【要チェック】社員が半休を希望する理由5選!有給休暇での取り扱いや導入のポイントを解説


【要チェック】社員が半休を希望する理由5選!有給休暇での取り扱いや導入のポイントを解説

働きやすい職場づくりを進めているものの、半休が社員にとって必要な理由がわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、半休が必要な理由や導入のポイントについて解説するので、人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


半休は丸1日休まなくても良いため、社員にとって取得しやすい休暇です。休暇を取りやすい環境の整備は、働きやすい職場づくりに欠かせません。しかし、人事担当者の中には、社員が半休が必要な理由を詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。


そこでこの記事では、社員にとって半休が必要な理由や導入のポイントについて解説します。半休の必要性について理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。


社員が半休を必要とする理由5選


社員は半日の休暇をどのような目的で取得するのでしょうか。ここでは、社員が半休を必要とする理由を5つ紹介します。


  • 体調不良
  • 家族の体調不良
  • 冠婚葬祭
  • 銀行や役所の用事
  • 立ち会いが必要な用事


半休を必要とする理由は、社員の状況によって様々です。自社の社員の様子をイメージしながら、確認してみてください。


体調不良


社員は、体調不良を理由に半休を必要とするケースがあります。風邪や頭痛だけでなく、女性の場合は生理痛によって仕事ができないこともあります。また、近年は感染症に対するリスクを考えて、休暇を取りたいケースもあるでしょう。半休が利用できれば、体調が悪いときに以下の対応が可能です。


  • 朝から体調が悪く、午前中休暇を取る
  • 出社したが体調不良になり、午後から休暇を取る


体調不良は突発的な理由であるため、事前の休暇申請が困難なケースも多くあります。会社側は、社員の体調に配慮して柔軟な対応が必要です。


家族の体調不良


社員本人だけでなく、家族の体調不良によって半休が必要な場合もあります。特に、子どものいる家庭を持つ社員の場合、家族の体調不良は頻繁にあります。半休があると、家族の体調不良に対して以下のような対応が可能です。


  • 子どもが学校や保育園から午後早退する際に迎えに行く
  • 家族を午前に病院に連れて行く


社員は子どもだけでなく、高齢の両親の体調不良への対応が必要な場合もあります。高齢者は子どもと同様に、自身で病院に行けない方も多いため、付き添いが必要なケースがあります。子どもや両親の病院への付き添いが必要な場合に、半休があると便利です。


冠婚葬祭


冠婚葬祭を理由に、半休を利用したいケースは多くあるでしょう。例えば、以下のケースが挙げられます。


  • 遠方の冠婚葬祭のため、休日のうちに帰ってこられないため午前中休みたい
  • 遠方の冠婚葬祭のため、前日に移動する必要があるため午後から休みたい
  • お通夜が入ったため、午後から休みたい


冠婚葬祭が遠方である場合、半休を活用できると余裕を持った移動ができます。土日を使って用事を済ませたとしても、移動に時間がかかるため、金曜日や月曜日の半日の休暇があると便利です。また突発的なお通夜への対応には、休暇が必要となるケースが多いです。


銀行や役所の用事


土日休みの会社の場合、平日にしか窓口の空いていない銀行や役所の用事をする際に、半休を利用できると便利です。例えば以下の用事が挙げられます。


  • 銀行の手続き
  • 運転免許更新手続き
  • 行政手続き


銀行や行政機関はオンライン化が進んでいるものの、窓口での手続きは数多くあります。例えば、ネット銀行でない限り口座の開設や解約は窓口でしかできません。またローンの繰り上げ返済などの手続きは、窓口のみの対応です。オンライン化などいつでも手続きができるサービスは増えていますが、まだまだ平日に窓口に出向く必要なケースは多くあります。


立ち会いが必要な用事


自宅の設備点検など本人の立ち会いが必要な用事がある場合、半休を利用できると便利です。本人の立ち会いが必要なケースとは、例えば以下のような用事が挙げられます。


  • ガスの開栓や点検
  • マンションの消防設備の点検
  • インターネット回線などの室内の工事


立ち会いは日時が指定されることが多いため、相手の都合に合わせる必要があります。半休を利用できれば、立ち会いが必要な用事にも無理なく対応できます。


半休は有給休暇として扱える


半休は無給の休暇での扱いだけでなく、有給休暇としても利用できます。半休を利用した有給休暇は、0.5日分としてカウント可能です。有給休暇は、労働基準法で社員への付与が義務付けられています。しかし、丸1日の休暇取得が困難なため、有給休暇の取得ができないという社員は多くいます。半休であれば、業務に大きな支障を与えずに取得できるため効果的です。


有給休暇は以下の条件を満たせば、正規雇用だけでなく非正規雇用などすべての社員に付与されます。


  • 雇入れの日から6ヶ月継続勤務したこと
  • 全労働日の8割以上出勤したこと


付与される休暇数は、勤続期間によって異なります。具体的には、以下の表を参考にしてみてください。

雇入れの日から起算した勤続期間

付与される休暇の日数

6ヶ月

10労働日

1年6ヶ月

11労働日

2年6ヶ月

12労働日

3年6ヶ月

14労働日

4年6ヶ月

16労働日

5年6ヶ月

18労働日

6年6ヶ月以上

20労働日

有給休暇の取得推進は、働きやすい職場づくりに欠かせない要素です。半休制度を導入することで、社員が有給休暇を取得しやすい環境づくりを進めましょう。


参照元:厚生労働省|労働基準行政全般に関するQ&A


企業が有給休暇の半休申請を却下できる2つのケース


有給休暇は社員の権利であるため、会社は休暇の請求があった場合に原則拒否はできません。ただし、以下の2つのケースでは、有給休暇の申請を却下できます。


  • 時季変更権を行使した場合
  • 計画的付与制度対象の場合


半休申請の却下には、事前の制度づくりが前提です。それぞれ詳しく見ていきましょう。


時季変更権を行使した場合


企業が時季変更権を行使した場合、有給休暇の申請は却下できます。時季変更権とは、労働基準法39条4項に基づき、企業が社員の有給休暇取得の希望日を変更できる権利です。社員の有給休暇取得が、事業の正常な運営を妨げると企業が判断した場合に行使できます。


正常な運営を妨げるとは、複数の社員が同時に有給休暇を申請したことにより、必要な人員を確保できないなどのケースです。ただし、時季変更権の行使は、企業が「代替要員の確保」や「有給休暇の取得のための環境整備」をしていることが前提です。


計画的付与制度対象の場合


計画的付与制度とは、企業が計画的に社員の有給休暇取得日を割り振る制度です。計画的付与制度で、有給休暇が割り振られている場合、社員都合での取得は拒否できます。ただし、計画的付与制度の導入には、以下の2つの条件があります。


  • 社員と労使協定を締結する
  • 有給休暇付与日数の5日を除いた日数


計画的付与制度は、社員との合意が必要で、最低5日は社員が自由に取得日を決められるようにしなければなりません。例えば、20日の有給休暇がある社員に対して、15日のみ企業都合で割り振りができます。計画的付与制度を導入している場合、企業は社員からの有給申請を5日を除いた範囲で拒否できます


参照元:年次有給休暇取得促進特設サイト 

半休制度を導入する際の4つのポイント


半休制度設計の際には、注意すべきポイントがあります。ここでは、半休制度を導入する際の4つのポイントを解説します。


  • 時間区分
  • 残業
  • 休憩
  • 申請期日


半休制度の導入を検討している方は、一つひとつチェックしてみてください。


時間区分


半休制度導入の際には、1日の労働時間をどのように半分に区切るのか決めなければなりません。労働時間の区切り方は、主に「午前・午後」または「所定労働時間の半分」にすることが一般的です。例えば、所定労働時間が9〜18時(1時間昼食休憩)の会社の場合は、以下のように区切られます。


  • 午前午後で区切る場合:前半9~12時、後半13~18時
  • 所定労働時間の半分で区切る場合:前半9~14時、後半14~18時


「午前・午後」で区切る場合は、前半が3時間、後半が5時間と長さが変わってしまうデメリットがあります。有給休暇として取得する場合、いずれの場合も0.5日分としてカウントされるため、午後半休の方が休暇の時間が長くなってしまいます。ただし、厚生労働省は半日の区切り方について「厳密に二分の一にする必要はない」としているため、法的な問題はありません。


「所定労働時間の半分で区切る」場合は、前半の勤務時間に昼食休憩が挟まってしまうことがデメリットです。休憩は、労働基準法34条2項で社員が一斉に取らなければならないと定めています。ただし「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」を社員と結べば、半休取得者のみを昼食休憩中に働かせることは可能です。その場合、前半を9〜13時、後半を14〜18時に分けられます。


半休の時間の区切り方について詳しく知りたい方は、別記事「半休午前と午後で時間が違う」をあわせてご確認ください。


残業


半休を取得した日の午後の勤務が、終業時刻を過ぎて残業になることが度々あります。半休取得日に法定労働時間の8時間を超えて勤務した場合には、25〜50%の割増賃金の支払いが必要になります。法定労働時間は、労働基準法で1日8時間、週40時間と定められています。


例えば、午前半休を取得し13時から23時まで勤務をした場合は割増賃金が必要です。休憩1時間を除くと、9時間労働となり、法定時間外労働が1時間になるためです。


半休の残業の取り扱いについて詳しく知りたい方は、別記事「半休残業」をあわせてご確認ください。


休憩


休憩時間は、半休取得日であっても取らせなければいけません。休憩時間は労働基準法で以下のように定められています


  • 労働時間が6時間を超える場合:45分以上の休憩
  • 労働時間が8時間を超える場合:60分以上の休憩


例えば、午前半休で13~20時まで働いた場合、労働時間が6時間を超過するため45分の休憩が必要です。この場合、労働時間は6時間15分、休憩45分の勤務時間になります。


申請期日


社員からの半休の申請期日は、法的には定められていません。しかし、有給休暇として利用する場合は、遅くとも前日までに申請を行う必要があるとされています。有給休暇には時季変更権があるため、当日の申請では企業が判断する時間がないためです。申請期日は企業で定められるため、前日までに申請するなどのルールを定めておくと良いでしょう。


半休制度導入の流れ3ステップ


半休制度を導入する際には、制度設計だけでなく社員の合意が必要です。ここでは、半休制度を導入する流れを以下の3ステップで解説します。


  • 半休のルールを決める
  • 就業規則を改正する
  • 社員に周知する


3つのステップを確認し、丁寧に導入を進めてみてください。


半休のルールを決める


半休のルールは、労働基準法に基づき企業で定める必要があります。具体的には、以下のルールを定めておく必要があるでしょう。


  • 有給休暇の使用の有無
  • 対象とする社員の範囲
  • 半休の時間区分
  • 半休の届出先や方法


半休は有給休暇にできるため、企業としての扱いを定めておく必要があります。また、半休を利用できる社員の範囲のルール化も大切です。不当な理由での範囲設定はできませんが、勤務時間が短い社員は対象から外すなどのルール化は必要でしょう。


就業規則を改正する


半休のルールは、就業規則に記載します。就業規則の変更は、社員の同意が必要です。また有給休暇に「計画的付与制度」を設ける場合は、労使協定の締結も必要です。就業規則への記載によって、正式なルールになると理解しておくと良いでしょう。


従業員数10名以上の企業の場合、改正した就業規則は労働基準監督署への提出が義務付けられています。就業規則の改正が完了したら速やかに、提出しましょう。


社員に周知する


改正された就業規則は、社員全員にメールや文章で周知しておきましょう。半休や有給休暇のルールは、対象にならない社員に対しても周知しておくことで、社内全体での理解が進みます


半休のルールが定着するまでは、申請方法や残業の取り扱いについて社員から質問が来る可能性があります。質問が来た場合の対処方法を、人事部内で共有しておきましょう。


まとめ


社員が半休を希望する理由は、家庭の用事などで半日程度の休暇が必要となるケースが多々あるためです。半休を有給休暇として利用する場合、企業側は取得理由を問うことはできません。有給休暇は、社員の権利として付与されているためです。


しかし、日本の企業ではまだまだ有給休暇を取得しにくい状況にあります。国は企業に有給休暇取得できる環境整備を求めており、労働基準法で厳しく管理されるようになりました。また有給休暇が取得しにくい職場は、働きにくい会社として人材の獲得に不利になります。企業は半休の導入など、社員が働きやすい職場づくりに取り組んでいく必要があります。


社員の労働助教の改善には、現状の残業時間や労働時間の把握が欠かせません。社員の労働時間管理には、人材データを一元管理できる「タレントパレット」をぜひご活用ください。「タレントパレット」は社員の残業の状況などを見える化できるため、社員数の多い企業であっても現状把握が容易になります。まずは社員の勤務状況を見える化し、どこに課題があるのか検討してみると良いでしょう。「タレントパレット」にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。