いと評価してしまうことも、ポジティブ・ハロー効果の一種です。


種類2. ネガティブ・ハロー効果

ネガティブ・ハロー効果とは、悪い印象に引っ張られて実際よりも評価を低くしてしまうことを指します。例えば、第一印象が悪いなどの些細な理由だけで、その人の全能力が低いと錯覚してしまうことがネガティブ・ハロー効果となります。また、一部の能力が劣っているだけで「他のことが何もできない」と決めつけてしまうこともネガティブ・ハロー効果の一種だといえるでしょう。


ハロー効果に類似する心理効果との違い

ハロー効果以外にも、似たような心理効果は多数存在します。ここでは、類似した効果との違いについて詳しく解説します。


ハロー効果とピグマリオン効果の違いについて

ピグマリオン効果とは、期待を受けた人はモチベーションがアップして成果を上げやすくなる効果のことを指します。ピグマリオン効果は「ローゼンタール効果」とも呼ばれ、新入社員の能力を引き出すために用いられるケースが多いです。


つまり、ハロー効果は婉曲して評価を下してしまう「評価ミス」なのに対して、ピグマリオン効果は、相手に対して「期待している」と発言することで、能力を引き出すための育成手法となります。


ハロー効果とホーソン効果の違いについて

ホーソン効果とは、注目を集めるほどその人は実力を発揮するようになる現象のことです。「期待に応えたい」「周囲から評価されたい」という気持ちが原動力となり、実際の成果につながることもあります。


つまり、前述したピグマリオン効果のように、ホーソン効果も育成時に活用できる効果となっています。


ハロー効果によって影響される場面

ハロー効果はどのような場面で発生してしまうのでしょうか。ここでは、主な2つの場面を詳しく解説します。


社内の人事評価をする場面

1つ目は社内の人事評価を行う場面です。人事評価の場面では、ハロー効果による影響が出やすく問題に発展するケースが多いです。例えば、今年は良い成果を出せていないのに、過去の成果の高さに影響されて高評価をつけてしまうなどが挙げられます。


逆に、成果を出せているのに、普段の態度が気に入らないから低評価をつけてしまうなどもあり、ネガティブ・ハロー効果が発生するケースもあるでしょう。


入社面接の場面

入社面接時も、ハロー効果が発生しやすい場面です。例えば、「良い大学を出ている」「高級なスーツを着ている」などの理由で高評価を下してしまうケースが後を絶ちません。その結果、実務ではあまり能力が高くない人材を採用してしまい、教育に工数をかけなければならないケースもあるでしょう。


また、本来は高い能力を持っているにもかかわらず、面接の場面では「特徴がない」「印象に残らない」といった理由で、低評価されてしまうこともあります。

ハロー効果がもたらすメリット

ここまでハロー効果のデメリットについて目を向けてきましたが、ハロー効果にはメリットも存在します。


商品やサービスをより良くみせる効果がある

例えば、世間で知られている有名人が商品やサービスを宣伝することで、自然と良い商品・サービスにみえることは、ハロー効果のメリットだといえるでしょう。つまり、何かをプロモーション、アピールする際にはハロー効果が役立つこともあります。言い方を変えると、日常生活においても、ハロー効果によって私たちの認識は変えられているといえます。


ハロー効果がもたらすデメリット

ハロー効果がもたらすデメリットは次のとおりです。


人事評価においてはエラーの原因となる

前述したように、プロモーションの現場などのビジネス面において、ハロー効果はメリットとなります。しかし、人事評価においては公正な評価を妨げる要因になるでしょう。場合によっては、人事担当者の思い込みで有能な人材を逃すリスクも懸念されるため、人事評価の場面ではハロー効果を意識しておくことが重要です。


人事評価の際にはハロー効果に対する注意が必要

前述したデメリットに付随しますが、ハロー効果に対して注意すべき理由について、より詳しく解説します。


ハロー効果によって正常な人事ができなくなる

ハロー効果が発生しているかは、自分自身で気づきにくいです。そのため、気づかぬうちに、ハロー効果によって不公平な人事評価を下している可能性もあります。結果として、有能な人材が評価に納得できず、退職してしまうリスクもあるでしょう。人事担当者には、ハロー効果の意味やリスクを周知させ、評価における課題として認識してもらうことが必要不可欠となります。


ハロー効果を防止する方法

ここまで、ハロー効果のメリット・デメリットについて紹介してきましたが、シーンによってはハロー効果を認識し、防止する必要があるでしょう。ここでは、防止する方法を3つ紹介します。


人事評価の項目を明確にする

人事評価の項目を事前に明確化し、ハロー効果が起きないように対策することが重要です。例えば、スキルを評価する「能力評価」、仕事への姿勢や規律違反などを評価する「情意評価」、問題の発見と解決する能力を評価する「行動評価」、実際の成果を判断基準にする「成果評価」などを項目として挙げておき、適切な人事評価を下すことが大切です。数値・業務的に判断することで意図しないハロー効果の発生を防げるでしょう。


人事評価の理由を言語化する

人事評価の際に、「なぜその評価になったのか」を言語化するシステムを構築することも重要なポイントです。このような取り組みを実施することで、人事担当者が評価理由を考えるようになるため、ハロー効果を防ぎやすいでしょう。


また、後から人事担当者が内容をフィードバックしたり、社員に対して評価の理由を説明できたりするように、共有性が高くなることもメリットとなります。


客観的な意見を取り入れる

人事評価の際に、周囲の客観的な意見を取り入れるのもハロー効果対策となります。自分の視点だけでなく、普段その社員と仕事をしている人たちの意見を参考にすることで、多角的な視点から評価が下せるようになるでしょう。


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ハロー効果以外の注意すべき人事評価エラーについて

人事評価においては、ハロー効果以外にも意識すべき人事エラーが存在します。ここでは、3つの人事評価エラーについてみていきます。


注意すべき人事評価エラー1. 逆算化傾向

逆算化傾向とは、評価の結果を決めてから理由を作り出す人事評価エラーです。「採用したいから〇〇を評価する」といった形で、評価ありきで理由を後付けしてしまうことを、逆算化傾向と呼びます。


注意すべき人事評価エラー2. 中央化傾向

中央化傾向とは、最高評価と最低評価という極端な評価を避けて、中央値を選びやすい現象のことを指します。具体的には、5段階評価の「3」ばかりになるような形となるのが中央化傾向です。こちらは、社員からクレームを受けたくないなどの理由から発生しやすい現象となっており、対策が必要だといえるでしょう。


注意すべき人事評価エラー3. 寛大化傾向

寛大化傾向とは、評価の内容が甘くなり高評価ばかりになることを意味します。上司と部下が良い関係を築けている場合など、その関係性を崩したくないばかりに評価基準を下げられないケースがあります。


まとめ

本記事では、ハロー効果の意味を解説するとともに、ハロー効果の種類やハロー効果を防止する方法など「ハロー効果」について網羅的に紹介してきました。ハロー効果などの評価エラーが発生すると、人事評価においては問題を発生させてしまうこともあります。


もちろん、ハロー効果はビジネス面ではメリットがあるため、ハロー効果を認識し、適材適所で活用できるようにならなければなりません。本記事の内容も参考に、ハロー効果についての理解を深めてみてください。


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