ハインリッヒの法則でよくある間違いとは。原因から改善策まで解説


ハインリッヒの法則でよくある間違いとは。原因から改善策まで解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ハインリッヒの法則とは、「1つの重大事故が起きる前には、29件の軽微な事故、300件の傷害のない事故がある」という事故に対する法則のことです。ハインリッヒの法則に関して間違った認識を持っている人も少なくありません。

本記事では、ハインリッヒの法則に関するよくある間違いや事例、改善策について解説します。

ハインリッヒの法則で間違いが起きる理由



ハインリッヒの法則とは「1つの重大な労働災害が起きる前には、29件の軽微な事故と300件の傷害のない事故がある」というものです。アメリカの損害保険会社に勤めていた、ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒが提唱しました。

しかし、この法則に関して間違った解釈をしている人もいます。どのような勘違いが起きているのか見ていきましょう。

ヒヤリ・ハットの原因究明をしない

「300件の傷害のない事故」とは、「ヒヤリとしたが直前で気づいたため事故を起こさずに済んだ」「問題を起こしそうになったがハッと気づいて事なきを得た」というような事案です。このように、事故を起こす一歩手前の状態をヒヤリ・ハットといいます。

「300件はヒヤリ・ハットであり、実際には何も起きてないのでそのまま放置していてもいい」と考える人は珍しくありません。しかし、これは間違いです。

「ハインリッヒの法則」は、ヒヤリ・ハット案件の原因を究明しないまま放置していると、そのうち重大な事故が起きる可能性を示唆しているのです。

ハインリッヒの法則は確率の話ではない

ハインリッヒの法則を「330回のランダムな事故のうち1件が重大事故になる」「これは確率の話だ」と考える人もいますが、それは間違いです。ハインリッヒは330件の類似した事故について分析し、法則を見出しました。

これは、確率論ではなく、「事故に至るまでの背景」について提唱しています。つまり、何度もヒヤリハットを感じさせるような事案をそのまま放置しておくと、重大な事故につながることを示しているのです。

ハインリッヒの法則は、事故の結果を分析して得た法則で、将来の確率を示すものではありません。ヒヤリ・ハットが起きている場合、重大事故が起きる可能性があるため、企業としては対策が必要です。ハインリッヒの法則について詳しく知りたい場合はこちらの記事から参照してください。

「ハインリッヒの法則」については、こちらの記事をご確認ください。

ハインリッヒの法則の間違いの事例

ここでは、ハインリッヒの法則の間違いが引き起こした事例についてみていきましょう。

ヒヤリハットを軽くみて無視した結果、大きな損害につながつた

車を運転していて「危ない!」と感じたけれども事故には至らなかった、というケースは多いのではないでしょうか。

例えば、トラックを運転していて「死角から人が飛び出してきて急ブレーキを踏み、大事には至らなかった」というドライバーは大勢いるでしょう。この時に、「いつも急ブレーキを踏めば事故に至らないので問題ない」と、原因追及をしないままでいると、重大事故を起こし大きな損害につながります。

重大事故は起きなくとも、「ヒヤリ・ハット」が起きた段階で、「自分の車の死角を把握しておく」「できるだけ死角が減るようミラーやカメラでカバーする」などの対応を行うことが、重大事故の減少につながります。

日頃からミスが起きていたのは把握しているが改善策を講じられていない

医療や建設などの業界では、ミスが命に関わることも少なくありません。しかし、「300件という膨大な量のヒヤリハットが起きなければ重大な事故は起きない」と間違った解釈をしてしまい、数回のヒヤリハットを把握した段階では、改善策を講じないケースが見られるため注意しましょう。

例えば、「建設業のとある現場で必要な動線が確保されておらず、つまずく人が多発していたのは把握していたが放っておいた。ついに骨折する人が出てしまった」などの事案が該当します。日頃から問題が起きている場合は、大事故が起きる前に改善策を講じる必要があるのです。

ヒューマンエラーにおける確率の話だと勘違いし対策を講じなかった

ハインリッヒの法則は確率論ではありません。人間は多くの作業に関わるほど「ヒヤリ・ハット」が起き、ヒューマンエラーの数は増加することを現わしているのです。そのため、人が行う業務に対して様々な対策が必要です。

特に、製造業など些細なミスでも重大な事故に直結するような場合は、施行前に施工講習会を受講するなど、事故を起こさないための対策を整えておきましょう。人がミスをしても大きなケガに至らないような、道具や工具の導入も検討しなければなりません。

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ハインリッヒの法則で間違いを起こさないための方法



ここでは、ハインリッヒの法則で間違いを起こさないための方法について見ていきましょう。

事前対策を徹底する

事故防止のためには、社員教育が欠かせません。同業他社及び自社の「ヒヤリ・ハット」や事故事例を集め、社員に周知し、同様のミスを起こさないための事前対策を徹底しましょう。

例えば、事務職では「大切なデータを紛失しそうになった」「送信メールに誤ファイルを添付しそうになった」などの事例があげられます。実際にデータを紛失した場合、企業の信頼を失うこともあるため注意が必要です。一度このようなヒヤリ・ハット事案が生じた段階で「データの管理方法」や「メール送信時の確認ルール」などを見直しましょう。

ヒヤリ・ハット段階での対策の徹底が、重大事故の防止につながります。

ミスを発見次第、改善策を講じ研修を実施する

実際にヒヤリ・ハットやミスの体験を報告してもらい、それに対して対策を練ることも大切です。

例えば、製造業では「うっかり素手で刃物を触りそうになった」「積んでいた荷物が崩れかけた」というようなヒヤリ・ハット事例を聞くことがあります。このような事例が発覚する都度、改善策を講じることが大切です。定期的に研修を行い、情報を共有して従業員の防災意識向上に努めましょう。

ハインリッヒの法則を定着させる

従業員の中には「ハインリッヒの法則」について聞いたことがない人もいるでしょう。また、数値を知っていても「ヒヤリ・ハットの段階では重大事故が起こらないから放っておいても問題ない」という風に勘違いしているケースもあります。

社員教育を行い、ハインリッヒの法則を正しく定着させることが、重大事故の防止につながるのです。ハインリッヒの法則の概要、具体例、対策、定着方法などをより詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

「ハインリッヒの法則」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

ハインリッヒの法則とは「1つの重大災害が起きる前には、29件の軽微な災害、300件のヒヤリ・ハットがある」というものです。

これは、「ヒヤリ・ハット案件はたくさん起きるので放置しておいても構わない」という意味ではありません。ヒヤリ・ハット案件を放置しておくと重大な事故につながることがあるため、早めの対処が必要だということを示唆しています。

ハインリッヒの法則を正しく理解し、従業員に安全教育を行うことで、重大事故の防止に努めましょう。

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